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第一部 久住家にようこそ
振られてもただでは起きない天使
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ここで働くようになってから一度も携帯を起動していないことを思い出す。
肩たたきにあって期限の一週間はとうに経過していたので、社会人として恥ずかしいが、自然にフェードアウトしたようなものだ。
しかし、一応返却するものもあるし、しっかりと手続きもしていないからS商事に顔を出さないと。
「でもなぁ……」
営業で8年働いてきたことは誇りだったし、楽しかった。今の生活が嫌なわけではないが、囲われるだけというのはやはり慣れない。
雇い主である愁一に相談したくても、彼は出張中で不在。
「はぁ……」
ふと漏れてしまったため息を聞いていたらしい渉がクスクスと笑っている。
「朝から色っぽいため息ついちゃって。もしかして綾人ここから出ていくこと考えてる?」
「えっ……いや、出るというか」
電源の入っていない携帯電話を持っている姿を見て、渉はふぅとため息をついた。
「そっか、綾人も僕達が嫌いなんだね……」
「いや、嫌いではないです! そうじゃなくてその、仕事が……」
家政夫として、えっち以外の仕事をさせてくれるのであれば喜んでしたいところなのだが、できることは何もない。
掃除をしていても、使用人が終わらせているのであちこち綺麗過ぎる。料理を作っていると小悪魔に襲われてしまい、キッチンに立つのも難しい。
沈んだ綾人を見かねたのか、今日休みの渉はそうだ、と手を叩く。
「じゃあ、綾人。今日一日僕と買い物に付き合ってくれる? デートしようよ」
「はい。そういうことでしたらお供しますよ」
「良かった。僕もね、実は失恋しちゃってさ」
苦笑する渉の顔はいつもと違っていた。性癖に問題はあれど、こんなにも可愛い渉さんを振るなんて、よほど一般人なのだろう。
あ、そういえばあのマヤさんって名前に異常に反応していたけど、もしかしてその人にアタックでもしたのかな……?
◇
渉が目指した場所は看護師ご用達の小さなショップだった。コスプレではなく本物の白衣や看護師の必需品がずらりと並んでいる。
「これが似合いそう……」
「……紺? 渉さんこういうカラーなんですね」
「そっ。あとこれも買うね。こっちは検査着と同じカラーのスクラブ」
よくわからないが、病院の看護師って白い白衣か、淡いブルーとか黄緑とかピンクとか。そういうイメージだった気がする。
その後も2店舗程近くの店に入り久しぶりに買い物を楽しんだ。
ただ、身長の小さい渉さんと歩いていると、彼女が居た時のことを思い出してしまうので少し辛い。
「……あ」
近づいて来る人に気付いたのか、渉は俺の腕をぎゅっと掴み複雑な顔をした。
「あれ、久住。こんにちは。お前も買い物?」
「マヤさんっ!! こんにちは。偶然ですね」
渉はいつもの天使のような微笑みを浮かべているが、どことなく悲しそうだった。
あぁ、そうか。この人が渉さんが神聖で大好きだって言ってた先輩のマヤさん……。
確かに雰囲気はミステリアスだし、背は高いけど全体的に線も細くて綺麗な感じ……って、どう見ても彼は男じゃないか! まさか、本気でこの人に告白したのか渉さんは!?
「おい、神野くんにちょっかいかけるなよ、久住」
「もうかけませんよ、先生……お邪魔しないように去りますね、では」
マヤさんと呼ばれた人の後ろからひょいと顔を覗かせた長身の男もイケメンだった。
渉はその場に居たくなかったようで、では。と言うと俺の腕を掴んで珍しく走り出した。
表通りに出たところで渉はようやく口を開いた。
「マヤさんはオペ室の看護師で、もう一人あのいけ好かない男が研修医」
「そうなんですか……」
「歳は違うけど、マヤさんは僕と同期入社なんだよねえ。一目惚れしてずっとずーっと一緒に居たのに……あの研修医に取られちゃった」
フラれたという話は本当だったのか……ってことは、さっきの二人も恋人同士?
