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おまけ1 腕時計 side雄大
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最近ブクマして下さった方、前からブクマ&閲覧頂いている方、ありがとうございます!時間が開いてしまいましたが、やっと本編補完のおまけ話1を書き終わりました(;^ω^)もう一つ書いたら完全に終わりです!
********
「はぁ。どうせまた寝てんだろ」
虚しく鳴り続ける電話のコール音に、諦めた俺は通話を終了させてハンドルを切った。
車を地下駐車場に停めて、エレベーターで8階の事務所に上がる。
事務所っつうか、もうほぼ、あいつが住んでるようなもんだ。
カードキーで玄関ドアを開けると、空気の入れ換わってない、ムッとする匂いが鼻を突いた。
「おい、龍晴(たつはる)!たまには窓開けて換気しろっつってんだろ!」
カーテンが閉め切られて薄暗い室内にずかずか入って行って、作業部屋にしているリビングのカーテンと窓を開け放すと、隅の毛布の山がごそごそ動いた。
「・・・んあ・・・雄大~?」
のんびりした声が漏れて、眠そうな顔した龍晴が目を擦りながら起き上がった。
「お前、また遅くまで起きてたんだろ。ほら、飯買って来てやったぜ」
作業台の上に袋を置くと、やっと意識が覚醒したらしい龍晴が目を輝かせて飛び付いて来た。
「やった~、俺の好きな中華だ!昨夜から何も食ってないから助かる~」
ぼさぼさの頭のまま、早速がっつくのを呆れながら見る。
「お前、学生の頃からそれだよな。すぐ夢中んなって飯抜くの。だから、んなガリガリなんだよ」
「雄大って時々母ちゃんみたいだよなー。そうそう、この前のどうだった?」
「ああ、あれな。最初はシラ切ってやがったけど、最後は真っ青んなって帰ったぜ。やっときれいさっぱり切れて清々したわ」
龍晴にはこの前、藤崎の犯行を捉えた映像をピックアップして貰った。
いつもながら仕事が早いから助かる。
こいつと大学時代に巡り会えたのはラッキーだった。
「ふーん、まあ良かったね」
龍晴は聞いたくせに興味なさそうにそう言うと、あっという間に平らげた天津飯の容器を脇に押しやって、今度は春巻きにかぶり付いた。
もぐもぐ口を動かしながら思い出したように言う。
「そうそう、前に試作で渡したGPSあるでしょ。あれ、ちょっと改良してみたんだ~。今度のはもっと精度高くなってるんだよね。今度換装するから持って来てよ」
「腕時計に仕込んだやつ?お前、ほんと凝るよな。まあ精度が高くなったらその分、上乗せ出来るからいいけどさ。うちの顧客に値段気にするような奴いねぇし」
俺は言いながらポケットからスマホを取り出してアプリを起動した。
発信機の持ち主が今いる場所が、赤い点で表示されている。
赤い点は近城大学にあった。
ちゃんと、勉強してるみてぇだな。
居場所を確認したから、ひとまずアプリを終了する。
その様子を横目で見ていた龍晴がごくん、と口の中のものを飲み込んで、言った。
「あの腕時計贈った相手って、お前の恋人か何か?あれだろ、カメラにいっぱい映ってたマッシュっぽい髪型の男の子」
「…は?」
龍晴とは大学時代からの付き合いだから、今までに俺が色んな相手と付き合ったり、遊んだりしてたのをこいつも知ってる。
けど、いつも無関心で興味示した事なんかないのに。
この前だって龍晴に、藤崎の犯行現場を押さえるためにうちのセキュリティカメラの映像をピックアップして貰った時、俺と湊がヤってる所の映像も確かにあったけど、別に何も言わなかったし。
「…珍しいな。何、お前。そういう事今まで興味持ったことねぇだろ」
