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67.シルバーside ~マリーが目覚める前に会議です~①
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【シルバーside】
「今日の午後、マリー嬢が目覚める。その前に約束通り話し合いを始めたい。そして、こちらの魔女殿はルーサ殿だ。今日はルーサ殿からも詳しく話を聞かせてもらうつもりだ。」
国王陛下の言葉にみんな頷いた。きっとマリーが知らない方が良いことも沢山あるだろうから。
まずは薬師様から僕がマリーに沢山飲ませた薬の副作用についてだった。
「もともとマリー嬢の魔力で作られていますし、特に心配することはないと思われます。瞳の色と薬は関係ないでしょう。」
僕は心の底からほっとした。あの時は無我夢中で飲ませてしまったけど、あとから何度もこれで良かったのかと考えていた。
クライム殿からは、マリーの命を救ってくれてありがとうと感謝の言葉をもらっていたが、素直には喜べなかった。だからやっと安心できた。僕のやったことは間違っていなかったんだ。マリーを傷つけてはいなかったんだ。ほっとしてマリーに早く会いたいと強く思った。すると、薬師様が部屋から出て行ったタイミングで強い結界が張られた感覚がした。その後、魔女のルーサ殿からマリーのいまの状態についてびっくりするような話があった。
「まずあのブレスレットだが、初代予言の女神様が眠っておられる。名を、ブローサ様と仰られる。そして、マリーの瞳の色は直接ブローサ様に確認したところ、ブレスレットによる影響で間違いないと確認が取れた。ブローサ様の魔力は実体化できない程落ちている。私は、ブローサ様がラムルを千年封印してくださったことに、尊敬と感謝の気持ちを惜しまない。いまは私とのほんの少しの念話の後、また眠りに入られた。だからマリーの瞳の色は特に悪いものではない。ラムルを小さくし、安全が確認されれば、自然とはずれ瞳も戻る。しかし、金色では貴族令嬢として色々と問題が多いだろうから、すでに水色に見えるように魔法をかけておいた。」
「ルーサ殿、マリーの父親のクライムと申します。ルーサ殿のご厚意に感謝します。」
「ブラックリリー公爵だね。素敵なご令嬢を育てられたね。マリーの魂はブローサ様にそっくりで、オーラもそっくりなんだよ。正直ここまでとは驚いたよ。その為、ブローサ様の魂と共鳴したのも頷ける。」
「そうですか。うちのマリーは、現世の予言の女神様なのでしょうか?私にはどうしても信じられないのですが。」
「いや、ブローサ様も、私も、マリー自身も現世の予言の女神はブロッサだと考えている。ブローサ様の話だと、予言の女神はどうやら、ブローサ様に容姿も能力もオーラも瓜二つの人物らしいからね。ブロッサの容姿はお若い頃のブローサ様そのもの。能力も魔法の使い方も非常に似ている。オーラも徐々にルドやシルバー、レッドのおかげで、ブローサ様に近づいているよ。性格だけは似ても似つかないがね。予言の女神の条件だけは満たしている。たぶん今のブロッサならブローサ様の魂(オーラ)と共鳴できるだろう。」
そうか、ブロッサ嬢が予言の女神だったのか。たしかに口は悪いけど、悪い子ではない。根は優しい子だと思う。母親のことを思う気持ちや、自分の育った村を大切に思う気持ちに嘘は見られなかった。ルドとも気が合っているようだったし、良かったな。マリーに予言の女神は荷が重すぎるだろうから。
次に僕が報告した。
「父上に白パンのことはお願いしました。すでに何度か試作し、いつでもできると聞いています。ラムルの縮小化計画の鍵でもあるブロッサ嬢はルーサ殿の助けもあり、協力的に参加してくれています。王太子殿下との息もぴったりで、私の風魔法はあってもなくても二回に一回は成功するところまできています。またレッドの水魔法で凍らせる能力は想像以上で、百パーセントの成功率です。このようにラムルの縮小化計画はいまのところ順調に進んでいます。」
国王陛下もクライム殿も安堵の表情を浮かべていた。クライム殿からは、
「ルーサ殿の魔法のおかげで、マルクとアーサーとも連絡を取ることができ、あと二日で平民街の礼拝堂につく予定になっています。マルクが言うには今回は小さな結界で済むので、すでにある魔道具で十分できるそうです。準備は完璧なので安心して欲しいとのことです。あとはすでにブロッサ嬢と王太子殿下や、シルバーがラムルの魔道具を使用し問題もなかったようですし、魔獣を使ったレッドの練習もうまくいっているようなので私からは以上です。」
あれ、珍しくクライム殿が少し緊張している?ルーサ殿のせいなのか?凡人には感じられない何かとてつもない気配でもルーサ殿から感じているのかもしれないな。
最後は国王陛下だった。
「最後は私か、約束通りチェリー男爵は捕まえて、今は牢屋で取り調べ中だ。こちらはすべて宰相に任せてある。まだ詳しいことは流石に分からないが、男爵家の中から瘴気を貯める魔道具がかなり見つかったらしい。その魔道具はどうやら、男爵家の地下で平民の中でも魔力の強い者や手先の器用な者を騙して働かせて作っていたようだ。だが、そもそもどうやって、その魔道具の作り方をあの男爵が知り得たのか、まだまだ分からないことは多い。それに、作らせていた瘴気の魔道具の数に対して使っていた数が少なすぎるのも気になるところだ。まあそちらは追々分かってくるのだろうが。この件について、ブロッサ嬢は全く知らなかったことが明らかになっており、いまは王宮で過ごしてもらっている。それにしても、ブロッサ嬢はなかなか素直で、興味深いご令嬢だな…。さて、あとはラムルの生まれる日だが、ルーサ殿、分かる範囲でいまの状況を説明して欲しい。」
