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第一部 久住家にようこそ
堕天使と秘密の輪舞
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愁一さんに自分の気持ちを伝えた後、今使用している携帯電話とは別の連絡用の携帯を持たされた。
それはGPSとしての目的であり、綾人の身に危険が起きた時にすぐ駆けつけられるようにしているらしい。
家政夫としての仕事も特に何もしていないが、あっという間に一ヶ月過ぎた。先日の件があり、本当に愁一さんは倍額の1000万円をぽんと支払ってくれたが、そんな高額なお金は受け取れないと思わず辞退した。
しかし一度出した金額を引っ込める男ではなく、それでは契約の意味がないと言われてしまい、親への仕送りに当てることにした。
家政夫と言っても住み込みのそれぞれ専門分野のスタッフがいるので、俺は本当におまけのようなものだ。はっきり言ってこんなに楽をしていいのかと本気で悩むが、家政夫という仕事のメインはあの問題児達の相手なのだろう。
衣替えの為にタンスを整理していると新しい携帯が鳴った。発信者は渉さんだ。
「はい、綾人です」
『あ、すいません。久住さんのご家族ですか? 私は神野と申します……実は渉が酔って動けないので引き受けてもらえないでしょうか?』
苦笑した声が電話越しから聞こえる。すぐさま場所を伺って潰れた渉を引き取りに行くことになった。
久住の家から近場の駅を2つ継いだ先だったので、電車で向かうと同僚の肩にぴったり寄り添って潰れている渉の姿があった。
「あ、すいません。わざわざ呼びつけてしまって……ほら、久住お迎え来たぞ?」
「ぶぅ、マヤさんの意地悪……」
「そう言うなって。帰りが遅いと俺も大変なの」
マヤさんと呼ばれた人は爽やかな笑顔を残して去っていった。
「渉さん、大丈夫ですか?」
渉は酔っていたわけではなく、マヤの姿が見えなくなった途端いつもの調子に戻った。どうやら酔っ払っていたのは演技らしい。
「ほんと、あの人落ちないなあ……ますます横取りした研修医が嫌いだよ」
「渉さん帰りましょう、明日もお仕事ですよね」
「うん……折角二人きりで飲んでたのに研修医が邪魔をしてきたからお開きになっちゃった」
よほどマヤさんという人のことが好きなのだろう。渉の悲しそうな顔を見るのは少し辛い。
失恋の悲しみというものは彼女と別れた時に味わっている。立ち直るまでの時間もかかる。
まして、渉はそのマヤさんという人と同じ職場にいるのだから、尚更傷が癒えるまで時間がかかるだろう。
「渉さん、俺で良ければヤケ酒でも何でも付き合いますよ?」
「本当!? 綾人、優しいから大好きだよ」
桜色に染まった渉の肌はいつもと違っており、思わずどきっとした。相変わらず可愛い外見に似合わずエロい空気を醸し出している。
「明日仕事だから、お家でゆっくり付き合ってね」
「分かりました、タクシー呼びますね」
俺は天使の笑顔に完全に騙されていた。何でも付き合う、という部分だけが切り取られていたことに──。
◇
「は……んん…渉さ……」
帰宅して早々、綾人は渉のベッドに拘束された。仰向けに寝転がされたまま、ズボンと下着を一気に引き下げられる。
極上の舌使いでフェラをする渉の顔はあどけない天使から妖艶な小悪魔へと変わっていた。
「マヤさんをこう組み敷いて……いっぱい愛撫して身も心もとろとろにしたかったんだ」
「俺じゃあ、彼の、代わりにはなれません…よね……」
渉の気持ちを考えたら身代わりなんてことは到底無理だろうが、一応聞いてみる。
「んーん、ちがうお」
ソコをはむはむしながら頭を動かさないでほしい!!
