鮮明な月

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間章 ちょっと合間の話3

間話6.自覚して貰わないと

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こらは家に帰ったら、何よりも先にしないとならない。

何をとは聞かなくても分かることだろうが、そう切実に思ったのは花街の行きつけ居酒屋・伊良波の通りから出てきた男に狭山明良はちゃんと気が付いていたからだ。実際その男を見つけるまでは明良も泣きじゃくっていた結城晴が途轍もなく可愛くて、一瞬とはいえその男の存在すら忘れかけてもいた。

…………でも、あの大学生

晴曰くだが、晴は仕事の関係でその男と個室居酒屋なんぞで二人きりになった。それは外崎宏太からの指示もあるだろうから、一先ずはしかたがないと折れよう。でも、あの男は一度晴と別れて改札口を通って帰っていった筈なのに、何故か後になって伊呂波まで戻ってきていた。晴があの男からなんの話を聞き出そうとしていたかに関しては、それが仕事の関係とすると、どんなに明良が聞き出そうとしても言わない可能性はある。だけど、あの男が晴をじっとみていた視線が明良には気に入らないし、言うまでもないが晴は絶対に渡さない。だから晴には自分から逃げられないってことをもう少し自覚させておかないと、本当に晴はその点は鈍いと言うか無自覚だし。

「晴、おいで。」

家に戻って先ずは着替えようとしている晴を呼び止めて手招くと、晴は素直に歩み寄ってきて明良に手をとられ引き寄せられるままその膝に座る。先ほどの想定していたことではない事態に巻き込まれて抵抗もできなかった自分にションボリとしている晴は、まだ乱暴され乱れたままの服の上から明良のコートを羽織ったまま。何気なくヒラリと捲れば胸元は破かれてしまったブラウスとフロントホックが弾けて壊れてしまった偽物の胸を作る下着が覗くのに、晴は少し頬を染めてあんまり見ないでよと呟く。

「…………着替えてくるから…………。ノブさんに、後で謝んなきゃ…………。」

確かに衣装提供をしてくれている藤咲信夫には後で謝って破かれてしまった物は買い取るしかないだろうけれど、今の明良としては正直それどころではないのだ。コートの下を見たら見ず知らずの男に無造作に乳首を捏ね回されていた姿が頭を過るし、あの大学生の視線もどうしても不快で。
徐にそれを考えた明良は、まだ外気で冷たい指を目の前の晴の肌に滑らせていた。何時もよりは少しヒヤリとしているかもしれないが、それでもコートでくるんで来たからか明良の指よりは十分に温かく滑らかな肌。触れる明良の指に反応して直ぐにホンノリと色を深めていくのが、例えようもなく色っぽいのはいうまでもない。

「ひゃ!あ、あき、ら?!」

撫でられる指に可愛い声をあげて膝の上でジタバタする晴に構わず、明良は目の前の可愛らしいピンクの乳首を舌でベロリと舐め上げていく。それに晴はビクンと大きく身体を震わせて、甘く甲高い声をあげていた。たった一度明良に舐められただけなのに、明良の前で唾液に濡れてツンと淫らに立ち上がった晴の乳首に、明良は容赦なく強く吸い付いて舐め回す。

「んぅ!!うぅんっ!ひんっ!や、あ!」

乳首を舐められる。ただそれだけなのに既に蕩け始めた声で甘く泣く晴が、必死に明良の頭にしがみつくように腕を絡めて明良の事を確りと抱き締めてくる。執拗に丹念に舐め回されて、吸われて、しかも時には甘く噛みつかれて、晴は声を堪えられなくて泣きながら腰を無意識に揺らし続けていた。

「んんっ!んぅ!あっ!はぅんっ!」
「きもち、い?晴。」
「んんんっ、い、んんっ!」

ピンッと明良の指先に乳首を軽く弾かれたのに、膝の上で晴の身体が白魚みたいにビクビクと大きく跳ねて、明良の頭を抱きかかえたままの晴が甘い吐息を溢す。一目で分かるのはあの時の男達に触れられていた晴と今の晴はまるで別人で、あっという間に自分の愛撫で蕩けて気持ちよくなってしまっているのが分かる。思わず優越感に微笑む明良に気が付かず晴は、明良の膝の上でトロンとした瞳に変わってはふっとまた甘い吐息を溢していた。それを見ると少しだけやっぱり明良としては、腹が立ちもするのだ。こんなに無防備なのに、男を誘う役なんてものをすすんでしたらいけません。

