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第一章 呪われた王子
薔薇の夢
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春になり、ローズの庭は次々と花が咲いて、この世で最も美しい場所になった。バスケットにパンや料理を持ち込んで、一日中、庭で過ごす。俺はイーゼルを立てて庭で下手な絵を描き、その周囲でエルシーとビリーがごっこ遊びに興じる。海賊(配役:俺)に攫われたお姫様(配役:エルシー)を、王子(配役:ビリー)が助けにきたり、魔王(配役:俺)に攫われた姫(配役:エルシー)を勇者(配役:ビリー)が助けにきたり。気に入らないことがあるとすぐに泣きだすビリーを、エルシーと俺とで宥め、おだて、ビリーが疲れてむずかるころに、乳母が捜しにきて引き取っていく。その後はサムじいさんを手伝って庭の手入れをしたり、エルシーの姿を写生したりした。
エルシーは亜麻色の髪をなびかせ、フリルたっぷりのエプロンドレスをひらひらさせ、ブランコをこぐ。ラベンダー色のドレスの裾がめくれ、レースのついたドロワースが覗く。
「あ、小鳥!」
そう気まぐれに叫んで、ポンッと軽々ブランコを飛び降り、花壇へと走っていく。
可愛い。すべてが、可愛い。俺のスケッチブックは、たちまち下手くそなエルシーの素描でいっぱいになった。
やがてローズの庭は、文字通り、薔薇の溢れる庭になった。
壁一面の蔓薔薇はまるで薔薇の滝。白薔薇のアーチが小道をまたぎ、大理石の植木鉢に植えられた、小さなの薔薇が噴水のように咲き誇る。サムじいが丹精した新種の薔薇。ピンク色、オレンジ色、真紅。ありとあらゆる薔薇が、庭を埋め尽くした。
俺はそんな庭を写生して、油絵を描いた。絵を描くのは好きだったけど、半ば見様見真似だから、はっきり言って、へたくそだった。でもエルシーだけは、俺の絵が好きだと言ってくれた。
「この絵、完成したらもらっていい?」
「……いいけど、そんなに上手くないよ」
「どうして、素敵だわ! わたしの部屋の暖炉の上に飾るの。今はつまんない花瓶とリンゴの絵なんだもん。こっちの方がずっといいわ」
「そう? でも飽きない?」
「飽きないわよ。大好きだもの」
そう言ってから、エルシーは俺の耳元に口を寄せて、小声で付け足した。
「絵も好きだけど、リジーも大好きよ」
エルシーだけが、俺の存在を認めてくれる。エルシーだけが、俺を愛してくれる。――本当の母親だった、ローズのように。
その薔薇の庭は、かつて荒れ果てていたのをローズが見つけ、サムじいの手を借りて生まれ変わらせた庭だったらしい。サムじいは寡黙な老人だったが、ときどき、そんな話をしてくれた。
「ローズお嬢様は、旦那様の奥様になられるはずだった。でも、突然、王都に行って、二度ともどらんかった――」
「ローズの、肖像画か、写真はないの?」
サムじいは首を振った。
「ローズは、エルシーに似てる?」
僕の問いに、サムじいは首を傾げた。
「髪の色と瞳の色は似てらっせるのお。だが顔はどうかのお。わしももう年じゃし、忘れてしもうたわ」
ビリーと三人で、湖でボートに乗ったこともある。はしゃぐ二人に急かされて、池を何周も漕がされた。そんな日の夜、エルシーは必ずベッドの中で俺に抱き着いて、「ありがとう」とお礼を言い、頬に軽くキスをしてくれた。毎晩、俺の腕の中で眠りにつく細い体に、俺はいつしか勃起していた。すっかり眠りこんだエルシーの、ドロワースの中に手を滑り込ませ、無毛の秘所にそっと触れ、小さな尻にトラウザーズ越しに下半身を擦り付ける。
自分の罪深さを意識し、自己嫌悪に苛まれながらも、俺は夜の、秘密の儀式をやめることはできなかった。
今この時だけは、エルシーは俺だけのもの。
たとえいつかは別れる日が来たとしても、でも、今だけは――。
夏の盛り。ビリーが夏風邪をひいて二人で一日中すごした暑い午後。散歩道の噴水の縁に上ってふざけていたエルシーは、バランスを崩してアッと言う間もなく、噴水の池に落ちた。
慌てて救いあげ、びしょぬれのエルシーを抱いて、館に戻る。夏とはいえ、水は冷たい。
階段を駆け上がって三階の子供部屋に飛び込み、メイドのリンダを呼ぶ。
「リンダ! お風呂! お風呂入れる?!」
「どうなさいました?」
白いエプロンで手をふきながら出てきたリンダは、エルシーの惨状を見て即座に理解した。
