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弐、破鏡不照
七、
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連行されていく夫の後ろ姿を見送り、呆然自失していた紫玲は、徐公公に長袍を肩に着せかけられ、ハッと我に返る。
「あなたは――」
伯祥が、唯一信頼できると言った宦官。
「奴才は皇上の命を受けて、あなたさまを宮中にお迎えに参りました」
「宮中に? わたしを?」
「伯祥殿下から、お聞き及びでない」
「いいえ、何も?」
昨夜戻っていきた伯祥は様子がおかしく、必要なことすら伝えきれていないのに。
――子供のことも、何も――
「立てますか? あの隊長、どうやら捕縛された者の妻子を慰み者にしていたようですな。証拠を集め、告発しなければなりません」
紫玲がゴクリと唾を飲み込んだ。
「わたしは大丈夫、立てます。でも、わたしがなぜ、宮中に?」
「皇上がそれをお望みだからです」
パンパンと徐公公が手を打つと、騒ぎに怯えて隠れていた侍女たちが戸口から顔を覗かせる。まだ若い侍女は恐怖で涙ぐみ、震えていた。
「太太……」
「大丈夫よ……わたしは、大丈夫」
侍女を安心させようと微笑むと、徐公公が侍女に命じた。
「この後、妃殿下は参内します。それにふさわしい装いを。それから、しばらくこの家には戻れないでしょう。必要なもの、大切なものは持って出た方がよい」
徐公公の言葉に、紫玲がハッとする。
「書斎の……」
だが、立ち上がろうとした紫玲の肩を、徐公公の大きな手が掴んで止める。
「書斎のものはいっさい、手をつけてはなりません。それは伯祥殿下のもので、重要な証拠物品となります。持ち出せるのは、あなたのものだけです」
「証拠……」
紫玲が呆然と徐公公を見上げる。
「そんなもの、あるわけないわ! だって伯祥さまが謀反なんてありえないもの!」
徐公公が少しだけ、端麗な眉を寄せる。
「ええ……そうでしょう。奴才は昔からあの方にお仕えし、あの方の為人をよく存じ上げております。でも、そんなものは関係ないのです」
「いったい、何が……」
徐公公が静かに首を振る。
「詳しくお話しいたします。ですがその前に、身支度を。奴才は宦官ではございますが、裸に近い高貴なご婦人と相対すべきではありません」
徐公公に言われて、紫玲は改めて自身の姿を見下ろし、羞恥に頬を染めた。
侍女の手伝いで身支度を整え、少し改まった襦裙に帔子を纏って、紫玲は化粧を済ませると、手持ちの宝石匣を開けて侍女に言った。
「この中の好きなものを上げるわ。たいしたものはないけど、餞別代りにもらって」
「太太……」
遠慮する侍女の手に簪を押し付け、残りを巾着袋に入れる。白絹の手巾に片割れの鏡を包み、それも巾着に入れて懐にしまった。嫁ぐとき、親が僅かながら用意したものと、伯祥に贈られたもの。それ以外には特に持っていきたいものはない。
――この先、どうなるのか……
皇帝の命に逆らったからだと、伯祥は言っていた。
皇帝と伯祥の間に、何があったのか。そして、自分が宮中に行かねばならぬ理由は。
うっすら予想できる結論は、紫玲にとって、認めがたいものだ。
だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
紫玲は心を決め、徐公公を呼んだ。
「お仕度ができましたならば、馬車にどうぞ。説明はその中で」
徐公公は紫玲の荷物の少なさに一瞬だけ目を眇めたが、それ以上は何も言わず、紫玲を馬車へと導く。
主人が逮捕された邸内は落ち着かず、御史の役人が伯祥の書斎から書籍などを運び出していた。
見送りに出た執事は青ざめてはいたがさすがに落ち着きを取り戻しており、紫玲に頭を下げた。
「お戻りをお待ちします」
「苦労をかけますが、後始末、よろしくお願いします……」
魏王府のものではなく、徐公公の用意した馬車に乗り込めば、後から徐公公が乗ってきた。相手は宦官とはいえ、狭い車内に二人きりなのは決まり悪く、紫玲は身を縮める。
「ご安心ください。奴才は宦官ですから」
「それは、存じておりますけれど」
紫玲が困惑して下を向く。馬車の窓には簾が降ろされていて、外から中は見えないはずだ。
馬車が静かに走り出し、静かな振動が伝わってくる。
ガラガラガラ……馬車の車輪の音に紛らすように、徐公公が話し始めた。
「昨日、魏王殿下がご参内なさったのはご存じと思いますが」
徐公公に言われ、紫玲は頷く。
「殿下について密告がございました」
「密告?」
紫玲がハッと顔を上げる。
「密告とは……伯祥さまが、謀叛をたくらんでいるというものですか?」
「ええ。もちろん、殿下は否定なさいました。密告の内容も曖昧なものでしたが、皇上はそれを理由に、殿下に取引を持ち掛けたのです」
「取引……」
紫玲の胸がドキリと跳ねる。
「あなたさまを後宮に差し出せば、すべてを不問に付した上、所領も増し、新たな妃を娶らせてやる、と」
ひゅっと紫玲が声にならない悲鳴を上げた。
「そんな……」
徐公公が痛ましそうに視線を逸らし、ため息をつく。
「もちろん、殿下は拒否なさった。妻を売ることはできないし、子の妻を奪うなど、天子と雖も許されざる暴挙だと、皇上を批判なさった」
紫玲が両手で顔を覆う。――どうしてそんな!
