家政夫は大変です

蒼龍葵

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第一部 久住家にようこそ

堕天使とイケナイプレイ

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 今日から愁一さんは月末まで出張になってしまったらしく、久住家には3人兄弟+俺しかいない。最近本当に愁一さんに会えなくて寂しい。
 ん、寂しいって言ったか俺!? 
 愁一さんは雇い主だから、報告とかあるし、そりゃあ、うん。

「あぁっ……た、匠真、激しっ……」

 匠真さんの部屋前を通過したところで渉さんこ甘い声が聞こえてきた。
 天使のように可愛い渉さんが、変態的な空気を一切表には出さないくせに、やたらエロい言葉攻めしまくってくる匠真さんにどうやって抱かれているのか?

「おわあ!?」
「気になるんだろう? 綾人。えっちだなあやっぱり」

 偶然部屋に戻る前にここを通りすがったら甘い声が響いてきたから立ち止まっただけです!
 そう言っても絶対通じないだろうなあ。

「だって、貴方達がでかい声でヤってりゃあ気になりますよ!」
「ふふっ。こっちにおいで。綾人が居ると渉も興奮するし」

 妖艶な笑みを浮かべた匠真に手を引かれ、思わずどきりとしてしまった。
そういえば、匠真の寝室は初めて入る気がする。前は書斎と、仕事用プライベートルームに入っただけだ。
 彼の寝室は淡いブルーでまとめられており、キングサイズのベッドには荒縄で手首と足首を纏めて後ろに縛られた渉が、黒い目隠しをされた状態で転がされていた。しかも上半身はしっかりパジャマを着込んでおり、下は何も着用していない。
 ちょっと、いきなりディープすぎるんですけど……! あの縛り方って何だっけ……まさか、SM!?

「渉、綾人が来てくれたよ?」
「あ、あぁっ……ん」

 耳元でそう囁き、渉の潤んだ蕾にするっと指を差し入れる。
 つい先ほどまでお取込み中だったらしく、そこはあっさりと匠真の指を喰い込んだ。

「あっ、あっ!」

 くちゅくちゅと厭らしい音が耳に纏わりつく。やばい、渉さんのあの顔もエロいけど、匠真さんの真剣な顔も……
 何もしていないのに下半身が疼き、綾人はそっと部屋から出ようとしたのだが、その気配だけで出るのを遮られた。

「綾人、ダメだよ。部屋に戻るならこっちにおいで」

 いや、俺はまだノーマルで居たいです。こんな世界、出来ることなら足を向けたくなかったんですっ!
 でも興味があるのは確かで、俺は恐る恐る荒縄に縛られた渉さんの横にちょこんと座った。

「匠真さん……渉さんのパジャマは脱がせないんですか?」
「んー。渉の綺麗な肌に傷なんてつけたくないじゃん? 看護師だし」

 ──その看護師に縄巻いてんのはどこのどなたですか、と本気でツッコミたい。
 がくりと項垂れた瞬間、あまりにも淫猥な渉の喘ぎ声で再び現実に戻される。
 って、俺は何で鑑賞しに来てるんだよ!! 自分には耐えられない!

「……渉、綾人にも参加してもらう?」
「うん……? あや、と……いるの?」

 舌ったらずな言い方をする渉の声は本当に可愛い。目隠しされて頬を染めて、唇の端から厭らしく唾液を零している姿なんて──

「渉、ご奉仕してごらん? 綾人に」

 匠真は左手で渉の蕾をいじくりながら、耳を喰んでいる。

「綾人は渉じゃ満足できないから嫌みたいだって。可哀想に……」
「あ、あぁっ……」

 綾人がマゴマゴしていたのを否定ととったのか、わざと深く渉の中を指で貫きながらお前じゃダメだって、と意地悪く囁いている。
 
「あっ、あああ!」

 一瞬ぴくぴくと痙攣していた渉はパタタ、と自分の太腿を濡らした。

「また渉は粗相して悪い子だなあ……お仕置きは俺がする? それとも、綾人にしてもらう?」
「いあっ……や、だ……綾人ぉ……」

 呼ばれてもどうしたらいいんだよ……この怪しい空間はまだ入ってはいけないレベルだと思うのは俺だけか?
 一般の感性から明らかに外れている。しかも、こんなに激しいこと毎日してても満足できない渉さんって一体どんな……。

「ふふ、綾人ぉ、捕まえた」
「えっ……」

 呆然とベッドの隅に座っていると、股間の前に渉の頭が見えた。彼は少しずつベッドの上で綾人の香りを探りながらすりすり移動していたらしい。
 器用に歯を使ってズボンのジッパーを下ろし、下着の布越しから歯で噛んできた。

「ッ……渉さん」
「ごめんね、加減できないかも……なんか、興奮しちゃって……」

 えへっと笑い、歯で下着のゴムを噛みながら少しずつずり下げる。
 渉の喘ぎと淫らな姿に興奮してしまっていた俺の半身はしっかりパンツから飛び出して反応を示した。

「あぁ……綾人の熱くなってる……美味しそう」
「や、やめ……渉さんっ!!」

 手足が縛られた状態で、上半身もまともに動かないくせに、彼の口技は半端なかった。
 ジュルジュルと音を立ててあちこち吸い上げられるだけで悲しいかな一気に感じてしまう。
 
「はぁっ……はあっ」
「綾人の、美味しい……」

 二人の絡み合いに匠真も楽しそうに笑い、渉の蕾に入れた指を増やしてさらに広げた。

「淫乱な渉ちゃん。そろそろ後ろも欲しいんだろ?」
「うん、匠真……早くきて」

 だから、俺のを食べながらしゃべらないで欲しい。敏感な部分に歯と吐息が掠めて切ない息が口から零れた。

「ふっ……あ……渉さん、ヤバイ!」
「んんっ……」

 わざとだ。絶対わざとに決まっている。やめてと言っても更に口淫が激しくなるので、きっと俺のせいじゃない。
 ああでもまた天使の口の中に出してしまった。本当にどうしよう。
 俺の放ったもので穢された天使は嬉しそうに唇についた白い飛沫をぺろりと舐めていた。

「いっぱい出たね、綾人の」

 うわあああ! 一体どういう神経しているんだこの兄弟! 

「あン……匠真、ちょっと……激しっ」
「なーんか、お前らのいちゃいちゃ見てたら妬けちゃって」

 渉の腰を自分の方に引き寄せ、一気に蕾の中に猛った雄を挿入する。

「あっ、ああ!」

 ぐちゅん、と粘膜の擦れ合う音と共に、熟れて十分すぎるほどほぐれたそこは匠真の熱をあっさりと受け入れ、悦びにヒクついていた。

「あぁっ……た、匠真……も、っと……もっと!」
「恥ずかしいことになってるよ、渉のココ。綾人にも見てもらおうか。いつもより興奮してんじゃん……」
「やだぁ……あ、あぁ……ン」

 俺はそれ以上二人の情交をまともな神経で見て居られなかった。ただ、思ったことは一つ。

 この二人をまともに相手をしたら、確実に躰が死ぬ。

 ──結局、獣の宴は朝方まで続いたが、渉だけが何事もなかったかのような顔でいつも通りに起きて爽やかに仕事へ行ったらしい……。
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