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III プレ女王国連合の成立
セレネと旅III 7 剣作りの依頼、 またまた捕まったセレネを救え!!
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「何でも言って良いというのでしたら……現在私はオリハルコンとミスリルを所有しているのですが、そこに白鋼を組み合わせて秘伝の魔法で鍛錬すると魔ローダー用の魔法剣が作れるとか、是非それをお願いしたい。もしただでは無理だと言うなら、この金持ち令嬢のセレネがちゃんと追加料金をお支払い致す! まずは手付金としてこのゴホウラ貝を進呈致そうぞ!」
砂緒は魔輪からゴホウラ貝の残りを持って来た。
「お、おい勝手にあたしが金払う事にするなよ……」
「おお、こんな素晴らしいゴホウラ貝を大量にくれるのかい!? うん、実は僕もごたごた続きでしばらく途絶えていた剣作りを再開したいと思っていたんだ。意気消沈していた職人達にも是非腕を振るってもらいたいね……けど一つ問題が」
猫弐矢は沈み込んだ顔をした。
「何が?」
「強い男達がこの国を去ってしまった事は言ったと思うけど、その為にかつては数を減らしていたモンスター達が復活してしまって。白鋼を密かに保管している南東の川周辺にも凶悪なドラゴンが徘徊する様になってしまって……鍛錬工場に行く前にまずは危険な南東の川に白鋼を取りにいかなくてはだめなんだ」
「あーーーそんな事ですか、それならご安心を。こちらには無敵の魔ローダーもありますし、セレネという超強い女もいますので」
「おーーーやってやんよ!! 神聖連邦でも何でも来いよ!」
「すいません私は役立たずで……」
「変ですよセレネ……今は神聖連邦の連中はいませんから」
「じゃあ早速案内しようか……」
猫弐矢に案内されて南東の川に赴いた砂緒とセレネと伽耶クリソベリル。上流の白鋼倉庫に辿り着くまでに小者のモンスターを次々に倒して行くセレネと砂緒だった。猫弐矢はそんな二人を回復魔法と魔力回復魔法でサポートする。
「君達二人は凄いね……何者なんだろうか……悪い人達では無いようだけど……」
「ふふふ、それは秘密です。まあ神聖連邦帝国の人間では無いとだけお伝えしておきましょう」
「ああ、じゃあセブンリーフのどこかの王族なんだね」
「割と直ぐにバレたな」
「いつか……神聖連邦帝国の食指がセブンリーフに伸びる事があるかも知れない。そんな時にセブンリーフ各国はどうするのかな? 僕らみたいに降伏しちゃうのかい?」
「はぁ? 降伏だって?? んな訳あるかい! 神聖連邦か何か知らんけどセブンリーフに一歩でも入ったら、フルエレさんの女王国連合がぼっこぼこにして撃退してやんよ!!」
セレネは息巻いて空中に拳を振り上げる。
「……セレネさんや恥ずかしいですぞ、まだフルエレはセブンリーフすら統一してないですし、あまり大風呂敷広げない方が……」
「じゃあお前はここの腰抜け共みたいに簡単に降伏しろって言うのかよ?」
「これこれ、商売相手ですぞ、機嫌を損ねる様な事は……」
いつもとは逆転して常識的になった砂緒がセレネをたしなめる。
「あははは、手厳しいね!! 確かに腰抜け共と言われても仕方が無いのかな。けれども今はベストな選択だったと思っているよ。実は何代か前の聖帝の時代に、我がクラウディアの遠い一族の者である根猫が仕えていてね。その時謎の病が聖都で流行し、呼び出された根猫がまじないを行うと、なんと偶然に流行り病が消えたそうなんだ。それ以来聖都ではクラウディアのまじないが効果があると評判になってしまって……それでここが神聖連邦の配下になった後に、僕も一度だけ聖都にまじないを行う為に訪れた事があって、聖帝陛下に拝謁する機会があったのだけど……やはり多くの国を従えるだけの偉大な人物だと思ったよ。いつか天下中の小さな国々はこうして大きな国に吸収される。だとすれば神聖連邦の様な国で良かったと思っているんだ。民の多くも陛下を慕っている……あの国がもはや簡単に他国に負けたり、他国に乗っ取られたりする事はまずない、もはや盤石な体制だと思うよ」
「急にどうしたのですか? 驚異的に長い発言ですな」
「はぁ? 負けコボルトの遠吠えだな」
「いい加減にしなさいセレネ、変ですよ? すぐに謝りなさい! この場で乳揉み倒して欲しいのですか??」
「おお? やってみろよオラー」
「あはは、良いって良いって。僕もいつかこうして思いの丈をぶつけれる相手を探していたのかもしれない。猫名兄さんが去り、猫呼まで去ってしまって寂しかったんだ。対等に正直に色々言ってくれるセレネちゃんや砂緒くんと出会えて良かったよ」
(猫弐矢さん……いろいろな重責を抱えて……)
伽耶クリソベリルが猫弐矢をじっと見ると、猫弐矢はにこっと笑った。
「伽耶ちゃんも来てくれて嬉しいよ」
「はうっ」
伽耶は赤面して下を向いた。そのまま会話しながらしばらく移動していると、南東の川に差し掛かりさらに上流を目指して歩いた。
「ここからは本当に危険なモンスターが増えて来るから気を付けてね」
「ほほう」
「おおーーー腕が鳴るな。片っ端から倒してやるよ!!」
きしゃああああああああああああ!!
