【完結】婚約破棄を望む王子様にお飾りの正妃にして欲しいと頼んだはずですが、なぜか溺愛されています!

五月ふう

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24.懐かしいな

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次の日。

レオが微かに動く音で意識が微かに起きた。

レオが私を起こさないように、慎重にベットから体を起こす。そして、目を閉じたままの私の頬に、軽くキスをした。

(なん、っっ。)

私の脳は一気に覚醒する。だが、恥ずかしくて寝たふりをしたまま目をつぶっていた。

「これは?」

レオはベットから何かを拾い上げた。

(レオナの宝石だ。)

普段は巾着の中に入れて常に身につけているのだが、寝ている間に出てしまったらしい。

「懐かしいな。」

と、レオは呟いた。

(え、、、?どういうこと?)

おはようと、朝の挨拶をするはずが動揺のあまり目を開けられなかった。

レオは私が起きていることに気づかずに、そっとレオナの宝石を私の枕元に置くと、部屋を出ていった。

(なんでレオ様があの宝石を見て、懐かしい、なんて言うの?)

その時、私の中に今まで思いつきもしなかった一つの考えが頭をよぎる。

(レオ様とレオナは同一人物なのでは?)

私は首を振る。

(だけど、レオナの目の色は青だったし、女の子だった。)

でも、この国の男性が子供から大人になる時に眼の色が変わることはよくあることだ。レオナはドレスを着ていたから女の子だと思いこんでいたけど、本当の性別を確認したことはない。

ガチャ

「レオ様!!」

勢いよく顔をあげた私に、レオが驚いた顔をする。

「どうした?」 

疑われないように、慎重に、さり気なく。

「レオ様は子供の頃も、かっこよかったんですか?」

レオは照れた顔で私にパンを手渡した。

「何を言うんだ?別に普通だろ。」

「とっても綺麗なお顔をしていたと思うんです。銀色の髪に、もしかして小さい頃は瞳の色が違っていたりして?」

両手をぎゅっと握りしめて、レオをじっと見る。レオはポンポンと優しく私の頭を叩いた。

「俺の目は昔から褐色のままだよ。急にどうしたんだ?」

穏やかな口調で、レオは言う。

「少し、気になってしまって。」

(私の勘違い、、、?)

でも、レオがレオナかもしれない。そう一度思うと、どんどん疑惑が湧いてくる。

なぜ、私が最初からレオに親しみを感じたのかその説明がつく。

「オリビアの小さい頃は、きっと最高に可愛かったんだろうな。」

レオはひたすらに私の頭を撫でている。

「レオ様、子供の頃ハリバート城裏の大きな湖の近くに、行ったことはありませんか?」

私とレオが会っていたのは、湖の川辺りである。

「ん、、、ないな。」

レオは私を撫でる手を止めて答える。

「そう、、ですか。」

(私の勘違いなんだろうか。)

ふわりと笑うレオがかつてのレオナと重なった。

(隠してる、、のかもしれない。)

複雑な気持ちで、私はレオをじっと見つめた。

「今日は、、午前の間は城を留守にする。待ってられるか?」

(そうやって、私を甘やかすんだ。)

「子供じゃないんだから、だいじょうぶです。レオ様から貰った本もありますし。」

レオは心配そうに私を振り返りながら、部屋を出ていった。

(よーし!)

私は金色の宝石をぎゅっと握りしめ、お手洗いに入った。

そこには天井から、はしごがかかっている。レオに見つかることなく、降ろされたはしご。

(どこに通じているのかしら。)

私ははしごに手をかける。

カシャン

(きっと、何かが変わる。)

誰かを助けたいという想いが、こんなに自分に勇気をくれるなんて知らなかった。

私ははしごを伝って、部屋を出た。



  ◇◇◇







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