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元イジメっ子とデートしてみた
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朝は学校近くの空き地で担任とカーセックス。夕方は担任と理科準備室でセックス。センパイには俺から誘っても「ピアスが安定するまで」と断られる。
そんな日々が続き、合間合間に見えない手に身体をまさぐられ、俺は常に発情状態にあった。
「あ……! つ、つつっ、月乃宮君……! 来てくれたんだね。ご、ごめん、遅くなって」
土曜日の今日は元イジメられっ子の矢見とデート。駅前で待ち合わせをし、約束の五分前に合流した。
「……別に、俺が早く来すぎただけだし」
ただ十分前行動が身についているだけなのに、俺が楽しみにしていたと思われたら嫌だな。
電車に乗り、平日とは違って空いていることに安堵する。この乗車率なら痴漢はできまい。
「まま、まずっ、映画だよ。調べた限り、この映画が……いい、かな」
何事もなく映画館付属のショッピングモールに到着。矢見は恋愛ものの邦画の前で立ち止まる。ヒロインは不治の病に冒されている設定らしい。
「……俺こっちがいいな、前から見たかったんだ」
「え……なっ、なな、何これ」
「十五センチの小型サメが大量発生! 小型サメは風に乗り、作物、家、そして人間! あらゆるものを食い尽くし進んでいく……! そんなサメに火炎放射器とチェーンソーで挑む!」
「うわぁ……」
「じゃあ俺コレ見るからお前そっち見てこいよ」
「い、いいっ、一緒に見なきゃデートにならないよぉっ!」
矢見は俺の腕に抱きついて長い前髪の下の目を潤ませる。周囲の視線を感じて焦った俺は思い切り腕を振ってしまった。
「うるせぇな! 抱きつくなバカ!」
矢見は簡単に転んでしまった。
「ぁ……いや、ごめん。でも……外だし、な? 男同士なんだから友達らしく行こうぜ」
立ち上がらせようと手を伸ばすと矢見は学校で虐められている時のように頭を守った。
「矢見……?」
「ごっ、ご、ごめん。だだ、大丈夫、いぃ行こう」
慌てて立ち上がらせ、買ったチケットを持って劇場に入る。人はまばらだ。
「ど、ど土曜なのにっ、人少ないね……」
「シャークイナゴ全滅大作戦4だぞ? こんなモン見るヤツいねぇよ……」
「けけ、結構出てるんだね……四作目から見て大丈夫かな」
「登場人物どころか設定も違うから平気だろ。そろそろ始まるから黙れ」
本編が始まって数分、人が食われていくシーンで矢見は目を背けていた。トントンと太腿を叩き、手を繋ぐ。すると今度は俺の肩に顔を押し付けて目を背けるようになった。
見えない手に襲われることもなく二時間半の映画は終わり、劇場の外に連れ出した矢見は泣いていた。
「こ、ここっ、怖かったよ……い、家に隠れても無駄なんてっ、酷いっ」
「……お前可愛いな」
「え……? ぁ、ああっ、ありがとう……?」
あんな低予算スプラッタで泣く奴が居るなんて、世間は広いな。
「で? 次は?」
「つ、つつっ、次は、ショッピングだよっ! 可愛い服を買うんだ。どっちがいいって聞いていいよっ!」
「……女子向けコピペデートプラン用意してんじゃねぇよ。デートしたいなら多少なりとも相手の趣味考えるだろ。俺が可愛い服着ると思うか? お前に「どっちがいーい?」とか聞くキャラか? お前、実は俺のこと大して好きじゃねぇだろ」
「え……? そ、そんなっ、そんな……!」
矢見は「違う」「ちゃんと好き」「大好き」と吃音混じりに訴え、大粒の涙を零し始めた。ひとまずベンチに移動して泣き止むのを待つ。
「…………悪い、言い過ぎたよ」
「い、いやっ……言う通りだった。もっとちゃんと君のこと考えないといけなかったのに」
