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第三章 執着とすれ違い
ドライブ
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「昼食を食べたら、郊外にドライブに行こう」
俺が誘えば、エルシーは首を傾げた。
「ドライブ?」
「車に乗ったことがないと言っていたじゃないか。乗せてやる」
エルシーはまだ納得していないようだったが、おとなしくついてきた。
馬車から自動車への転換は、急速に起こりつつあった。燃料の補給の問題さえ解決されれば、馬車よりはるかに効率がいい。田舎ではどんどん、自動車が実用に利用されつつある。
が、王都のような大都会では、そう、簡単にいかない。
貴族のドラ息子が王都内で大事故を起こしたこともあり、自家用車の王都内への乗り入れば、現在、ほぼ禁止。タクシーはチラホラ出ているが、乗合馬車の組合が頑張っていて、なかなか普及しない。いずれ、規制は緩和され、徐々に自動車が主流になっていくだろうが、王子の俺が率先して街中で乗り回すのはまずい。
今のところ郊外のオーランド邸周辺で、気晴らしにドライブをするくらいしかできないので、自動車もオーランド邸のガレージに置いてある。
俺はオーランド邸の執事のヴァルターに電話を入れてから、エルシーと馬車でオーランド邸に向かった。
「どうして、王宮が嫌いなんです?」
エルシーの問いに、俺が肩をすくめる。
「いい思い出がない」
エルシーは、国王夫妻の不和のことも、何も知らなかった。
ジョージの病が重く、王妃とともどもバールの離宮に籠っているのは報道されているが、国王夫妻が長いこと不仲であることは、はっきりとは言われていない。ジョージの病についても、詳しいことは伏せられているはずだ。
アシュバートン家を襲った不幸に、王家の問題が関わっているなんて、おそらく、エルシーは想像もしていないのだろう。
ローズと父上が知り合ったきっかけを俺は知らないが、俺がこの世に生まれたことで、アシュバートン家を王家の闇に引きずりこんだことを、エルシーが知ったら、どう思うだろうか。
「……自動車は、殿下が運転なさるの?」
「他に誰がする」
「いえ……ちょっと怖いと思って」
不安そうなエルシーに、俺は自信満々、微笑んで見せた。
「俺は運転は得意なんだ。戦地では戦車や飛行機も操縦したことがある」
「飛行機も?」
エルシーが好奇心を示したので、俺はここぞとばかりに自慢した。
「飛行機の会社には投資もして、試験飛行に立ち会ったこともある。戦場で、何度か操縦した。上手いって褒められたんだぞ? 飛行機乗りになりたかったけど、危険すぎるって止められた」
「あれ、落ちたら死ぬんでしょ? 怖いわ……」
そんな話をしているうちに、オーランド邸が見えてきた。
出迎えたヴァルターが、エルシーをサロンに案内し、メイドがアフタヌーンティーを並べている間、俺は見えない場所にヴァルターを呼び出した。
「電話でも言ったが、俺はいずれ、彼女と結婚するつもりでいる」
俺が胸ポケットから紙巻煙草を出して口に咥えると、すかさずヴァルターがマッチで火を点ける。
「マックス・アシュバートン卿のご息女と伺っております。陛下のお許しさえ得られたましたならば、問題はないかと」
俺はふうっと煙を吐き出して言った。
「マックスは俺を庇って死んだのに、なぜだか彼女の代襲相続の申請が却下されている。原因は今はわからないが、いずれ、なんとかして、彼女に貴族の身分を取り戻すつもりだ」
ヴァルターは無言で聞いている。
「だから――エルシーは俺の愛人ではなくて、恋人で……将来、この屋敷の女主人になる予定だ。そのつもりで、失礼のないように扱ってくれ」
「承知いたしました。――今夜はこちらにお泊りに?」
「いや、それはさすがにまずいと思う。夕食は王都のレストランを予約しているから、バージェス街に戻る」
「承知いたしました」
俺は煙草を吸い終わるとエルシーのもとに戻り、二人でお茶とケーキやスコーンを食べた。
と、ヴァルターがやってきて、俺に耳打ちした。
「さきほど――例の、ご令嬢からお電話がございまして」
俺は反射的に眉を顰めた。例のご令嬢とはステファニーのことで、戦争前はしょっちゅう、俺に呼び出しの電話をかけてきて、俺はその我儘を聞いてやっていた。今日、昼餐を無視して帰ったから、こちらにまで電話をかけてきたのだ。
「その件なら、もう断った。以後、取り次ぐ必要はない」
「さようでございますか」
エルシーの前でステファニーの話を持ち出すなんてと、俺はヴァルターを少し睨んだが、エルシーは気にするふうもなく、澄ました顔で紅茶を飲んでいた。
お茶が済むころ、整備士が車寄せまで俺の愛車、シルヴァーゴーストを運んできた。これは我が国の技術が誇る大型高級車で、エンジン音が静かで、最高速度で時速六十五マイル以上だと、俺が蘊蓄を語ってやるのだが、エルシーはただ、グレーの車体をみては珍しそうに目を丸くするだけで、機械の話は理解できないようだった。
整備士がドアを開けてくれ、俺とエルシーがそれぞれ乗り込む。俺はエンジンをかけ、整備士が帽子を取って深々と頭を下げるのに見送られて、ロータリーを回ってオーランド邸を後にした。
俺は割とスピード狂なところがあるのだが、エルシーを怖がらせないよう、今日は控えめにした。
それでもぐんぐんスピードを上げ、顔に当たる風を感じる。郊外のこの辺りは、羊の放牧で暮らしをたてている。青空の下にはどこまでも緑の牧草地が広がり、丘陵地帯を赤茶けた道が横切っていく。
特に行く場所もなかったが、大昔の古い、崩れた城壁の跡があるので、そこに向かうことにした。
大昔、戦争で燃えて廃墟になった城壁の近くで車を止め、俺たちは車を降り、手をつないで城壁をめぐる。苔むした石像、半ばで折れた石のアーチ。足場が悪い場所は俺がエルシーの腰を支えるようにして超えて。
エルシーの身体に触れるだけで、昨夜のことを思い出してしまう。
高台になった場所から、エルシーは周囲の村や牧草地を見下ろし、大きく伸びをした。
「王都の空気と全然違う!」
頭上には青い空。ぽっかりと白い雲が流れ、風が灌木の間を吹き抜け、エルシーの亜麻色の髪を揺らす。
――昔、ストラスシャーの荒野にポニーで出掛けた日のように。
「気に入ったか?」
「田舎育ちだから。……前住んでいた家は、周りじゅうが荒地に囲まれていたし。……こんな綺麗な場所じゃなくて、もっと荒地でしたけど」
俺も一緒に行ったじゃないか、なんてことは言えず、ただ、また来ることだけ約束した。
――次は、エルシーの好きなチョコレートマフィンを、弁当に持って行こうと、ひそかに決意しながら。
ドライブを終えて、王都まで戻ってレストランで食事をして。
俺はエルシーの機嫌を取ろうと必死だった。デザートには、エルシーが以前、気に入って食べていたチョコレートムースを指定して。
それでも不満げなエルシーに、俺は縋るような気持ちで言った。
「まだ怒ってるのか? いい加減、機嫌を直せよ」
「……じゃあ、条件があります」
「条件?」
身構えた俺に、エルシーの出した条件は、チョコレートムースのお替りだった。
それが「許し」のしるしなのだと、俺は勝手に解釈し、内心、胸をなでおろし、帰りの馬車の中では、俺は当然のようにエルシーを抱き寄せ、唇を奪った。
レストランでの食事は美味いし楽しいし、ドライブやデートも楽しい。
でも、二人きりで誰にも邪魔されずにエルシーを抱きしめ、独占したかった。もう、俺のものになったのだと、俺は浮かれて、エルシーの葛藤に、気づかなかった。
だから、俺の腕の中でエルシーが身を捩り、俺の胸を押して拒絶を示した時、なぜ、と思った。
二人っきりで、誰も見ていない。照れるなよ――そんな気分だった。
俺はしぶしぶ、エルシーと唇は解放したが、細い背中に掌を這わせながら言った。
「嫌がるなよ……つれないな」
「だって……」
目を伏せ、顔を背け、俺から距離を取ろうとするエルシーを強引に抱き寄せ、耳元で言った。
「俺が、どれだけ我慢してたか、お前は知らないだろう」
十二年だ、十二年。
「や……ひどい人」
「何がひどい」
十二年も思い続けている俺を、あっさり忘れ去ったお前の方がよっぽどひどい。
「昨日だって、無理矢理……わ。やめてって言ったのに」
無理矢理、の後はほとんど聞こえなかった。婉曲に「する」とか「した」とか口にするのさえ、恥ずかしいらしい、純情のエルシーが可愛くて、ニヤニヤしそうになる。でも、ここは謝っておくべきだろう。
「……我慢できなかった。すまない」
「どうして、わたしなんです」
だから何を今さら。いい加減に思いだせよ。
「お前じゃないと嫌だ。わかるだろう。……好きだ」
「嘘つき」
エルシーに押しやられて、俺は愕然とする。
はあ?! 嘘はついてないぞ? ……「リジー」だということを明かしてないのは、そもそもお前が忘れているからだし!