これ以上、聞きたくなかった。耳を塞ぎたい。でも――
「それで、陛下は伯祥さまをお怒りになったのですね……」
「ええ。謀叛の証拠など、いくらでもでっち上げられる。魏王殿下が自ら妻を差し出せば罪は揉み消したが、そうでなければ謀叛の罪で破滅させ、妻を召し上げる――」
「そんな――」
紫玲は頭を抱え、首を振った。
「魏王殿下は一晩の猶予を願ったのです。せめて最後の夜をあなたさまと過ごすために」
徐公公の言葉に、紫玲は腰を浮かし、馬車の垂れ幕に向かう。
「降ります! 降ろして! わたしは伯祥さまの元に参ります!」
だが、行動を予測していた徐公公は紫玲の手首を捕まえ、ぐいと引き戻す。
「なりません!」
「いいえ! 離して! 夫が罪人だと言うならば、わたしもあの方と一緒に――」
だが徐公公は大きな手で紫玲を押さえ付け、耳元で囁く。
「静かに! 妃殿下、騒いではなりません。……あなたさまは無力だ。ですが、あなたさま以外、殿下を救える者はおりません」
「徐公公……?」
紫玲が落ち着いたのを待って、徐公公が手を離す。
「失礼を致しました。馬車の中ではお静かに願います」
狭い馬車の中で膝を突き合わすように座り直し、紫玲が徐公公に問いかける。
「どういう意味です? わたしが、伯祥さまを救える? どうやって?」
「皇上はあなたさまさえ手に入れば、魏王殿下に咎めと下すつもりはなかった。……有り体に申し上げれば、魏王殿下などどうでもよかったのです。あたなさまを差し出せば、褒美と取らせてもよいとすら考えていた。要するに、あなたさまが皇上の思し召しに従えば、ご機嫌を直すに違いありません。あなたさまから殿下の命乞いをなされば、お聞き入れくださるかもしれない。それ以外には、魏王殿下をお救いする手段はございません」
噛んで含めるように言われて、紫玲はゴクリと唾を飲み込んだ。
「……でも、それって……」
皇帝の思し召しに従う――つまり、皇帝の御寝に侍るということだ。それは妻として夫伯祥を裏切り、夫の父と通じるということ。
「そんなこと、無理よ!」
紫玲は悲鳴のような声を上げた。
「そんな汚らわしい! 賢聖の教えに反する行いです! そんな、そんなの――」
紫玲の家は代々、聖賢の教えを奉じてきた。曾祖父は国子学の教授でもある。当然のように、礼節と道徳を叩きこまれてきたのだ。その道に反することなど、到底、耐えられない――
「お父様が知ったら、なんて仰るか――」
「落ち着いて。皇上の思し召しを拒めば、どうなるか。魏王殿下のお命どころか、あなたさまのご家族にも累が及ぶでしょう。……父上や母上、兄上……ご実家には幼い妹君もいらっしゃると聞いております」
徐公公の言葉に、紫玲の心が冷えていく。
結婚が決まった時、父母は栄誉なことと言いながら、あまり喜んではいなかった。
力のない、不遇の皇子の妃になっても、むしろ厄介事ばかりが増えるのだと予測していた。
それでも、六礼を交わすうちに、父は伯祥の誠実さを好ましく思い、母は紫玲がいい夫とめぐり合ったことを寿いでくれた。だがその結婚が、家族に大きな不幸を呼ぶことになるなんて。
ガラガラと馬車の車輪の音が空しく響く。
紫玲は、自身の命運が暗闇へと暗転したのを知った。
懐に入れた鏡を確かめるように、胸を押さえる。
一組の夫婦は、鏡のように砕かれた。
天子の、気まぐれによって――
「あなたは――」
伯祥が、唯一信頼できると言った宦官。
「奴才は皇上の命を受けて、あなたさまを宮中にお迎えに参りました」
「宮中に? わたしを?」
「伯祥殿下から、お聞き及びでない」
「いいえ、何も?」
昨夜戻っていきた伯祥は様子がおかしく、必要なことすら伝えきれていないのに。
――子供のことも、何も――
「立てますか? あの隊長、どうやら捕縛された者の妻子を慰み者にしていたようですな。証拠を集め、告発しなければなりません」
紫玲がゴクリと唾を飲み込んだ。
「わたしは大丈夫、立てます。でも、わたしがなぜ、宮中に?」
「皇上がそれをお望みだからです」
パンパンと徐公公が手を打つと、騒ぎに怯えて隠れていた侍女たちが戸口から顔を覗かせる。まだ若い侍女は恐怖で涙ぐみ、震えていた。
