50 / 50
・・・
しおりを挟む
それから週に二回、紫紋は自分の休みを利用して零の元を訪れた。
くだらない話をしながら勉強をする。紫紋は零の知らない事をユーモアたっぷりに話し、零が話したそうな時はそれを上手く聞き出した。
そしてそんな紫紋との時間が、零にとって楽しみになるのに時間はかからなかった。
「零……お前、本当はもっと点数取れるだろ?」
問題集を見ながら紫紋が呆れたように零を見つめた。
ほとんどの答えが正解している。
「…………どうかな?あんまり本気でやったことないから……」
しかし零は肩を竦めてとぼけてみせた。
紫紋が零に教える様になってひと月が経ち、お互い名前を呼び捨てにし合う程打ち解けていた。
「全然理解してんじゃん。俺…必要ないだろ」
「そんな事ないよ。紫紋、教えるの上手いし……何より…気晴らしになってる」
零がイタズラっぽくニヤっと笑った。以前には見せることが無かった表情だ。
たった一ヶ月程で友達と過ごすより紫紋と過ごす時間の方が楽しくて有意義に思える程零は紫紋を信頼していた。
そして微かに芽生えている淡い感情……。
「なんでテスト真面目にやんないんだよ?点数は取っといた方が色々といいだろ?……優越感にも浸れるしさ」
「うわぁ……性格悪っっ!」
「ばーか!真面目にやらないお前のが性格悪いよ」
いつもの様にくだらない会話に二人で笑い合う。
「───期末考査、すぐだろ?……どうすんだよ?また適当にやるのか?」
不意に紫紋が真面目な顔で零を見つめた。
「お前の点数が上がらなきゃ…俺はバイトクビだな」
言葉は軽いが、その瞳は真っ直ぐに零を見つめている。
「…………真面目に……やるよ」
零が目を逸らしいつもの様に肩を竦めた。自分が『どんな感情』で紫紋をみているかバレそうで怖くなったからだ。
「……零?」
いつもと少しだけ違う紫紋の声に、零は再び視線を戻した。
「……俺は……お前との時間を無くしたくないんだけど……?」
その言葉と自分を見つめる紫紋の瞳に、鼓動が早くなる……。
そしてゆっくりと紫紋の手が零の頬に優しく触れ、紫紋の体温が入り込むようにそこから熱が広がっていく。
鼓動が紫紋に聞こえてしまうのではないかと思う程早く、大きくなっているのが分かる。
柔らかい指が撫でるように零の頬を摩り、当たり前のように重ねられた紫紋の唇を抵抗すること無く、零は受け入れた。
「……嫌だった?」
紫紋の言葉に俯き、零は一度だけ首を横に振り
「……もう一度しようか………?」
その言葉には俯いたまま小さく頷いた。
今度は触れた唇から紫紋の舌が零を探し、それを戸惑いながら受け入れ、零もゆっくりと絡ませた。
「──好きだよ。零」
唇を離すと紫紋が優しく囁き零を抱きしめ、その優しい声と体温に零も背中へ腕を回した。
そして初めて囁かれる言葉に零は、陶酔するように目を閉じた。
くだらない話をしながら勉強をする。紫紋は零の知らない事をユーモアたっぷりに話し、零が話したそうな時はそれを上手く聞き出した。
そしてそんな紫紋との時間が、零にとって楽しみになるのに時間はかからなかった。
「零……お前、本当はもっと点数取れるだろ?」
問題集を見ながら紫紋が呆れたように零を見つめた。
ほとんどの答えが正解している。
「…………どうかな?あんまり本気でやったことないから……」
しかし零は肩を竦めてとぼけてみせた。
紫紋が零に教える様になってひと月が経ち、お互い名前を呼び捨てにし合う程打ち解けていた。
「全然理解してんじゃん。俺…必要ないだろ」
「そんな事ないよ。紫紋、教えるの上手いし……何より…気晴らしになってる」
零がイタズラっぽくニヤっと笑った。以前には見せることが無かった表情だ。
