ゴブリン飯

布施鉱平

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第一章

7話 発見と応用

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 それから、数日が経過した。

 チロはドリンギを食べながら、他も食べられるものがないかを探す日々を送っている。

 その中で見つけたのが────

 
銀杏ぎんなんの倍くらいくさいにおいを放つ謎の木の実『倍銀杏』────略称『バイナン』

○中にトゲトゲの種が入ってて、めっちゃ危ない。食べにくさ抜群『逆イガグリ』────略称『ギャグリ』

○りんご!? いえいえ、中身は空で、分厚い外の皮はカビて腐った人参のような味がする『りんご人参』────略称『リンジン』

○もう何かに例えるのすら難しい。なんか木の幹にへばりついてる、薄橙うすだいだい色でグニグニしてて、火に近づけると爆発するやつ『破裂こんにゃく』────略称『ハンニャク』


 などである。
 
 はっきり言って、まともに食べられるものなどない。
 
 バイナンは近づくだけで吐き気がするし、ギャグリはどれだけ気をつけて食べても口の中が血だらけになる。

 リンジンは元々がそういう味なのかそれとも本当に腐ってるのか分からないし、ハンニャクにいたってはもはや食べ物というより取り扱い注意な危険物だ。

 しかも頑張って食べたとしても、どれもこれも植物であるために(たぶん)圧倒的に足りていない栄養素がある。

 それは『タンパク質』だ。
 チロの食生活には、肉体を形作るために必要不可欠なタンパク質が、圧倒的に不足しているのである。

 というより、ぶっちゃけチロは肉が食べたかった。

 ベジタリアンではないので、いいかげんキノコや木の実ばかりの食事に飽きてしまったのだ。

「肉…………肉が食いたい…………」

 ブツブツとつぶやきながら、チロは陶製とうせいのナイフを石に擦りつけて研いでいた。

『制土』によって陶器みたいな茶碗や湯呑を作れるのだから、それを応用すれば調理器具も作れると気づいた結果である。

 もちろん、素材が素材なので強度に問題があり、長持ちはしないし切れ味も悪い。
 
 だがこの発見によって、チロはようやく『料理』をする為の下準備が出来ていた。

 あとは何とかして『肉』を手に入れるだけなのだが…………

「俺、野生動物なんて狩れるだろうか……?」

 問題は、そこであった。

 前世はインドア派の無趣味なダメリーマンだったため、狩りはおろか釣りすらしたこともないチロである。

 しかも、異世界に転生したことでどんな危険な生き物が生息しているのか分からないうえ、チロ自身、人間だった頃よりも明らかに能力が低下しているのだ。

 下手すると、野生動物に出会った瞬間、逆に狩られる可能性の方が高い。

 だが、それでも、チロは肉が食いたかった。

 なので、

「よし、こんなもんか」

 チロは、陶製のナイフを木のツルで枝に縛り付け、簡易的な『槍』を何本か作成していた。

 こんなもので動物が狩れるのかどうか疑問ではあるが、ないよりはましである。

 作った槍を携えて、チロは探索に出かけるのだった。










 ────そして数時間後、チロは遭遇することになる。

 この世界で初めての、野生『生物』に。
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