「太太……」
「大丈夫よ……わたしは、大丈夫」
侍女を安心させようと微笑むと、徐公公が侍女に命じた。
「この後、妃殿下は参内します。それにふさわしい装いを。それから、しばらくこの家には戻れないでしょう。必要なもの、大切なものは持って出た方がよい」
徐公公の言葉に、紫玲がハッとする。
「書斎の……」
だが、立ち上がろうとした紫玲の肩を、徐公公の大きな手が掴んで止める。
「書斎のものはいっさい、手をつけてはなりません。それは伯祥殿下のもので、重要な証拠物品となります。持ち出せるのは、あなたのものだけです」
「証拠……」
紫玲が呆然と徐公公を見上げる。
「そんなもの、あるわけないわ! だって伯祥さまが謀反なんてありえないもの!」
徐公公が少しだけ、端麗な眉を寄せる。
「ええ……そうでしょう。奴才は昔からあの方にお仕えし、あの方の為人をよく存じ上げております。でも、そんなものは関係ないのです」
「いったい、何が……」
徐公公が静かに首を振る。
「詳しくお話しいたします。ですがその前に、身支度を。奴才は宦官ではございますが、裸に近い高貴なご婦人と相対すべきではありません」
徐公公に言われて、紫玲は改めて自身の姿を見下ろし、羞恥に頬を染めた。
侍女の手伝いで身支度を整え、少し改まった襦裙に帔子を纏って、紫玲は化粧を済ませると、手持ちの宝石匣を開けて侍女に言った。
「この中の好きなものを上げるわ。たいしたものはないけど、餞別代りにもらって」
「太太……」
遠慮する侍女の手に簪を押し付け、残りを巾着袋に入れる。白絹の手巾に片割れの鏡を包み、それも巾着に入れて懐にしまった。嫁ぐとき、親が僅かながら用意したものと、伯祥に贈られたもの。それ以外には特に持っていきたいものはない。
――この先、どうなるのか……
皇帝の命に逆らったからだと、伯祥は言っていた。
皇帝と伯祥の間に、何があったのか。そして、自分が宮中に行かねばならぬ理由は。
うっすら予想できる結論は、紫玲にとって、認めがたいものだ。
だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
紫玲は心を決め、徐公公を呼んだ。
「お仕度ができましたならば、馬車にどうぞ。説明はその中で」
徐公公は紫玲の荷物の少なさに一瞬だけ目を眇めたが、それ以上は何も言わず、紫玲を馬車へと導く。
主人が逮捕された邸内は落ち着かず、御史の役人が伯祥の書斎から書籍などを運び出していた。
見送りに出た執事は青ざめてはいたがさすがに落ち着きを取り戻しており、紫玲に頭を下げた。
「お戻りをお待ちします」
「苦労をかけますが、後始末、よろしくお願いします……」
魏王府のものではなく、徐公公の用意した馬車に乗り込めば、後から徐公公が乗ってきた。相手は宦官とはいえ、狭い車内に二人きりなのは決まり悪く、紫玲は身を縮める。
「ご安心ください。奴才は宦官ですから」
「それは、存じておりますけれど」
紫玲が困惑して下を向く。馬車の窓には簾が降ろされていて、外から中は見えないはずだ。
馬車が静かに走り出し、静かな振動が伝わってくる。
ガラガラガラ……馬車の車輪の音に紛らすように、徐公公が話し始めた。
「昨日、魏王殿下がご参内なさったのはご存じと思いますが」
徐公公に言われ、紫玲は頷く。
「殿下について密告がございました」
「密告?」
紫玲がハッと顔を上げる。
「密告とは……伯祥さまが、謀叛をたくらんでいるというものですか?」
「ええ。もちろん、殿下は否定なさいました。密告の内容も曖昧なものでしたが、皇上はそれを理由に、殿下に取引を持ち掛けたのです」
「取引……」
紫玲の胸がドキリと跳ねる。
「あなたさまを後宮に差し出せば、すべてを不問に付した上、所領も増し、新たな妃を娶らせてやる、と」
ひゅっと紫玲が声にならない悲鳴を上げた。
「そんな……」
徐公公が痛ましそうに視線を逸らし、ため息をつく。
「もちろん、殿下は拒否なさった。妻を売ることはできないし、子の妻を奪うなど、天子と雖も許されざる暴挙だと、皇上を批判なさった」
紫玲が両手で顔を覆う。――どうしてそんな!
