地味男はイケメン元総長

緋村燐

文字の大きさ
27 / 44
三章 中間テストと告白

報告

しおりを挟む
《で? どうだったの灯里?》
 家に帰って夕飯も食べ終わり、お風呂に入ろうかというときに美智留ちゃんからそんなメッセージが届いた。
 校外学習女子というグループ名のトーク画面に表示されたそれを見て、私は返事を打つ。
 相談したんだし、結果は報告するべきだよね。
 そう思って《日高くん、私のこと好きだって言ってた》と事実だけを打ち込んで送信する。
 そしてお風呂から上がってまた確認すると、美智留ちゃんとさくらちゃんからメッセージが来ていた。

《やっぱり! そうだと思ったよ》
 さくらちゃんのその言葉から始まり、美智留ちゃんも《だよね。灯里、ちょっと鈍感すぎるよ……》などとメッセージを送ってきている。
「……」
 お昼の話だけで二人には気付かれていたってことか。
 それなら確かに私は鈍感なのかもしれない、と遠い目をして思った。
 そしてそれらの最後、さくらちゃんからのメッセージが――。
《それで、付き合うことにしたの?》
 目がキラキラしている絵文字と共に聞かれる。

《え? 付き合って無いけど?》
 純粋に疑問でそう返した。
 付き合うって恋人同士になるって事だよね。
 そんな事なにも言ってなかったし。
 それに……。
《恋人って好き合ってる人がなるものでしょう? 私、日高くんのこと異性として好きか分からないし……》
 その後の返信は、少し間が開いた。

《あー、まあ……そういうこともある、のかな?》
 何だか歯切れの悪い返事が美智留ちゃんから届く。
《……でも嫌いじゃないんでしょ?》
 と続けて来たので《うん、友達だし》と答えた。
《告白の返事、求められなかったの?》
 さくらちゃんからの言葉に、ああ、あれは告白だったんだな、と今更ながらに思う。
 でも特に返事は求められなかったな。
 どうしてだっけ?
 とあの時のことを思い出す。

 確か、日高くんが私のことを好きだなんて信じられないって言ったんだっけ。
 それで、それなら何度だって言うって言われて……。
 そうだ、それからなし崩しに頬とか額とかキスされたんだ。
「っ」
 思い出して、お風呂上がりで温まった体が更に熱を持つ。
 お風呂からはもう上がったのに、のぼせてしまいそうになった。
「ムリムリ! あんなこと言えないよ!」
 誰にも聞かれていないことを良いことに声を上げて大きく深呼吸をする。

 ある程度落ち着かせてから、詳しい説明はせずに《求められなかった》とだけ返した。
 さくらちゃんは《そうなの……》とそのまま納得してくれたんだけど……。
《……ねえ灯里。もしかしてまた何かされた?》
「っ⁉」
 美智留ちゃん、鋭い!
 絵文字もスタンプも使っていない私のメッセージから何でそんなことを察せられるんだろう。

 これは、正直に言うべきことかな?
 言わなくても良い事なんじゃ……。
 そう思って何もなかったと返信しようとしたら。
《正直に言っちゃいな? また変に勘違いとかしてたら困るのは灯里だよ?》
 と続けてメッセージが来た。
「う゛っ」
 前例が出来てしまったので、大丈夫だよとは言えなかった。
 結果、私は聞かれるままに答えて洗いざらい吐かされてしまう。

《それでキスはやめて貰えたけれど、何て言うか……逃がしてもらえなさそうって思ったっていうか……》
 最後に歯切れの悪い言い方で説明のメッセージを終える。
 それに最初に返してきたのはさくらちゃんだ。
《意外。日高くんってそんなタイプだったんだ……》
 地味男の日高くんしか知らないとやっぱりそう思うよね。
 美智留ちゃんからは少し間をおいてメッセージが届く。

《とにかくまとめると、まず日高は灯里のことが好きで、灯里は嫌いじゃないけれど恋愛的な意味で好きかは分からないってことよね?》
 念のための確認っぽかったので、私は《うん》とだけ返す。
《そんな状態だけど、日高は逃がしてくれない。つまり、恋人にする気満々ってことよね?》
《……そういうことになるね》
 他人から説明されると何だかムズムズした気分になった。
 それを隠すように淡々としたメッセージで返す。
 すると美智留ちゃんはズバリ言ってきた。

