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終章 ゴーレムの王子は光の妖精の夢を見る
エピローグ*
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ルーセン共和国の首都、アデレーンの駅に俺とエルシーは並んで降り立ち、三日ぶりに外の空気を吸った。
大陸を縦断する国際寝台車会社の本社がある大陸有数の巨大な駅。高い鉄骨を組んだ屋根、何本もの線路とプラットホーム、ざわめく乗客の喧騒、さまざまな外国語が飛び交い、発車のベルや車掌のホイッスルが響く。
エルシーと二人、狭い個室でくっついているのも悪くはないが、少しは空気の入れ替えも必要だ。活気に溢れた駅と斬新な真新しい駅舎、異国的な情緒が、退屈で凝り固まった体と心をほぐしてくれた。
グリージャの王女との縁談の件で、またエルシーに余計な心労をかけてしまった。俺が王子でさえなければ、こんな厄介事に悩まされなくてもいいのに――。
俺はエルシーと手をつないで、ゆっくりとホームの端まで歩く。東へと続く線路の向こうには、大陸の南北を分かつクレヴァネス山脈が、真っ白な雪を戴いて青い山塊を横たえ、上空は白くけぶっていた。エルシーは山を見つめて言った。
「山の上にはもう、冬が来ているのね……」
「そうだな。次の日曜は待降節だ。……エルシーと聖誕節を過ごすのは初めてだな」
エルシーが俺を振り向いて微笑んだ。――少し、寂しそうな笑み。そうしてまた、山へと視線を移す。
――聖誕節を一緒に過ごせるはずがない、と思っているのかもしれない。実際、ステファニーとの婚約が議会を通過してしまった以上、俺の婚約者はステファニーということに、公式にはなっている。婚約者を捨て置いて、愛人と休暇を過ごせば、世論の批判を浴びる。……俺もだが、非難はエルシーに向かうことは容易に想像できた。
でも――俺が愛しているのはエルシーただ一人で、俺が結婚するつもりでいるのも、エルシーただ一人なのに……。
俺は、山を見つめているエルシーのこめかみにキスを落とす。
「エルシー……その……お前がまだ喪中だってのはわかってるんだが……」
「……リジー?」
エルシーが不審げに俺を見上げる。
「……愛してる。……したい」
「……ここで? 今?」
いくら何でも、こんな衆人環視の場でエルシーを抱くようなマネをするわけない。自分の信用のなさに、内心、がっくりする。……エルシーのあられもない姿を人にさらすわけがないじゃないか。俺だけのものなんだから。
「いや、今じゃなくて……その、夜に」
「……でも、あそこで?」
エルシーが目を剥く。
王族専用車両の個室は普通の個室の倍ぐらいはあるが、ベッドは普通のシングルサイズだ。無理矢理、添い寝しているけれど、セックスするには狭い。
でも、俺の我慢もそろそろ限界だった。おばあ様がなくなってから、もう、二週間近くエルシーに触れていない。
「無理強いはしたくない、でも……不安なんだ。お前が、俺から離れてしまうんじゃないかって……」
エルシーがブルーグレーの瞳を大きく見開いて、俺を見つめた。
「不安だなんて、そんな……」
その夜、狭い個室のベッドの上で、俺はエルシーに愛を乞うた。
――俺が、王子だという理由で、俺を棄てないでくれ。俺は、王家の血筋を伝えるスペアとして作られた泥人形に過ぎないけれど、でも心はある。俺は生涯、エルシーだけを愛しているから――。
エルシーはゴーレムの呪いのことも、呪文のことも、額の文字を一つ消すと俺が粘土に戻ることも、知らない。
そんな禍々しいものとは無縁に育ったから。だから俺の、不安にも気づかなったのかもしれない。
俺が、何もかも失い、経済的にも追いつめられた、エルシーの苦境に気づけなかったように――。
エルシーが、俺に抱き着いて言った。
「リジー……全部、忘れてしまったわたしを、許してくれるの?」
俺はエルシーを抱きしめ返す。
「当たり前だ。……忘れられてショックだった。でも、俺こそ、正体も明かさずに、力ずくでお前を抱いて、傷つけた。でも愛してる、お前だけが、俺がゴーレムじゃなくて人間だと証明してくれる。エルシー……」
エルシーが俺の身体を押し返し、不思議そうに言う。
「……ゴーレムって、いったい何のことです?」
「ゴーレムは土でできた人形だ」
「……は?」
俺は上手く説明できなくて、しどろもどろになる。
「その……魔術で作られて、魔術師の言うままに動くんだ。……額に〈emeth〉って文字が書かれていて、その最初に一文字を消すと〈meth〉になって、粘土に返る」
「……意味がわからないわ」
「〈emeth〉は真実、〈meth〉は死だ。〈e〉は最初の、一番大切な文字」
エルシーはしばらく、至近距離で俺を見つめて、瞬きをした。
「殿下の額には何も書いてないわよ? 誰がそんなくだらないことを」
「……王妃が……俺は呪われたゴーレムだからって……」
エルシーは大きく目を見開くと、背伸びをして俺の額に口づけた。
「リジー、わたし、あなたが好き。昔のあなたも、今の、殿下も。――たとえ、土でできたゴーレムだとしても」
俺はその言葉を聞いて、すぐさまエルシーの唇を塞ぐ。もうそれ以上我慢なんてできなくて、さんざんに唇を貪ってから、エルシーを無理矢理ベッドに押し倒しす。当然、エルシーが抵抗した。
「ダメ……やっぱりまだ、喪中で……」
「エルシー……ビルツホルンについたら、大聖堂で一緒に懺悔しよう。だから……」
「な、そういう問題じゃ……」
「聖ゲオルグ大聖堂は世界三大大聖堂の一つで、ゴシック様式の尖塔と内部のステンドグラスが有名だ。見たいだろう?」
「そ、それはもちろん見たいですが……」
「内陣にある聖母像も有名だ、近くて見たいだろう?」
「そ、それも見たいですが……」
「じゃあ、決まりだ……脱がすぞ?」
「ちょっと……!リジー、だめっ、ああっ……ゴーレムだったら、少しは言うこと聞いてよ!」
しばらく禁欲を強いられていた俺は、かなり強引にエルシーのドレスを剥ぎ取ろうとしたが、ドレスを破く人は嫌いと言われて、しぶしぶゆっくり脱がし、さらにドレスをクローゼットに仕舞にいかされた。――エルシーはゴーレムを小間使いか何かと勘違いしている。
が、クローゼットから戻った俺は、エルシーのガーターベルトとかいう下着を見て、いきなりテンションが上がった。なんだこの、最高にエロい下着! 発明した奴は天才だ!
――今まで、速攻で全裸に剥いて悦に入っていた俺はとんだ大バカ者だ。本当になんてもったいないことを。
俺は絹のスリップをたくし上げ、エルシーの膝裏を掴んで、ストッキングを穿いたままの両足を広げる。黒いレースのベルトからつながる黒いリボンが、黒いストッキングを留めている。エルシーの白い太ももに黒いリボンとレースが映えて、あまりのエロさに鼻血を噴きそうだった。
「ストッキングを脱がないと……」
「いや、今夜はこのままヤる。エロ過ぎてもう、我慢できない……」
俺はエルシーの脚の付け根に顔を埋め、敏感な場所を舌で愛撫する。シャワーを浴びていないとかなんとか騒いでいたが、そんなことよりも早く飢えを充たしたかった。俺の舌であっさりとエルシーは陥落して、やすやすと俺の侵入を許す。痛いほど昂った剛直をエルシーの中に突き立てれば、久しぶりの交接にエルシーが悲鳴をあげた。信じられないほど中は狭くて、熱くて――気を抜いたら一瞬で果ててしまう。でもできる限り長くつながっていたくて、俺は奥歯を噛みしめて射精を堪えた。
「あああっ……」
「ううっ……エルシー……好きだ、本当に好きなんだ……」
「んっ……ああっ……り、りじっ……ああっ、あっ……」
規則正しい列車の音と、ベッドの軋む音。エルシーの中が俺を締め付け、俺を包み込む。交わる体、触れ合う肌、絡まり合う吐息。細く折れそうな身体を抱きしめ、俺はエルシーの中を穿つ。
――わたしもあなたが好き。昔のあなたも、今の、殿下も――
エルシーはいつも、暗闇で迷う俺に、一番欲しい言葉をくれる。俺が生きる道を照らす、小さな光。
過去の俺も、現在の俺も、出会ったあの日からずっとエルシーだけを愛してきた。
未来の幸せはまだ、約束されてはいない。でも――。
俺がエルシーただ一人を愛し続けることは、きっと変わらない。ずっと、ただ一人だけ。
たぶんそれが、俺の額に刻まれた〈emeth〉。
いつの日か、それが〈meth〉に変わるその時まで――。
大陸を縦断する国際寝台車会社の本社がある大陸有数の巨大な駅。高い鉄骨を組んだ屋根、何本もの線路とプラットホーム、ざわめく乗客の喧騒、さまざまな外国語が飛び交い、発車のベルや車掌のホイッスルが響く。
エルシーと二人、狭い個室でくっついているのも悪くはないが、少しは空気の入れ替えも必要だ。活気に溢れた駅と斬新な真新しい駅舎、異国的な情緒が、退屈で凝り固まった体と心をほぐしてくれた。
グリージャの王女との縁談の件で、またエルシーに余計な心労をかけてしまった。俺が王子でさえなければ、こんな厄介事に悩まされなくてもいいのに――。
俺はエルシーと手をつないで、ゆっくりとホームの端まで歩く。東へと続く線路の向こうには、大陸の南北を分かつクレヴァネス山脈が、真っ白な雪を戴いて青い山塊を横たえ、上空は白くけぶっていた。エルシーは山を見つめて言った。
「山の上にはもう、冬が来ているのね……」
「そうだな。次の日曜は待降節だ。……エルシーと聖誕節を過ごすのは初めてだな」
エルシーが俺を振り向いて微笑んだ。――少し、寂しそうな笑み。そうしてまた、山へと視線を移す。
――聖誕節を一緒に過ごせるはずがない、と思っているのかもしれない。実際、ステファニーとの婚約が議会を通過してしまった以上、俺の婚約者はステファニーということに、公式にはなっている。婚約者を捨て置いて、愛人と休暇を過ごせば、世論の批判を浴びる。……俺もだが、非難はエルシーに向かうことは容易に想像できた。
でも――俺が愛しているのはエルシーただ一人で、俺が結婚するつもりでいるのも、エルシーただ一人なのに……。
俺は、山を見つめているエルシーのこめかみにキスを落とす。
「エルシー……その……お前がまだ喪中だってのはわかってるんだが……」
「……リジー?」
エルシーが不審げに俺を見上げる。
「……愛してる。……したい」
「……ここで? 今?」
いくら何でも、こんな衆人環視の場でエルシーを抱くようなマネをするわけない。自分の信用のなさに、内心、がっくりする。……エルシーのあられもない姿を人にさらすわけがないじゃないか。俺だけのものなんだから。
「いや、今じゃなくて……その、夜に」
「……でも、あそこで?」
エルシーが目を剥く。
王族専用車両の個室は普通の個室の倍ぐらいはあるが、ベッドは普通のシングルサイズだ。無理矢理、添い寝しているけれど、セックスするには狭い。
でも、俺の我慢もそろそろ限界だった。おばあ様がなくなってから、もう、二週間近くエルシーに触れていない。
「無理強いはしたくない、でも……不安なんだ。お前が、俺から離れてしまうんじゃないかって……」
エルシーがブルーグレーの瞳を大きく見開いて、俺を見つめた。
「不安だなんて、そんな……」
その夜、狭い個室のベッドの上で、俺はエルシーに愛を乞うた。
――俺が、王子だという理由で、俺を棄てないでくれ。俺は、王家の血筋を伝えるスペアとして作られた泥人形に過ぎないけれど、でも心はある。俺は生涯、エルシーだけを愛しているから――。
エルシーはゴーレムの呪いのことも、呪文のことも、額の文字を一つ消すと俺が粘土に戻ることも、知らない。
そんな禍々しいものとは無縁に育ったから。だから俺の、不安にも気づかなったのかもしれない。
俺が、何もかも失い、経済的にも追いつめられた、エルシーの苦境に気づけなかったように――。
エルシーが、俺に抱き着いて言った。
「リジー……全部、忘れてしまったわたしを、許してくれるの?」
俺はエルシーを抱きしめ返す。
「当たり前だ。……忘れられてショックだった。でも、俺こそ、正体も明かさずに、力ずくでお前を抱いて、傷つけた。でも愛してる、お前だけが、俺がゴーレムじゃなくて人間だと証明してくれる。エルシー……」
エルシーが俺の身体を押し返し、不思議そうに言う。
「……ゴーレムって、いったい何のことです?」
「ゴーレムは土でできた人形だ」
「……は?」
俺は上手く説明できなくて、しどろもどろになる。
「その……魔術で作られて、魔術師の言うままに動くんだ。……額に〈emeth〉って文字が書かれていて、その最初に一文字を消すと〈meth〉になって、粘土に返る」
「……意味がわからないわ」
「〈emeth〉は真実、〈meth〉は死だ。〈e〉は最初の、一番大切な文字」
エルシーはしばらく、至近距離で俺を見つめて、瞬きをした。
「殿下の額には何も書いてないわよ? 誰がそんなくだらないことを」
「……王妃が……俺は呪われたゴーレムだからって……」
エルシーは大きく目を見開くと、背伸びをして俺の額に口づけた。
「リジー、わたし、あなたが好き。昔のあなたも、今の、殿下も。――たとえ、土でできたゴーレムだとしても」
俺はその言葉を聞いて、すぐさまエルシーの唇を塞ぐ。もうそれ以上我慢なんてできなくて、さんざんに唇を貪ってから、エルシーを無理矢理ベッドに押し倒しす。当然、エルシーが抵抗した。
「ダメ……やっぱりまだ、喪中で……」
「エルシー……ビルツホルンについたら、大聖堂で一緒に懺悔しよう。だから……」
「な、そういう問題じゃ……」
「聖ゲオルグ大聖堂は世界三大大聖堂の一つで、ゴシック様式の尖塔と内部のステンドグラスが有名だ。見たいだろう?」
「そ、それはもちろん見たいですが……」
「内陣にある聖母像も有名だ、近くて見たいだろう?」
「そ、それも見たいですが……」
「じゃあ、決まりだ……脱がすぞ?」
「ちょっと……!リジー、だめっ、ああっ……ゴーレムだったら、少しは言うこと聞いてよ!」
しばらく禁欲を強いられていた俺は、かなり強引にエルシーのドレスを剥ぎ取ろうとしたが、ドレスを破く人は嫌いと言われて、しぶしぶゆっくり脱がし、さらにドレスをクローゼットに仕舞にいかされた。――エルシーはゴーレムを小間使いか何かと勘違いしている。
が、クローゼットから戻った俺は、エルシーのガーターベルトとかいう下着を見て、いきなりテンションが上がった。なんだこの、最高にエロい下着! 発明した奴は天才だ!
――今まで、速攻で全裸に剥いて悦に入っていた俺はとんだ大バカ者だ。本当になんてもったいないことを。
俺は絹のスリップをたくし上げ、エルシーの膝裏を掴んで、ストッキングを穿いたままの両足を広げる。黒いレースのベルトからつながる黒いリボンが、黒いストッキングを留めている。エルシーの白い太ももに黒いリボンとレースが映えて、あまりのエロさに鼻血を噴きそうだった。
「ストッキングを脱がないと……」
「いや、今夜はこのままヤる。エロ過ぎてもう、我慢できない……」
俺はエルシーの脚の付け根に顔を埋め、敏感な場所を舌で愛撫する。シャワーを浴びていないとかなんとか騒いでいたが、そんなことよりも早く飢えを充たしたかった。俺の舌であっさりとエルシーは陥落して、やすやすと俺の侵入を許す。痛いほど昂った剛直をエルシーの中に突き立てれば、久しぶりの交接にエルシーが悲鳴をあげた。信じられないほど中は狭くて、熱くて――気を抜いたら一瞬で果ててしまう。でもできる限り長くつながっていたくて、俺は奥歯を噛みしめて射精を堪えた。
「あああっ……」
「ううっ……エルシー……好きだ、本当に好きなんだ……」
「んっ……ああっ……り、りじっ……ああっ、あっ……」
規則正しい列車の音と、ベッドの軋む音。エルシーの中が俺を締め付け、俺を包み込む。交わる体、触れ合う肌、絡まり合う吐息。細く折れそうな身体を抱きしめ、俺はエルシーの中を穿つ。
――わたしもあなたが好き。昔のあなたも、今の、殿下も――
エルシーはいつも、暗闇で迷う俺に、一番欲しい言葉をくれる。俺が生きる道を照らす、小さな光。
過去の俺も、現在の俺も、出会ったあの日からずっとエルシーだけを愛してきた。
未来の幸せはまだ、約束されてはいない。でも――。
俺がエルシーただ一人を愛し続けることは、きっと変わらない。ずっと、ただ一人だけ。
たぶんそれが、俺の額に刻まれた〈emeth〉。
いつの日か、それが〈meth〉に変わるその時まで――。
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