「今日の午後、マリー嬢が目覚める。その前に約束通り話し合いを始めたい。そして、こちらの魔女殿はルーサ殿だ。今日はルーサ殿からも詳しく話を聞かせてもらうつもりだ。」
国王陛下の言葉にみんな頷いた。きっとマリーが知らない方が良いことも沢山あるだろうから。
まずは薬師様から僕がマリーに沢山飲ませた薬の副作用についてだった。
「もともとマリー嬢の魔力で作られていますし、特に心配することはないと思われます。瞳の色と薬は関係ないでしょう。」
僕は心の底からほっとした。あの時は無我夢中で飲ませてしまったけど、あとから何度もこれで良かったのかと考えていた。
クライム殿からは、マリーの命を救ってくれてありがとうと感謝の言葉をもらっていたが、素直には喜べなかった。だからやっと安心できた。僕のやったことは間違っていなかったんだ。マリーを傷つけてはいなかったんだ。ほっとしてマリーに早く会いたいと強く思った。すると、薬師様が部屋から出て行ったタイミングで強い結界が張られた感覚がした。その後、魔女のルーサ殿からマリーのいまの状態についてびっくりするような話があった。
「まずあのブレスレットだが、初代予言の女神様が眠っておられる。名を、ブローサ様と仰られる。そして、マリーの瞳の色は直接ブローサ様に確認したところ、ブレスレットによる影響で間違いないと確認が取れた。ブローサ様の魔力は実体化できない程落ちている。私は、ブローサ様がラムルを千年封印してくださったことに、尊敬と感謝の気持ちを惜しまない。いまは私とのほんの少しの念話の後、また眠りに入られた。だからマリーの瞳の色は特に悪いものではない。ラムルを小さくし、安全が確認されれば、自然とはずれ瞳も戻る。しかし、金色では貴族令嬢として色々と問題が多いだろうから、すでに水色に見えるように魔法をかけておいた。」
「ルーサ殿、マリーの父親のクライムと申します。ルーサ殿のご厚意に感謝します。」
「ブラックリリー公爵だね。素敵なご令嬢を育てられたね。マリーの魂はブローサ様にそっくりで、オーラもそっくりなんだよ。正直ここまでとは驚いたよ。その為、ブローサ様の魂と共鳴したのも頷ける。」
「そうですか。うちのマリーは、現世の予言の女神様なのでしょうか?私にはどうしても信じられないのですが。」
「いや、ブローサ様も、私も、マリー自身も現世の予言の女神はブロッサだと考えている。ブローサ様の話だと、予言の女神はどうやら、ブローサ様に容姿も能力もオーラも瓜二つの人物らしいからね。ブロッサの容姿はお若い頃のブローサ様そのもの。能力も魔法の使い方も非常に似ている。オーラも徐々にルドやシルバー、レッドのおかげで、ブローサ様に近づいているよ。性格だけは似ても似つかないがね。予言の女神の条件だけは満たしている。たぶん今のブロッサならブローサ様の魂(オーラ)と共鳴できるだろう。」
そうか、ブロッサ嬢が予言の女神だったのか。たしかに口は悪いけど、悪い子ではない。根は優しい子だと思う。母親のことを思う気持ちや、自分の育った村を大切に思う気持ちに嘘は見られなかった。ルドとも気が合っているようだったし、良かったな。マリーに予言の女神は荷が重すぎるだろうから。
次に僕が報告した。
「父上に白パンのことはお願いしました。すでに何度か試作し、いつでもできると聞いています。ラムルの縮小化計画の鍵でもあるブロッサ嬢はルーサ殿の助けもあり、協力的に参加してくれています。王太子殿下との息もぴったりで、私の風魔法はあってもなくても二回に一回は成功するところまできています。またレッドの水魔法で凍らせる能力は想像以上で、百パーセントの成功率です。このようにラムルの縮小化計画はいまのところ順調に進んでいます。」
国王陛下もクライム殿も安堵の表情を浮かべていた。クライム殿からは、
「ルーサ殿の魔法のおかげで、マルクとアーサーとも連絡を取ることができ、あと二日で平民街の礼拝堂につく予定になっています。マルクが言うには今回は小さな結界で済むので、すでにある魔道具で十分できるそうです。準備は完璧なので安心して欲しいとのことです。あとはすでにブロッサ嬢と王太子殿下や、シルバーがラムルの魔道具を使用し問題もなかったようですし、魔獣を使ったレッドの練習もうまくいっているようなので私からは以上です。」
あれ、珍しくクライム殿が少し緊張している?ルーサ殿のせいなのか?凡人には感じられない何かとてつもない気配でもルーサ殿から感じているのかもしれないな。
最後は国王陛下だった。
「最後は私か、約束通りチェリー男爵は捕まえて、今は牢屋で取り調べ中だ。こちらはすべて宰相に任せてある。まだ詳しいことは流石に分からないが、男爵家の中から瘴気を貯める魔道具がかなり見つかったらしい。その魔道具はどうやら、男爵家の地下で平民の中でも魔力の強い者や手先の器用な者を騙して働かせて作っていたようだ。だが、そもそもどうやって、その魔道具の作り方をあの男爵が知り得たのか、まだまだ分からないことは多い。それに、作らせていた瘴気の魔道具の数に対して使っていた数が少なすぎるのも気になるところだ。まあそちらは追々分かってくるのだろうが。この件について、ブロッサ嬢は全く知らなかったことが明らかになっており、いまは王宮で過ごしてもらっている。それにしても、ブロッサ嬢はなかなか素直で、興味深いご令嬢だな…。さて、あとはラムルの生まれる日だが、ルーサ殿、分かる範囲でいまの状況を説明して欲しい。」
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