たった一ヶ月程で友達と過ごすより紫紋と過ごす時間の方が楽しくて有意義に思える程零は紫紋を信頼していた。
そして微かに芽生えている淡い感情……。
「なんでテスト真面目にやんないんだよ?点数は取っといた方が色々といいだろ?……優越感にも浸れるしさ」
「うわぁ……性格悪っっ!」
「ばーか!真面目にやらないお前のが性格悪いよ」
いつもの様にくだらない会話に二人で笑い合う。
「───期末考査、すぐだろ?……どうすんだよ?また適当にやるのか?」
不意に紫紋が真面目な顔で零を見つめた。
「お前の点数が上がらなきゃ…俺はバイトクビだな」
言葉は軽いが、その瞳は真っ直ぐに零を見つめている。
「…………真面目に……やるよ」
零が目を逸らしいつもの様に肩を竦めた。自分が『どんな感情』で紫紋をみているかバレそうで怖くなったからだ。
「……零?」
いつもと少しだけ違う紫紋の声に、零は再び視線を戻した。
「……俺は……お前との時間を無くしたくないんだけど……?」
その言葉と自分を見つめる紫紋の瞳に、鼓動が早くなる……。
そしてゆっくりと紫紋の手が零の頬に優しく触れ、紫紋の体温が入り込むようにそこから熱が広がっていく。
鼓動が紫紋に聞こえてしまうのではないかと思う程早く、大きくなっているのが分かる。
柔らかい指が撫でるように零の頬を摩り、当たり前のように重ねられた紫紋の唇を抵抗すること無く、零は受け入れた。
「……嫌だった?」
紫紋の言葉に俯き、零は一度だけ首を横に振り
「……もう一度しようか………?」
その言葉には俯いたまま小さく頷いた。
今度は触れた唇から紫紋の舌が零を探し、それを戸惑いながら受け入れ、零もゆっくりと絡ませた。
「──好きだよ。零」
唇を離すと紫紋が優しく囁き零を抱きしめ、その優しい声と体温に零も背中へ腕を回した。
そして初めて囁かれる言葉に零は、陶酔するように目を閉じた。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
必ず会いに行くから、どうか待っていて
十時(如月皐)
BL
たとえ、君が覚えていなくても。たとえ、僕がすべてを忘れてしまっても。それでもまた、君に会いに行こう。きっと、きっと……
帯刀を許された武士である弥生は宴の席で美しい面差しを持ちながら人形のようである〝ゆきや〟に出会い、彼を自分の屋敷へ引き取った。
生きる事、愛されること、あらゆる感情を教え込んだ時、雪也は弥生の屋敷から出て小さな庵に住まうことになる。
そこに集まったのは、雪也と同じ人の愛情に餓えた者たちだった。
そして彼らを見守る弥生たちにも、時代の変化は襲い掛かり……。
もう一度会いに行こう。時を超え、時代を超えて。
「男子大学生たちの愉快なルームシェア」に出てくる彼らの過去のお話です。詳しくはタグをご覧くださいませ!
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白いてすね。
少しずつ読もう思ってたら、あっという間に読んでしまいました。続きが楽しみにしてます!
ありがとうございますm(_ _)m♡♡
あ💦他で完結しているお話なので少しづつ更新していきたいと思います💦
言って頂いて嬉しかったです♡
ありがとうございます‼️
すごく面白くて、先が気になりすぎて、夢中で読んでしまいました。
ページ捲ろうとしたら、もう、なかった。
続き楽しみにしていますね。
直斗くんはあのお話とはだいぶイメージが違うなと感じました。
やっぱり若さを感じます。
さくらありがとう〜❣️
続き大分あるんですけど……更新してなかったです( ´ㅁ` ;)
💦また更新します💦
でも途中でとまってます(T^T)💦