内心戸惑いながらそう言ったら、龍晴はエビ焼売を口に入れながら言葉を続けた。
「だってさ~、珍しいじゃん。お前が誰かの事、追跡使ってまで動向把握しようとするのなんてさ。最初は男物の腕時計だし、ただのテスト対象だと思ってたけどさ。隠しカメラの映像確認してた時分かったんだよね。あ、これマジなのかなって」
「…別にいいだろ」
何となく気まずくてそう言うと、龍晴は最後の焼売を口に入れて頷いた。
「うん、いいよいいよ、うん。お前もやっと人を好きになる気持ちが分かるようになったんだからさ、めでたい事だよ~。けどさ~、俺造ってる本人だけど、常に居場所をGPSで監視してる執着束縛彼氏なんて嫌われるぜー。気を付けな。あーお腹いっぱい。ごちそうさまでしたー」
「は?俺がいつ執着束縛なんてしたよ?GPSであいつの居場所確認してんのは、ただのモニターテストだろ。アホな事言ってんなよ、あと換気は絶対しとけよ」
何となく面白くなくて、俺はそう言うとさっさと立ち上がって玄関に向かった。
ドアを閉める時、龍晴の「まぁ、しょうがないかあ、ガチ恋愛は初心者だしねー」なんて声が聞こえたけど、無視してそのまま部屋をあとにした。
地下駐車場に降りると、スマホがブルっと震える。見ると追跡アプリの通知だった。マークしている対象が移動を始めると、通知が来るように設定されてる。
「あ?湊の奴、もう大学終わったのかよ」
そのまましばらく見ていると、赤い点は繁華街の方へ移動していた。てっきり俺のマンションに直で帰って来ると思ったのに、どこ行ってんだあいつ。
気になってそのまま様子を見ていると、繁華街の中でもホテルが乱立するエリアに赤い点が移動して行き、ある地点で止まった。
「おい…あのビッチ、まさかまた遊んでんじゃねぇだろうな」
モヤモヤして、俺は車に乗り込むとその場所に向かって車を走らせた。
いや、違う。別に帰り道の途中だし。
ちょっと確認するだけだし。
その場所近くの駐車場に車を停めて、アプリの位置情報を元に歩いて行くと、ホテルの前でいちゃついてる湊と女を見つけた。
見た瞬間、ムカつく。
何やってんだ。女に絡みつかれてるってのに、へらへら笑いやがって。
あ?つぅか、あの女、前に大学に湊を迎えに行った時に、一緒にいた奴じゃねぇか。
元セフレだっけ?
ホテルの前ってどういう事なんだよ。
苛つきながら、
「おい、何してんだ」
湊に声を掛けたら、びっくりした顔でこっちを振り向いた。
「ゆ、雄大!?何でここに?あ!ていうか、これ浮気じゃないからね!俺悪くない!ちょ、ごめん、りぃなちゃん、離してよ」
慌てて言い募るが、女の方は湊にしがみついて離れない。
「えーやだー。ねーいいじゃん。私が湊くんに女の子もいいものなんだってこと、思い出させてあげるからさぁ」
「いやいや、だから言ってんじゃん、俺もうこいつと付き合ってるし、誰ともそういうことしないってぇ」
湊の奴、口ではそう言ってるくせになかなか女を振りほどかねぇ。
「いつまでいちゃついてんだよ」
焦れて、湊を羽交い締めにして無理やり女から引き剥がすと、女はキッと俺を睨んだ。
「ちょっとぉ、あんた何すんの?いくら顔良くたって、優しくない男は最低なんだからね!湊くんもいくらアナル気持ちいいからって、こんなのと付き合うのやめなよ」
口ぶりからして、俺と湊の関係もよく知ってるみたいじゃねーか。
「い、いやぁ、りぃなちゃん~、体だけじゃないんだよ、こいつこう見えて俺のこと大好きだし」
「え~!?嘘でしょ。こんなの、ただ自分の物が取られるのが嫌なだけの、駄々っ子だよ」
「おい、行くぞ」
りぃなとかいう女に胡乱気な目を向けられたけど、俺は無視して湊を引っ張って歩き出した。
「じゃ、じゃあねぇ、りぃなちゃん~。悪いけど他の奴誘ってよ~」
