婚約なんてするんじゃなかった——そう言われたのならば。
ビーレンフェン男爵家次女チェリーシャは、婚約者のスネルソン伯爵家嫡男アンソニーに振り回されていた。彼の買った時代遅れのドレスを着て、殴られたあざを隠すよう化粧をして、舞踏会へ連れていかれて、挙句にアンソニーの同級生たちの前で「婚約なんてするんじゃなかった」と嘲笑われる。
すでにアンソニーから離れられやしないと諦めていたチェリーシャの前に現れたのは、長い黒髪の貴公子だった。
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