少しキツく言えば俺を嫌いになるかと思ったが、矢見の気持ちは硬いようだ。俺は恋心がどんなものか理解している、気持ちの強さを知ってしまった今、もう俺から彼を振ることはできない。
「俺、別にこの店でやりたいことないし。もう帰りたい」
「え……ぁ、あっ…………そ、そんなっ……」
「デートは続けてやってもいいぞ、お家デートな。お前の家行っていい?」
泣き腫らした目を輝かせた矢見は満面の笑みで頷いた。
「なんか……本当に、ごめん」
「な、なな、何が? いいよ、月乃宮は外で遊ぶのあんまり好きじゃないんだよね。ぼ、僕もだけど……えへへ、お揃いだね」
矢見は本当に俺が好きなんだなと改めて理解し、自分のレンに向けた恋心と重ね、矢見の気持ちに応えられていないのが悲しくなる。
矢見は俺の葛藤や自己嫌悪なんて知らずに俺を惚れさせようと必死になり、慣れない笑顔を作って俺を自宅まで案内してくれた。
「ご、ごめんね、汚い家で」
ボロアパートの一室、ゴミ溜めのワンルーム。玄関には鮮やかなハイヒールが倒れており、キッチンには蝿が飛ぶインスタントラーメンの器が積まれていた。
「……マジで汚ぇな」
「ご、ごごっ、ごめん……ぼ、僕の部屋、こっち」
「は? ワンルームだろ?」
ゴミを乗り越えて案内された先は押し入れ。上側には勉強道具、下側には布団が畳んであった。
「ど、どっちがいい?」
「……とりあえず下で」
布団を敷いて襖を閉め、枕元に置いてあったランプを点ける。暖かな光に満ちたそこは秘密基地のような高揚感があった。
「せっ、狭くてごめん……面白いものなんてないし、僕……えっ?」
シャツを脱ぎ捨て、ベルトを外して矢見の肩を掴み、唇を重ねる。
「ま、ままっ、待ってよ! 月乃宮君っ……僕、は……こういうことがしたいんじゃなくて、君が好きで……」
矢見の気持ちに応えられていないから、せめて抱かせてやろうと思ったのに、まさか突き飛ばされるとは思わなかった。
「……好きなのにヤりたくないのか?」
「そそ、そうじゃなくてっ……僕、は……本気だって、し、知って欲しくてっ……だからっ! こういうことは、ゆっくり」
「勃ってんじゃん」
矢見は股間を押さえて隅でうずくまってしまった。
本気ってなんだよ、セックスが最終目標だろ、叶えてやるって言ってるのに何が不満なんだよ……ムカついてきた、絶対襲わせてやる。
「……あ、そ。分かった。じゃあしないよ」
「わ、分かってくれた? よかった……あ、あの、なんで、下脱いで」
「ヤる気だったのに断られてムラムラしたまんまだから、一人で抜くだけだけど?」
「そ、そんな……え、見てていいの?」
答えずに穴に指を向かわせる。矢見は俺の手元を食い入るように見ていた。
「ん、ぁっ……? あれ……? ん、んぅうっ……もっと、奥……もっと奥ぅ……」
自分の手では浅いところしか擦れない。これでは逆に焦れったい。前立腺を探っても見つからない。
「ぁ、あぁっ……ぅ、どこ……このへん……ちがう…………はぁ、はぁ……なぁ矢見」
「な、なな何? つ、つつっ、月乃宮君……」
「なぁ……どうしても俺とヤりたくない?」
「だ、だからっ、したくないわけじゃなくて……今は、だめ……初体験あんなのだったから、せめて二回目は、ちゃんと付き合ってからっ……」
「じゃあ付き合う、付き合うから……早く、来て」
仰向けになって開脚し、両手で穴を拡げる。ここまでサービスしてやったんだ、乗ってこなかったら本気で蹴ってやる。
「ほ、ほほっ、本当? 本当に付き合ってくれるの? 嬉しいっ……! いっ、入れるよ」
慎重に挿入してきた矢見の腰に足を回し、一気に入れさせる。
「うぁっ……はぁ、と、溶けそう……」
「んっ……相変わらず、顔の割にデカい……入れてるくせに喘いでんじゃねぇよ」
いつも通りの肉棒に貫かれる心地良さを味わい、根元まで飲み込んだ達成感にため息をつく。矢見の陰茎をきゅうきゅうと締め付けている俺の腸壁はもう何かを入れていないと落ち着かないらしい。
