俺の名前は今日からポチです

ムーン

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かがい

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雪兎は俺の顔を見ながらバイブの位置を決め、スイッチを入れた。微弱な振動は骨を伝わり臍の奥の敏感な部分をピンポイントで攻め立てる。

「ぅあっ、あぁっ、ぁああぁっ!」

「どう?  気持ちいい?」

「は、はいっ、きもち、ぃ、れしゅっ!」

「……かなり効いてるね。薬かな、場所かな」

振動が強くなり、前立腺がめちゃくちゃに揺さぶられる。片手での雑な押し付けも相俟って、快楽が何倍にも膨れ上がる。
雪兎のもう片方の手がそっと布の下に潜り、性器の形を確かめるように優しく撫で回した。

「わ……パンパン。これ大丈夫?」

陰嚢を持ち上げ、揺らし、眉を顰める。

「ぁあっ!  ひぁああっ!  ぁ、んぁあっ!」

「…………返事出来るわけないか」

布の下から手を抜いて、今度は布を下に引っ張り始める。亀頭が擦れて、陰茎が無理矢理下に戻されそうになって、中からも外からも強い快楽が襲ってくる。

「ぁあぁああっ!  ぃ、うぁっ!  ゆきっ……ひぁあんっ!」

コックリングが無ければとっくの昔に精液を出し尽くしていただろう。何度絶頂を繰り返しても、微かに鈴口が濡れる程度で済むなんてリングが無ければ考えられない。
喉を痛めるなんて事も考えられずに叫び続けて、俺の意識は吹っ飛んだ。



次に意識を戻した時、もう快楽は与えられていなかった。薬の効き目も切れたらしく、昼間ほどのもどかしさもない。ただ、射精したいという思いだけは募っている。

「おはよ、ポチ。よく眠ってたね」

仮眠でも取ったのか雪兎の元気はそれなりに戻っていた。

「……今日何かありました?」

「ん?」

「昼間、元気なかったみたいですけど」

「あぁ……ちょっと、体育でさ。上手くできなくて昼休み呼び出されて……疲れてたんだ」

学問に関しては万能だと思っていたが、体育は苦手らしい。

「体育って何してたんです?」

「護身術。後ろから抱き着かれた時の対処法。体落とすとか腕上げるとか……」

暴漢役は先生だろうか。だとしたら体育教師ショタコン疑惑が出てくる、正当な理由での呼び出しだったのか怪しい。

「僕全然上手く出来なくてさぁー……?」

正当な理由での呼び出しだな。疑って申し訳ない。

「俺、暴漢役やりましょうか」

これなら雪兎に思いっきり抱き着き、ちょっと身体をまさぐっても「役だから」でお仕置きを逃れられる。

「ん、昼休み中にできるようになったからいいよ。ありがとね」

「……そうですか」

恨むぞ顔も知らぬ体育教師。昼休みを潰すような熱心な指導をしなくてもいいだろう。

「それにさ、ポチだったら逃げる気なくなっちゃうかもだし。ポチなら抱き着かれるの嬉しいもん」

「……首輪引っ張ったり喉押したり蹴ったりしますよね」

「あれ、今のセリフきゅんきゅんしない?」

「経験が邪魔をしますね」

そんな他愛ない話をしながら、夕飯時を待つ。
こういった平和な時が何より尊く、幸せなものだ……俺は手首足首を拘束されながらもそう思った。
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