「本当に好きだったら、あんなことできないわ。――わたしが、どういう立場に置かれるか、わかっているのでしょう?」
俺が誘えば、エルシーは首を傾げた。
「ドライブ?」
「車に乗ったことがないと言っていたじゃないか。乗せてやる」
エルシーはまだ納得していないようだったが、おとなしくついてきた。
馬車から自動車への転換は、急速に起こりつつあった。燃料の補給の問題さえ解決されれば、馬車よりはるかに効率がいい。田舎ではどんどん、自動車が実用に利用されつつある。
が、王都のような大都会では、そう、簡単にいかない。
貴族のドラ息子が王都内で大事故を起こしたこともあり、自家用車の王都内への乗り入れば、現在、ほぼ禁止。タクシーはチラホラ出ているが、乗合馬車の組合が頑張っていて、なかなか普及しない。いずれ、規制は緩和され、徐々に自動車が主流になっていくだろうが、王子の俺が率先して街中で乗り回すのはまずい。
今のところ郊外のオーランド邸周辺で、気晴らしにドライブをするくらいしかできないので、自動車もオーランド邸のガレージに置いてある。
俺はオーランド邸の執事のヴァルターに電話を入れてから、エルシーと馬車でオーランド邸に向かった。
「どうして、王宮が嫌いなんです?」
エルシーの問いに、俺が肩をすくめる。
「いい思い出がない」
エルシーは、国王夫妻の不和のことも、何も知らなかった。
ジョージの病が重く、王妃とともどもバールの離宮に籠っているのは報道されているが、国王夫妻が長いこと不仲であることは、はっきりとは言われていない。ジョージの病についても、詳しいことは伏せられているはずだ。
アシュバートン家を襲った不幸に、王家の問題が関わっているなんて、おそらく、エルシーは想像もしていないのだろう。
ローズと父上が知り合ったきっかけを俺は知らないが、俺がこの世に生まれたことで、アシュバートン家を王家の闇に引きずりこんだことを、エルシーが知ったら、どう思うだろうか。
「……自動車は、殿下が運転なさるの?」
「他に誰がする」
「いえ……ちょっと怖いと思って」
不安そうなエルシーに、俺は自信満々、微笑んで見せた。
「俺は運転は得意なんだ。戦地では戦車や飛行機も操縦したことがある」
「飛行機も?」
エルシーが好奇心を示したので、俺はここぞとばかりに自慢した。
「飛行機の会社には投資もして、試験飛行に立ち会ったこともある。戦場で、何度か操縦した。上手いって褒められたんだぞ? 飛行機乗りになりたかったけど、危険すぎるって止められた」
「あれ、落ちたら死ぬんでしょ? 怖いわ……」
そんな話をしているうちに、オーランド邸が見えてきた。
出迎えたヴァルターが、エルシーをサロンに案内し、メイドがアフタヌーンティーを並べている間、俺は見えない場所にヴァルターを呼び出した。
「電話でも言ったが、俺はいずれ、彼女と結婚するつもりでいる」
俺が胸ポケットから紙巻煙草を出して口に咥えると、すかさずヴァルターがマッチで火を点ける。
「マックス・アシュバートン卿のご息女と伺っております。陛下のお許しさえ得られたましたならば、問題はないかと」
俺はふうっと煙を吐き出して言った。
「マックスは俺を庇って死んだのに、なぜだか彼女の代襲相続の申請が却下されている。原因は今はわからないが、いずれ、なんとかして、彼女に貴族の身分を取り戻すつもりだ」
ヴァルターは無言で聞いている。
「だから――エルシーは俺の愛人ではなくて、恋人で……将来、この屋敷の女主人になる予定だ。そのつもりで、失礼のないように扱ってくれ」
「承知いたしました。――今夜はこちらにお泊りに?」
「いや、それはさすがにまずいと思う。夕食は王都のレストランを予約しているから、バージェス街に戻る」
「承知いたしました」
俺は煙草を吸い終わるとエルシーのもとに戻り、二人でお茶とケーキやスコーンを食べた。
と、ヴァルターがやってきて、俺に耳打ちした。
「さきほど――例の、ご令嬢からお電話がございまして」
俺は反射的に眉を顰めた。例のご令嬢とはステファニーのことで、戦争前はしょっちゅう、俺に呼び出しの電話をかけてきて、俺はその我儘を聞いてやっていた。今日、昼餐を無視して帰ったから、こちらにまで電話をかけてきたのだ。
「その件なら、もう断った。以後、取り次ぐ必要はない」
「さようでございますか」
エルシーの前でステファニーの話を持ち出すなんてと、俺はヴァルターを少し睨んだが、エルシーは気にするふうもなく、澄ました顔で紅茶を飲んでいた。
