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出会い side雄大
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「ふ」
上機嫌で歌って踊りながらバスルームに行く湊を見てたら、つい、笑いが漏れてしまう。
今までどんな男も女も、家になんか泊まらせた事はなかったけど、今日は何となくいいかと思った。
単なる気まぐれだ。
どうせ、部屋はいくらでも余ってんだし、玄関に近い、物置にしてる部屋にでも寝かせれば、気配も気になんないだろ。
湊なら別にどんな部屋でも喜んで寝るだろうしな。
小型犬みたいにはしゃいで飛び跳ねる湊が目に浮かんで、また笑ってしまった。
さっきまでアドレナリン全開でヤッてたからか、まだ神経が高ぶってる。
俺はキッチンに行くと冷蔵庫から日本酒を取り出して、ワイングラスに注いだ。
バスルームから、湊の歌声が聴こえて来る。
あいつ、意外と歌上手いんだよな。
どこかで聴いた事のあるラブソングをBGMに、湊と初めて会った時の事を思い出した。
湊と出会ったのは半年前の事だ。
その当時の彼女、ま、彼女って言っても、お互いのニーズが合致したから何となく一緒にいただけで、特に思い入れなんかない女だった。
そいつが「あたし、NTR興味あるしーハプバー行ってみたーい」とか言うから、まあ面白そうかなと思って、初めてハプニングバーって所に行ってみた。
カウンターに座って酒を飲み始めると、すぐに隣にカップルが座って来て、彼女は楽しそうに男と喋り始めた。
で、そいつの連れの女も俺に色々話しかけて来たんだけど、特にタイプってわけでもなかったし、興味ねーなー、って退屈してた時。
「なあなあ、お兄さんってさぁ、男とヤれる?」
いきなりそう言って俺の右隣に座って来たのが、湊だった。
柔らかそうな茶髪に、色の薄い瞳。俺より小柄で男なのに可愛らしい顔付きで、そんな奴にヤれるかどうか聞かれたから、俺はつい反射的に考えてしまって、そのまま答えた。
「お前ならヤれそう。もちろんこっちが突っ込む側ならだけどな」
そしたら湊はすっげぇ嬉しそうな顔で笑って、
「え、やりーぃ!じゃあさ、俺とヤろうよ!俺突っ込まれたい方だしぃー?ヤるならお兄さんみたいなカッコいい奴がいいしぃ?ねえ、どう?」
そう言われて、俺は面白そうだなと思った。少なくとも、今隣で一生懸命俺の気を引こうとしてる女より、こいつの方が興味がある。
俺は隣で茫然としている女を無視して、湊に向き直った。
「いーぜ。俺、男初めてだけど、それでいいんならな」
「まじ?俺、お兄さんの童貞貰えるんだぁ、ラッキー!大丈夫、俺色々知ってるからさ、ここ出てホテル行こうよ。あ、俺、湊っていうんだ。お兄さんは?」
席を立ちながらそう言われて俺も答えた。
「俺は雄大。あ、俺もう帰るから、じゃあな」
彼女だった女にそう言って、それからそいつとは二度と会ってない。
湊とホテルに入った俺は、男には前立腺っていうのがあって、それをケツん中から刺激してやると女みたいに気持ち良くイケるんだ、って聞かされて、興味が出てその場でネットで調べた。
それでやってみたら、湊にメスイキの素質があったのか俺のテクニックが良かったのか知らねーけど、盛大にイかせる事が出来た。
後で聞いたら湊もケツでイクのは初めてだって感動して語ってて、俺はよく喋るわりに不思議と不快じゃないこいつの事を気に入って、それからお互いヤりたい時にヤる関係を続けて来た。
湊とヤってから俺は男ともたまにヤるようになったけど、なぜだか他の男とは湊とヤる時ほど興奮しねーし、気持ち良さもそれなりだった。
今日も湊が来る前、見た目が割と好みだった男とヤッてみたけど、まあまあかな、って感じだったから切ったし。
やっぱり湊の奴はそういう素質があるのかもしれない。
あいつ、俺と関係始める前から、色んな男や女ともヤッてたみたいだし、根っからの淫乱なんだよな。
大体シチュエーションプレイだって、いつもあいつから持ちかけて来る。
今日のは何かいつもとは違った純情路線で、ちょっと意外だったけど。
でも、
「好き、好きぃ川口っ、大好きっ」
って目をぎゅっと瞑って必死でだいしゅきホールドして来るあいつは、少し可愛かった。なんで川口なんだって疑問はあるけど。
「はー、旨い」
グラスの日本酒を全部飲み干すと、もう一杯注いで、湊が制服がどうのと言っていた事を思い出す。
「確かダチに借りたって言ってたな」
あの湊が、プレイに使うな、って言ったのが意外だった。やっぱりいくら湊でも、ダチからの借り物には気を遣うんだろうか。
ちょっと気になって、寝室に放り投げたままだった制服を見に行く。
「あーあ、どんだけ飛ばしてんだよ」
ブレザーを拾い上げて、湊が飛ばした精液の乾いた跡を呆れて見ていたら、内側のタグにあった名前が目に入った。
「え・・・」
心臓がドキッとした。
川口響とフルネームで刺繍が入っている。
「なんだ、これ」
湊が呼んでいた名前って、これかよ。
急に視界がワントーン暗くなった気がした。もう、酒に酔ったのか?まだたった1杯しか飲んでねぇのに。