「はーる?」
「う、ん。」
「俺、怒っていい?」
「んぅ?」
「俺、怒って良いよね?」

ポヤンとした瞳で怒るってなんの事と言いたげに見下ろす晴に、明良は溜め息混じりに腰の辺りを抱きかかえて引き寄せる。あんな風に他の男に触られて怯える晴を怒りたいなんて思うわけがないけれど、実際のところあの大学生は電車に乗ったかどうかは兎も角戻ってきていた。まだ社会の何も知らない既製品の安物のスーツに着られているような、まだ高校生から抜け出したばかりの子供にしか見えない男。源川仁聖と同じ年頃なのだろうけど、仁聖の方が胆が座っていて遥かに大人びて見える。そんな男に欲望を含んだ視線で晴を見つめられるのは、晴は明良のものなのに不本意でしかたがない。

「おこ、る?」
「あんな、ガキと二人っきりで、もしアイツが盛ってきたら俺の可愛い晴はどうするの?」

え?と戸惑う晴の濡れた乳首を口に含んで、また音を立てて愛撫し始めるのに晴の膝が跳ねてスカートが捲れ上がってしまう。滑らかな白い太腿をチラチラさせながら乳首だけの刺激に身悶えて喘ぎ、ヒクヒクと身体を震わせている晴は明良の言葉の意味がまだ理解しきれていない。というよりは快感が強すぎて、明良の言葉を理解するのに至れないのだ。

「ふぁ、あんっ、んんっ、やん、あ!んんっ!」

チュウッと音を立てて乳首を強く吸われる快感に、スカートを押し上げて晴の陰茎が硬く立ち上がるのが分かっても、そこにはまるで触れずに濡れた乳首ばかり明良に責め立てられるのに晴の腰がカクカクと大きく揺れている。抱きつくようにして頭を腕で引き寄せられながら、何度も乳首だけ舐められる刺激に晴の膝が限界みたいに擦りあわされていく。

「んんん、んっ、んぅ、くぅん!あ、きら、んっ!」
「なぁに?晴。」
「そこ、ばっか、やんっ!んんぅ!」

唾液に滑る乳首の更に先端を指で擦られるだけで、痙攣するような震えに身体を揺らして晴が潤みきった瞳で明良を覗き込む。それでも明良が執拗に舌で乳首を舐め回してくるのに、頬はスッカリ薔薇色に染まってモジモジと腰を揺する晴が焦れたように明良の名前を呼ぶ。

「明良ぁ、お願い…………そこばっかり…………やだぁ。」

あんまりにも晴がモジモジと膝を擦りあわせるたので既にスカートは完全に捲れ上がってしまって、下着の前を濡らして立ち上がり形を顕にした晴の怒張が欲情の熱を放っている。それを知っていても明良が手を出そうとしないのに、晴は唇を噛んで頬を染めて俯く。

「おねがい…………明良ぁ、もっと…………。」
「晴?」
「うん。」

素直な晴の返事に、明良はただ言葉もなくニッコリと微笑みかける。そんな明良に戸惑う晴に、明良が再び始めたのは本気で執拗としかいえない乳首だけへの愛撫。指と舌で執拗に舐め回され擦られ捏ね回されて、晴はしがみつきながら泣くしかできないまま快感に酩酊させられていく。何分なのか何十分なのか乳首が弄られ過ぎてジンジンと腫れ上がってしまったような感覚に身悶えながら明良の頭を抱きかえて震える晴を、明良は熱く赤くなった乳首を舌先でねぶりながら見上げる。

「ひもち、い?舐める、の。」
「も、やぁ、やら、も、むり、こわれ、ちゃ。」

トロンと蕩けた顔で半分泣き出しながらそんなことをいう晴に、明良はふぅんとだけ声をあげてまたヌルリと乳首を舌で撫でる。ピクピクと震える身体が腰をくねらせるのを、明良が乳首を愛撫しながら両手でガッチリと腰を押さえ込むのに、晴は悲鳴をあげて身悶えていた。

「も、や、やらぁ!く、うぅ、くるし、もぉ、やああ!」
「きもち、よくない?」
「くるし、よぉ、も、むり、やら、もぉやぁ!」
「まだ、三十分……位だよ?それに、乳首だけでもこっちベトベトにしてる。」

片手がスルンと晴のガチガチになった怒張の先端を軽く撫でたのに、ガクンと晴の身体が痙攣して鈴口からドプッと濃くて大量の蜜が吹き出してしまっていた。ハァハァと荒い息を吐く晴はそのまま他のところに触れてもらえると思ったのだろうが、明良はまた執拗に今度は今までよりも軽く掠めるような弱い刺激を織り混ぜて乳首への愛撫を再開していた。

