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友達だろ?
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ステージには眩しい程の光が降り注いでいる。様々な楽器が個性を発揮し、会場は美しい音楽で包まれた。
最前列で演奏を聴いていた夕映は、何度も目に溜まった涙をハンカチで拭った。生で聴く演奏がこんなにも感動するものだとは思わなかった。
夜天と共にグレン・ブラウンが参加するコンサートへ行くことが決まったのはつい先日のこと。夜天は既に休みを手配していた。急患がいようとこのコンサートだけは絶対に行くと決めていたのだ。これを逃したら、今度はいつ行けるかわからない。
ない時間を割いて夕映と会い、会話をし、友達にまでなってやった。そうまでしてようやく手に入れたチケットだ。行かない理由などあるわけがない。
「夜天にしてはよくやったじゃない。この前夕映ちゃんからお礼言われちゃった。夜天先生がお友達になってくれましたって喜んでたわよ。あんた、いいことしたわねー」
珍しくそんなふうに褒められた。そして約束のチケットもあっさり手渡され、封筒の中には最前列のチケットが2枚入っていた。
「2枚ともあげるわ。彼女とでも行ってきたら?」
「彼女なんていねぇし。別の日なら2回行けたのに」
「贅沢言わないでちょうだい。私だって貰い物なんだから」
「……そうだったな」
そんなやりとりをしながら、夜天はじっとチケットを見つめた。念願だったグレン・ブラウンのコンサート。1人でゆっくり堪能しよう。そう頬を緩めた。
夕映と友達宣言をしてから2週間が経過していた。話し相手ができたことが余程嬉しかったのか、夕映は度々夜天がいる呼吸器内科の外来を訪れていた。
最前列で演奏を聴いていた夕映は、何度も目に溜まった涙をハンカチで拭った。生で聴く演奏がこんなにも感動するものだとは思わなかった。
夜天と共にグレン・ブラウンが参加するコンサートへ行くことが決まったのはつい先日のこと。夜天は既に休みを手配していた。急患がいようとこのコンサートだけは絶対に行くと決めていたのだ。これを逃したら、今度はいつ行けるかわからない。
ない時間を割いて夕映と会い、会話をし、友達にまでなってやった。そうまでしてようやく手に入れたチケットだ。行かない理由などあるわけがない。
「夜天にしてはよくやったじゃない。この前夕映ちゃんからお礼言われちゃった。夜天先生がお友達になってくれましたって喜んでたわよ。あんた、いいことしたわねー」
珍しくそんなふうに褒められた。そして約束のチケットもあっさり手渡され、封筒の中には最前列のチケットが2枚入っていた。
「2枚ともあげるわ。彼女とでも行ってきたら?」
「彼女なんていねぇし。別の日なら2回行けたのに」
「贅沢言わないでちょうだい。私だって貰い物なんだから」
「……そうだったな」
そんなやりとりをしながら、夜天はじっとチケットを見つめた。念願だったグレン・ブラウンのコンサート。1人でゆっくり堪能しよう。そう頬を緩めた。
夕映と友達宣言をしてから2週間が経過していた。話し相手ができたことが余程嬉しかったのか、夕映は度々夜天がいる呼吸器内科の外来を訪れていた。
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