「ボイラーは動いていますから、お湯は出ますよ! すぐにお風呂に――と、今日は坊ちゃまが風邪で、あちらに手が取られていて、メイドが……」
「僕が入れるから、着替えだけ準備して!」
一瞬、リンダはためらったようだが何も言わずに頷き、僕はまっすぐ浴室に入った。
「お風呂に入るの? こんな時間に?」
「夏でもあんな冷たい水に落ちたんだから。風邪をひいちゃうよ。さ、脱いで」
俺は風呂の蛇口をひねってお湯を出し、浴槽に溜める。次いで、エルシーが着ていた、半袖のセーラーカラーの白いワンピースの、背中のボタンをはずし、脱がせる。ワンピースの下にはレースのついた下着と、ドロワースが、濡れて肌に貼りつき、透けていた。裸に剥いたエルシーは想像よりもうんと華奢で、そして性別などまったく感じさせない体つきをしていた。エルシーは男に裸を見せてはいけない、なんて考えたこともないんだろう。隠すそぶりも見せず、平然と立っていた。
陶器のような白い肌。胸は真っ平で、かすかに二つの乳首がついているが、目を凝らさないとわからないほど。背中は痩せて肩甲骨が浮き出て、なだらかに続く尻はつるんと丸い。ほっそりとして形のよい脚。昔の絵画の、巨匠の作品に出てくる天使のようにぷくぷくしていなくて、華奢で折れそうで、それでいてどこか艶めかしい気がした。天使というよりは、妖精だった。この背中に羽がついているとしたら、白い羽毛の羽じゃなくて、妖精の、半透明の翅に違いないと思えた。
俺はお湯の温度を確かめて、エルシーを浴槽に入れ、石鹸を泡立てて体になすりつけていく。浴槽の中で座ったエルシーは、ふざけて鼻の頭に泡を乗せておどけてみせる。俺が背中を洗うために身体の向きを変えさせると、なんと浴槽の中で立ち上がり、俺に尻を向けて脚の間から覗いてきた。
「ばあ~!」
脚の間から顔を覗かせるエルシーに、俺は面食らう。
何しろ、俺の目の前にはエルシーの可愛いお尻があって、その奥の、誰にも汚されたことのない、無垢で無毛の花園まで全部丸見えだったからだ。股間にも血が集まってきたけれど、それを悟らせないように、極力普通に接する。
「ほら、ふざけてると滑って転ぶよ?」
俺はさりげなく性器も洗う。性別すら感じさせない体つきなのに、ピンク色の花弁はお湯でしっとりと潤い、ちゃんと女性なんだと改めて思う。泡をきれいに洗い流し、エルシーをタオルでくるんで浴槽から抱き上げた。エルシーが俺の首に両手で抱きつき、洗い髪の滴が俺のシャツにかかる。
ちょうど、服の準備のできたリンダが浴室を覗いて、俺は何事もない振りをして、タオルに包んだエルシーをリンダに渡した。
あの時のエルシーの裸体、彼女の秘密の場所の記憶は、俺の中にしっかりと刻みこまれた。
エルシーは亜麻色の髪をなびかせ、フリルたっぷりのエプロンドレスをひらひらさせ、ブランコをこぐ。ラベンダー色のドレスの裾がめくれ、レースのついたドロワースが覗く。
「あ、小鳥!」
そう気まぐれに叫んで、ポンッと軽々ブランコを飛び降り、花壇へと走っていく。
可愛い。すべてが、可愛い。俺のスケッチブックは、たちまち下手くそなエルシーの素描でいっぱいになった。
やがてローズの庭は、文字通り、薔薇の溢れる庭になった。
壁一面の蔓薔薇はまるで薔薇の滝。白薔薇のアーチが小道をまたぎ、大理石の植木鉢に植えられた、小さなの薔薇が噴水のように咲き誇る。サムじいが丹精した新種の薔薇。ピンク色、オレンジ色、真紅。ありとあらゆる薔薇が、庭を埋め尽くした。
俺はそんな庭を写生して、油絵を描いた。絵を描くのは好きだったけど、半ば見様見真似だから、はっきり言って、へたくそだった。でもエルシーだけは、俺の絵が好きだと言ってくれた。
「この絵、完成したらもらっていい?」
「……いいけど、そんなに上手くないよ」
「どうして、素敵だわ! わたしの部屋の暖炉の上に飾るの。今はつまんない花瓶とリンゴの絵なんだもん。こっちの方がずっといいわ」
「そう? でも飽きない?」
「飽きないわよ。大好きだもの」
そう言ってから、エルシーは俺の耳元に口を寄せて、小声で付け足した。
「絵も好きだけど、リジーも大好きよ」
エルシーだけが、俺の存在を認めてくれる。エルシーだけが、俺を愛してくれる。――本当の母親だった、ローズのように。
その薔薇の庭は、かつて荒れ果てていたのをローズが見つけ、サムじいの手を借りて生まれ変わらせた庭だったらしい。サムじいは寡黙な老人だったが、ときどき、そんな話をしてくれた。