セレネが息巻いていると、本当に中程度の大きさのドラゴンが現れた。二十Nメートル程度であろうか、セレネが以前ニナルティナ港湾都市で倒した物と同程度だった。
「これなら一人で倒せる!! はぁーーーーアイスベルク!!」
「あ、こら! 気を付けなさいって!!」
カチコキーーーーン!!
セレネは一人で突っ走って行くと、得意の氷系の魔法でドラゴンの頭をカチカチに凍らせ、そのままジャンプして脳天から剣で真っ二つにした。タケノコの様に二つに割れて倒れるドラゴン。
ズバーーーーン!!
「セレネさん凄い……」
「セレネちゃんは本当に強いんだね……」
「あんまり調子に乗らせないで下さい……」
「これくらい余裕余裕。砂緒も動かないトロい敵が出て来たら戦えよ!」
「……最近は私も少しは強くなったでしょう」
言葉通り、砂緒も地味にザコ敵を剣と拳と雷で倒している。
ドシーン、ドシーンドシーン
等と話している間に、今度は先程のドラゴンよりも大型の足音が近づいて来た。
「お、またなんか出て来た、今度もあたしがぶち倒してやるよ!」
「気を付けるんだセレネちゃん! これはここのヌシかもしれない」
「ヌシですよ!? なんかヤバそうな敵ですな」
「ヌシか何か知らんがまた一撃て倒してやんよ!」
「セレネさん気を付けて、猫弐矢さんの言葉を聞いて!!」
「はぁ? 知るかよ!!」
セレネは余程神聖連邦帝国にあっさり降伏したクラウディアが気に入らないのか、いちいち猫弐矢に反発する。そのまま言葉を残して、足音の方に向かって一人で走って行った。
ガシーーン!!
カチーーーン!!
ギャーーース!!
コチーン、カキーーーン!!
ドーーーン! バターーーン!!!
「きゃーーーーーーーーーーーーー!!」
しばらく激しく戦う音が響いた後に、急にセレネの叫び声が上がった。
「セレネさんどうしたの!?」
「セレネちゃん!!」
「急いで行きましょう!!」
セレネの戦闘速度は速いので、思いの外奥地に進むと、四十Nメートルはありそうな巨大なドラゴンにセレネは捕まっていた。
「馬鹿がっ! 言わんことでは無い!! 今すぐ助けます!!」
「砂緒くん駄目だ、あれは性質が悪い、あれは此処のヌシ、エロ竜のマタマタだ!!」
「え、エロ竜のマタマタとな!? 何ですかそのファンタスティックな竜は」
「ああ、このエロ竜のマタマタは近隣の乙女だけをさらい、特殊な器官で人間の男の様に慰み物にして、用が済むとそっと生きて帰すという性的犯罪者の様な竜なんだ」
「な、何なんですか特殊な器官て、おぞまし過ぎです」
(マタマタ……)
伽耶は激しく赤面した。確かに砂緒が竜の巨大な手に捕まっているセレネをよく見ると、巨大な掌の周囲から小さな副腕の様な物が無数に生えていて、それがセレネを包み弄ぶ様にまとわりついていた。
「や、やめろぉーーーーー!!」
必死に剣を振り回して副腕を斬り落とすセレネだが、全く数が追い付かない。直ぐに無数の副腕がセレネの服を引っ張り、破り裂こうとうごめき始める。
「い、いやあああああやめてっ! 砂緒助けてっ!!」
「このやろーーーーーーー!!!」
砂緒が拳に力を込めて巨大なドラゴンの足を殴ろうと突っ込む。
「あ、砂緒くん気を付けて!!」
「死ねーーーーーーーー!!」
砂緒が全速力で突っ込んで行ったが、不意にドラゴンの足がふわりと浮いた。
「な?」
砂緒が上を見上げると、巨大なドラゴンは背中の羽でパタパタと、高度こそ低いが確かに空を飛んでいる。
「くっそどうすれば!? セレネッ絶対に助けます!!」
「砂緒これを! 蛇輪で助けて!!」
