家政夫は大変です

蒼龍葵

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第二部 ライバル登場?

堕天使の憧れの人

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 俺は珍しく渉さんから電話で居酒屋に呼び出しを受けた。そこにいたのは天使──じゃない、確か渉さんの憧れの先輩看護師さんだったような?
 
「あ、綾人来てくれた。マヤさん、じゃあ行きましょう!」
「仕方ないな。でも、これっきりにしてくれよ」
「はい! 最高の思い出にして忘れますから」

 話が全く見えない。よく分からないまま俺はタクシーに乗せられ、渉さんと真弥さんという看護師にとある場所へ連れて行かれた。

「あのぉ、話が全く見えないんですけど?」
「ふふっ。綾人も勉強した方がいいよ。マヤさんが、俺をなじってくれるんだ」

 はい?
 新手のプレイなのか?
 そもそも、この真弥さんって人はめちゃくちゃ普通の綺麗なお兄さんなのに、なんでまたそんな……。

「綾人、そんなにマヤさんを見つめないでよ。嫉妬しちゃう」
「い、いえ、どうしてもこの配置だと……」

 俺は何故か真弥さんと渉さんの間に座らされていた。なんでタクシーの後部座席に男3人座るんだよ! 俺だけ助手席で良かったじゃないか!

「久住、この方に何も説明しないまま連れてきたのか?」
「はい。でも、マヤさんが僕の先輩看護師だってことは知ってますよ」
「お願いだから俺の黒歴史を広めるなよ……」

 黒歴史? 一体この看護師さんは何をするのだろう。

「渉さん、一体何を……」
「んふっ。俺がマヤさんとの賭けに勝ったから、ひとつだけお願いを聞いてもらう約束なんだ」
「悔しいなあ……まさかあいつがくっつくと思わなかった。久住の色恋に対する洞察眼には敵わないよ」

 二人が行った賭けの内容も気になったが、俺はそんなことよりも股間にそっと手を寄せる真弥さんの方が気になった。なんで自然にそこに手がいくんですか!?

「あ、あの……手を……」
「ああ、すまない。こうした方が気持ちいい?」
「うっ……ん、ん」

 触れていた手は指先だけで形を確かめるように動いた。上から下まで大きさや向きを確認したところで下の蕾の方へと降りる。いくら弄られたところで今日はジーパンを履いているからそこまで強い刺激はない。

「綾人さん、でしたか」
「はい」
「巻き込んでしまってごめんなさい。久住の悪戯に耐えられなくなったらお帰りくださいね」

 こ、怖い。
 何が怖いかって、この人綺麗過ぎるし、言ってる内容がなんか嫌な予感しかしない。

 タクシーが到着したのは以前噂で聞いたことがあるバーだった。確かものすごいイケメンのバーテンダーさんがいるとか。もしかしてお目当てはそこだろうか? でも、そんなの匠真さんに見つかったらまずい。

「渉さん、この件は匠真さんが知っているのですか?」
「うん。マヤさんとの件は全部黙認してもらっているから大丈夫だよ」

 あの匠真さんですら許すこの看護師さんは一体。それに、さっきなじってもらうって……。

「じゃ、行こうか。斗真さーんこんばんは!」

 イケメンバーテンダーと何やら話をした渉さんはご機嫌のまま俺の手を引いて更に仕切られた奥の部屋へ向かった。真弥さんは何やら準備があるようで一旦俺達と別れた。
 暗くてよく分からない部屋に連れ込まれたが、こういう雰囲気は記憶新しいハプニングバーに似ている。これから行われることの不安で俺は速攻帰りたくなった。
 
「渉さん、真弥さんと二人きりの方が良いのでは?」
「いや、それじゃあ意味がないんだ! 綾人にはこの後色々してもらうから」

 よく分からなかったが、数分もしないうちに、黒のスーツに身を包んだ真弥さんが戻ってきた。バーテンダーの斗真さんと呼んだ人と同じくらい格好いい。

「お待たせいたしました。お客様、では懺悔をしてください」

 え? え!?
 何やらよく分からない懺悔タイムが始まったが、俺はどうやら関係ないようで、渉さんが真弥さんの前に四つん這いになって頭を下げた。

「僕はいつもマヤさんを見つめるだけでココが疼くんです。でも、マヤさんには好きな人がいて、その相手を見ていると嫉妬に狂いそうになります」
「──そうですか。人のモノを取ろうとする手癖の悪い子はいけませんね」
「あぅっ!」
「あ、渉さん!?」

 レザーチェアに座っている真弥さんは足先で四つん這いの渉さんの股間に触れた。

「もう反応している……悪い子ですね。それで、嫉妬に狂ったあなたは何をしましたか?」
「あっ、あっ……相手に、悪戯したり……媚薬、飲ませたり……しまし、た」
「そんなことをしても相手の心は手に入らないのに?」
「──ッ!!」
「……渉、あなたのしていることは、己を傷つけているのですよ。側にあなたを大切にしてくれる存在がいるではないですか──ねぇ、綾人さん」
「は、はい!?」

 いきなり名前を呼ばれて驚いたが、そんなことよりもいつの間にか渉さんの蕾にはローターが入れられており、普通にソファーに座っていた俺の隣に真弥さんが腰掛けた。

「ま、マヤさん……」
「久住、お前はそこでお預けだ。俺のセックスが見たいんだろう?」
「あ、あぁ……あぁ……」

 玩具に弄られて恍惚の表情を浮かべる渉さんは完全にトリップしていた。でも、俺がこの人とエッチなことをしたらあちこちからとんでもない目に合わされるんじゃないか!?

「──大丈夫、キスしかしないから。ごめんね、綾人さん」

 小声でそう囁かれた俺はほっと安堵の息を吐いたが、彼の細長い指先は俺の股間に触れていた。

「久住、お前はそこで反省していろ。お前が大切にしている存在が俺に喰われる様を焼き付けておくんだな」
「う、あ、ああ、ああっ!!」

 玩具のレベルを最大まで上げられた渉さんはビクビクと体を震わせていた。じわりと先走りを滲ませ、真弥さんにそれを舐められている。

「──我慢も出来ないなんて、躾がなってない」
「あ、ああっ! ご、ごめんなさい、マヤさんんっ……」
「足を開いて。はしたないお前にはお仕置きだ」
「あ、ああっ! ああん!」

 上には上がいるというのは本当らしい。
 俺は真弥さんという綺麗な看護師さんがあの渉さんを蹂躙しまくっている姿をただ目に焼き付けるだけで必死だった。
 彼がキスしかしない、と言った通り、俺は半裸状態にされたものの、それ以上の被害はなく、寧ろ渉さんが玩具を突っ込まれ散々真弥さんになじられて恍惚の表情を浮かべていた。

 人は、見た目で騙されてはいけない。
 初心を忘れないことを再度心に決めた綾人であった。
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