34 / 60
33. 元、婚約者だ!
しおりを挟む
Side ティーナ
私は、レオンが横たわるベットの横に座り、ぎゅっと両手を合わせていた。
(どうして、、、?なぜ、、、、?)
そんな気持ちでいっぱいだった。だってレオンはもうすでに、赤の他人なのに。私がレオンを不幸に巻き込んでしまったんだろうか。
「大丈夫だよ、ティーナ。脈は正常だし、呼吸もきちんとしている。」
そう言いながらブレイブは、私の手にそっと触れる。爪が手のひらに食い込んで、真っ赤になっていた。
「何が原因かはわからないけど、休めばきっと彼は目を覚ます。今、お医者さんを呼んでいるから、すぐに原因がわかるよ。」
「…はい。」
そう言うのが精一杯だった。目を覚ましてほしい。レオンを不幸にしたくて、私はあの家を離れたんじゃない。
「…元婚約者と言っていたが、、なぜ彼と婚約破棄することになったんだ?」
私は俯いたまま、答える。
「くだらない、話です。」
「くだらない?」
「私が歌えなくなって、見限られたんです。音楽団に退団させられると同時に、婚約破棄されました。」
ブレイブは、小さく首を傾げた。
「じゃあなぜ彼は、この国に、ティーナを探しに来たんだ、、、?」
「私にもわからないんです。」
レオンと私の婚約は育ての親が決めたもの。ある出来事があって、私とレオンは親しい関係とは言えなかった。
『母さんが死んだのは、ティーナのせいだ!』
もう、7年も前の話。だけど、決して忘れることのできない言葉。それでも兄妹のように育ったレオンが大切な存在であることに変わりはない。
その後、お医者さんがきて、レオンの様子を見てくれた。お医者さんは、冷たいタオルを頭に乗せて、冷静な顔をしている。
「あの…レオンは?」
「疲労による気絶です。安静にしていれば問題ありません。」
私は大きく息を吐いた。なぜ、この人がこの国に来たのかわからない。だが、私はこの自分を見捨てた、元婚約者を恨んではいなかった。むしろ自分と遠く離れたところで幸せになって欲しいと願っている。レオンは今は亡き師匠の息子であり、師匠とよく似ている。
「ありがとうございます。」
頭を下げ、お医者を見送る。
それから、私は眠るレオンをじっと見つめた。もう二度と会うことはないと思っていた元婚約者。
(レオンは、なぜこの国に来たのだろう?)
「…ティーナ?」
そのとき、レオンは目を覚ました。その綺麗な茶色の瞳は私を見つめる。それからゆっくりと私の頬に手を伸ばし、触れた。
(え…?)
「レオン…?」
「おいっ。」
私が怪訝な顔をしたのがわかったのか、それともブレイブの制しが効いたのかわからないけど、レオンは素早く手を引いた。それから、険しい顔で、私に向かって怒鳴る。
「なぜ何も言わずに国を出た?!」
レオンの言葉に、私は唇を噛んだ。なぜ、レオンに責められなくてはならないんだろ。レオンはティーナを一方的に婚約破棄した男だというのに。できるだけ平静を保って、答える。
「出たくて、国をでたわけじゃない!それになぜ私がレオンに責められないといけないの?私たちは他人でしょ?」
「元、婚約者だ!他人ではない!」
「元婚約者なんて、誰よりも他人だよ。それよりなぜ、わざわざこんなところまで来たの?仕事はどうしたの?」
「ティーナの借金の取り立てが、ダルトン家に来たんだよ!」
私は強く拳を握りしめる。迷惑をかけるなと、怒鳴りつけるために、わざわざレオンはこの遠い場所までやってきたのか。
「…ごめんなさい。他人だと言って追い払って。」
「そういう問題ではない!なぜ何も言わずに、逃げたのかと聞いている!」
レオンはひどく怒っている。こんなにレオンに怒られたのは、多分二度目だ。
(なぜ、怒られなくてはならないんだろう。借金は、私のせいではないし…捨てられたのは私なのに。)
「…迷惑をかけたくなかっただけ。ごめんなさい…。」
「たかだか、200万デールだろっ。そのために命を投げ出すなんて、お前は馬鹿かっ!ダルトン家でも、音楽団でも、そんな額、余裕で払えたはずだ!」
「レオンにとったらっっ、たかだか200万デールかもしれない…!でも、私にはっ、頼る場所なんてどこにも無かったんだよ!!」
そう悲鳴のように叫び、私は家を飛び出した。
私は、レオンが横たわるベットの横に座り、ぎゅっと両手を合わせていた。
(どうして、、、?なぜ、、、、?)