「だ、だだ、大丈夫? 痛くない? 君に負担はかけたくなくてっ」
「一回ヤっただろ、変なヤツだな……そういや名前なんだっけ」
「な、名前っ? 美池だよっ……お、覚えてなかったの!?」
「いまっ、おぼえた……みちっ、可愛い名前っ……みち、お前の……かなり、いい。おっきいし硬いし……そろそろ腰振れ、あんまり焦らすなよ」
矢見──いや、ミチと呼ぼうか。ミチのものは確かにイイ、今まで咥え込んできた男根の中でもかなり上位だ。
「う、うんっ……」
ぱちゅ、ぱちゅ……と浅く遅く抜き挿しされる。
「んっ、んん……微妙。せっかくモノはいいんだから、もっとガンガン振れよ」
「ごごっ、ごめんっ……き、君が心配で。平気なんだね、じゃあ頑張る……」
ミチは上体を僅かに倒し、俺の腰を強く掴み、発情期の猿のように必死に腰を振り始めた。そこそこの速さだ。
「んぁっ、あっ、ぁんっ、んっ、いいよっ、みち、そのままっ……ひぁんっ!? そっ、そこっ、いまのとこ、もっとぉ!」
「え、ど、どこ……? こ、ここ? こっち?」
ミチは深くまで挿入したままぐりぐりと腰を回す。体内をこね回される快感に思わず仰け反った。
「ん、んぅっ、あぁんっ! そこっ、そこもっとぉっ!」
「こ、ここだねっ……分かった」
「あぁっ! ぁひっ! ひぁああっ! イくっ、もぉっ、イくぅうっ! ぁ、あっ……ダメっ、止めないで……イってるとこ、ごりごりして、イかせまくって」
顔の横で布団を掴んで嬌声を上げていたが、ミチにその手を掴まれた。どうやら両手とも恋人繋ぎをしたいらしい。応えてやると次はキスをせがんできた。
「ん、んぅっ……んぅううっ!」
密着したことで矢見の腹に陰茎が擦れ、ちょうどキスのタイミングで射精してしまった。
「ん、はぁっ……はぁっ……つつっ、月乃宮くんっ、ぁ、あっ……愛してるっ! あぁ……もぉ、もうっ、出るっ……」
ミチの手が離れてティッシュに伸びる。俺はその手を再び掴み、足を腰に巻き付けた。
「なかにっ……んぁっ、ん、いっぱい出てる……」
萎えた陰茎が抜けて、ゆっくりと冷静に戻っていく頭で考える。後処理が面倒なのにどうして中出しをねだってしまったのだろう……と。
「な、中に出しちゃった…………すすっ、すごくよかったよ。月乃宮くんは……どうだった?」
「…………よかった」
「そ、そそっ、そっか! よかった!」
ミチはティッシュを取って俺の太腿や腹の精液を拭い始めた。
「……なぁ、風呂入りたい」
「あ、ごごめん……うち、トイレと風呂は共用で」
誰が来るか分からない共用に精液まみれのまま行く勇気はない。俺はミチと共にティッシュで精液を拭い、後で各々風呂に入ると決めた。
服を着直したら布団に寝転がる。デートとセックスで体力が減っているのだろう、何もする気が起きない。
「あの……月乃宮くんって、ボディピアスもあるんだね」
「あぁ……まだ馴染んでないんだけど、ファーストピアス外してリングとかのつけたら引っ張っていいよ」
「へっ!? し、ししっ、しないよそんなこと!」
「ふーん……俺、胸も感じるのにな」
「だ、だだだめっ! ピアスホールなんてただの傷なんだからね!?」
歴史ある装飾品なのに随分な言い方だ。
「……あ、舌ピ気付いてる?」
「へ? ぁ……ほ、ほんとだ、痛そう……」
「こっちも馴染んだらキスの時に弄ってくれよ」
「こ、ここっ、怖いよ……血とか、出そう」
仕方ないな、ピアス弄りはセンパイに一任するか。怪我の境界線とか分かってそうだし、一番安全だ。むしろ他のヤツらに触るなと言っておいた方がいい。
「……そうそう、俺耳かなり弱くてさ、セックス中に息吹きかけられたり舐められたり噛まれたりしたらすぐイくから、積極的にしてくれよ」
「い、息と、舐めるくらいなら。かか、噛むのは……嫌だ」
「楽しみ……あ、今からもっかいする?」
「む、むむっ、無理だよぉ……」