しかし免疫というものは恐ろしいもので、匠真と渉の激しい情交をまざまざと見せつけられた今、男同士とかそういう言葉で動じることはない。
我ながらこの短期間ですっかり調教されてしまった。
「綾人、ごめん……本当は今日しないつもりだったんだけど、ちょっと寄ってもいい?」
潤んだ眸で見上げられると断れない。いいですよ、と言いその小さな頭をくしゃりと撫でた。
嬉しそうに微笑んだ天使は足取りも軽くなり、瑛太に電話をして近場のラブホの場所を聞いていた。
◇
「あのぉ……渉さん……これって、コスプレですか?」
「違うよ! だって僕、ちゃんと看護師してるもん」
俺は先ほど購入した検査着を着せられていた。腕はヘッドボードに固定されており、抵抗も出来ない。
「じゃあ、検査しますね」
「はい……って、何処の!!」
あっさりズボンだけ下げられ、下着の上から綾人の半身をするすると撫でていく。
柔らかい渉の指先が敏感な先端をいじると、すぐにむくむくと形を変えた。
「ダメですよ、我慢してください」
「そ、んな……触らないで……」
何っつープレイだこれ……エロ看護師さんの本領発揮かよ。
渉はアメニティの綿棒を取り出し、綾人の先端につぷりと差し込んだ。いきなり突っ込まれた異物に変な感覚になる。
「あ、渉さ……抜いて」
「検査ですから動いたらダメですよ。綿棒……抜けなくなっちゃうよ?」
「んんっ」
そんなもんが抜けなくなったら非常に困る! 醜態だけは曝したくないので大人しく渉のしたいように任せる。
何度か抜き差しされて綿棒の先端にはどろりとした先走りがついていた。
「じゃあ、次は後ろの検査をします」
「ま、まだする……の?……っあ!」
渉の乾いた指が蕾の入口を撫でる。
「ゼリーつけますね。ちょっと……冷たいですよっ」
「あ、あぁっ!」
仕事道具だあれは。ホテルには無いであろう謎のゼリーをたっぷりつけた渉の冷たい指が再び蕾の中をぐりぐりまさぐってきた。
細い指はピンポイントで男が感じる部分を知っている。──職業病かこれ?
「あ、ああっ……渉さ……気持ち、い……」
「検査だからダメです、そんなに感じちゃ……」
「ひぁっ! も、っと……」
「ああ、検査着まで汚しちゃって……ダメですねえ……」
呆れたように呟く渉の声もいつもと違ってゾクゾクしてしまう。いつもの可愛い天使の姿はそこにはない。
お仕置き、と囁かれ、指を増やされる。
「ああっ……い、イ」
「内診なのに、そんなに気持ちいいですか? じゃあ、もっとしてあげますよ」
検査着の上から敏感な乳首を摘ままれ、変な声が漏れる。
中は指で散々いじられたまま、乳首は極上の舌使いで翻弄された。
「渉さ、……あぁっ……」
女の子じゃないのに、指と舌だけで簡単にイかされてしまった。
渉さんはやっぱり一番恐ろしい。
肩たたきにあって期限の一週間はとうに経過していたので、社会人として恥ずかしいが、自然にフェードアウトしたようなものだ。
しかし、一応返却するものもあるし、しっかりと手続きもしていないからS商事に顔を出さないと。
「でもなぁ……」
営業で8年働いてきたことは誇りだったし、楽しかった。今の生活が嫌なわけではないが、囲われるだけというのはやはり慣れない。
雇い主である愁一に相談したくても、彼は出張中で不在。
「はぁ……」
ふと漏れてしまったため息を聞いていたらしい渉がクスクスと笑っている。
「朝から色っぽいため息ついちゃって。もしかして綾人ここから出ていくこと考えてる?」
「えっ……いや、出るというか」
電源の入っていない携帯電話を持っている姿を見て、渉はふぅとため息をついた。
「そっか、綾人も僕達が嫌いなんだね……」
「いや、嫌いではないです! そうじゃなくてその、仕事が……」
家政夫として、えっち以外の仕事をさせてくれるのであれば喜んでしたいところなのだが、できることは何もない。
掃除をしていても、使用人が終わらせているのであちこち綺麗過ぎる。料理を作っていると小悪魔に襲われてしまい、キッチンに立つのも難しい。
沈んだ綾人を見かねたのか、今日休みの渉はそうだ、と手を叩く。
「じゃあ、綾人。今日一日僕と買い物に付き合ってくれる? デートしようよ」
「はい。そういうことでしたらお供しますよ」
「良かった。僕もね、実は失恋しちゃってさ」
苦笑する渉の顔はいつもと違っていた。性癖に問題はあれど、こんなにも可愛い渉さんを振るなんて、よほど一般人なのだろう。
あ、そういえばあのマヤさんって名前に異常に反応していたけど、もしかしてその人にアタックでもしたのかな……?