そんな気持ちでいっぱいだった。だってレオンはもうすでに、赤の他人なのに。私がレオンを不幸に巻き込んでしまったんだろうか。
「大丈夫だよ、ティーナ。脈は正常だし、呼吸もきちんとしている。」
そう言いながらブレイブは、私の手にそっと触れる。爪が手のひらに食い込んで、真っ赤になっていた。
「何が原因かはわからないけど、休めばきっと彼は目を覚ます。今、お医者さんを呼んでいるから、すぐに原因がわかるよ。」
「…はい。」
そう言うのが精一杯だった。目を覚ましてほしい。レオンを不幸にしたくて、私はあの家を離れたんじゃない。
「…元婚約者と言っていたが、、なぜ彼と婚約破棄することになったんだ?」
私は俯いたまま、答える。
「くだらない、話です。」
「くだらない?」
「私が歌えなくなって、見限られたんです。音楽団に退団させられると同時に、婚約破棄されました。」
ブレイブは、小さく首を傾げた。
「じゃあなぜ彼は、この国に、ティーナを探しに来たんだ、、、?」
「私にもわからないんです。」
レオンと私の婚約は育ての親が決めたもの。ある出来事があって、私とレオンは親しい関係とは言えなかった。
『母さんが死んだのは、ティーナのせいだ!』
もう、7年も前の話。だけど、決して忘れることのできない言葉。それでも兄妹のように育ったレオンが大切な存在であることに変わりはない。
その後、お医者さんがきて、レオンの様子を見てくれた。お医者さんは、冷たいタオルを頭に乗せて、冷静な顔をしている。
「あの…レオンは?」
「疲労による気絶です。安静にしていれば問題ありません。」
私は大きく息を吐いた。なぜ、この人がこの国に来たのかわからない。だが、私はこの自分を見捨てた、元婚約者を恨んではいなかった。むしろ自分と遠く離れたところで幸せになって欲しいと願っている。レオンは今は亡き師匠の息子であり、師匠とよく似ている。
「ありがとうございます。」
頭を下げ、お医者を見送る。
それから、私は眠るレオンをじっと見つめた。もう二度と会うことはないと思っていた元婚約者。
(レオンは、なぜこの国に来たのだろう?)
「…ティーナ?」
そのとき、レオンは目を覚ました。その綺麗な茶色の瞳は私を見つめる。それからゆっくりと私の頬に手を伸ばし、触れた。
(え…?)
「レオン…?」
「おいっ。」
私が怪訝な顔をしたのがわかったのか、それともブレイブの制しが効いたのかわからないけど、レオンは素早く手を引いた。それから、険しい顔で、私に向かって怒鳴る。
「なぜ何も言わずに国を出た?!」
レオンの言葉に、私は唇を噛んだ。なぜ、レオンに責められなくてはならないんだろ。レオンはティーナを一方的に婚約破棄した男だというのに。できるだけ平静を保って、答える。
「出たくて、国をでたわけじゃない!それになぜ私がレオンに責められないといけないの?私たちは他人でしょ?」
「元、婚約者だ!他人ではない!」
「元婚約者なんて、誰よりも他人だよ。それよりなぜ、わざわざこんなところまで来たの?仕事はどうしたの?」
「ティーナの借金の取り立てが、ダルトン家に来たんだよ!」
私は強く拳を握りしめる。迷惑をかけるなと、怒鳴りつけるために、わざわざレオンはこの遠い場所までやってきたのか。
「…ごめんなさい。他人だと言って追い払って。」
「そういう問題ではない!なぜ何も言わずに、逃げたのかと聞いている!」
レオンはひどく怒っている。こんなにレオンに怒られたのは、多分二度目だ。
(なぜ、怒られなくてはならないんだろう。借金は、私のせいではないし…捨てられたのは私なのに。)
「…迷惑をかけたくなかっただけ。ごめんなさい…。」
「たかだか、200万デールだろっ。そのために命を投げ出すなんて、お前は馬鹿かっ!ダルトン家でも、音楽団でも、そんな額、余裕で払えたはずだ!」
「レオンにとったらっっ、たかだか200万デールかもしれない…!でも、私にはっ、頼る場所なんてどこにも無かったんだよ!!」
そう悲鳴のように叫び、私は家を飛び出した。
308
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。
ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。
即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。
そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。
国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。
⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎
※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳
ロミオ王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~
桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜
★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました!
10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。
現在コミカライズも進行中です。
「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」
コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。
しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。
愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。
だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。
どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。
もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。
※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!)
独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。
※誤字脱字報告もありがとうございます!
こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる