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第三章 執着とすれ違い
妖精の羽を毟る*
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俺はエルシーを無理矢理、馬車に押し込むと、言い訳も聞かずに司令部に向かう。馬車の窓から、ハートネルが悔しそうな表情で俺たちを見送るが、ざまあみろだ。
エルシーは俺のものだ。いい加減に諦めろ。
だが、さきほどのエルシーの言葉が、鋭いナイフのように俺の心臓を切り裂いていた。
『別に殿下のことが好きなわけじゃありませんし、ただの仕事です!』
そうだ、確かに「業務の一環」だと俺は言い続けてきた。だからって――。
俺を捨ててハートネルと結婚なんて、絶対に許さない。絶対に。
午前中の会議を終えて、俺は司令部の奥の休息室にエルシーを連れ込み、鍵をかける。
ガチャリ、と音がした瞬間、エルシーの細い肩がビクッと怯えたように跳ねた。――まるで、全身の毛を逆立てて怯える子猫のよう。恐怖に見開かれたブルーグレーの瞳が、俺の嗜虐心を煽る。
何事もなく、ここから出すなんて、できそうもなかった。
その部屋は有事の際、司令が数日泊まりこめるように、ベッドやソファセットが備えられている。いっそベッドに沈めてしまいたかったが、そこはなけなしの理性がとどめて、俺はエルシーを革張りのソファーに座らせる。
借りてきた猫のように震えているエルシーの隣に、俺は乱暴に腰を下ろした。ギシッとソファーが軋む、その音にも、いちいちエルシーは体をびくつかせる。
俺がそんなに怖いかよ。
いちいち怯えるエルシーが愛おしくも、いらだたしくもあった。
「……何の話をしていた?」
俺の問いかけに躊躇うそぶりを見せるので、もう一度畳みかける。
「ハートネルと何を話していた?」
エルシーは諦めたように目を伏せ、蚊のなくような声で答える。
「結婚を申し込まれました」
やはりという思いと、ハートネルへの怒りが一気に膨れ上がる。
「で、受けたのか?」
「返事をする前に、殿下がいらっしゃったので――」
「受けるつもりだったのか?」
エルシーはふさふさと亜麻色の頭を振る。
「考えてもいなかったので、動顛して――」
あの男は以前から、エルシーに付きまとっていた。考えてもいない、なんてことがあるか。俺は少しばかり意地悪に聞く。
「本気だとすると、いい結婚相手かもしれんと思い始めたわけか」
エルシーが俺の方を見ようともしないのが腹立たしく、俺はエルシーの顎に手をかけ、無理に顔を向けさせる。
真っ青になって震えるエルシーの、ブルーグレーの瞳には、嫉妬に狂った醜い俺の顔が映っていた。
「あいつが言っていたな。『俺と結婚すれば仕事も辞められる』。――そんなに、仕事をやめたいのか?」
俺は目の前でわずかに開かれた、エルシーの桃色の唇を見て我慢できなくなり、強引にそれを奪った。
――キスだって、何度もしてきた。歌劇場で、馬車の中で――こうして舌すら絡ませて。
俺はエルシーの咥内を舌で貪り、歯列の裏をなぞり、口蓋の裏を責める。エルシーが刺激に身じろぎし、唾液の甘さに俺の脳が痺れる。口づけだけでこれだけ酔いそうなのに。俺はエルシーの細いうなじを大きなてでがっちりと支え、逃がさないとばかりにさらに深く舌を差し込み、かき回し、蹂躙した。
エルシーのすべてが欲しい。口づけだけでは、足りない。だって愛している。全部全部、俺のものにして、すべて何もかも貪りつくしたい。他の男に奪われるくらいなら、いっそ力づくでも――。
狂暴な欲が俺の中で暴れまわり、勃起していた。エルシー以外にこれを鎮められる女などいない。欲しいのはエルシーだけ。それ以外は何もいらない。
俺は唇を離して、肩で荒い息をしているエルシーに言った。
「『殿下のことは好きじゃないし、ただの仕事だ』、そう聞こえたが」
「それは――ハートネル中尉が、まるでわたしと殿下が特別な関係のように言うので……」
「こうして、キスするのは特別な関係じゃないのか?」
エルシーが怯えたブルーグレイの瞳をさらに見開いた。
「秘書官の業務だと、おっしゃったのは殿下です」
「仕事なら、キスするのか?」
エルシーが躊躇うように俺を見て、そして言った。
「……秘書官ですから、仕事だと言われたら、断れません……」
仕事だ、拒否は許さないと言ったのは、確かに俺だ。でも、はっきりと自分が望んだことではないと言われて、俺ははちきれそうな下半身と、今にも胸からあふれ出そうな怒りのマグマで、自分を見失った。
許せなかった。
ずっとずっとエルシーだけを愛してきたのに――。
俺は表面的には冷静を装って、エルシーに命じた。
「なら――お前に命ずる仕事がある。そこに、跪け」
俺が目のまえの絨毯を指させば、エルシーは一瞬、ぽかんとした顔をしたが、だがすぐにソファから降りて、俺の両脚の間に膝をついた。まっすぐ見上げる顔色は真っ青で、これから起こることに恐怖を感じているのは明らかだった。
俺はエルシーの細い両肩に両手を置き、顔をエルシーの耳元に寄せる。もう、下半身の滾りは限界で、痛いくらいだった。
「脱がして、抜いてくれ」
「は?」
まったく意味がわからないという表情で、俺を見上げるエルシーの無垢さが、俺をますます興奮させる。俺はエルシーの手を取って、高ぶってトラウザースと突き上げている、股間に導いた。
「ここにボタンがある。……外せ」
エルシーは命じられるまま、のろのろと震える手でボタンを外していく。ほんのちょっと、布越しに触れる感覚だけで、俺は興奮で焼ききれそうだった。早く――、もっと触れてほしい――。
「早くしろ、仕事なら断れないのだろう?」
ようやくボタンが外され、トラウザースが寛げられると、白いドレスシャツの下では、俺の分身が鎌首をもたげていた。
「いいから出せ。命令を拒むことは許さない。出したら――」
俺は呆然と見上げるだけのエルシーの白い頬を両手で覆い、柔らかな唇を親指でなぞる。果実のようにみずみずしく、汚されたこともない、神聖な唇。ずっと夢に見たこの唇を――。
汚して、辱しめたい。永遠に俺のものにするために。
「この口で慰めろ」
さすがに意味を理解したのか、エルシーの両目にみるみる涙がたまり、真珠の粒のように零れ落ちる。最後まで抵抗したが、それを俺は圧殺して、さらに命じた。
エルシーの白い手が俺のシャツをめくり、現れた醜いものに思わず目を背ける。
「目を逸らすな、俺の分身だ」
俺が両手で握るように命じると、エルシーはこわごわ、それに触れる。繊細な指先の感覚に、俺の背筋を快感が走り抜ける。
「もっと強く握れ。……両手で……そう、握ったまま、ゆっくり動かせ……」
怒張した俺の男根を、エルシーが握っている。その事実だけで、俺の興奮はもう、限界を超えていた。清らかなものしか握ったことのない、繊細な白い手が、俺の醜い肉茎を握っている。ゆるゆると恐る恐る動かす動作も、涙に濡れた表情も、すべてが愛おしくて、そして可哀想で、何よりもっともっと汚したかった。
繊細すぎる手の動きがもどかしくて、でもその快感を拾いたくて、俺は目を閉じて荒い呼吸を吐いていると、エルシーが不安そうに尋ねる。
「……この作業に、何の意味があるのですか?」
作業と言われて一瞬掴みかけた快感が遠のく気がした。
「意味って……そりゃあ、俺が、気持ちよくなるためだ」
薄目を開けてエルシーをちろりと見て言えば、子猫のようにまんまるな瞳で俺と手の中のモノを見比べている。
「気持ちいい? これ、気持ちいいんですか?」
「お前、これを見たこともないのか?」
ぶんぶんと首を振るエルシーの、無垢を通り越して無知に呆れる。
リンドホルムのあの、荒野の畔の古城で、この世の汚れを何も知らずに生きていた妖精のお姫様。この純粋無垢で美しい顔を、俺の精液塗れにしてやりたい。もう、お前は俺のものだ、妖精の森に帰れないように、背中の羽も俺が毟ってやる。