セレネが叫ぶとキラッと光る物が落ちて来た。砂緒が両手を挙げて受け取ると、それは魔ローダー蛇輪の始動鍵の宝石だった。
砂緒は魔輪からゴホウラ貝の残りを持って来た。
「お、おい勝手にあたしが金払う事にするなよ……」
「おお、こんな素晴らしいゴホウラ貝を大量にくれるのかい!? うん、実は僕もごたごた続きでしばらく途絶えていた剣作りを再開したいと思っていたんだ。意気消沈していた職人達にも是非腕を振るってもらいたいね……けど一つ問題が」
猫弐矢は沈み込んだ顔をした。
「何が?」
「強い男達がこの国を去ってしまった事は言ったと思うけど、その為にかつては数を減らしていたモンスター達が復活してしまって。白鋼を密かに保管している南東の川周辺にも凶悪なドラゴンが徘徊する様になってしまって……鍛錬工場に行く前にまずは危険な南東の川に白鋼を取りにいかなくてはだめなんだ」
「あーーーそんな事ですか、それならご安心を。こちらには無敵の魔ローダーもありますし、セレネという超強い女もいますので」
「おーーーやってやんよ!! 神聖連邦でも何でも来いよ!」
「すいません私は役立たずで……」
「変ですよセレネ……今は神聖連邦の連中はいませんから」
「じゃあ早速案内しようか……」
猫弐矢に案内されて南東の川に赴いた砂緒とセレネと伽耶クリソベリル。上流の白鋼倉庫に辿り着くまでに小者のモンスターを次々に倒して行くセレネと砂緒だった。猫弐矢はそんな二人を回復魔法と魔力回復魔法でサポートする。
「君達二人は凄いね……何者なんだろうか……悪い人達では無いようだけど……」
「ふふふ、それは秘密です。まあ神聖連邦帝国の人間では無いとだけお伝えしておきましょう」
「ああ、じゃあセブンリーフのどこかの王族なんだね」
「割と直ぐにバレたな」
「いつか……神聖連邦帝国の食指がセブンリーフに伸びる事があるかも知れない。そんな時にセブンリーフ各国はどうするのかな? 僕らみたいに降伏しちゃうのかい?」
「はぁ? 降伏だって?? んな訳あるかい! 神聖連邦か何か知らんけどセブンリーフに一歩でも入ったら、フルエレさんの女王国連合がぼっこぼこにして撃退してやんよ!!」
セレネは息巻いて空中に拳を振り上げる。
「……セレネさんや恥ずかしいですぞ、まだフルエレはセブンリーフすら統一してないですし、あまり大風呂敷広げない方が……」
「じゃあお前はここの腰抜け共みたいに簡単に降伏しろって言うのかよ?」
「これこれ、商売相手ですぞ、機嫌を損ねる様な事は……」
いつもとは逆転して常識的になった砂緒がセレネをたしなめる。
「あははは、手厳しいね!! 確かに腰抜け共と言われても仕方が無いのかな。けれども今はベストな選択だったと思っているよ。実は何代か前の聖帝の時代に、我がクラウディアの遠い一族の者である根猫が仕えていてね。その時謎の病が聖都で流行し、呼び出された根猫がまじないを行うと、なんと偶然に流行り病が消えたそうなんだ。それ以来聖都ではクラウディアのまじないが効果があると評判になってしまって……それでここが神聖連邦の配下になった後に、僕も一度だけ聖都にまじないを行う為に訪れた事があって、聖帝陛下に拝謁する機会があったのだけど……やはり多くの国を従えるだけの偉大な人物だと思ったよ。いつか天下中の小さな国々はこうして大きな国に吸収される。だとすれば神聖連邦の様な国で良かったと思っているんだ。民の多くも陛下を慕っている……あの国がもはや簡単に他国に負けたり、他国に乗っ取られたりする事はまずない、もはや盤石な体制だと思うよ」
「急にどうしたのですか? 驚異的に長い発言ですな」
「はぁ? 負けコボルトの遠吠えだな」