「もう!湊くん!そんなの早く切っちゃいなよ!その内痛い目見たってりぃな、慰めてあげないからね!」
きぃきぃうるせぇ女だぜ。
女から大分離れたところで、湊がおずおずと口を開く。
「あのさぁ、俺、無罪だよね?だってさっき見てたでしょ、ちゃんと断ったしさ」
…こいつの、こういう上目遣い、やっぱりなんか犬っぽいよな…
それに、
『常に居場所をGPSで監視してる執着束縛彼氏なんて嫌われるぜー』
なんていう龍晴の言葉が脳内を過ぎって、
俺は溜息を付くと、湊の頭をぐしゃぐしゃしてそれで許してやる事にした。
「…まあ、今度から気を付けろよ」
「うんうん!大丈夫だってば、もうこういう事ないからさ!」
「あってたまるかよ。ったくお前、全身からビッチ臭漂ってっから、押せばヤれるとか思われんだよ」
「えー?ビッチ臭って何だよ!?それ言ったら雄大だって全身からクズ臭漂ってんじゃん」
「それ、別に何も困る事ねーだろ」
「そうかもだけどさあ」
いつものようにそんな事を言い合ってたら、段々可笑しくなって来た。
やっぱ、こいつといると退屈しねーわ。
「あ、そういえば何でさっき、あんなとこいたわけ?なんかタイミング良すぎじゃね?ねえ、なんで?」
本当の事を言おうかと思ったものの、何となく、龍晴の言葉が呪いみてぇに頭ん中をぐるぐる回ってて、
「…そんなの、愛の力とかいう奴じゃねーの」
自分でも訳の分かんねぇ言葉で誤魔化したけど、やっぱりそんな言葉じゃ誤魔化されなくて、湊は尚も追及して来た。
「いやいや、今日こそはちゃんと聞かせて貰うからね!絶対なんかあるでしょ!だって乱交パーティん時も、俺んち来てくれた時もっ…んんっ」
思わず、口塞いじまった。
「あ、ちょ…んなキスで誤魔化されないんだ…か…んんん~…んっ、ヤバ気持ちっ…」
文句言いながらも、段々力が抜けて俺にしがみついて来る湊を、可愛いななんて思いながら。
やっぱり、ちゃんと言わないとだよなあ。
でもまあ――――
「湊、帰ったらヤるぞ」
「…あ…うん…雄大ぃ♡」
とりあえずヤッてからでいいか。
(終)
********
「はぁ。どうせまた寝てんだろ」
虚しく鳴り続ける電話のコール音に、諦めた俺は通話を終了させてハンドルを切った。
車を地下駐車場に停めて、エレベーターで8階の事務所に上がる。
事務所っつうか、もうほぼ、あいつが住んでるようなもんだ。
カードキーで玄関ドアを開けると、空気の入れ換わってない、ムッとする匂いが鼻を突いた。
「おい、龍晴(たつはる)!たまには窓開けて換気しろっつってんだろ!」
カーテンが閉め切られて薄暗い室内にずかずか入って行って、作業部屋にしているリビングのカーテンと窓を開け放すと、隅の毛布の山がごそごそ動いた。
「・・・んあ・・・雄大~?」
のんびりした声が漏れて、眠そうな顔した龍晴が目を擦りながら起き上がった。
「お前、また遅くまで起きてたんだろ。ほら、飯買って来てやったぜ」
作業台の上に袋を置くと、やっと意識が覚醒したらしい龍晴が目を輝かせて飛び付いて来た。
「やった~、俺の好きな中華だ!昨夜から何も食ってないから助かる~」
ぼさぼさの頭のまま、早速がっつくのを呆れながら見る。
「お前、学生の頃からそれだよな。すぐ夢中んなって飯抜くの。だから、んなガリガリなんだよ」
「雄大って時々母ちゃんみたいだよなー。そうそう、この前のどうだった?」
「ああ、あれな。最初はシラ切ってやがったけど、最後は真っ青んなって帰ったぜ。やっときれいさっぱり切れて清々したわ」
龍晴にはこの前、藤崎の犯行を捉えた映像をピックアップして貰った。
いつもながら仕事が早いから助かる。
こいつと大学時代に巡り会えたのはラッキーだった。
「ふーん、まあ良かったね」
龍晴は聞いたくせに興味なさそうにそう言うと、あっという間に平らげた天津飯の容器を脇に押しやって、今度は春巻きにかぶり付いた。