《灯里、もしかしてあんた……どうせ逃げられないんだし、自分の気持ちとか関係ないんじゃないかとか考えてない?》
「……」
 図星だった。
 というか、言われて初めてハッキリ自分がそう思っていたことを自覚した。
《もしそう思っているなら考えを改めて。灯里が本当に嫌だと思っているなら、私達がどんな手を使ってでも助け出すから。だから自分の気持ちにはちゃんと向き合って》
「……」
《そうだよ! 灯里ちゃんの気持ちが大事なんだから!》
 さくらちゃんも美智留ちゃんの言葉に同意する。

 ヤバい……泣きそう……。

 こんなにも私を想ってくれている友人がいる。
 仲良くするようになってまだひと月も経っていないのに……。
《分かったよ。ありがとう、ちゃんと考えてみる》
 と、初めて美智留ちゃん達に対してスタンプを使った。
 泣いているウサギのスタンプ。
 彼女たちの言葉に、感動したってことを少しでも伝えたくて。
 そうしたらさくらちゃんからウサギを慰めているクマさんのスタンプが届いた。
 美智留ちゃんからは可愛い女の子がファイト! と励ますスタンプが届く。
 どれも可愛くてフフッと笑っていると、美智留ちゃんからメッセージも届いた。

《それにさ、日高だって灯里が止めてって言ったら離れてくれたんでしょう? 強引なのかも知れないけれど、ちゃんと灯里の事大事に思ってるってことなんじゃない?》
「あ……」
 確かに、本気で嫌なことはされていない。
 頭の中に今日のお昼の時の日高くんの顔が浮かぶ。
『もしかして避けられてんのかな、と思った』
 そう言って安堵あんどしていた日高くん。
 それは避けられるかもしれないと思ってたってことで。
 避けられるかもしれないことをしたって自覚はあったってことで。
 最初のキスの事、少しは反省してるのかな?
 強引な態度だから分からなかったけれど、日高くんは本当に私のことを好きでいてくれて、彼なりに大事に思っていてくれていたのかもしれない。

 多分、私が私を一番大事にしていなかったんだ。
「私、ダメだなぁ……」
 反省しなきゃな。
《そうだね。それも含めて、ちゃんと向き合ってみる》
 最後にそう返して、二人から頑張ってと返事を貰い、今日の報告を終えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」   「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」 この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。 半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。 別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。 そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。 学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー ⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。 ⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。 ※表紙絵、挿絵はAI作成です。 ※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。

現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん! 好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。 ほのぼのラブコメというか日常系小説 オチなどはなく、ただひたすらにまったりします 挿絵や文章にもAIを使用しております。 苦手な方はご注意ください。

Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説

宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。 美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!! 【2022/6/11完結】  その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。  そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。 「制覇、今日は五時からだから。来てね」  隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。  担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。 ◇ こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく…… ――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい

99
ライト文芸
奥手で引っ込み思案な新入社員 × 教育係のエリート社員 佐倉美和(23)は、新入社員研修時に元読者モデルの同期・橘さくらと比較され、「じゃない方の佐倉」という不名誉なあだ名をつけられてしまい、以来人付き合いが消極的になってしまっている。 そんな彼女の教育係で営業部のエリート・幸崎優吾(28)は「皆に平等に優しい人格者」としてもっぱらな評判。 美和にも当然優しく接してくれているのだが、「それが逆に申し訳なくて辛い」と思ってしまう。 ある日、美和は学生時代からの友人で同期の城山雪の誘いでデパートのコスメ売り場に出かけ、美容部員の手によって別人のように変身する。 少しだけ自分に自信を持てたことで、美和と幸崎との間で、新しい関係が始まろうとしていた・・・ 素敵な表紙はミカスケ様のフリーイラストをお借りしています。 http://misoko.net/ 他サイト様でも投稿しています。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

光のもとで2

葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、 新たな気持ちで新学期を迎える。 好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。 少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。 それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。 この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。 何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい―― (10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)

子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちだというのに。 入社して配属一日目。 直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。 中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。 彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。 それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。 「俺が、悪いのか」 人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。 けれど。 「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」 あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちなのに。 星谷桐子 22歳 システム開発会社営業事務 中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手 自分の非はちゃんと認める子 頑張り屋さん × 京塚大介 32歳 システム開発会社営業事務 主任 ツンツンあたまで目つき悪い 態度もでかくて人に恐怖を与えがち 5歳の娘にデレデレな愛妻家 いまでも亡くなった妻を愛している 私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

処理中です...