家政夫は大変です

蒼龍葵

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第一部 久住家にようこそ

変態とうさぎさん

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 部屋と二階の廊下を掃除していると、瑛太がひょっこり部屋から出てきた。

「綾人、今日は一緒に視察に出かけない?」

 掃除機のスイッチを切り、付き添いしますと首を縦に振る。すぐさま手を引かれて瑛太さんの部屋に入る形になる。そうだった、この人はエログッズを作っている人だから嫌な予感しかしない。

「今日は、ウサギちゃんです」

 黒いふわふわの尻尾の先には明らかに尻尾とは全く関係のない怪しいものがくっついているように見えた。ウサギ、なのか?

「瑛太さん、それって……やっぱり玩具ですよね……」
「そっ。見た目はふわふわで可愛いでしょう? じゃ、とりあえず綾人、うつぶせて」
「はぁ……」

 雇い主に逆らってもどうしようもないので諦めてうつぶせになる。
 彼は楽しそうにウサギさんの尻尾を俺の蕾に押し入れてきた。

「う、うぅっ……」

 圧迫感は感じたものの、1ミリ経のそれはジェルの力を借りて中に納まった。

「痛くないでしょう? ちょっとこれはまだ試作品なんだけど、色々試したくて」

 いや、確かに痛くはなかったけど、試すって何だ試すって! この細い物体がどうなるのか分からなくて怖い。

「あと、パンツはこっちね。トランクスじゃ似合わないから」

 そこまでコーディネートしなくたっていいのにっ!! 黒いビキニとか渡されても本気で困る!
 でも瑛太さんに逆らって変なビデオとか撮られても怖いし、敵に回さない方がいい気がする。これは、俺の勘がそう告げている。

 視察の話は本当らしい。電車での移動は拷問の始まりだった。
 瑛太が持つスイッチを押すと、中に入れたあの細い棒に微妙な振動を与えることが出来るらしい。
 ウサギの尻尾が尻の後ろでふわふわ揺れているが、それはチノパンに圧迫されて誰かに見られる心配はない。
 ただ、電車の急ブレーキや、瑛太さんが気まぐれにスイッチの段階を変える度に中の異物が微妙な刺激を与え続けている。

「んん……」
「こら、公共の場でそんなえっちな声出したらダメだよ、綾人」

 耳元で熱い吐息混じりに囁かれるだけで下腹部がずんと疼く。
 誰のせいだ、誰の!
 心の裡でそう悪態を吐いても勿論本人に言える訳がない。
 
 今日は瑛太が経営するビジネスホテル<元・ラブホ>の視察を兼ねての移動だった。
 彼はいつもと違うストライプが入ったお洒落なオーダーメイドのスーツを着こなし、愁一さんとはまた違うセクシーなトワレが鼻腔を擽った。
 一方の俺も同じようにスーツを着せられていたが、その下は黒いビキニパンツに黒ウサギの尻尾とアレを突っ込まれた何とも厭らしい状態にされている。誰かに見られることは無いだろうが、移動だけでも十分すぎる程の羞恥プレイだ。
 やっぱりAVグッズ作成を生業(なりわい)としている人にとってはこういう日常でのプレイも日々のネタなのだろうか?

「あの、瑛太さん……あと何駅?」
「2駅で降りて、そこから徒歩5分ってトコかな?」

 持つかな……この躰。
 息を殺して必死に振動に耐える。こんな人の多い場所で醜態を曝すわけにはいかないのだから。



 目的のホテルに到着してからスタッフミーティングに付き合わされたが、話が全く入ってこない。
 ミーティング中に瑛太が意地悪にボタンを操作して綾人の中で蠢く異物をいじっているせいだ。
 時折顔を赤らめて必死に耐える綾人を横目で小悪魔のような笑みを浮かべて見つめている。
 完全なドSだ……鬼畜すぎる。
 トイレに逃げ込みたい気分だったが、それも赦されない。

