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友達、あげようか?
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「付き合ったことがないって1度も?」
「ないです」
「でもお前、20歳過ぎてるだろ」
「だから、21年間ご縁がなかったんです。でもそのおかげで初デートは荻乃先生とすることができました」
嬉しそうに明るい声で言った夕映。旭は複雑な心境に捕らわれていた。夕映が行ってみたいと言ったカフェ。朝から迎えに行って少し街中を歩いてからそのカフェに入って会話をした。大した会話じゃなかった。旭にとってはくだらないことで、話半分で聞いて約束の時間まで一緒にいてそのまま自宅に送り届けた。
たったそれだけのことで夕映は満足そうにお礼を言った。夕映が初デートと言ったあの時間。自分と夕映とでは価値が明らかに違うものだと感じた。
高校生の頃、初めて彼氏ができた。同性同士で付き合うだなんて一生ないかもしれない。そう思っていたのに、念願叶って想いを伝え合って愛し合った。
あの頃の初デートは死んでもいいと思えるほど幸せだった。きっとこの先どんなに好きな人が現れても、それが例え保であってもあの頃程の緊張と幸福感はもう2度と味わえないだろうと思えた。
思春期独特の複雑な気持ちと成長過程。自分を否定しなくてもいいと思えたきっかけをくれた人。10年以上も前のことなのに今でも鮮明に覚えている。
あの時感じた甘酸っぱい気持ちが夕映にとっての今だとしたら、自分はとんでもなく軽率な振る舞いをしてしまったんじゃないかと今になって申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「ないです」
「でもお前、20歳過ぎてるだろ」
「だから、21年間ご縁がなかったんです。でもそのおかげで初デートは荻乃先生とすることができました」
嬉しそうに明るい声で言った夕映。旭は複雑な心境に捕らわれていた。夕映が行ってみたいと言ったカフェ。朝から迎えに行って少し街中を歩いてからそのカフェに入って会話をした。大した会話じゃなかった。旭にとってはくだらないことで、話半分で聞いて約束の時間まで一緒にいてそのまま自宅に送り届けた。
たったそれだけのことで夕映は満足そうにお礼を言った。夕映が初デートと言ったあの時間。自分と夕映とでは価値が明らかに違うものだと感じた。
高校生の頃、初めて彼氏ができた。同性同士で付き合うだなんて一生ないかもしれない。そう思っていたのに、念願叶って想いを伝え合って愛し合った。
あの頃の初デートは死んでもいいと思えるほど幸せだった。きっとこの先どんなに好きな人が現れても、それが例え保であってもあの頃程の緊張と幸福感はもう2度と味わえないだろうと思えた。
思春期独特の複雑な気持ちと成長過程。自分を否定しなくてもいいと思えたきっかけをくれた人。10年以上も前のことなのに今でも鮮明に覚えている。
あの時感じた甘酸っぱい気持ちが夕映にとっての今だとしたら、自分はとんでもなく軽率な振る舞いをしてしまったんじゃないかと今になって申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
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