お茶が済むころ、整備士が車寄せまで俺の愛車、シルヴァーゴーストを運んできた。これは我が国の技術が誇る大型高級車で、エンジン音が静かで、最高速度で時速六十五マイル以上だと、俺が蘊蓄を語ってやるのだが、エルシーはただ、グレーの車体をみては珍しそうに目を丸くするだけで、機械の話は理解できないようだった。
整備士がドアを開けてくれ、俺とエルシーがそれぞれ乗り込む。俺はエンジンをかけ、整備士が帽子を取って深々と頭を下げるのに見送られて、ロータリーを回ってオーランド邸を後にした。
俺は割とスピード狂なところがあるのだが、エルシーを怖がらせないよう、今日は控えめにした。
それでもぐんぐんスピードを上げ、顔に当たる風を感じる。郊外のこの辺りは、羊の放牧で暮らしをたてている。青空の下にはどこまでも緑の牧草地が広がり、丘陵地帯を赤茶けた道が横切っていく。
特に行く場所もなかったが、大昔の古い、崩れた城壁の跡があるので、そこに向かうことにした。
大昔、戦争で燃えて廃墟になった城壁の近くで車を止め、俺たちは車を降り、手をつないで城壁をめぐる。苔むした石像、半ばで折れた石のアーチ。足場が悪い場所は俺がエルシーの腰を支えるようにして超えて。
エルシーの身体に触れるだけで、昨夜のことを思い出してしまう。
高台になった場所から、エルシーは周囲の村や牧草地を見下ろし、大きく伸びをした。
「王都の空気と全然違う!」
頭上には青い空。ぽっかりと白い雲が流れ、風が灌木の間を吹き抜け、エルシーの亜麻色の髪を揺らす。
――昔、ストラスシャーの荒野にポニーで出掛けた日のように。
「気に入ったか?」
「田舎育ちだから。……前住んでいた家は、周りじゅうが荒地に囲まれていたし。……こんな綺麗な場所じゃなくて、もっと荒地でしたけど」
俺も一緒に行ったじゃないか、なんてことは言えず、ただ、また来ることだけ約束した。
――次は、エルシーの好きなチョコレートマフィンを、弁当に持って行こうと、ひそかに決意しながら。
ドライブを終えて、王都まで戻ってレストランで食事をして。
俺はエルシーの機嫌を取ろうと必死だった。デザートには、エルシーが以前、気に入って食べていたチョコレートムースを指定して。
それでも不満げなエルシーに、俺は縋るような気持ちで言った。
「まだ怒ってるのか? いい加減、機嫌を直せよ」
「……じゃあ、条件があります」
「条件?」
身構えた俺に、エルシーの出した条件は、チョコレートムースのお替りだった。
それが「許し」のしるしなのだと、俺は勝手に解釈し、内心、胸をなでおろし、帰りの馬車の中では、俺は当然のようにエルシーを抱き寄せ、唇を奪った。
レストランでの食事は美味いし楽しいし、ドライブやデートも楽しい。
でも、二人きりで誰にも邪魔されずにエルシーを抱きしめ、独占したかった。もう、俺のものになったのだと、俺は浮かれて、エルシーの葛藤に、気づかなかった。
だから、俺の腕の中でエルシーが身を捩り、俺の胸を押して拒絶を示した時、なぜ、と思った。
二人っきりで、誰も見ていない。照れるなよ――そんな気分だった。
俺はしぶしぶ、エルシーと唇は解放したが、細い背中に掌を這わせながら言った。
「嫌がるなよ……つれないな」
「だって……」
目を伏せ、顔を背け、俺から距離を取ろうとするエルシーを強引に抱き寄せ、耳元で言った。
「俺が、どれだけ我慢してたか、お前は知らないだろう」
十二年だ、十二年。
「や……ひどい人」
「何がひどい」
十二年も思い続けている俺を、あっさり忘れ去ったお前の方がよっぽどひどい。
「昨日だって、無理矢理……わ。やめてって言ったのに」
無理矢理、の後はほとんど聞こえなかった。婉曲に「する」とか「した」とか口にするのさえ、恥ずかしいらしい、純情のエルシーが可愛くて、ニヤニヤしそうになる。でも、ここは謝っておくべきだろう。
「……我慢できなかった。すまない」
「どうして、わたしなんです」
だから何を今さら。いい加減に思いだせよ。
「お前じゃないと嫌だ。わかるだろう。……好きだ」
「嘘つき」
エルシーに押しやられて、俺は愕然とする。
はあ?! 嘘はついてないぞ? ……「リジー」だということを明かしてないのは、そもそもお前が忘れているからだし!
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