すっかり打ち解けて楽しく話していたが、玄関扉が開く音がして俺達は目配せもなく同時に黙り込んだ。
そんな日々が続き、合間合間に見えない手に身体をまさぐられ、俺は常に発情状態にあった。
「あ……! つ、つつっ、月乃宮君……! 来てくれたんだね。ご、ごめん、遅くなって」
土曜日の今日は元イジメられっ子の矢見とデート。駅前で待ち合わせをし、約束の五分前に合流した。
「……別に、俺が早く来すぎただけだし」
ただ十分前行動が身についているだけなのに、俺が楽しみにしていたと思われたら嫌だな。
電車に乗り、平日とは違って空いていることに安堵する。この乗車率なら痴漢はできまい。
「まま、まずっ、映画だよ。調べた限り、この映画が……いい、かな」
何事もなく映画館付属のショッピングモールに到着。矢見は恋愛ものの邦画の前で立ち止まる。ヒロインは不治の病に冒されている設定らしい。
「……俺こっちがいいな、前から見たかったんだ」
「え……なっ、なな、何これ」
「十五センチの小型サメが大量発生! 小型サメは風に乗り、作物、家、そして人間! あらゆるものを食い尽くし進んでいく……! そんなサメに火炎放射器とチェーンソーで挑む!」
「うわぁ……」
「じゃあ俺コレ見るからお前そっち見てこいよ」
「い、いいっ、一緒に見なきゃデートにならないよぉっ!」
矢見は俺の腕に抱きついて長い前髪の下の目を潤ませる。周囲の視線を感じて焦った俺は思い切り腕を振ってしまった。
「うるせぇな! 抱きつくなバカ!」
矢見は簡単に転んでしまった。
「ぁ……いや、ごめん。でも……外だし、な? 男同士なんだから友達らしく行こうぜ」
立ち上がらせようと手を伸ばすと矢見は学校で虐められている時のように頭を守った。
「矢見……?」
「ごっ、ご、ごめん。だだ、大丈夫、いぃ行こう」
慌てて立ち上がらせ、買ったチケットを持って劇場に入る。人はまばらだ。
「ど、ど土曜なのにっ、人少ないね……」
「シャークイナゴ全滅大作戦4だぞ? こんなモン見るヤツいねぇよ……」
「けけ、結構出てるんだね……四作目から見て大丈夫かな」
「登場人物どころか設定も違うから平気だろ。そろそろ始まるから黙れ」
本編が始まって数分、人が食われていくシーンで矢見は目を背けていた。トントンと太腿を叩き、手を繋ぐ。すると今度は俺の肩に顔を押し付けて目を背けるようになった。
見えない手に襲われることもなく二時間半の映画は終わり、劇場の外に連れ出した矢見は泣いていた。
「こ、ここっ、怖かったよ……い、家に隠れても無駄なんてっ、酷いっ」
「……お前可愛いな」
「え……? ぁ、ああっ、ありがとう……?」
あんな低予算スプラッタで泣く奴が居るなんて、世間は広いな。
「で? 次は?」
「つ、つつっ、次は、ショッピングだよっ! 可愛い服を買うんだ。どっちがいいって聞いていいよっ!」
「……女子向けコピペデートプラン用意してんじゃねぇよ。デートしたいなら多少なりとも相手の趣味考えるだろ。俺が可愛い服着ると思うか? お前に「どっちがいーい?」とか聞くキャラか? お前、実は俺のこと大して好きじゃねぇだろ」
「え……? そ、そんなっ、そんな……!」
矢見は「違う」「ちゃんと好き」「大好き」と吃音混じりに訴え、大粒の涙を零し始めた。ひとまずベンチに移動して泣き止むのを待つ。
「…………悪い、言い過ぎたよ」
「い、いやっ……言う通りだった。もっとちゃんと君のこと考えないといけなかったのに」
少しキツく言えば俺を嫌いになるかと思ったが、矢見の気持ちは硬いようだ。俺は恋心がどんなものか理解している、気持ちの強さを知ってしまった今、もう俺から彼を振ることはできない。
「俺、別にこの店でやりたいことないし。もう帰りたい」
「え……ぁ、あっ…………そ、そんなっ……」
「デートは続けてやってもいいぞ、お家デートな。お前の家行っていい?」