俺の切実な叫びはいつも届かない。微妙な振動で肉棒の孕む熱がどんどん膨らむのが分かる。
「んむぅ……きもちいい?」
「は、い……」
申し訳ないが、渉さんのフェラはとんでもなく気持ちいい。使ったことはないけど、デリヘルってやつじゃないかコレ。
「綾人、大好きだよ。僕のためにいっぱい色々付き合ってくれるし。でも綾人を満足させられないかも」
「俺、は……いつも渉さんに、気持ちよく……してもらって……ますよ」
御覧の通り、と限界近くヒクつく雄に渉の顔を当てる。それが嬉しかったのか、渉は再びきつく先端を吸い上げてゆっくりと全体をしごいてきた。
手つきと指先の僅かな刺激が背筋に甘い電流を流していく。
「渉さん、こっち向いて…乗って……俺のに」
「うん……あ、あぁっ……」
渉は匠真にいつも抱かれているので、誰かに挿入することはないらしい。
ここは俺がリードする……しかないのか?
尻を開いている渉の腰を一気にズンと深く下ろす。
「あっああ!!」
激しいことが好きなのか、渉はすぐに乱れた。ギリギリまで抜いてまた自分で腰を下ろす。深く繋がった部分からぐちゅぐちゅと厭らしい音が響いた。
「あ、あぁ……綾人ぉ……ね
「もう忘れてください。マヤさんのことは」
半開きの唇を無理矢理塞ぎ、繋がった部分はそのままに、渉の上半身を自分の胸元に引き寄せ、さらに下は深く結合した。
「はぁっ、あっ、あ……キモチ、いい……」
乱れる渉さんがあまりにも綺麗で、狂ったように何度も何度も激しく貫いてしまった。
しかし、明日仕事って言ってたのに無茶させたなあ、という反省も必要ないくらい翌日の渉は元気だった。
朝早くからしっかりシャワーを浴びて、仕事に行くため俺の前で生着替えを披露している。
一方の俺は堕天使に精子を全部吸われたかのようにヘロヘロになっていた。
「綾人、昨日は激しかったぁ……またしようね……?」
「は、ハハ……渉さん、どうしてそんな…」
元気なんですか。とは到底言えない。
いってきますと可愛く言い、綾人の唇にちゅっと触れるだけのキスを落とした天使の足取りはかなり軽く見えた。
「いてて……渉さんの相手は本当に大変だ……」
今もベッドから動けない綾人はもう少し躰を鍛えないとダメかな……と一人腹の裡で呟いた。
それはGPSとしての目的であり、綾人の身に危険が起きた時にすぐ駆けつけられるようにしているらしい。
家政夫としての仕事も特に何もしていないが、あっという間に一ヶ月過ぎた。先日の件があり、本当に愁一さんは倍額の1000万円をぽんと支払ってくれたが、そんな高額なお金は受け取れないと思わず辞退した。
しかし一度出した金額を引っ込める男ではなく、それでは契約の意味がないと言われてしまい、親への仕送りに当てることにした。
家政夫と言っても住み込みのそれぞれ専門分野のスタッフがいるので、俺は本当におまけのようなものだ。はっきり言ってこんなに楽をしていいのかと本気で悩むが、家政夫という仕事のメインはあの問題児達の相手なのだろう。
衣替えの為にタンスを整理していると新しい携帯が鳴った。発信者は渉さんだ。
「はい、綾人です」
『あ、すいません。久住さんのご家族ですか? 私は神野と申します……実は渉が酔って動けないので引き受けてもらえないでしょうか?』
苦笑した声が電話越しから聞こえる。すぐさま場所を伺って潰れた渉を引き取りに行くことになった。
久住の家から近場の駅を2つ継いだ先だったので、電車で向かうと同僚の肩にぴったり寄り添って潰れている渉の姿があった。
「あ、すいません。わざわざ呼びつけてしまって……ほら、久住お迎え来たぞ?」
「ぶぅ、マヤさんの意地悪……」
「そう言うなって。帰りが遅いと俺も大変なの」
マヤさんと呼ばれた人は爽やかな笑顔を残して去っていった。
「渉さん、大丈夫ですか?」
渉は酔っていたわけではなく、マヤの姿が見えなくなった途端いつもの調子に戻った。どうやら酔っ払っていたのは演技らしい。