これ以上、聞きたくなかった。耳を塞ぎたい。でも――
「それで、陛下は伯祥さまをお怒りになったのですね……」
「ええ。謀叛の証拠など、いくらでもでっち上げられる。魏王殿下が自ら妻を差し出せば罪は揉み消したが、そうでなければ謀叛の罪で破滅させ、妻を召し上げる――」
「そんな――」
紫玲は頭を抱え、首を振った。
「魏王殿下は一晩の猶予を願ったのです。せめて最後の夜をあなたさまと過ごすために」
徐公公の言葉に、紫玲は腰を浮かし、馬車の垂れ幕に向かう。
「降ります! 降ろして! わたしは伯祥さまの元に参ります!」
だが、行動を予測していた徐公公は紫玲の手首を捕まえ、ぐいと引き戻す。
「なりません!」
「いいえ! 離して! 夫が罪人だと言うならば、わたしもあの方と一緒に――」
だが徐公公は大きな手で紫玲を押さえ付け、耳元で囁く。
「静かに! 妃殿下、騒いではなりません。……あなたさまは無力だ。ですが、あなたさま以外、殿下を救える者はおりません」
「徐公公……?」
紫玲が落ち着いたのを待って、徐公公が手を離す。
「失礼を致しました。馬車の中ではお静かに願います」
狭い馬車の中で膝を突き合わすように座り直し、紫玲が徐公公に問いかける。
「どういう意味です? わたしが、伯祥さまを救える? どうやって?」
「皇上はあなたさまさえ手に入れば、魏王殿下に咎めと下すつもりはなかった。……有り体に申し上げれば、魏王殿下などどうでもよかったのです。あたなさまを差し出せば、褒美と取らせてもよいとすら考えていた。要するに、あなたさまが皇上の思し召しに従えば、ご機嫌を直すに違いありません。あなたさまから殿下の命乞いをなされば、お聞き入れくださるかもしれない。それ以外には、魏王殿下をお救いする手段はございません」
噛んで含めるように言われて、紫玲はゴクリと唾を飲み込んだ。
「……でも、それって……」
皇帝の思し召しに従う――つまり、皇帝の御寝に侍るということだ。それは妻として夫伯祥を裏切り、夫の父と通じるということ。
「そんなこと、無理よ!」
紫玲は悲鳴のような声を上げた。
「そんな汚らわしい! 賢聖の教えに反する行いです! そんな、そんなの――」
紫玲の家は代々、聖賢の教えを奉じてきた。曾祖父は国子学の教授でもある。当然のように、礼節と道徳を叩きこまれてきたのだ。その道に反することなど、到底、耐えられない――
「お父様が知ったら、なんて仰るか――」
「落ち着いて。皇上の思し召しを拒めば、どうなるか。魏王殿下のお命どころか、あなたさまのご家族にも累が及ぶでしょう。……父上や母上、兄上……ご実家には幼い妹君もいらっしゃると聞いております」
徐公公の言葉に、紫玲の心が冷えていく。
結婚が決まった時、父母は栄誉なことと言いながら、あまり喜んではいなかった。
力のない、不遇の皇子の妃になっても、むしろ厄介事ばかりが増えるのだと予測していた。
それでも、六礼を交わすうちに、父は伯祥の誠実さを好ましく思い、母は紫玲がいい夫とめぐり合ったことを寿いでくれた。だがその結婚が、家族に大きな不幸を呼ぶことになるなんて。
ガラガラと馬車の車輪の音が空しく響く。
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