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冒険、捜索、情報収集

覚醒実証実験

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 私とギルマスは、パーティーでも組んだかのようにギルドの戸を開けて普通に出かけた。
 まぁ、そんな奇妙な行動をギルマスが取れば誰でも興味を持つわな。
「「「なんだ?何が始まる?」」」
 ギルド構成員の冒険者達も、依頼を出しに来ていたギルドの客も、もちろんギルドの職員までがゾロゾロと連なって城門へとやってくる。
「な、何か始まるんですか?冒険者ギルドの面々揃いも揃って出かけるなんて。」
 セシル殿が驚いた様子で駆け寄って来た。
「あ、その節はお世話になりました、セシル殿、今回、ちょぉ~っとギルマスに実験台になっていただいて、彼の潜在能力を覚醒させる覚醒催眠暗示と言うのを掛けさせて貰ったのでどんな具合に覚醒したかを実証するつもりで来たのですが、みんな珍しもの好きと言うか、ぞろぞろ付いて来て仕舞って・・・」
「そ、そうか・・・半分くらい何言ってんのか分かんなかったけど、要するに冒険者を引退した元B級冒険者の潜在能力を引き出す実験をしたからどんな具合か見に来た、と。」
 ほぼ全部理解してるじゃん! あんた御笑いのセンスあるわ、是非コメディアンにだね・・・
「まぁそんな感じなのでちょっとそこの草原を使わせて貰います、危ない事が有るといけないので観客の整理誘導をお願いしたい、良いですかね?セシル殿。」
「あ、ああ、いいともさ・・・(なんで俺顎で使われてんだろ)。」
「さて、一線を退いたギルマスが、マナを使って身体強化をしてどの程度までその真の能力を発揮できるか実験開始だ!」
「おう!」
「ではまず、脚力を強化してみよう、マナを足に集めて、足の筋肉と骨密度を上げる感じのイメージで、出来た感じがしたら、ジャンプして見てくれ!」
「おう! こんなもんかな? 行くぞ、とりゃ!」
 本人も私もびっくり、何と10m近く飛び上がった。
「「「「す、すげぇ・・・常識が崩れる・・・」」」」
「ま、マジか、これ、俺の力なのか?」
 何よりジャンプした自分が一番驚いているようだ。
「次は、そのままの状態で全力ダッシュして見てくれ。」
「お、おう!」
 ぶんっと言う感じの風切音がしたと思ったらホンの4秒程度で100m以上の距離を走って行ってしまった。
 うん、思った以上に凄いな、彼はナンダカンダ言いつつちゃんとトレーニングして来たんだろうな、きっと。
「凄い!凄いぞ! なんだよ俺まだ現役で冒険者出来るじゃねぇか、ってかもしかしてS級取れるんじゃね?」
「これこれ、そんな位で驚いてはいかんよ。」
 と言いつつ一瞬で彼の元へと移動して差し上げた。
「うぉ! あ、そうか、お前さんも扱えるんだったよな。」
「そう言う事、あの程度で調子に乗りすぎると死ぬよ。」
「そうだったな、すまんすまん、歳も考えるべきだったぜ。」
「んじゃ次、全身に筋力強化と骨格強化をするように意識して、そこの大岩を持ち上げてみようか。」
「おう!」
 賢明な皆さんならもうお分かりの事と思うが、もうこの時点で、野次馬連中は全員口を半開きにして鼻水たらして茫然自失でらっしゃる。
「うおっし、なんか強化出来た気がする、行くぞぉっ!」
 ギルマスは自分の20倍程の重さが有るのではないかと思われるサイズの大岩にガップリ四つで組み付いた。
「うぉりゃぁぁっ!」
 グゴゴゴ・・・
 あ、ちょっと浮いた
「おぉぉぉぉぉぉぉ~りゃぁぁぁぁ~!」
 うぉ、このおっさん中々やるじゃねぇか、本当に持ち上げやがった。
「おっしゃぁ~~!」
 そのまま大岩を5mほど放り投げやがった、うん、思った以上の成果だ。
「いやいや、上出来上出来。」
「俺、本当にこんな事出来るようになったんだな、すげぇ、こんな技術が有ったらもうサイクロプスに一個師団駆り出さなくても良いんじゃねぇか?・・・」
「さぁ、私も時間が惜しい、次が最後の実証実験だ、今度は身体硬化だ。
 両腕にマナを集めて硬くなれと命じてくれ、出来たら声をかけて欲しい。」
「お、おう!」
 ストレージから、遊びで作って居た木刀を取り出す、この世界の木は魔素を良く通すらしい事が判って居たので、そこそこマナを送り込んである、かなり硬い木になって居るので木製のラウンドシールド位なら簡単に粉砕出来る程にはなって居る。
「おし、多分、出来た。」
「ではまず手始めに・・・。」
 回し蹴りをぶち込んで見たら、私が痛かった・・・
「痛い。
 じゃあ、本番ね。」
「おう!」
 スラっと取り出した木刀を見つめて少し顔を青ざめさせるギルマスのちょっと情けない感じで可愛い姿がそこにあった。
「せぇのっ!」
 4番バッターさながらのフルスイングでぶん殴ると、木刀が粉砕した。
 すげぇな、この木刀鉄のカイトシールド叩いたらシールド歪んだほど硬かったんだぞ?
「うぉぉっ! びっくりした~!」
「私が驚いたわ、この木刀、硬化してあるから鉄の盾がひしゃげるんだぞ?それがこれかいな。」
「ま、マジか、そんなので思いっきり殴り掛かって来たのか!?」
「うん、さっきの蹴りでその位しても平気って判ったからやった。
 さて、これで実証は終了だ、おめでとう、大成功だった。」
「ありがとうな、これで何かあった時に俺もこの街を守れるわ。」
 振り返ると、野次馬達が完全に石のように固まって居たのだった・・・
 その後、ゲートキーパーの兵士達から、俺達も強くして欲しいとしつこく言い寄られるようになるエリーだった。
 強くなりたいちゃんとした理由が言えない奴強くしてもダメなのだよ、その力の使い方を間違えられると厄介なのでね。
 セシル殿くらいなら強化催眠掛けてやっても良いかも知れないけども・・・
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