「うっふくぅ!ううっ!んんぅあぅ!」

腫れ上がってしまった両胸の突起に、軽く吐息をふぅと吹きかけられるだけで背筋に快感が走る。先端を舌で転がされたり爪の先で擦られたり、すれば膝の上で大きく腰がくねってしまう。乳首を口の中に含まれて熱い感触で舐められたり吸われたりすると、背が仰け反り胸を押し付けるようにして身悶える。
一時間にもわたって乳首だけ、たった一ヶ所だけを執拗に責め立てられる快感に、晴は口を閉じることなく止めどなく喘ぎトロンと蕩けた顔を曝すしか出来ない。

「うぅふ、くぅ!んんんっ、あぅっ、んぁっ!」
「晴?」
「ふ、ぅう。」

親指の腹でクリクリと転がさせる快感に晴の腰がカクカクと揺れて、明良は微笑みながら晴の顔を引き寄せ口付けてくる。ヌルリと舌を絡められて口の中を愛撫されるのですら、もう気持ちよくて晴は自分の身体を支えることすら出来なくなっていた。
身体を支えることも出来なくてソファーに崩れ落ちそうになる晴を、我慢できずにベットに抱きかかえ移動して明良はのし掛かる。晴は既にグズグズに蕩けさせられてしまっていて、真っ赤になってツンと尖りきった乳首を指で弾かれるだけで爪先がピンと延びきって痙攣してしまう。

「ひぁ、あ!」

ピンッピンッと繰り返して弾く刺激に甘い泣き声を上げて身体が震え、股間で立ち上がったままの怒張からは触れてもいないのに蜜が滴り落ちて下着や服をベトベトに濡らしていく。

「あっ、ああッ、あっ!ひぁ!あっ!」
「晴…………可愛い…………。」
「んぅう!」

口付けながら乳首を指で捏ね回されてビクビク痙攣し続ける晴の腰に手を滑らせると、無意識なのだろうけれど明良が下着を脱がせやすいように晴の腰が浮く。口の中を掻き回されながら服を脱がされあっという間に全裸にされても、蕩けたままの晴の瞳は変わることもなくて明良は優越感に微笑んでしまう。

いやがって抵抗なんて考えられない……ね?

チュッと明良が音を立てて唇を唇で挟んで愛撫するだけで、晴は更に口付けを強請るように腕を伸ばして首に絡めてくるのだ。それに合図にしたように晴の脚を腰が浮くほど掬い上げて、淫らに左右に割り開かせてしまう。ピンクで扇情的な性器が蜜でヌラヌラと濡れていて、その下には明良が何度となく愛してふっくら綻ぶようになってしまった慎ましい孔がひくつく。卑猥で淫らで扇情的で今すぐ発情した怒張を目茶苦茶に捩じ込み掻き回してしまいたくなってしまう光景なのに、それでも明良が何時ものようにしてくれない。

「あ、…………ぁ……きらぁ?…………んふぁ…………んん。」

明良の興奮に獣のように熱い視線には全く気が付かず、淫らな迎え入れるだけの体勢のままで晴が腕を引き明良の口付けをまた強請る。もう晴はどんなに自分が淫らな姿をしているかなんてどうでもよくなるくらい焦らされて寸止めに近い快楽で埋め尽くされていて、一秒でも早く奥底まで明良が欲しいとしか考えられない。

「ぁきら、も、らめ…………も、むりぃ。」
 
メロメロに蕩けさせられた声で全部を見下ろされながら必死で強請る晴に、明良はやっとネクタイに手をかけて音を立てて抜き取る始末。気が付けば晴は既にほぼ全裸なのに、明良の方は殆んど帰ってきた時のままのスーツ姿なのだ。時間をかけて焦らされ溜め込まれた快感で晴の頭の中はこの先の期待で完全に溺れきっていて、明良だってそれはよく分かっている筈なのに

早く…………はやくぅ…………

泣き出してしまいそうな程にユックリに見える明良の動きに焦らされてモジモジと腰を揺らめかせる晴に、明良は絶対にわざとだというくらいにユックリとボタンを外していく。

「ね、晴?」
「んぅ…………?ら、らにぃ?」

酩酊して言葉すら辿々しく舌の回らない晴の頬を撫でて、ワイシャツの前をはだけただけで明良が欲情をそそる視線で覆い被さってくる。それに喉をならしながらポヤンとした視線を向ける晴に、明良はニッコリと微笑む。

「晴、どうしても五十嵐ハルしたい?」

今それ?!それ後でもよくない?!と晴の頭が悲鳴をあげているけれど、実は明良の方もこれを蔑ろに出来る筈もない。何度約束しても約束を破られて、それに関してお仕置きしても結局はなあなあにされてきたのだ。

「しても良いよ?したいんなら。もう、止めるの諦めるから。」

想定外の明良の言葉に、何故かあの時駅の構内でもういいと明良が自分の手を離した瞬間が、快感でボヤけていた筈の晴の頭の中にハッキリと過っていた。
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