何か、これ以上この制服を持っているのが嫌になって、俺は洗濯して欲しいものを入れておく籠に、ブレザーもズボンもネクタイも、全部まとめて放り込んだ。
上機嫌で歌って踊りながらバスルームに行く湊を見てたら、つい、笑いが漏れてしまう。
今までどんな男も女も、家になんか泊まらせた事はなかったけど、今日は何となくいいかと思った。
単なる気まぐれだ。
どうせ、部屋はいくらでも余ってんだし、玄関に近い、物置にしてる部屋にでも寝かせれば、気配も気になんないだろ。
湊なら別にどんな部屋でも喜んで寝るだろうしな。
小型犬みたいにはしゃいで飛び跳ねる湊が目に浮かんで、また笑ってしまった。
さっきまでアドレナリン全開でヤッてたからか、まだ神経が高ぶってる。
俺はキッチンに行くと冷蔵庫から日本酒を取り出して、ワイングラスに注いだ。
バスルームから、湊の歌声が聴こえて来る。
あいつ、意外と歌上手いんだよな。
どこかで聴いた事のあるラブソングをBGMに、湊と初めて会った時の事を思い出した。
湊と出会ったのは半年前の事だ。
その当時の彼女、ま、彼女って言っても、お互いのニーズが合致したから何となく一緒にいただけで、特に思い入れなんかない女だった。
そいつが「あたし、NTR興味あるしーハプバー行ってみたーい」とか言うから、まあ面白そうかなと思って、初めてハプニングバーって所に行ってみた。
カウンターに座って酒を飲み始めると、すぐに隣にカップルが座って来て、彼女は楽しそうに男と喋り始めた。
で、そいつの連れの女も俺に色々話しかけて来たんだけど、特にタイプってわけでもなかったし、興味ねーなー、って退屈してた時。
「なあなあ、お兄さんってさぁ、男とヤれる?」
いきなりそう言って俺の右隣に座って来たのが、湊だった。
柔らかそうな茶髪に、色の薄い瞳。俺より小柄で男なのに可愛らしい顔付きで、そんな奴にヤれるかどうか聞かれたから、俺はつい反射的に考えてしまって、そのまま答えた。
「お前ならヤれそう。もちろんこっちが突っ込む側ならだけどな」
そしたら湊はすっげぇ嬉しそうな顔で笑って、
「え、やりーぃ!じゃあさ、俺とヤろうよ!俺突っ込まれたい方だしぃー?ヤるならお兄さんみたいなカッコいい奴がいいしぃ?ねえ、どう?」
そう言われて、俺は面白そうだなと思った。少なくとも、今隣で一生懸命俺の気を引こうとしてる女より、こいつの方が興味がある。
俺は隣で茫然としている女を無視して、湊に向き直った。
「いーぜ。俺、男初めてだけど、それでいいんならな」
「まじ?俺、お兄さんの童貞貰えるんだぁ、ラッキー!大丈夫、俺色々知ってるからさ、ここ出てホテル行こうよ。あ、俺、湊っていうんだ。お兄さんは?」
席を立ちながらそう言われて俺も答えた。
「俺は雄大。あ、俺もう帰るから、じゃあな」
彼女だった女にそう言って、それからそいつとは二度と会ってない。
湊とホテルに入った俺は、男には前立腺っていうのがあって、それをケツん中から刺激してやると女みたいに気持ち良くイケるんだ、って聞かされて、興味が出てその場でネットで調べた。
それでやってみたら、湊にメスイキの素質があったのか俺のテクニックが良かったのか知らねーけど、盛大にイかせる事が出来た。
後で聞いたら湊もケツでイクのは初めてだって感動して語ってて、俺はよく喋るわりに不思議と不快じゃないこいつの事を気に入って、それからお互いヤりたい時にヤる関係を続けて来た。
湊とヤってから俺は男ともたまにヤるようになったけど、なぜだか他の男とは湊とヤる時ほど興奮しねーし、気持ち良さもそれなりだった。
今日も湊が来る前、見た目が割と好みだった男とヤッてみたけど、まあまあかな、って感じだったから切ったし。
やっぱり湊の奴はそういう素質があるのかもしれない。
あいつ、俺と関係始める前から、色んな男や女ともヤッてたみたいだし、根っからの淫乱なんだよな。
大体シチュエーションプレイだって、いつもあいつから持ちかけて来る。
今日のは何かいつもとは違った純情路線で、ちょっと意外だったけど。
でも、
「好き、好きぃ川口っ、大好きっ」
って目をぎゅっと瞑って必死でだいしゅきホールドして来るあいつは、少し可愛かった。なんで川口なんだって疑問はあるけど。
「はー、旨い」
グラスの日本酒を全部飲み干すと、もう一杯注いで、湊が制服がどうのと言っていた事を思い出す。
「確かダチに借りたって言ってたな」
あの湊が、プレイに使うな、って言ったのが意外だった。やっぱりいくら湊でも、ダチからの借り物には気を遣うんだろうか。
ちょっと気になって、寝室に放り投げたままだった制服を見に行く。
「あーあ、どんだけ飛ばしてんだよ」
ブレザーを拾い上げて、湊が飛ばした精液の乾いた跡を呆れて見ていたら、内側のタグにあった名前が目に入った。
「え・・・」
心臓がドキッとした。
川口響とフルネームで刺繍が入っている。
「なんだ、これ」
湊が呼んでいた名前って、これかよ。
急に視界がワントーン暗くなった気がした。もう、酒に酔ったのか?まだたった1杯しか飲んでねぇのに。
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