もぐもぐ口を動かしながら思い出したように言う。
「そうそう、前に試作で渡したGPSあるでしょ。あれ、ちょっと改良してみたんだ~。今度のはもっと精度高くなってるんだよね。今度換装するから持って来てよ」
「腕時計に仕込んだやつ?お前、ほんと凝るよな。まあ精度が高くなったらその分、上乗せ出来るからいいけどさ。うちの顧客に値段気にするような奴いねぇし」
俺は言いながらポケットからスマホを取り出してアプリを起動した。
発信機の持ち主が今いる場所が、赤い点で表示されている。
赤い点は近城大学にあった。
ちゃんと、勉強してるみてぇだな。
居場所を確認したから、ひとまずアプリを終了する。
その様子を横目で見ていた龍晴がごくん、と口の中のものを飲み込んで、言った。
「あの腕時計贈った相手って、お前の恋人か何か?あれだろ、カメラにいっぱい映ってたマッシュっぽい髪型の男の子」
「…は?」
龍晴とは大学時代からの付き合いだから、今までに俺が色んな相手と付き合ったり、遊んだりしてたのをこいつも知ってる。
けど、いつも無関心で興味示した事なんかないのに。
この前だって龍晴に、藤崎の犯行現場を押さえるためにうちのセキュリティカメラの映像をピックアップして貰った時、俺と湊がヤってる所の映像も確かにあったけど、別に何も言わなかったし。
「…珍しいな。何、お前。そういう事今まで興味持ったことねぇだろ」
内心戸惑いながらそう言ったら、龍晴はエビ焼売を口に入れながら言葉を続けた。
「だってさ~、珍しいじゃん。お前が誰かの事、追跡使ってまで動向把握しようとするのなんてさ。最初は男物の腕時計だし、ただのテスト対象だと思ってたけどさ。隠しカメラの映像確認してた時分かったんだよね。あ、これマジなのかなって」
「…別にいいだろ」
何となく気まずくてそう言うと、龍晴は最後の焼売を口に入れて頷いた。
「うん、いいよいいよ、うん。お前もやっと人を好きになる気持ちが分かるようになったんだからさ、めでたい事だよ~。けどさ~、俺造ってる本人だけど、常に居場所をGPSで監視してる執着束縛彼氏なんて嫌われるぜー。気を付けな。あーお腹いっぱい。ごちそうさまでしたー」
「は?俺がいつ執着束縛なんてしたよ?GPSであいつの居場所確認してんのは、ただのモニターテストだろ。アホな事言ってんなよ、あと換気は絶対しとけよ」
何となく面白くなくて、俺はそう言うとさっさと立ち上がって玄関に向かった。
ドアを閉める時、龍晴の「まぁ、しょうがないかあ、ガチ恋愛は初心者だしねー」なんて声が聞こえたけど、無視してそのまま部屋をあとにした。
地下駐車場に降りると、スマホがブルっと震える。見ると追跡アプリの通知だった。マークしている対象が移動を始めると、通知が来るように設定されてる。
「あ?湊の奴、もう大学終わったのかよ」
そのまましばらく見ていると、赤い点は繁華街の方へ移動していた。てっきり俺のマンションに直で帰って来ると思ったのに、どこ行ってんだあいつ。
気になってそのまま様子を見ていると、繁華街の中でもホテルが乱立するエリアに赤い点が移動して行き、ある地点で止まった。
「おい…あのビッチ、まさかまた遊んでんじゃねぇだろうな」
モヤモヤして、俺は車に乗り込むとその場所に向かって車を走らせた。
いや、違う。別に帰り道の途中だし。
ちょっと確認するだけだし。
その場所近くの駐車場に車を停めて、アプリの位置情報を元に歩いて行くと、ホテルの前でいちゃついてる湊と女を見つけた。
見た瞬間、ムカつく。
何やってんだ。女に絡みつかれてるってのに、へらへら笑いやがって。
あ?つぅか、あの女、前に大学に湊を迎えに行った時に、一緒にいた奴じゃねぇか。
元セフレだっけ?
