家政夫は大変です

蒼龍葵

文字の大きさ
21 / 46
第一部 久住家にようこそ

辛い方がお好きですか?

しおりを挟む
 最近キッチンに立つ機会が増えた綾人に思いがけないプレゼントが飛んで来た。送り主は不明。怖い。
 宛先が自分になっているのでとりあえず開けてみると白いレースのエプロンが入っていた。
 ま、まさか──コスプレじゃないだろうな!?

 誰がこんなものをと想像してみるが、送ってきそうな人が全員ありえそうで怖い。
 とはいえ、折角送ってくれた好意を無駄にするのも申し訳なかったので、俺は今晩の料理はそのエプロンをつけて行うことにした。
 愛用のネルシャツの上からエプロンをつけて袖は腕まくりをする。
 確か今日は愁一さんは会議、瑛太さんもホテルの出張に行ってて不在、渉さんは夜勤入りでさっき出て行ったし、匠真さんだけか。

 匠真さんも最近お仕事が忙しいのでお部屋にいることが多い。
 あのテリトリーに入ると悪戯されるから正直怖いんだよなあ。出来れば降りてきて欲しいと思いつつ彼の好きなナスの肉みそ炒めを作る。

「随分可愛いアリスちゃんがいるなあ」
「ひゃあ!?」

 背後からふっと温かい吐息をかけられて思わず変な声が漏れた。
 慌てて振り返ると超機嫌の悪い顔でこっちを見ている匠真さんが腕を組んで立っている。

「何? 俺が送ったエプロン気に入らない?」
「これ、匠真さんが送ったんですか!? 別に直接手渡ししてくれても……」
「だって、誰からもらったかわかんない方が色々想像出来て楽しくない? 愁一兄さんがこんな変態ちっくなエプロンくれたんじゃないか?とか」

 一瞬だけ、愁一さんがこのエプロンを手にとって真剣に悩んでいる姿を想像してしまったのはとても言えない……。

「今日はナスかあ……綾人、知ってる? 秋ナスは嫁に食わすなって」
「それは昔の語源じゃないですか。姑が嫁に対して嫌味で言った言葉の一つでしょう」

 確か、アクが強すぎて身体が冷えるとか、子種が出来なくなるとか、高級だから勿体ないとかそんな意味だったと思う。
 どっちにしろ、妊婦さんを心配する姑の話とか何とかだったはず。

「違う違う、ナスって、形がアレに似てるでしょう?」
「匠真さんって……」

 もしかして、バカ? 思わずそう心の裡で呟く。
 一体どうやったらそこに考えがいきつくんだ。そんなこと言われたらキッチンに立てなくなるだろう!

「さて、可愛い綾人ちゃん。折角だからチノパンと下着脱いで」
「はぁ!? 何言って……んんっ」

 深くキスをされ、舌を絡めとられる。乱暴に後頭部を支えられ、背中はシンクに押されており身じろぎもできない。
 時折獰猛な獣のようにキスをしてくる匠真の変貌は嫌いじゃない。エプロンを送って来た目的はさっぱり理解できないけど。
 そんなことを考えている間に、俺の下半身はあっさり剥き出しにされていた。

「綾人……渉にご奉仕したんだって……?」

 匠真の唇からつうっと唾液が伝っている。それを舌先でぺろりと舐めこちらを妖艶な眸で見下ろす彼にゾクっとしてしまう。

「ご奉仕っていうか……何というか……」
「俺にも出来る? 綾人がどんな顔するか見たい」

 やっぱり変態だ。瑛太さんの玩具プレイだけが変態だと思ってたけど前言撤回だ。
 幼少時代から傷ついていた渉さんを守って来た優しい匠真さんだと思っていたのに、結局変態の根底は変わりないのか。

「それでしたら俺がズボンを脱いだ必要性って無い気がするんですけど……」

 匠真の雄の前に膝立ちして下着の上からそろりと撫でる。すぐに舐められなかったのは後ろでシェフがまだ料理の片付けをしているだろうし、他の人がここを通る可能性だってある。