「ちょっと、失礼……」

 ミーティングが終わった瞬間、瑛太の横までよろける足で歩き、その肩口に顔を埋める。

「瑛太さん、俺……もう、無理です」
「うん、じゃあ上の部屋行こっか」

 瑛太は俺を姫抱きすると使用人にスイートルームを取るよう声をかけ、案内された部屋のベッドの上に優しく下ろしてくれた。
 柔らかいスプリングにほっとしたのもつかの間で、再び尻の間で異物が蠢く。

「あ、あぁっ……瑛太さん、これ……おっきくなってる?」
「そうそう。時間と共に5ミリくらいまで大きくなる設定なんだ。なかなか刺激的でしょう?」

 刺激的とかの問題じゃない。むしろ抜けなくなったらどうするんだ。しかも大きくなったそれが内壁を掻き回している。
 振動レベルの主導権は瑛太さんが握っているし、苦しい。

「くる、し……もう……イきたい…」

 震える手でスーツのベルトを外していると、その手をやんわりと掴まれた。

「あっ──!?」

 しかも外したベルトでがっちり腕を縛られ、ヘッドボードに固定される。だから、この兄弟はどうしてみんな手先が器用なんだ。俺が鈍くさいだけなのか?

「え、瑛太さんっ……無理だよ、もう……」
「まだ試してないものがあるんだよ、こっちのウサギさんも使ってみようか?」

 スーツの中で苦しそうにしている綾人のそそりたつ先端に10センチくらいの黒いウサギのマスコットを当ててきた。

「い、ああっ……変、なる」
「こっちのウサギさんはもう前から商品として出てるやつで使い道は沢山あるんだ。尻尾の方が上手く行ったらこれは前専用かな?」

 新しい玩具開発に夢中になっている瑛太はある意味仕事熱心なのかもしれないが、変態プレイに付き合わされるこちらはたまったものじゃない。
 慣れたらまた違う感覚が……って、慣れたらヤバいだろう俺! 瑛太さんといるとこのふわっとした感覚に流されて浮世離れしてしまう。
 色々考えている間に、静かなモーター音がさらにきつく綾人の内壁を扱いた。

「綾人、玩具だけでイってごらん? 腰を動かして、ウサギさんの尻尾を深く奥まで入れて……」
「そ、そんな……無理です、よ……うぅ……」

 尻の中にウサギの尻尾。幹には黒ウサギのマスコットを装着させられた。手前の方は何かと思ったが、肉球のような部分が自動で上下に動いていく。こんな小さなものでどうやって作るのか。

「いっ……いい」
「気持ちいいの?」
「は、い……」

 頭がとろとろでおかしくなりそうだった。しかし、このままイってしまったらこの高そうなスーツがダメになる。

「す、スーツ、脱がしてください……」
「あははっ。着衣セックスはダメかあ。まあ、そんな素直な綾人も可愛いけど」

 違う、そうじゃない。この高そうなスーツが色々なものでベタベタになったらクリーニングだけでは済まない。
 小さい玩具はそこまで悪さをしないと思っていたのがとんでもない誤算だった。

「え、瑛太さ、ん……っイき、そ……」
「可愛いなぁ、綾人は」

 震えている綾人をきゅっと抱きしめ、瑛太は舌を絡める濃厚なキスをしてきた。
 前にくっついている黒いウサギを乱暴に外し、尻の奥で成長した尻尾もわざとグチュグチュと卑猥な音を立てて抜き取る。

「あああっ!!」
「まだいっちゃダメだよ?綾人……何が欲しい?」

 勝手にいかないように俺の半身をぎゅうと握りしめている。吐精が叶わない俺は断続的に与えられる快楽に躰をピクつかせた。

「え、瑛太さんの……が、ほしぃ……」
「はい、よくできました」

 舌ったらずな言い方しかできず、それが良かったのかはさっぱりわからないが、唇を啄まれ、何度も角度を変えてキスをされた。
 肩で息を整える為に喘いでいると、足を大きく左右に開かれ、ぴったりと瑛太の熱があてられる。
 中はウサギさんによって散々掻き回されたせいで、瑛太がやや強引に挿入しても違和感はなく、ただ心地よい快楽の波を与えてくれた。

 この人、玩具に対してはかなり変態なんだけど、その後のエッチが優しいから本当に困る。
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