ホテルの前ってどういう事なんだよ。
苛つきながら、
「おい、何してんだ」
湊に声を掛けたら、びっくりした顔でこっちを振り向いた。
「ゆ、雄大!?何でここに?あ!ていうか、これ浮気じゃないからね!俺悪くない!ちょ、ごめん、りぃなちゃん、離してよ」
慌てて言い募るが、女の方は湊にしがみついて離れない。
「えーやだー。ねーいいじゃん。私が湊くんに女の子もいいものなんだってこと、思い出させてあげるからさぁ」
「いやいや、だから言ってんじゃん、俺もうこいつと付き合ってるし、誰ともそういうことしないってぇ」
湊の奴、口ではそう言ってるくせになかなか女を振りほどかねぇ。
「いつまでいちゃついてんだよ」
焦れて、湊を羽交い締めにして無理やり女から引き剥がすと、女はキッと俺を睨んだ。
「ちょっとぉ、あんた何すんの?いくら顔良くたって、優しくない男は最低なんだからね!湊くんもいくらアナル気持ちいいからって、こんなのと付き合うのやめなよ」
口ぶりからして、俺と湊の関係もよく知ってるみたいじゃねーか。
「い、いやぁ、りぃなちゃん~、体だけじゃないんだよ、こいつこう見えて俺のこと大好きだし」
「え~!?嘘でしょ。こんなの、ただ自分の物が取られるのが嫌なだけの、駄々っ子だよ」
「おい、行くぞ」
りぃなとかいう女に胡乱気な目を向けられたけど、俺は無視して湊を引っ張って歩き出した。
「じゃ、じゃあねぇ、りぃなちゃん~。悪いけど他の奴誘ってよ~」
「もう!湊くん!そんなの早く切っちゃいなよ!その内痛い目見たってりぃな、慰めてあげないからね!」
きぃきぃうるせぇ女だぜ。
女から大分離れたところで、湊がおずおずと口を開く。
「あのさぁ、俺、無罪だよね?だってさっき見てたでしょ、ちゃんと断ったしさ」
…こいつの、こういう上目遣い、やっぱりなんか犬っぽいよな…
それに、
『常に居場所をGPSで監視してる執着束縛彼氏なんて嫌われるぜー』
なんていう龍晴の言葉が脳内を過ぎって、
俺は溜息を付くと、湊の頭をぐしゃぐしゃしてそれで許してやる事にした。
「…まあ、今度から気を付けろよ」
「うんうん!大丈夫だってば、もうこういう事ないからさ!」
「あってたまるかよ。ったくお前、全身からビッチ臭漂ってっから、押せばヤれるとか思われんだよ」
「えー?ビッチ臭って何だよ!?それ言ったら雄大だって全身からクズ臭漂ってんじゃん」
「それ、別に何も困る事ねーだろ」
「そうかもだけどさあ」
いつものようにそんな事を言い合ってたら、段々可笑しくなって来た。
やっぱ、こいつといると退屈しねーわ。
「あ、そういえば何でさっき、あんなとこいたわけ?なんかタイミング良すぎじゃね?ねえ、なんで?」
本当の事を言おうかと思ったものの、何となく、龍晴の言葉が呪いみてぇに頭ん中をぐるぐる回ってて、
「…そんなの、愛の力とかいう奴じゃねーの」
自分でも訳の分かんねぇ言葉で誤魔化したけど、やっぱりそんな言葉じゃ誤魔化されなくて、湊は尚も追及して来た。
「いやいや、今日こそはちゃんと聞かせて貰うからね!絶対なんかあるでしょ!だって乱交パーティん時も、俺んち来てくれた時もっ…んんっ」
思わず、口塞いじまった。
「あ、ちょ…んなキスで誤魔化されないんだ…か…んんん~…んっ、ヤバ気持ちっ…」
文句言いながらも、段々力が抜けて俺にしがみついて来る湊を、可愛いななんて思いながら。
やっぱり、ちゃんと言わないとだよなあ。
でもまあ――――
「湊、帰ったらヤるぞ」
「…あ…うん…雄大ぃ♡」
とりあえずヤッてからでいいか。
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