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34. 婚約破棄を認めてない Side ブレイブ
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side ブレイブ
ティーナが部屋を出て行くと、レオンはガシャガシャと髪を掻き乱した。お医者さんが冷静な口調で、目を覚ましたばかりなのだから、あまり声を荒げないように、とレオンに注意している。
(この男が、ティーナを捨てたという元婚約者…?)
ティーナを捨てたはずの男が、なぜこんなところまで追ってきたんだろう。僕は、レオンとティーナがどういう関係なのか気になって仕方がない。今すぐ、ティーナを追いかけて、二人の仲を問いただしたかった。
だが、その前にこの無礼なレオンとかいう男に一言言ってやらねばと思う。
「ティーナは、本当に傷ついていたんだ。彼女を傷つけるのはやめてもらおうか。」
そう言うと、レオンは顔をしかめた。
「…俺は、ティーナを守りたいだけだ。」
「何をいっている。お前はただの"元婚約者だろ?」
「俺自身はまだ、婚約破棄を認めてない。ティーナは俺が守るし、国に連れて帰る。」
まっすぐ僕の目を見て、レオンはそう言った。
(婚約破棄を認めてない?どういうことだ?)
「だめだ。」
「お前には関係ない。」
「僕はティーナと結婚している。」
そういうと、レオンは僕をにらみつけた。
「ティーナが借金取りに追われて、苦しんでいた次の日にか?」
「…なぜそう思う。」
「船の名簿を調べた。お前はティーナを騙しているんじゃないのか?」
「…そんなことしていない。僕は純粋に彼女を助けただけだ。」
レオンの追及は続く。
「この家に来る前に、ヴィギルト家について少し調べさせてもらった。ずいぶん、怪しいうわさがあるじゃないか。…人さらい家業にかかわっているのではないかという噂もあるらしいな。」
(そこまで知って、この男は乗り込んできたのか。)
「知らないな。」
「しばっくれるなよ。…本当に、ティーナを追った借金取りと関係がないのか?」
「あるわけないだろう。僕らはただの夫婦で、僕はティーナの夫だ。」
そう言って、僕は家を出た。
だけどよく考えてみたら、僕だって偽物の夫なのである。それでも、この男を排除したい。僕は心の底からそう思っている。
「ティーナ」
家から飛び出したティーナは、湖の前で蹲っていた。そのティーナにそっと触れた。
「ブレイブ様…。」
僕はティーナをゆっくりと抱きしめた。
1番大切な時に、ティーナを守れなかったくせに、今頃出てくるな、と思う。同時に、誰にも彼女を奪われたくないのだと悟る。僕はもうすでに、ティーナの虜になっている。
「あの男のいうことを気にするな。ティーナは悪くない。」
ティーナは大粒の涙を流していた。その涙を両手で拭って、ティーナは大きく息を吸ったり、吐いたりした。それから呟く。
「大事なものから逃げたのは…あの人の言うとおりですから。」
ティーナにとって大切なものって、なんだろう。僕はぼんやりと考えるが、答えは出ない。だってあの日、ティーナは逃げるしかなかった。
だからただ僕は、ティーナの背中を撫でる。
「ありがとう…ございます。」
ティーナは両手で涙をぬぐって、立ち上がると、無理に笑った。
「もう一回、レオンと話さないと、ですね。」
「え…もう、あいつと話す必要はないんじゃないか?」
「いいえ。多分…心配で怒鳴ったんだと思います。わざわざ、この国まで来てくれたのは確かですし…。」
「あんなひどいこと言ったのにか?」
「根は悪い人じゃないです…つい私もかっとして言い返しちゃいましたけど。」
そう言って、ティーナは空を見上げて、大きく息を吸った。
(ずいぶんあいつを信頼しているんだな…。)
「どういう関係なんだ?」
「えっと…。幼馴染で…昔は兄みたいな人でした。」
(幼馴染…いやな響きだ…)
『俺は、ティーナを守りたいだけだ』
あの言葉は兄としてでも、元婚約者としての言葉でもなかった。悶々と考えているうちに、家に着いた。
「あの…。」
「何だい?」
「少し…レオンと二人で話してもいいですか?」
(え…。)
「危険じゃないか…?」
「だいじょうぶだと思います。」
まっすぐ僕を見つめていうティーナの申し出を拒否することはできなかった。
「わかった。」
****
ティーナが部屋を出て行くと、レオンはガシャガシャと髪を掻き乱した。お医者さんが冷静な口調で、目を覚ましたばかりなのだから、あまり声を荒げないように、とレオンに注意している。
(この男が、ティーナを捨てたという元婚約者…?)