泣き腫らした目を輝かせた矢見は満面の笑みで頷いた。
「なんか……本当に、ごめん」
「な、なな、何が? いいよ、月乃宮は外で遊ぶのあんまり好きじゃないんだよね。ぼ、僕もだけど……えへへ、お揃いだね」
矢見は本当に俺が好きなんだなと改めて理解し、自分のレンに向けた恋心と重ね、矢見の気持ちに応えられていないのが悲しくなる。
矢見は俺の葛藤や自己嫌悪なんて知らずに俺を惚れさせようと必死になり、慣れない笑顔を作って俺を自宅まで案内してくれた。
「ご、ごめんね、汚い家で」
ボロアパートの一室、ゴミ溜めのワンルーム。玄関には鮮やかなハイヒールが倒れており、キッチンには蝿が飛ぶインスタントラーメンの器が積まれていた。
「……マジで汚ぇな」
「ご、ごごっ、ごめん……ぼ、僕の部屋、こっち」
「は? ワンルームだろ?」
ゴミを乗り越えて案内された先は押し入れ。上側には勉強道具、下側には布団が畳んであった。
「ど、どっちがいい?」
「……とりあえず下で」
布団を敷いて襖を閉め、枕元に置いてあったランプを点ける。暖かな光に満ちたそこは秘密基地のような高揚感があった。
「せっ、狭くてごめん……面白いものなんてないし、僕……えっ?」
シャツを脱ぎ捨て、ベルトを外して矢見の肩を掴み、唇を重ねる。
「ま、ままっ、待ってよ! 月乃宮君っ……僕、は……こういうことがしたいんじゃなくて、君が好きで……」
矢見の気持ちに応えられていないから、せめて抱かせてやろうと思ったのに、まさか突き飛ばされるとは思わなかった。
「……好きなのにヤりたくないのか?」
「そそ、そうじゃなくてっ……僕、は……本気だって、し、知って欲しくてっ……だからっ! こういうことは、ゆっくり」
「勃ってんじゃん」
矢見は股間を押さえて隅でうずくまってしまった。
本気ってなんだよ、セックスが最終目標だろ、叶えてやるって言ってるのに何が不満なんだよ……ムカついてきた、絶対襲わせてやる。
「……あ、そ。分かった。じゃあしないよ」
「わ、分かってくれた? よかった……あ、あの、なんで、下脱いで」
「ヤる気だったのに断られてムラムラしたまんまだから、一人で抜くだけだけど?」
「そ、そんな……え、見てていいの?」
答えずに穴に指を向かわせる。矢見は俺の手元を食い入るように見ていた。
「ん、ぁっ……? あれ……? ん、んぅうっ……もっと、奥……もっと奥ぅ……」
自分の手では浅いところしか擦れない。これでは逆に焦れったい。前立腺を探っても見つからない。
「ぁ、あぁっ……ぅ、どこ……このへん……ちがう…………はぁ、はぁ……なぁ矢見」
「な、なな何? つ、つつっ、月乃宮君……」
「なぁ……どうしても俺とヤりたくない?」
「だ、だからっ、したくないわけじゃなくて……今は、だめ……初体験あんなのだったから、せめて二回目は、ちゃんと付き合ってからっ……」
「じゃあ付き合う、付き合うから……早く、来て」
仰向けになって開脚し、両手で穴を拡げる。ここまでサービスしてやったんだ、乗ってこなかったら本気で蹴ってやる。
「ほ、ほほっ、本当? 本当に付き合ってくれるの? 嬉しいっ……! いっ、入れるよ」
慎重に挿入してきた矢見の腰に足を回し、一気に入れさせる。
「うぁっ……はぁ、と、溶けそう……」
「んっ……相変わらず、顔の割にデカい……入れてるくせに喘いでんじゃねぇよ」
いつも通りの肉棒に貫かれる心地良さを味わい、根元まで飲み込んだ達成感にため息をつく。矢見の陰茎をきゅうきゅうと締め付けている俺の腸壁はもう何かを入れていないと落ち着かないらしい。
「だ、だだ、大丈夫? 痛くない? 君に負担はかけたくなくてっ」
「一回ヤっただろ、変なヤツだな……そういや名前なんだっけ」
「な、名前っ? 美池だよっ……お、覚えてなかったの!?」
「いまっ、おぼえた……みちっ、可愛い名前っ……みち、お前の……かなり、いい。おっきいし硬いし……そろそろ腰振れ、あんまり焦らすなよ」
