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第四章 嘘つき王子
卑怯な男
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エルシーを抱いた後で、俺が煙草をくゆらせていると、気を失ったように眠っていたエルシーが、意識を取り戻してもぞもぞと動いた。
「水、飲むか?……」
「いえ、グラスから飲みますから……」
上掛けで裸の胸を隠すように起き上がり、サイドテーブルに近づいていくエルシーの背中を見て、何を今さら、と思う。エルシーの裸などさっき隅から隅まで見たし、背中は俺が痕をたっぷりつけている。
――ハートネルが目にしたら、悔しさで歯噛みするくらい、たっぷりと。
まあ、そんな機会は訪れないだろうが。俺は二本目の煙草に火を点ける。
「あの――」
エルシーが躊躇いがちに声をかけてきて、俺はエルシーを見た。
「週末は祖母の見舞いに行きたいのです」
その言葉に俺はハッとする。療養院は王都の郊外だから、毎日通うにはやや遠い。
「祖母も毎日見舞いに来いとまでは言いませんが、週末ぐらいは行かないと――心配ですし」
「……そうだな。俺も一度、見舞いに行きたいが、目立つのもなんだしな――」
エルシーが目を伏せる。
「その、祖母は王都の下町の家にずっと不満をこぼしていて――入院先のヴィラは貴族用で静かで落ち着いていて、ホッとすると。殿下のご紹介とお金がなければとても入院させられなかったので、感謝しています……」
「いや、かしこまることはない。……おば……じゃなくてレディ・ウルスラはマックスの母親で、マックスは俺の命の恩人でもあるから、当然のことだ」
あのヴィラは王族関係者を優先的に入院させるためのもので、ローズの一件の後、口止め料を兼ね、王家の出資によって建てられた。先々月まで父上の大叔母か誰かが入院していたが、大往生を遂げて空いていたのを、俺がおばあ様のために押さえ、父上の許可をもぎ取ったのだ。金も俺が払うつもりだったが、さすがに父上が支払うと言い張った。アシュバートン家への慰謝料代りだと言って。
だから他の貴族用のヴィラよりもさらに高額だし、そもそも王家のコネが必要だ。おばあ様自身も、アルバート王子の背後に国王がいると、案外と気づいているのかもしれない。
でも、はっきり口にしたら、おばあ様は援助を拒むだろう。
マックス・アシュバートンへの恩返し、というあいまいな援助だからこそ、おばあ様は受けることにした。もしかしたら、ローズの息子である、リジーへの信頼も多少はあるのだろうか。
俺は立ち上る煙草の煙を見ながら考える。
「……見舞いに行く前に、ジュリアンにいろいろと準備させておく。レディ・ウルスラだけでなくて、執事やメイドのかかりもあるだろうし」
「いえ、そこまでしていただいては――」
遠慮するエルシーに手を伸ばし、俺が裸の細い肩を抱き寄せる。
「……殿下、その――」
エルシーが身を捩り、俺から逃げるように顔を背ける。
「わたしと殿下がこんなことになったと、祖母に知られたら――祖母は、お金や経済には疎い人ですが、入院費用だけならともかく、使用人のものまで頼ったら、さすがにおかしいと思うでしょう。ですから――」
ハートネルが、祖母の入院費用のために身体を差し出したのか、とエルシーを非難したように、この状況、傍目には、おばあ様の治療費を捻出するために、俺の愛人になったようにしか、見えないだろう。――俺の中で、エルシーとの関係とおばあ様の治療費は別物だけれど、エルシー本人も、そう思っている。
俺は、目を閉じてしばらく煙草を吸ってから、言った。
「……わかった。今、お前がどこに住んでいるのかは――」
「ロベルトさんが、マクガーニ閣下のお屋敷にいることにしたらいいと。おばあ様からあちらに連絡を取ることはあり得ませんし」
「そうだな」
おばあ様の容態は、今のところ落ち着いてはいるが、何かのきっかけで急変する可能性もある。俺がエルシーの純潔を奪ったと知ったら、あの人のことだ、きっと怒りで心臓が止まる。
「金のことは本当に気にしなくていいんだ。ロベルトか、ジュリアンに言ってくれれば、なんとでもする」