「ほんと、あの人落ちないなあ……ますます横取りした研修医が嫌いだよ」
「渉さん帰りましょう、明日もお仕事ですよね」
「うん……折角二人きりで飲んでたのに研修医が邪魔をしてきたからお開きになっちゃった」
よほどマヤさんという人のことが好きなのだろう。渉の悲しそうな顔を見るのは少し辛い。
失恋の悲しみというものは彼女と別れた時に味わっている。立ち直るまでの時間もかかる。
まして、渉はそのマヤさんという人と同じ職場にいるのだから、尚更傷が癒えるまで時間がかかるだろう。
「渉さん、俺で良ければヤケ酒でも何でも付き合いますよ?」
「本当!? 綾人、優しいから大好きだよ」
桜色に染まった渉の肌はいつもと違っており、思わずどきっとした。相変わらず可愛い外見に似合わずエロい空気を醸し出している。
「明日仕事だから、お家でゆっくり付き合ってね」
「分かりました、タクシー呼びますね」
俺は天使の笑顔に完全に騙されていた。何でも付き合う、という部分だけが切り取られていたことに──。
◇
「は……んん…渉さ……」
帰宅して早々、綾人は渉のベッドに拘束された。仰向けに寝転がされたまま、ズボンと下着を一気に引き下げられる。
極上の舌使いでフェラをする渉の顔はあどけない天使から妖艶な小悪魔へと変わっていた。
「マヤさんをこう組み敷いて……いっぱい愛撫して身も心もとろとろにしたかったんだ」
「俺じゃあ、彼の、代わりにはなれません…よね……」
渉の気持ちを考えたら身代わりなんてことは到底無理だろうが、一応聞いてみる。
「んーん、ちがうお」
ソコをはむはむしながら頭を動かさないでほしい!!
俺の切実な叫びはいつも届かない。微妙な振動で肉棒の孕む熱がどんどん膨らむのが分かる。
「んむぅ……きもちいい?」
「は、い……」
申し訳ないが、渉さんのフェラはとんでもなく気持ちいい。使ったことはないけど、デリヘルってやつじゃないかコレ。
「綾人、大好きだよ。僕のためにいっぱい色々付き合ってくれるし。でも綾人を満足させられないかも」
「俺、は……いつも渉さんに、気持ちよく……してもらって……ますよ」
御覧の通り、と限界近くヒクつく雄に渉の顔を当てる。それが嬉しかったのか、渉は再びきつく先端を吸い上げてゆっくりと全体をしごいてきた。
手つきと指先の僅かな刺激が背筋に甘い電流を流していく。
「渉さん、こっち向いて…乗って……俺のに」
「うん……あ、あぁっ……」
渉は匠真にいつも抱かれているので、誰かに挿入することはないらしい。
ここは俺がリードする……しかないのか?
尻を開いている渉の腰を一気にズンと深く下ろす。
「あっああ!!」
激しいことが好きなのか、渉はすぐに乱れた。ギリギリまで抜いてまた自分で腰を下ろす。深く繋がった部分からぐちゅぐちゅと厭らしい音が響いた。
「あ、あぁ……綾人ぉ……ね
「もう忘れてください。マヤさんのことは」
半開きの唇を無理矢理塞ぎ、繋がった部分はそのままに、渉の上半身を自分の胸元に引き寄せ、さらに下は深く結合した。
「はぁっ、あっ、あ……キモチ、いい……」
乱れる渉さんがあまりにも綺麗で、狂ったように何度も何度も激しく貫いてしまった。
しかし、明日仕事って言ってたのに無茶させたなあ、という反省も必要ないくらい翌日の渉は元気だった。
朝早くからしっかりシャワーを浴びて、仕事に行くため俺の前で生着替えを披露している。
一方の俺は堕天使に精子を全部吸われたかのようにヘロヘロになっていた。
「綾人、昨日は激しかったぁ……またしようね……?」
「は、ハハ……渉さん、どうしてそんな…」
元気なんですか。とは到底言えない。
いってきますと可愛く言い、綾人の唇にちゅっと触れるだけのキスを落とした天使の足取りはかなり軽く見えた。
「いてて……渉さんの相手は本当に大変だ……」
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