ティーナを捨てたはずの男が、なぜこんなところまで追ってきたんだろう。僕は、レオンとティーナがどういう関係なのか気になって仕方がない。今すぐ、ティーナを追いかけて、二人の仲を問いただしたかった。
だが、その前にこの無礼なレオンとかいう男に一言言ってやらねばと思う。
「ティーナは、本当に傷ついていたんだ。彼女を傷つけるのはやめてもらおうか。」
そう言うと、レオンは顔をしかめた。
「…俺は、ティーナを守りたいだけだ。」
「何をいっている。お前はただの"元婚約者だろ?」
「俺自身はまだ、婚約破棄を認めてない。ティーナは俺が守るし、国に連れて帰る。」
まっすぐ僕の目を見て、レオンはそう言った。
(婚約破棄を認めてない?どういうことだ?)
「だめだ。」
「お前には関係ない。」
「僕はティーナと結婚している。」
そういうと、レオンは僕をにらみつけた。
「ティーナが借金取りに追われて、苦しんでいた次の日にか?」
「…なぜそう思う。」
「船の名簿を調べた。お前はティーナを騙しているんじゃないのか?」
「…そんなことしていない。僕は純粋に彼女を助けただけだ。」
レオンの追及は続く。
「この家に来る前に、ヴィギルト家について少し調べさせてもらった。ずいぶん、怪しいうわさがあるじゃないか。…人さらい家業にかかわっているのではないかという噂もあるらしいな。」
(そこまで知って、この男は乗り込んできたのか。)
「知らないな。」
「しばっくれるなよ。…本当に、ティーナを追った借金取りと関係がないのか?」
「あるわけないだろう。僕らはただの夫婦で、僕はティーナの夫だ。」
そう言って、僕は家を出た。
だけどよく考えてみたら、僕だって偽物の夫なのである。それでも、この男を排除したい。僕は心の底からそう思っている。
「ティーナ」
家から飛び出したティーナは、湖の前で蹲っていた。そのティーナにそっと触れた。
「ブレイブ様…。」
僕はティーナをゆっくりと抱きしめた。
1番大切な時に、ティーナを守れなかったくせに、今頃出てくるな、と思う。同時に、誰にも彼女を奪われたくないのだと悟る。僕はもうすでに、ティーナの虜になっている。
「あの男のいうことを気にするな。ティーナは悪くない。」
ティーナは大粒の涙を流していた。その涙を両手で拭って、ティーナは大きく息を吸ったり、吐いたりした。それから呟く。
「大事なものから逃げたのは…あの人の言うとおりですから。」
ティーナにとって大切なものって、なんだろう。僕はぼんやりと考えるが、答えは出ない。だってあの日、ティーナは逃げるしかなかった。
だからただ僕は、ティーナの背中を撫でる。
「ありがとう…ございます。」
ティーナは両手で涙をぬぐって、立ち上がると、無理に笑った。
「もう一回、レオンと話さないと、ですね。」
「え…もう、あいつと話す必要はないんじゃないか?」
「いいえ。多分…心配で怒鳴ったんだと思います。わざわざ、この国まで来てくれたのは確かですし…。」
「あんなひどいこと言ったのにか?」
「根は悪い人じゃないです…つい私もかっとして言い返しちゃいましたけど。」
そう言って、ティーナは空を見上げて、大きく息を吸った。
(ずいぶんあいつを信頼しているんだな…。)
「どういう関係なんだ?」
「えっと…。幼馴染で…昔は兄みたいな人でした。」
(幼馴染…いやな響きだ…)
『俺は、ティーナを守りたいだけだ』
あの言葉は兄としてでも、元婚約者としての言葉でもなかった。悶々と考えているうちに、家に着いた。
「あの…。」
「何だい?」
「少し…レオンと二人で話してもいいですか?」
(え…。)
「危険じゃないか…?」
「だいじょうぶだと思います。」
まっすぐ僕を見つめていうティーナの申し出を拒否することはできなかった。
「わかった。」
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