矢見──いや、ミチと呼ぼうか。ミチのものは確かにイイ、今まで咥え込んできた男根の中でもかなり上位だ。
「う、うんっ……」
ぱちゅ、ぱちゅ……と浅く遅く抜き挿しされる。
「んっ、んん……微妙。せっかくモノはいいんだから、もっとガンガン振れよ」
「ごごっ、ごめんっ……き、君が心配で。平気なんだね、じゃあ頑張る……」
ミチは上体を僅かに倒し、俺の腰を強く掴み、発情期の猿のように必死に腰を振り始めた。そこそこの速さだ。
「んぁっ、あっ、ぁんっ、んっ、いいよっ、みち、そのままっ……ひぁんっ!? そっ、そこっ、いまのとこ、もっとぉ!」
「え、ど、どこ……? こ、ここ? こっち?」
ミチは深くまで挿入したままぐりぐりと腰を回す。体内をこね回される快感に思わず仰け反った。
「ん、んぅっ、あぁんっ! そこっ、そこもっとぉっ!」
「こ、ここだねっ……分かった」
「あぁっ! ぁひっ! ひぁああっ! イくっ、もぉっ、イくぅうっ! ぁ、あっ……ダメっ、止めないで……イってるとこ、ごりごりして、イかせまくって」
顔の横で布団を掴んで嬌声を上げていたが、ミチにその手を掴まれた。どうやら両手とも恋人繋ぎをしたいらしい。応えてやると次はキスをせがんできた。
「ん、んぅっ……んぅううっ!」
密着したことで矢見の腹に陰茎が擦れ、ちょうどキスのタイミングで射精してしまった。
「ん、はぁっ……はぁっ……つつっ、月乃宮くんっ、ぁ、あっ……愛してるっ! あぁ……もぉ、もうっ、出るっ……」
ミチの手が離れてティッシュに伸びる。俺はその手を再び掴み、足を腰に巻き付けた。
「なかにっ……んぁっ、ん、いっぱい出てる……」
萎えた陰茎が抜けて、ゆっくりと冷静に戻っていく頭で考える。後処理が面倒なのにどうして中出しをねだってしまったのだろう……と。
「な、中に出しちゃった…………すすっ、すごくよかったよ。月乃宮くんは……どうだった?」
「…………よかった」
「そ、そそっ、そっか! よかった!」
ミチはティッシュを取って俺の太腿や腹の精液を拭い始めた。
「……なぁ、風呂入りたい」
「あ、ごごめん……うち、トイレと風呂は共用で」
誰が来るか分からない共用に精液まみれのまま行く勇気はない。俺はミチと共にティッシュで精液を拭い、後で各々風呂に入ると決めた。
服を着直したら布団に寝転がる。デートとセックスで体力が減っているのだろう、何もする気が起きない。
「あの……月乃宮くんって、ボディピアスもあるんだね」
「あぁ……まだ馴染んでないんだけど、ファーストピアス外してリングとかのつけたら引っ張っていいよ」
「へっ!? し、ししっ、しないよそんなこと!」
「ふーん……俺、胸も感じるのにな」
「だ、だだだめっ! ピアスホールなんてただの傷なんだからね!?」
歴史ある装飾品なのに随分な言い方だ。
「……あ、舌ピ気付いてる?」
「へ? ぁ……ほ、ほんとだ、痛そう……」
「こっちも馴染んだらキスの時に弄ってくれよ」
「こ、ここっ、怖いよ……血とか、出そう」
仕方ないな、ピアス弄りはセンパイに一任するか。怪我の境界線とか分かってそうだし、一番安全だ。むしろ他のヤツらに触るなと言っておいた方がいい。
「……そうそう、俺耳かなり弱くてさ、セックス中に息吹きかけられたり舐められたり噛まれたりしたらすぐイくから、積極的にしてくれよ」
「い、息と、舐めるくらいなら。かか、噛むのは……嫌だ」
「楽しみ……あ、今からもっかいする?」
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すっかり打ち解けて楽しく話していたが、玄関扉が開く音がして俺達は目配せもなく同時に黙り込んだ。
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