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冒険の旅

王都へ2

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「まぁ、興味もあるだろうから、セドリックさんの好きにうろついて貰っても構わないよ、特に入っちゃダメな所は元から私以外開けられない事に成ってるからね、ジュドーさんもちょっとワクワクしてるでしょ?」
「ええ、勿論で御座いますよ、記憶の欠片を思い出す素晴らしい設備で御座います。」
 やっぱそうかぁ、ジュドーさんは多分、前世では治安維持軍に入って居たね。
 すると、部署によっては私にも会って居る可能性が高い。
 だって、ジュドーさんの前世の年代の頃ってば、世界中のコンピューターを私が掌握して居た為に、私の統治の統一政府となって居たけどそれを良く思わない奴ら、特に元共産圏の国の人種とかが、やたらとテロ仕掛けようとして来るもんだから、圧倒的な武力を行使して鎮圧する目的で作ったのが今回私が齎した強化装甲であり、光剣であり、ブラスターガンだったので、その辺りに結構精通して居たジュドーさんは多分治安維持軍か世界警察のいずれかだと思って居た。
 今回このジャイアントクルーザーの設備を懐かしいと言った時点で警察では無く軍と確定したのだ。
 警察だとそこかしこに駐屯するのが普通だからこんな戦艦とか要らんからね。
「色々見て回ると良いよ~。
 これはそんなに沢山作れる物でも無いし。
 私はブリッジに居るから何か困ったり用が有る時はそこらに在る艦内通信端末を使って01番に連絡するか、中央エレベータールームの3基あるエレベーターの真ん中を使って最上階に来ればブリッジに来れるから。」
「畏まりました、ではそのように記憶して置きます。」
 まぁ、前世を懐かしんで下さいな、多分ジュドーさんの知ってる艦と概ね内部の造りは同じだし大差無い筈だからね。
 地上を走る艦ってのは初めて作ったけどな。
 何で敢えて地上を走るようにしたかって、決まってるでしょう、のんびり移動して楽しむ為です。
 私の技術で飛空艇なんか作った日にゃ、どこ行くのにもほぼ一瞬だもんな、この星そんな大きく無いし。
 ゆっくり飛べる飛空艇の開発に成功するまでは空飛ぶ艦は要りません。
 ジェットエンジンでも再現すれば出来そう?
 ああ、いい方法あったわ、反重力で浮かせてレシプロで前に進むって言うなんか妙にアンバランスな方法だけど、ファンタジーっぽかろう?
 今度つくろーっと。
 とか考えつつブリッジで外を見ていて重要な事に気が付いた。
 王都へ向けて走ると、山が間に有るんだ、まさかこの巨大な戦車みてぇなクッソ重てぇもんで山登りする訳に行かねぇでしょう・・・トンネルでも掘るしか無いかな?
 このジャイアントクルーザーが高さ18m、幅なんか100mもあるので、幅、高さ共21mの掘削機5機を大急ぎで作成し、かまぼこ板型に山を刳り抜きながら走る。これしか無いだろう。ナノマシンをフル導入して、掘削機を作った後、ジャイアントクルーザーの前部に連結、削った岩盤はすぐさまナノマシンで選別し、コンクリートはそのまま内壁に流用、鉄は鉄筋を作ってコンクリートの補強、不足分は他のナノマシンに採集させて内壁を塗りつつ乾燥させながら進み、掘る、固める、舗装するを同時に進行しつつ、時速20㎞で山を一直線に超える、潜ってだが。
 これなら明日の朝には十分に到着する。
 掘削を始めて暫くすると、何だか警報が発令してるので何だろうと思いモニターに表示させる。
 すると、何故か機関室を見学して歩くジュドーさんとセドリックさんが映って居た。
 重要な機関室のカギは施錠してあった筈なんだけど何故?
 しかも指紋認証と網膜パターン認証の二重セキュリティーだと言うのにどうやって入ったんだ???