「あぁ……放置プレイとかなかなかやるね綾人……そのまま動かないと俺、獣になっちゃうよ……」

 いやいや、放置したつもりもないし、せめて、場所を……。

「ちょっ……」
「裸エプロンとか、やばいでしょう……綾人って、愛されると本当にどんどん可愛くなっちゃって」

 裸エプロンと言っても、上着はしっかり着用しているので、厳密には違うのだが、匠真にとって細かい部分はどうでもいいらしい。

「匠真さん、こんなところでダメですよ。まずは夕食を……」
「あー無理。先に綾人を食べる」

 そう言いつつ、綾人が作った茄子の肉味噌炒めを菜箸で一切れ掬いつまみ食いしていた。

「やっぱり綾人の料理は庶民的で好きだな」
「あ、あり……がとう……ございます」
「だから、こっちにも食べさせなきゃね」
「はあ!? ん、うっ……」

 匠真はフライパンの油を指先で掬うとくすりと笑い、綾人の蕾にその指を這わせてきた。

「た、匠真さん!? それ……」
「おいしいからこっちにも汁飲ませてあげなきゃ」
「あ、あああっ!!」

 乾燥した蕾の中に調味料の香りと油を纏った指が入口をゆっくりとこじ開けてきた。

「あ、あぁっ……やだっ」
「ああ……どんな味がするかな、綾人の中」
「き、汚いっ、か、ら……!」

 匠真はそのまま蕾に顔を押し当て、肉汁のついた油をジュルジュルと啜った。

「美味しいよ綾人。可愛くて白いエプロンをいっぱい穢したくなっちゃう」
「い、いやっ……だめだって……匠真さんっ!」

 入口を舌の先端で突かれ、内股のきわどい部分に垂れた調味料をゆっくりと舌でなぞられる。
 ぞわぞわした刺激だけでイってしまいそうになるが、もっと恥ずかしいのは、エプロンの先から頭をあげている自分の半身の浅ましい反応。

「綾人、気持ちいい? 濡れてきたよ」
「うぅ……恥ずかしい……です」
「ほら、足開いて」

 羞恥心より快楽の方が勝ってしまい、足を大きく開かれ内股を舐められても抵抗らしい抵抗も出来なくなっていた。
 諦めた綾人を楽しそうに見下ろしながら匠真は手慣れた手つきで綾人の蕾を開いていく。

「く……ぁ──」
「すごいキツイ……綾人の中、最近抵抗激しい。その方が燃えるんだけど」
「あ、あ……い、……いい…」

 敏感な耳朶を優しく食まれ、熱い吐息で名前を囁かれて、なのに下をもてあそぶ指は獰猛で……。
 蕾を何度も激しく指で貫かれた後、匠真は額に汗を浮かべながら挿れるよ? と小さく囁き、返答を待つ前に猛る熱を押し当てて深く貫いてきた。

「あっ、あああ!」

 こんな場所で……こんな場所で何たる醜態……。



 行為の片付けの際に、匠真さんが俺に寄りかかりながら、次はもう少し豆板醤トウバンジャン入れてね? と言った瞬間、俺の庶民的料理をきちんと評価してくれるんだと妙に感心してしまった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

創作BL短編集

さるやま
BL
短編まとめました。 美形×平凡、ヤンデレ、執着・溺愛攻め多め

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

愛人少年は王に寵愛される

時枝蓮夜
BL
女性なら、三年夫婦の生活がなければ白い結婚として離縁ができる。 僕には三年待っても、白い結婚は訪れない。この国では、王の愛人は男と定められており、白い結婚であっても離婚は認められていないためだ。 初めから要らぬ子供を増やさないために、男を愛人にと定められているのだ。子ができなくて当然なのだから、離婚を論じるられる事もなかった。 そして若い間に抱き潰されたあと、修道院に幽閉されて一生を終える。 僕はもうすぐ王の愛人に召し出され、2年になる。夜のお召もあるが、ただ抱きしめられて眠るだけのお召だ。 そんな生活に変化があったのは、僕に遅い精通があってからだった。

処理中です...