◇
渉が目指した場所は看護師ご用達の小さなショップだった。コスプレではなく本物の白衣や看護師の必需品がずらりと並んでいる。
「これが似合いそう……」
「……紺? 渉さんこういうカラーなんですね」
「そっ。あとこれも買うね。こっちは検査着と同じカラーのスクラブ」
よくわからないが、病院の看護師って白い白衣か、淡いブルーとか黄緑とかピンクとか。そういうイメージだった気がする。
その後も2店舗程近くの店に入り久しぶりに買い物を楽しんだ。
ただ、身長の小さい渉さんと歩いていると、彼女が居た時のことを思い出してしまうので少し辛い。
「……あ」
近づいて来る人に気付いたのか、渉は俺の腕をぎゅっと掴み複雑な顔をした。
「あれ、久住。こんにちは。お前も買い物?」
「マヤさんっ!! こんにちは。偶然ですね」
渉はいつもの天使のような微笑みを浮かべているが、どことなく悲しそうだった。
あぁ、そうか。この人が渉さんが神聖で大好きだって言ってた先輩のマヤさん……。
確かに雰囲気はミステリアスだし、背は高いけど全体的に線も細くて綺麗な感じ……って、どう見ても彼は男じゃないか! まさか、本気でこの人に告白したのか渉さんは!?
「おい、神野くんにちょっかいかけるなよ、久住」
「もうかけませんよ、先生……お邪魔しないように去りますね、では」
マヤさんと呼ばれた人の後ろからひょいと顔を覗かせた長身の男もイケメンだった。
渉はその場に居たくなかったようで、では。と言うと俺の腕を掴んで珍しく走り出した。
表通りに出たところで渉はようやく口を開いた。
「マヤさんはオペ室の看護師で、もう一人あのいけ好かない男が研修医」
「そうなんですか……」
「歳は違うけど、マヤさんは僕と同期入社なんだよねえ。一目惚れしてずっとずーっと一緒に居たのに……あの研修医に取られちゃった」
フラれたという話は本当だったのか……ってことは、さっきの二人も恋人同士?
しかし免疫というものは恐ろしいもので、匠真と渉の激しい情交をまざまざと見せつけられた今、男同士とかそういう言葉で動じることはない。
我ながらこの短期間ですっかり調教されてしまった。
「綾人、ごめん……本当は今日しないつもりだったんだけど、ちょっと寄ってもいい?」
潤んだ眸で見上げられると断れない。いいですよ、と言いその小さな頭をくしゃりと撫でた。
嬉しそうに微笑んだ天使は足取りも軽くなり、瑛太に電話をして近場のラブホの場所を聞いていた。
◇
「あのぉ……渉さん……これって、コスプレですか?」
「違うよ! だって僕、ちゃんと看護師してるもん」
俺は先ほど購入した検査着を着せられていた。腕はヘッドボードに固定されており、抵抗も出来ない。
「じゃあ、検査しますね」
「はい……って、何処の!!」
あっさりズボンだけ下げられ、下着の上から綾人の半身をするすると撫でていく。
柔らかい渉の指先が敏感な先端をいじると、すぐにむくむくと形を変えた。
「ダメですよ、我慢してください」
「そ、んな……触らないで……」
何っつープレイだこれ……エロ看護師さんの本領発揮かよ。
渉はアメニティの綿棒を取り出し、綾人の先端につぷりと差し込んだ。いきなり突っ込まれた異物に変な感覚になる。
「あ、渉さ……抜いて」
「検査ですから動いたらダメですよ。綿棒……抜けなくなっちゃうよ?」
「んんっ」
そんなもんが抜けなくなったら非常に困る! 醜態だけは曝したくないので大人しく渉のしたいように任せる。
何度か抜き差しされて綿棒の先端にはどろりとした先走りがついていた。
「じゃあ、次は後ろの検査をします」
「ま、まだする……の?……っあ!」
渉の乾いた指が蕾の入口を撫でる。
「ゼリーつけますね。ちょっと……冷たいですよっ」
「あ、あぁっ!」
仕事道具だあれは。ホテルには無いであろう謎のゼリーをたっぷりつけた渉の冷たい指が再び蕾の中をぐりぐりまさぐってきた。
細い指はピンポイントで男が感じる部分を知っている。──職業病かこれ?
「あ、ああっ……渉さ……気持ち、い……」
「検査だからダメです、そんなに感じちゃ……」
「ひぁっ! も、っと……」
「ああ、検査着まで汚しちゃって……ダメですねえ……」
呆れたように呟く渉の声もいつもと違ってゾクゾクしてしまう。いつもの可愛い天使の姿はそこにはない。
お仕置き、と囁かれ、指を増やされる。
「ああっ……い、イ」
「内診なのに、そんなに気持ちいいですか? じゃあ、もっとしてあげますよ」
検査着の上から敏感な乳首を摘ままれ、変な声が漏れる。
中は指で散々いじられたまま、乳首は極上の舌使いで翻弄された。
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