「……そろそろ、口でしろ」
「……口で?……これを?」
まさか、そんな声が聞こえてきそうな顔で、俺を見上げる顔も最高に可愛くて、早くその口の奥の奥まで突っ込んで泣かしてやりたい。
「はやく舐めろ。……お前のその、可愛い舌で」
エルシーは覚悟を決めるように大きく深呼吸して、目を閉じ、小さな舌を出して俺の先端を舐めた。強烈な快感に、俺は思わず両手でエルシーの亜麻色の頭を抱えた。
「もっと……キャンディか何かみたいに、全体を舐めろ」
……幼い時、俺が買ってやった棒付きのキャンディを、嬉しそうに舐めていたあの舌が、俺の雄に這わされる。ぴちゃぴちゃと小さな水音がした。
なんて淫らな――。
きつく眉根を寄せ、必死に奉仕を続ける姿を見下ろして、俺の興奮がさらに高まる。敏感な裏筋を小さな舌が掠め、俺の腰が快感に震える。――限界が近い。
「そろそろ、咥えろ」
荒い息を吐きながら俺が命じれば、エルシーは言うがままに、俺の先端を咥える。
「もっと、……奥まで……」
小さな口で奥まで含もうと、エルシーの亜麻色の頭が脚の間で上下する。揺れる髪が太ももをかすめる、その感覚さえ快感を呼ぶ。腰から這い上がる肉体の快感と、神聖なエルシーを汚している背徳感。射精感が急速に高まっていく。
俺は快感に抗うように、エルシーの頭をぎゅっと握り締める。指に絡みつく、金の糸のような髪をゆっくりと梳いて、必死に頭を動かす様子を見下ろす。そこから続く細い背中。あるはずの見えない妖精の羽を、俺は今、引きちぎり、汚し、地上に縫い留めようとしているのだ。
「はあっエルシー、エルシー……エルシー……」
うわごとのように何度も名前を呼んで、俺は快感に腰を揺らす。両手で頭を握りって腰を突き上げれば、ジュボジュボと唾液が泡立つ水音が響き、俺の荒い息と絡まり合う。
気持ちいい、汚してやる、俺のものだ。
口に出せない思いはすべて、エルシーの名に変わり、俺はひたすら名前を呼び続けた。
「エルシー、エルシー、エルシー……」
愛してる、俺の――。
とうとう限界に達した俺の怒張が弾け、俺は大量の白濁をエルシーの咥内に注ぎ込んだ。
エルシーは俺のものだ。いい加減に諦めろ。
だが、さきほどのエルシーの言葉が、鋭いナイフのように俺の心臓を切り裂いていた。
『別に殿下のことが好きなわけじゃありませんし、ただの仕事です!』
そうだ、確かに「業務の一環」だと俺は言い続けてきた。だからって――。
俺を捨ててハートネルと結婚なんて、絶対に許さない。絶対に。
午前中の会議を終えて、俺は司令部の奥の休息室にエルシーを連れ込み、鍵をかける。
ガチャリ、と音がした瞬間、エルシーの細い肩がビクッと怯えたように跳ねた。――まるで、全身の毛を逆立てて怯える子猫のよう。恐怖に見開かれたブルーグレーの瞳が、俺の嗜虐心を煽る。
何事もなく、ここから出すなんて、できそうもなかった。
その部屋は有事の際、司令が数日泊まりこめるように、ベッドやソファセットが備えられている。いっそベッドに沈めてしまいたかったが、そこはなけなしの理性がとどめて、俺はエルシーを革張りのソファーに座らせる。
借りてきた猫のように震えているエルシーの隣に、俺は乱暴に腰を下ろした。ギシッとソファーが軋む、その音にも、いちいちエルシーは体をびくつかせる。
俺がそんなに怖いかよ。
いちいち怯えるエルシーが愛おしくも、いらだたしくもあった。
「……何の話をしていた?」
俺の問いかけに躊躇うそぶりを見せるので、もう一度畳みかける。
「ハートネルと何を話していた?」
エルシーは諦めたように目を伏せ、蚊のなくような声で答える。
「結婚を申し込まれました」
やはりという思いと、ハートネルへの怒りが一気に膨れ上がる。
「で、受けたのか?」
「返事をする前に、殿下がいらっしゃったので――」
「受けるつもりだったのか?」
エルシーはふさふさと亜麻色の頭を振る。
「考えてもいなかったので、動顛して――」
あの男は以前から、エルシーに付きまとっていた。考えてもいない、なんてことがあるか。俺は少しばかり意地悪に聞く。
「本気だとすると、いい結婚相手かもしれんと思い始めたわけか」
エルシーが俺の方を見ようともしないのが腹立たしく、俺はエルシーの顎に手をかけ、無理に顔を向けさせる。
真っ青になって震えるエルシーの、ブルーグレーの瞳には、嫉妬に狂った醜い俺の顔が映っていた。
「あいつが言っていたな。『俺と結婚すれば仕事も辞められる』。――そんなに、仕事をやめたいのか?」
俺は目の前でわずかに開かれた、エルシーの桃色の唇を見て我慢できなくなり、強引にそれを奪った。
――キスだって、何度もしてきた。歌劇場で、馬車の中で――こうして舌すら絡ませて。
俺はエルシーの咥内を舌で貪り、歯列の裏をなぞり、口蓋の裏を責める。エルシーが刺激に身じろぎし、唾液の甘さに俺の脳が痺れる。口づけだけでこれだけ酔いそうなのに。俺はエルシーの細いうなじを大きなてでがっちりと支え、逃がさないとばかりにさらに深く舌を差し込み、かき回し、蹂躙した。
エルシーのすべてが欲しい。口づけだけでは、足りない。だって愛している。全部全部、俺のものにして、すべて何もかも貪りつくしたい。他の男に奪われるくらいなら、いっそ力づくでも――。
狂暴な欲が俺の中で暴れまわり、勃起していた。エルシー以外にこれを鎮められる女などいない。欲しいのはエルシーだけ。それ以外は何もいらない。
俺は唇を離して、肩で荒い息をしているエルシーに言った。
「『殿下のことは好きじゃないし、ただの仕事だ』、そう聞こえたが」
「それは――ハートネル中尉が、まるでわたしと殿下が特別な関係のように言うので……」
「こうして、キスするのは特別な関係じゃないのか?」
エルシーが怯えたブルーグレイの瞳をさらに見開いた。
「秘書官の業務だと、おっしゃったのは殿下です」
「仕事なら、キスするのか?」
エルシーが躊躇うように俺を見て、そして言った。
「……秘書官ですから、仕事だと言われたら、断れません……」
仕事だ、拒否は許さないと言ったのは、確かに俺だ。でも、はっきりと自分が望んだことではないと言われて、俺ははちきれそうな下半身と、今にも胸からあふれ出そうな怒りのマグマで、自分を見失った。
許せなかった。
ずっとずっとエルシーだけを愛してきたのに――。
俺は表面的には冷静を装って、エルシーに命じた。
「なら――お前に命ずる仕事がある。そこに、跪け」
俺が目のまえの絨毯を指させば、エルシーは一瞬、ぽかんとした顔をしたが、だがすぐにソファから降りて、俺の両脚の間に膝をついた。まっすぐ見上げる顔色は真っ青で、これから起こることに恐怖を感じているのは明らかだった。
俺はエルシーの細い両肩に両手を置き、顔をエルシーの耳元に寄せる。もう、下半身の滾りは限界で、痛いくらいだった。
「脱がして、抜いてくれ」
「は?」
まったく意味がわからないという表情で、俺を見上げるエルシーの無垢さが、俺をますます興奮させる。俺はエルシーの手を取って、高ぶってトラウザースと突き上げている、股間に導いた。
「ここにボタンがある。……外せ」
エルシーは命じられるまま、のろのろと震える手でボタンを外していく。ほんのちょっと、布越しに触れる感覚だけで、俺は興奮で焼ききれそうだった。早く――、もっと触れてほしい――。
「早くしろ、仕事なら断れないのだろう?」
ようやくボタンが外され、トラウザースが寛げられると、白いドレスシャツの下では、俺の分身が鎌首をもたげていた。
「いいから出せ。命令を拒むことは許さない。出したら――」
俺は呆然と見上げるだけのエルシーの白い頬を両手で覆い、柔らかな唇を親指でなぞる。果実のようにみずみずしく、汚されたこともない、神聖な唇。ずっと夢に見たこの唇を――。
汚して、辱しめたい。永遠に俺のものにするために。