「……ありがとうございます」
エルシーが目を伏せて礼を言い、俺は煙草をサイドテーブルの灰皿でもみ消すと、エルシーを抱き寄せ、キスをした。
「週末、一日はお見舞いに行くとして、もう一日は俺のために空けてくれ。絵画の展示会の招待が来ている。 それとも郊外にドライブ?」
「……ええ、わかりました」
俺はエルシーを組み敷いて、もう一度、その肌を貪った。
俺は陸軍司令の地位を濫用して、ニコラス・ハートネル中尉を第二司令部に異動させた。事実上の左遷だ。
理由は適当にでっち上げたけれど、あの男にこれ以上、エルシーの近くをうろつかれたくなかった。
エルシーの鎖骨の口づけの痕に気づくなんて、普通にあり得ない。
その時の状況をエルシーに詳しく聞けば、本部に書類を届けに行って、ハートネルに話があると呼び止められ、その時危うくキスされそうになったという。ちょうどその日、本部付きのある将校が中庭を通りかかり、女性事務員が大柄な将校にセクハラされているのを見て、声をかけたと言っていた。
ハートネルはおそらく、エルシーをゆっくり、手に入れるつもりでいたに違いない。折しも、マクガーニの退任でエルシーは仕事を失う。おばあ様の病気の治療費や、その後の生活を面倒みると言って、結婚まで持ち込む計画だった。だが俺が司令に就任し、エルシーを留任したことで計画が狂う。
俺も十分卑怯だが、ハートネルもそれほどは変わらない。
経済的な優位を武器に、困窮したエルシーを手に入れようとした。
ロベルトなどは、婚約者同然の公爵令嬢がいる第三王子と結婚するより、ハートネルの妻になった方がはるかに幸せだなんて抜かすが、俺はそうは思えない。
ハートネルは、エルシーの経済的な苦境が抜き差しならなくなるまで待って、そこから恩に着せてエルシーとの結婚に持ちこもうとした。本当に愛しているなら、もっとやりようがあるはずだ。そう言えば、ロベルトは煙草の煙を吐きながら、笑った。
『殿下のやってることと、どこが違うって言うんです? ハートネルには婚約寸前の令嬢もいないし、きちんとプロポーズしているだけ、殿下より百万倍マシでしょうが』
それは全くその通りで、俺は反論ができなかった。
『しかも入院費をたてにアパートメントに囲い込んで、純潔まで奪った。話だけ聞いたら、殿下は恋愛小説で出てくる、ヒロインの困窮に付け込んで金で買う成金男みたいですよ』
『……俺が、エルシーと寝たのを非難しているのか?』
『普通にダメでしょ。……でもまあ、俺は庶民っすから、男ならしゃあないって思いますけどね。あの状況下で我慢できるとしたらよっぽどの聖人か、むしろ不能を疑っちゃいますね。殿下は不能じゃない、普通の男だった。そんだけっしょ』
この下町育ちであけすけなロベルトに、俺は時々辟易することもあるが、救われることも多い。逆に同じ平民でも、ラルフ・シモンズは口では何も言わないが、もともとマックス・アシュバートンの部下で、恩人の娘に手を付けた俺を、快くは思ってはいないようだ。ただエルシーを尊重する様子が見えるので、俺はラルフに彼女の護衛を任せることにした。それと貴族出身のジョナサンとをエルシーにつけ、ニコラス・ハートネル中尉を司令部から追い出して、俺は一件落着のつもりだった。
ハートネルが一層、恨みと歪んだ執着を拗らせるなんて、想像もしていなかった。
それから、俺は数日おきにアパートメントに泊まった。昼間、司令部での取り澄ました表情のエルシーが、夜、俺にだけ見せる媚態に俺はますますのめり込んだ。王都には第三王子アルバートの愛人の噂が回っていたが、俺は気にしなかった。
エルシーが俺のアパートメントに移ってしばらくしてからの、ある金曜日。俺はエルシーと国立歌劇場に出掛けた。
斬新な演出で話題のオペラを観劇し、その後、最近、評判のいいレストランで食事をする予定で予約も入れていた。
マールバラ公爵夫人のレディ・ヴァイオレットにボックスを融通してほしいと頼めば、快く了承の返事が返ってきた。
『演出や衣装が話題だけど、演奏も歌手も素晴らしかったわ。ぜひ、楽しんでいらして』
音楽好きの夫人からはそんな言伝ももらって、俺はエルシーと出かけた。幕間に喉の乾いた俺は、ワインを飲もうとホワイエに降りた。――エルシーも誘ったが、「人ごみはちょっと」と断られた。後から思えば、エルシーと一緒でなくて本当によかった。
ホワイエでよりによって、レコンフィールド公爵令嬢、ステファニー・グローブナーと鉢合わせをしたからだ。
「水、飲むか?……」
「いえ、グラスから飲みますから……」
上掛けで裸の胸を隠すように起き上がり、サイドテーブルに近づいていくエルシーの背中を見て、何を今さら、と思う。エルシーの裸などさっき隅から隅まで見たし、背中は俺が痕をたっぷりつけている。
――ハートネルが目にしたら、悔しさで歯噛みするくらい、たっぷりと。
まあ、そんな機会は訪れないだろうが。俺は二本目の煙草に火を点ける。
「あの――」
エルシーが躊躇いがちに声をかけてきて、俺はエルシーを見た。
「週末は祖母の見舞いに行きたいのです」
その言葉に俺はハッとする。療養院は王都の郊外だから、毎日通うにはやや遠い。
「祖母も毎日見舞いに来いとまでは言いませんが、週末ぐらいは行かないと――心配ですし」
「……そうだな。俺も一度、見舞いに行きたいが、目立つのもなんだしな――」
エルシーが目を伏せる。
「その、祖母は王都の下町の家にずっと不満をこぼしていて――入院先のヴィラは貴族用で静かで落ち着いていて、ホッとすると。殿下のご紹介とお金がなければとても入院させられなかったので、感謝しています……」
「いや、かしこまることはない。……おば……じゃなくてレディ・ウルスラはマックスの母親で、マックスは俺の命の恩人でもあるから、当然のことだ」
あのヴィラは王族関係者を優先的に入院させるためのもので、ローズの一件の後、口止め料を兼ね、王家の出資によって建てられた。先々月まで父上の大叔母か誰かが入院していたが、大往生を遂げて空いていたのを、俺がおばあ様のために押さえ、父上の許可をもぎ取ったのだ。金も俺が払うつもりだったが、さすがに父上が支払うと言い張った。アシュバートン家への慰謝料代りだと言って。
だから他の貴族用のヴィラよりもさらに高額だし、そもそも王家のコネが必要だ。おばあ様自身も、アルバート王子の背後に国王がいると、案外と気づいているのかもしれない。
でも、はっきり口にしたら、おばあ様は援助を拒むだろう。
マックス・アシュバートンへの恩返し、というあいまいな援助だからこそ、おばあ様は受けることにした。もしかしたら、ローズの息子である、リジーへの信頼も多少はあるのだろうか。
俺は立ち上る煙草の煙を見ながら考える。
「……見舞いに行く前に、ジュリアンにいろいろと準備させておく。レディ・ウルスラだけでなくて、執事やメイドのかかりもあるだろうし」
「いえ、そこまでしていただいては――」
遠慮するエルシーに手を伸ばし、俺が裸の細い肩を抱き寄せる。
「……殿下、その――」
エルシーが身を捩り、俺から逃げるように顔を背ける。
「わたしと殿下がこんなことになったと、祖母に知られたら――祖母は、お金や経済には疎い人ですが、入院費用だけならともかく、使用人のものまで頼ったら、さすがにおかしいと思うでしょう。ですから――」
ハートネルが、祖母の入院費用のために身体を差し出したのか、とエルシーを非難したように、この状況、傍目には、おばあ様の治療費を捻出するために、俺の愛人になったようにしか、見えないだろう。――俺の中で、エルシーとの関係とおばあ様の治療費は別物だけれど、エルシー本人も、そう思っている。
俺は、目を閉じてしばらく煙草を吸ってから、言った。
「……わかった。今、お前がどこに住んでいるのかは――」
「ロベルトさんが、マクガーニ閣下のお屋敷にいることにしたらいいと。おばあ様からあちらに連絡を取ることはあり得ませんし」
「そうだな」
おばあ様の容態は、今のところ落ち着いてはいるが、何かのきっかけで急変する可能性もある。俺がエルシーの純潔を奪ったと知ったら、あの人のことだ、きっと怒りで心臓が止まる。
「金のことは本当に気にしなくていいんだ。ロベルトか、ジュリアンに言ってくれれば、なんとでもする」
「……ありがとうございます」
エルシーが目を伏せて礼を言い、俺は煙草をサイドテーブルの灰皿でもみ消すと、エルシーを抱き寄せ、キスをした。