「ローズお嬢様は、旦那様の奥様になられるはずだった。でも、突然、王都に行って、二度ともどらんかった――」
「ローズの、肖像画か、写真はないの?」
サムじいは首を振った。
「ローズは、エルシーに似てる?」
僕の問いに、サムじいは首を傾げた。
「髪の色と瞳の色は似てらっせるのお。だが顔はどうかのお。わしももう年じゃし、忘れてしもうたわ」
ビリーと三人で、湖でボートに乗ったこともある。はしゃぐ二人に急かされて、池を何周も漕がされた。そんな日の夜、エルシーは必ずベッドの中で俺に抱き着いて、「ありがとう」とお礼を言い、頬に軽くキスをしてくれた。毎晩、俺の腕の中で眠りにつく細い体に、俺はいつしか勃起していた。すっかり眠りこんだエルシーの、ドロワースの中に手を滑り込ませ、無毛の秘所にそっと触れ、小さな尻にトラウザーズ越しに下半身を擦り付ける。
自分の罪深さを意識し、自己嫌悪に苛まれながらも、俺は夜の、秘密の儀式をやめることはできなかった。
今この時だけは、エルシーは俺だけのもの。
たとえいつかは別れる日が来たとしても、でも、今だけは――。
夏の盛り。ビリーが夏風邪をひいて二人で一日中すごした暑い午後。散歩道の噴水の縁に上ってふざけていたエルシーは、バランスを崩してアッと言う間もなく、噴水の池に落ちた。
慌てて救いあげ、びしょぬれのエルシーを抱いて、館に戻る。夏とはいえ、水は冷たい。
階段を駆け上がって三階の子供部屋に飛び込み、メイドのリンダを呼ぶ。
「リンダ! お風呂! お風呂入れる?!」
「どうなさいました?」
白いエプロンで手をふきながら出てきたリンダは、エルシーの惨状を見て即座に理解した。
「ボイラーは動いていますから、お湯は出ますよ! すぐにお風呂に――と、今日は坊ちゃまが風邪で、あちらに手が取られていて、メイドが……」
「僕が入れるから、着替えだけ準備して!」
一瞬、リンダはためらったようだが何も言わずに頷き、僕はまっすぐ浴室に入った。
「お風呂に入るの? こんな時間に?」
「夏でもあんな冷たい水に落ちたんだから。風邪をひいちゃうよ。さ、脱いで」
俺は風呂の蛇口をひねってお湯を出し、浴槽に溜める。次いで、エルシーが着ていた、半袖のセーラーカラーの白いワンピースの、背中のボタンをはずし、脱がせる。ワンピースの下にはレースのついた下着と、ドロワースが、濡れて肌に貼りつき、透けていた。裸に剥いたエルシーは想像よりもうんと華奢で、そして性別などまったく感じさせない体つきをしていた。エルシーは男に裸を見せてはいけない、なんて考えたこともないんだろう。隠すそぶりも見せず、平然と立っていた。
陶器のような白い肌。胸は真っ平で、かすかに二つの乳首がついているが、目を凝らさないとわからないほど。背中は痩せて肩甲骨が浮き出て、なだらかに続く尻はつるんと丸い。ほっそりとして形のよい脚。昔の絵画の、巨匠の作品に出てくる天使のようにぷくぷくしていなくて、華奢で折れそうで、それでいてどこか艶めかしい気がした。天使というよりは、妖精だった。この背中に羽がついているとしたら、白い羽毛の羽じゃなくて、妖精の、半透明の翅に違いないと思えた。
俺はお湯の温度を確かめて、エルシーを浴槽に入れ、石鹸を泡立てて体になすりつけていく。浴槽の中で座ったエルシーは、ふざけて鼻の頭に泡を乗せておどけてみせる。俺が背中を洗うために身体の向きを変えさせると、なんと浴槽の中で立ち上がり、俺に尻を向けて脚の間から覗いてきた。
「ばあ~!」
脚の間から顔を覗かせるエルシーに、俺は面食らう。
何しろ、俺の目の前にはエルシーの可愛いお尻があって、その奥の、誰にも汚されたことのない、無垢で無毛の花園まで全部丸見えだったからだ。股間にも血が集まってきたけれど、それを悟らせないように、極力普通に接する。
「ほら、ふざけてると滑って転ぶよ?」
俺はさりげなく性器も洗う。性別すら感じさせない体つきなのに、ピンク色の花弁はお湯でしっとりと潤い、ちゃんと女性なんだと改めて思う。泡をきれいに洗い流し、エルシーをタオルでくるんで浴槽から抱き上げた。エルシーが俺の首に両手で抱きつき、洗い髪の滴が俺のシャツにかかる。
ちょうど、服の準備のできたリンダが浴室を覗いて、俺は何事もない振りをして、タオルに包んだエルシーをリンダに渡した。
あの時のエルシーの裸体、彼女の秘密の場所の記憶は、俺の中にしっかりと刻みこまれた。
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