 やはり侮りがたしジュドーさん、セキュリティーを解除してしまう所をナノマシンが記録して居たので再生するが、普通に開けて居た、もうここまで来ると全く解らない。
 皆は私を何者だとか思ってる気がしないでも無いが私からすればジュドーさんが一番謎だ。
 館内放送で機関室にアナウンスを流す事にした。
「あー、ジュドーさん、セドリックさん、何故機関室を見学してらっしゃるのでしょうか、開かないようになってた筈なんですけど、どうしてそこに居るんでしょうか?」
 もういいや、とりあえずブリッジかレストランルームに来て貰って、そこに居て貰うしかないな・・・
 取り合えず、トンネルを掘り始めたので当面私がやる事はもう無くなったと言う事で、レストランルームに呼んでお茶でもしようと言う事にした。
 コーヒーを振舞ってあげたかったけど、未だコーヒー豆を手に入れて居ない、この世界にもある事は既に確認出来て居るけど。
 タンポポコーヒーしか無いので紅茶にしたけど、それだといつも飲んでる筈なので、見つけた野生のベルガモットを使って香り付けしたアールグレイを振舞うと、こんなにうまい紅茶は初めてだと騒ぐセドリックさんと、何処でベルガモットを調達したのか教えて欲しいと騒ぎだすジュドーさん。
 ちゃんと色んな所に気を配って居れば見つかるんだけどな、あの森意外と色んな物見つかるし。
 これだけ色々な物の宝庫なのだから資源を大切にする為に今トンネル掘って進んでるんだしな。
「こうなって来ると食事もしてみたい所だな。」
「そう?それじゃそこの投影タッチパネルから食べたい物選んで注文してね、サンプル写真で選べるから。」
「この、パスタと言うのは何だ?」
 ああそうか、パスタはどうして人気無いのかと思ったけど、この国に存在して無かったのか、どっか他の国に有ると良いな。
「食べてみれば? 私的にはおすすめメニューの一つだよ?」
「エリー殿、私も久しぶりなのでナポリタンなどを頂きたいと思います。」
 うん、美味しいよね、あれ、トマトピューレでは無くてケチャップを使った方が甘みが出て特に美味しいよね。
 私はこのジャイアントクルーザーでトマトケチャップを作ってたりする。
 トマトは元からあったからね、イタリアのトマトと同系の細長い感じの奴な、コッソリ育ててたし。
 最近ではジャイアントクルーザーの屋上の一角に作った家庭?菜園で育ててる。
 とは言っても未だ苗だけどな、ジャイアントクルーザー自体がロールアウトしたばっかだからね。
 まぁ、マナ注ぎ込んで直ぐに収穫しようと思えば出来ない事はなさそうだけど。
 セドリックさんとジュドーさんが注文したパスタが、配膳ロボによって運ばれてきた。
「エリー、この運んで来たのもゴーレムなのか?」
「まぁ、この世界の常識的に言うとそう言う事に成るかな、紹介します、ハコンダーZです。」
 なんか既視感がある名前な気は否めないけど良いじゃん!
 可愛いから良いんだもん!
 え?やっちまったって? うん、自分でもそう思うよ・・・
 ------------
 ブリッジでキャプテンシートをリクライニングして仮眠を取って居ると、警告音が鳴ったので飛び起きた。
 行く手を阻むように詳細不明の鉱石があって、進めないらしい。
 一度、12mだけバックして、前に出て確認する事にした私は驚愕の事実に少し興奮気味だった。
「こ、これって・・・」
 私の知って居る金属は全てこの世界で採集出来る事は知って居たので、そう言った金属であればここまで驚かないしときめかないが。
 出ました!オリハルコン・・・と同系金属の日緋色金。
 その鉱石、日緋色玉鋼だ。
 私の異世界知識が勝手にそう診断、鑑定して居るのだけど大方間違っては居ないのだろうと思う。
 するってぇと、こいつに玉鋼を織り込んで幾重にも織り込んで成型、削ると草薙剣、所謂”天叢雲”が出来上がると言う事ですね?
 まぁそれは良いとして今はこいつを退けないと先に行けない訳だ。
 ストレージに吸い込んで見てびっくり、かなりな大きさの塊だった、もしかして日緋色玉鋼って、隕石だったりするかな?
 回収によって開いた大穴が問題を起こす規模では無い事を確認してブリッジに戻って再始動。
 日緋色玉鋼は時間が取れる時に調べ上げて、それから考えよう。
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