俺の名前は今日からポチです

ムーン

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わんわん! に

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ボディソープを素手で泡立たせ、雪兎はニコニコと子供らしい笑顔を浮かべ、泡まみれになった手を首に沿わせる。
うなじを四本の指を組むようにして洗い、喉仏を親指が優しく揉むように洗う。

「……んっ」

「ん?」

首を傾げ、手を止める。

「…………いえ、何でもありません」

「そう?」

首全体を揉むように、首筋をなぞって、最後にうなじにつうと人差し指を這わせた。

「ふっ……ぅ……」

首を洗い終えると雪兎の指は耳の裏に移動した。人差し指と親指で摘むようにして洗い、戯れに耳たぶを弾いた。

「ゃ……」

「ポチ?  さっきからどうしたの?」

「…………わざとですか?」

「何がー?」

雪兎はキョトンとした顔で首を傾げる。演技なのか天然なのかは表情と声色では分からない。まぁ演技なのだろうが、本当に上手い。
手が肩に置かれ、首元と肩の端を雪兎の手のひらが何度も往復する。ここならそう感じずに済む……と思っていたが、鎖骨の辺りを擦られると声が漏れた。雪兎の手はそのまま下に進み、胸板に手のひらを当て指を曲げ、鷲掴むようにした。

「んっ……ぁ、ユキ様っ……」

硬い胸筋を揉んだって楽しくはないだろうに、雪兎は胸全体を優しく揉みしだく。

「洗ってるだけだよ?」

手が離れ、とぼけた表情の雪兎の顔が近付く。

「……そう、ですね」

「だよねぇ。じゃあ、これ、なぁに?」

ぴんっと乳首を弾かれ、甲高い声を上げる。

「こーんなにかたぁく尖らせちゃって、どうしたのかなぁ?」

乳輪を指先でくるくると弄って、雪兎は口の端を吊り上げる。

「ゃあぁ……ぁ、ん……」

「さっきから聞いてるのに、何にも答えないね。やっぱりポチどうかしたのかなぁ、これは触診ってやつが必要だね!」

乳首を軽く摘まれると、足が勝手に跳ね、手が雪兎の腕を掴んだ。

「……なぁに?」

言葉を紡げるほど呼吸は整っておらず、俺はただ首を横に振った。
雪兎は首を縦に振り、乳首を強く抓った。そのまま引っ張り、その先でぐりぐりと指の腹で擦る。

「ゃああっ!  ぁ、ひぁあっ!」

「僕の質問に答えてよ、ポチ。ここどうしたの?  なんでこんなになっちゃってるのかなぁー?」

「ふぁっ、ぁ、あっ、ゃ……」

「ねぇ、答えて?」

パッと手を離し、また顔を近付ける。今度の表情は悪戯っ子のようだった。

「……ユキ様に、洗われてぇ……気持ちよく、なっちゃいました」

「ふぅん、どこ洗われた時?」

「…………全部、です。首も、耳も、鎖骨も、胸も……」

「どこが一番よかった?」

「……胸、です」

雪兎は先程と同じように胸を鷲掴み、揉みしだく。

「ん、ぁ、あぁっ……」

「ここだね?」

「ふっ……ん、んんっ」

俺は勝手に甘い声を漏らす口を硬く閉じて、首を横に振った。

「じゃあどこ?」

「……さきっちょ…………です」

「どこ?」

俺は雪兎の手首に手を添え、指に指を添え、その細い指先を乳首に運んだ。

「…………ここ、つねって……」

「へぇ、こう?」

「ひぁんっ!  ぁ……はい、そう…………でしゅ、で、す」

「ふふっ、かーわいい犬だねぇ、ポチは」

「はいぃっ……ユキ様の、犬ですっ!」

雪兎は心底楽しそうに笑っている。その笑みには子供らしさよりも嗜虐性が強く見て取れた。
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