俺の名前は今日からポチです

ムーン

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かいはつ、よん

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ローションが足されて、それを塗り込んで、なんの合図もなしにオモチャが入れられる。
先程雪兎の指で押された場所……前立腺、とかいうのを思いっきり突かれた。

「あっ、ぁあっ!  ぁ、あ、まって、もっとゆっくりぃ!」

「何言ってるの、ポチは激しいのが好きなんでしょ?  踏まれたり、縛られたり、喉突かれたりするのが好きなんだよね?」

「ちがっ、やぁ……っ、やだぁ!  やさしくしてよぉ!」

雪兎は俺の反応を楽しんでいるらしく、抜き差しは速く強くなっていく。
内臓を揺らされているような、事実なのか錯覚なのかも分からない快感に襲われる。

「んっ、ぁ、ああぁあっ!  ぁ……」

「あ、イった?  じゃあ……尻尾動かすね」

カチ、と聞こえた気がした。けれどそれはすぐに俺の声にかき消された。
激しく震えだしたオモチャはそのまま俺を突く。

「やっ、ぁ、やめて、いまイったばっかだからぁ!」

「ばっかりだから?  何?  もっと?」

「ちがうっ!  ぁ、やぁんっ!  やめて、ぁ、あぁんっ!」

ぐちゅぐちゅと淫らな水音を立てているのが俺自身だという事が何よりも恥ずかしくなってくる。

「そーんな可愛く鳴いちゃって……もっとだね、分かったよ」

雪兎は俺の意をわざと汲まず、ますます激しく責め立てる。
……いや、違う。雪兎は俺が本当に求めていることをしてくれている。
もっと、何も考えられなくなるまで、失神するまで、イかせてほしい。
俺が口に出せない願いを叶えてくれている。

「あぁっ、あ、ゆき、ゆきとぉっ!」

「んー?」

オモチャの先端が前立腺に押し付けられると、俺の身体は勝手に跳ねた。

「やめ、やめてぇっ、おねがっ……も、むりぃ!」

「……分かった。もっとだね」

「ちがっ……あ、ぁあっ!  やぁ、んっ、ふ……あぁ、ひぁん!」

頭が真っ白になっていく、末端から感覚がなくなっていく。
腰の周りの、性器の周辺だけの生き物になったみたいに、そこ以外の感覚が消えていく。

「だめ、もう……っ、おかしくなるっ!  ゆきぃ……おれ、だめになる……だからぁ、も、やめ」

「おかしくなってよ。ほーら、もっと……人の言葉も忘れるくらいに、めっちゃくちゃのぐっちゃぐちゃに壊れちゃってよ」

「そんなっ、なったらぁ、おれ、すてられっ……ぁ、んっ!  ふっ……ぅ、だめだってぇ!」

「捨てないから、ほら、壊れて」

捨てない?  本当に?
オモチャに突かれて悦ぶような変態になっても、捨てられない?

「んっ、あぁっ、あ、ぁぁあっ!  ふぁ、ふっ……うっ」

「ポチ?  どう?  これ好きになった?」

「ぁあぁああっ、あ、ぅ……い、ぁんっ!  ああっ、あ……」

「ポチー?  お返事は?」

返事がないのに苛立った雪兎は手をさらに速く動かすが、それは逆効果だ。俺はますます雪兎の言葉を認識できなくなったし、返事をする為に口を動かすこともできなくなった。
雪兎な名を呼ぶこともなく、喉の枯れを恐ることもなく、ただ喘ぐだけの愛玩動物と成り果てていた。
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