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〈十一〉赤橋のゆるキャラ誕生!
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2日後、柚子の被り物と、法被と、トレーナーがゆずやに届いた。早速着て、自分の体をロッカーの側にある大きな鏡に映してみた。
鏡の中には、黄色いトレーナーの上に黄色い法被を羽織り、頭に柚子の被り物を被ったニヤけたおっさんが映っていた。
「お母さーん、タミさーん、ちょっと来て!」
ぼくの声を聞いて母とタミさんが、顔をのぞかせた。
「健太、何それー」
「アハハハハ、最高!」
母親は、目を丸くして驚き、タミさんは、身をよじらせながら、甲高い笑い声を上げた。
「今日からぼくは、ゆるキャラになるんだ。ゆるキャラになって、店の売上げを上げる!」
「そんなにうまく行くかなぁ……。第一、ゆるキャラって着ぐるみで、被り物被ったおじさんじゃないじゃん」
「着ぐるみは、作るのにお金がたくさんかかるから被り物にしたんだよ。ぼく、着ぐるみのような体型をしてるから、それを活かそうと思う。それに、被り物の方が前も見やすいし」
「アハハハハ、奥さん、面白いじゃない」
タミさんは、おかしそうに体をクネクネとしながら母にそう言った。タミさんは、まさか自分がウォーキングする姿にヒントを得て、ぼくがゆるキャラになることを思いついたとは思っていないだろう。
こうして、ぼくは赤橋のゆるキャラになることにした。売る物が柚餅子だから、「赤橋のゆべ氏」という名前にした。
「アハハハハ、そのまんまじゃん!」
タミさんは、相変わらずクネクネとしながら甲高い笑い声を上げていた。
「久兵衛さんのようにはいかないだろうけど、ぼくのやり方で危機を乗り越えるよ。おっちゃん、見ていてね……」
ぼくが高校2年生の時に病気で亡くなった川井のおっちゃんのことを思いながら、そうつぶやいた。
鏡の中には、黄色いトレーナーの上に黄色い法被を羽織り、頭に柚子の被り物を被ったニヤけたおっさんが映っていた。
「お母さーん、タミさーん、ちょっと来て!」
ぼくの声を聞いて母とタミさんが、顔をのぞかせた。
「健太、何それー」
「アハハハハ、最高!」
母親は、目を丸くして驚き、タミさんは、身をよじらせながら、甲高い笑い声を上げた。
「今日からぼくは、ゆるキャラになるんだ。ゆるキャラになって、店の売上げを上げる!」
「そんなにうまく行くかなぁ……。第一、ゆるキャラって着ぐるみで、被り物被ったおじさんじゃないじゃん」
「着ぐるみは、作るのにお金がたくさんかかるから被り物にしたんだよ。ぼく、着ぐるみのような体型をしてるから、それを活かそうと思う。それに、被り物の方が前も見やすいし」
「アハハハハ、奥さん、面白いじゃない」
タミさんは、おかしそうに体をクネクネとしながら母にそう言った。タミさんは、まさか自分がウォーキングする姿にヒントを得て、ぼくがゆるキャラになることを思いついたとは思っていないだろう。
こうして、ぼくは赤橋のゆるキャラになることにした。売る物が柚餅子だから、「赤橋のゆべ氏」という名前にした。
「アハハハハ、そのまんまじゃん!」
タミさんは、相変わらずクネクネとしながら甲高い笑い声を上げていた。
「久兵衛さんのようにはいかないだろうけど、ぼくのやり方で危機を乗り越えるよ。おっちゃん、見ていてね……」
ぼくが高校2年生の時に病気で亡くなった川井のおっちゃんのことを思いながら、そうつぶやいた。
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