「週末、一日はお見舞いに行くとして、もう一日は俺のために空けてくれ。絵画の展示会の招待が来ている。 それとも郊外にドライブ?」
「……ええ、わかりました」
俺はエルシーを組み敷いて、もう一度、その肌を貪った。
俺は陸軍司令の地位を濫用して、ニコラス・ハートネル中尉を第二司令部に異動させた。事実上の左遷だ。
理由は適当にでっち上げたけれど、あの男にこれ以上、エルシーの近くをうろつかれたくなかった。
エルシーの鎖骨の口づけの痕に気づくなんて、普通にあり得ない。
その時の状況をエルシーに詳しく聞けば、本部に書類を届けに行って、ハートネルに話があると呼び止められ、その時危うくキスされそうになったという。ちょうどその日、本部付きのある将校が中庭を通りかかり、女性事務員が大柄な将校にセクハラされているのを見て、声をかけたと言っていた。
ハートネルはおそらく、エルシーをゆっくり、手に入れるつもりでいたに違いない。折しも、マクガーニの退任でエルシーは仕事を失う。おばあ様の病気の治療費や、その後の生活を面倒みると言って、結婚まで持ち込む計画だった。だが俺が司令に就任し、エルシーを留任したことで計画が狂う。
俺も十分卑怯だが、ハートネルもそれほどは変わらない。
経済的な優位を武器に、困窮したエルシーを手に入れようとした。
ロベルトなどは、婚約者同然の公爵令嬢がいる第三王子と結婚するより、ハートネルの妻になった方がはるかに幸せだなんて抜かすが、俺はそうは思えない。
ハートネルは、エルシーの経済的な苦境が抜き差しならなくなるまで待って、そこから恩に着せてエルシーとの結婚に持ちこもうとした。本当に愛しているなら、もっとやりようがあるはずだ。そう言えば、ロベルトは煙草の煙を吐きながら、笑った。
『殿下のやってることと、どこが違うって言うんです? ハートネルには婚約寸前の令嬢もいないし、きちんとプロポーズしているだけ、殿下より百万倍マシでしょうが』
それは全くその通りで、俺は反論ができなかった。
『しかも入院費をたてにアパートメントに囲い込んで、純潔まで奪った。話だけ聞いたら、殿下は恋愛小説で出てくる、ヒロインの困窮に付け込んで金で買う成金男みたいですよ』
『……俺が、エルシーと寝たのを非難しているのか?』
『普通にダメでしょ。……でもまあ、俺は庶民っすから、男ならしゃあないって思いますけどね。あの状況下で我慢できるとしたらよっぽどの聖人か、むしろ不能を疑っちゃいますね。殿下は不能じゃない、普通の男だった。そんだけっしょ』
この下町育ちであけすけなロベルトに、俺は時々辟易することもあるが、救われることも多い。逆に同じ平民でも、ラルフ・シモンズは口では何も言わないが、もともとマックス・アシュバートンの部下で、恩人の娘に手を付けた俺を、快くは思ってはいないようだ。ただエルシーを尊重する様子が見えるので、俺はラルフに彼女の護衛を任せることにした。それと貴族出身のジョナサンとをエルシーにつけ、ニコラス・ハートネル中尉を司令部から追い出して、俺は一件落着のつもりだった。
ハートネルが一層、恨みと歪んだ執着を拗らせるなんて、想像もしていなかった。
それから、俺は数日おきにアパートメントに泊まった。昼間、司令部での取り澄ました表情のエルシーが、夜、俺にだけ見せる媚態に俺はますますのめり込んだ。王都には第三王子アルバートの愛人の噂が回っていたが、俺は気にしなかった。
エルシーが俺のアパートメントに移ってしばらくしてからの、ある金曜日。俺はエルシーと国立歌劇場に出掛けた。
斬新な演出で話題のオペラを観劇し、その後、最近、評判のいいレストランで食事をする予定で予約も入れていた。
マールバラ公爵夫人のレディ・ヴァイオレットにボックスを融通してほしいと頼めば、快く了承の返事が返ってきた。
『演出や衣装が話題だけど、演奏も歌手も素晴らしかったわ。ぜひ、楽しんでいらして』
音楽好きの夫人からはそんな言伝ももらって、俺はエルシーと出かけた。幕間に喉の乾いた俺は、ワインを飲もうとホワイエに降りた。――エルシーも誘ったが、「人ごみはちょっと」と断られた。後から思えば、エルシーと一緒でなくて本当によかった。
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