「この口で慰めろ」
さすがに意味を理解したのか、エルシーの両目にみるみる涙がたまり、真珠の粒のように零れ落ちる。最後まで抵抗したが、それを俺は圧殺して、さらに命じた。
エルシーの白い手が俺のシャツをめくり、現れた醜いものに思わず目を背ける。
「目を逸らすな、俺の分身だ」
俺が両手で握るように命じると、エルシーはこわごわ、それに触れる。繊細な指先の感覚に、俺の背筋を快感が走り抜ける。
「もっと強く握れ。……両手で……そう、握ったまま、ゆっくり動かせ……」
怒張した俺の男根を、エルシーが握っている。その事実だけで、俺の興奮はもう、限界を超えていた。清らかなものしか握ったことのない、繊細な白い手が、俺の醜い肉茎を握っている。ゆるゆると恐る恐る動かす動作も、涙に濡れた表情も、すべてが愛おしくて、そして可哀想で、何よりもっともっと汚したかった。
繊細すぎる手の動きがもどかしくて、でもその快感を拾いたくて、俺は目を閉じて荒い呼吸を吐いていると、エルシーが不安そうに尋ねる。
「……この作業に、何の意味があるのですか?」
作業と言われて一瞬掴みかけた快感が遠のく気がした。
「意味って……そりゃあ、俺が、気持ちよくなるためだ」
薄目を開けてエルシーをちろりと見て言えば、子猫のようにまんまるな瞳で俺と手の中のモノを見比べている。
「気持ちいい? これ、気持ちいいんですか?」
「お前、これを見たこともないのか?」
ぶんぶんと首を振るエルシーの、無垢を通り越して無知に呆れる。
リンドホルムのあの、荒野の畔の古城で、この世の汚れを何も知らずに生きていた妖精のお姫様。この純粋無垢で美しい顔を、俺の精液塗れにしてやりたい。もう、お前は俺のものだ、妖精の森に帰れないように、背中の羽も俺が毟ってやる。
「……そろそろ、口でしろ」
「……口で?……これを?」
まさか、そんな声が聞こえてきそうな顔で、俺を見上げる顔も最高に可愛くて、早くその口の奥の奥まで突っ込んで泣かしてやりたい。
「はやく舐めろ。……お前のその、可愛い舌で」
エルシーは覚悟を決めるように大きく深呼吸して、目を閉じ、小さな舌を出して俺の先端を舐めた。強烈な快感に、俺は思わず両手でエルシーの亜麻色の頭を抱えた。
「もっと……キャンディか何かみたいに、全体を舐めろ」
……幼い時、俺が買ってやった棒付きのキャンディを、嬉しそうに舐めていたあの舌が、俺の雄に這わされる。ぴちゃぴちゃと小さな水音がした。
なんて淫らな――。
きつく眉根を寄せ、必死に奉仕を続ける姿を見下ろして、俺の興奮がさらに高まる。敏感な裏筋を小さな舌が掠め、俺の腰が快感に震える。――限界が近い。
「そろそろ、咥えろ」
荒い息を吐きながら俺が命じれば、エルシーは言うがままに、俺の先端を咥える。
「もっと、……奥まで……」
小さな口で奥まで含もうと、エルシーの亜麻色の頭が脚の間で上下する。揺れる髪が太ももをかすめる、その感覚さえ快感を呼ぶ。腰から這い上がる肉体の快感と、神聖なエルシーを汚している背徳感。射精感が急速に高まっていく。
俺は快感に抗うように、エルシーの頭をぎゅっと握り締める。指に絡みつく、金の糸のような髪をゆっくりと梳いて、必死に頭を動かす様子を見下ろす。そこから続く細い背中。あるはずの見えない妖精の羽を、俺は今、引きちぎり、汚し、地上に縫い留めようとしているのだ。
「はあっエルシー、エルシー……エルシー……」
うわごとのように何度も名前を呼んで、俺は快感に腰を揺らす。両手で頭を握りって腰を突き上げれば、ジュボジュボと唾液が泡立つ水音が響き、俺の荒い息と絡まり合う。
気持ちいい、汚してやる、俺のものだ。
口に出せない思いはすべて、エルシーの名に変わり、俺はひたすら名前を呼び続けた。
「エルシー、エルシー、エルシー……」
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