「いい加減にしなさいセレネ、変ですよ? すぐに謝りなさい! この場で乳揉み倒して欲しいのですか??」
「おお? やってみろよオラー」
「あはは、良いって良いって。僕もいつかこうして思いの丈をぶつけれる相手を探していたのかもしれない。猫名兄さんが去り、猫呼まで去ってしまって寂しかったんだ。対等に正直に色々言ってくれるセレネちゃんや砂緒くんと出会えて良かったよ」
(猫弐矢さん……いろいろな重責を抱えて……)
伽耶クリソベリルが猫弐矢をじっと見ると、猫弐矢はにこっと笑った。
「伽耶ちゃんも来てくれて嬉しいよ」
「はうっ」
伽耶は赤面して下を向いた。そのまま会話しながらしばらく移動していると、南東の川に差し掛かりさらに上流を目指して歩いた。
「ここからは本当に危険なモンスターが増えて来るから気を付けてね」
「ほほう」
「おおーーー腕が鳴るな。片っ端から倒してやるよ!!」
きしゃああああああああああああ!!
セレネが息巻いていると、本当に中程度の大きさのドラゴンが現れた。二十Nメートル程度であろうか、セレネが以前ニナルティナ港湾都市で倒した物と同程度だった。
「これなら一人で倒せる!! はぁーーーーアイスベルク!!」
「あ、こら! 気を付けなさいって!!」
カチコキーーーーン!!
セレネは一人で突っ走って行くと、得意の氷系の魔法でドラゴンの頭をカチカチに凍らせ、そのままジャンプして脳天から剣で真っ二つにした。タケノコの様に二つに割れて倒れるドラゴン。
ズバーーーーン!!
「セレネさん凄い……」
「セレネちゃんは本当に強いんだね……」
「あんまり調子に乗らせないで下さい……」
「これくらい余裕余裕。砂緒も動かないトロい敵が出て来たら戦えよ!」
「……最近は私も少しは強くなったでしょう」
言葉通り、砂緒も地味にザコ敵を剣と拳と雷で倒している。
ドシーン、ドシーンドシーン
等と話している間に、今度は先程のドラゴンよりも大型の足音が近づいて来た。
「お、またなんか出て来た、今度もあたしがぶち倒してやるよ!」
「気を付けるんだセレネちゃん! これはここのヌシかもしれない」
「ヌシですよ!? なんかヤバそうな敵ですな」
「ヌシか何か知らんがまた一撃て倒してやんよ!」
「セレネさん気を付けて、猫弐矢さんの言葉を聞いて!!」
「はぁ? 知るかよ!!」
セレネは余程神聖連邦帝国にあっさり降伏したクラウディアが気に入らないのか、いちいち猫弐矢に反発する。そのまま言葉を残して、足音の方に向かって一人で走って行った。
ガシーーン!!
カチーーーン!!
ギャーーース!!
コチーン、カキーーーン!!
ドーーーン! バターーーン!!!
「きゃーーーーーーーーーーーーー!!」
しばらく激しく戦う音が響いた後に、急にセレネの叫び声が上がった。
「セレネさんどうしたの!?」
「セレネちゃん!!」
「急いで行きましょう!!」
セレネの戦闘速度は速いので、思いの外奥地に進むと、四十Nメートルはありそうな巨大なドラゴンにセレネは捕まっていた。
「馬鹿がっ! 言わんことでは無い!! 今すぐ助けます!!」
「砂緒くん駄目だ、あれは性質が悪い、あれは此処のヌシ、エロ竜のマタマタだ!!」
「え、エロ竜のマタマタとな!? 何ですかそのファンタスティックな竜は」
「ああ、このエロ竜のマタマタは近隣の乙女だけをさらい、特殊な器官で人間の男の様に慰み物にして、用が済むとそっと生きて帰すという性的犯罪者の様な竜なんだ」
「な、何なんですか特殊な器官て、おぞまし過ぎです」
(マタマタ……)
伽耶は激しく赤面した。確かに砂緒が竜の巨大な手に捕まっているセレネをよく見ると、巨大な掌の周囲から小さな副腕の様な物が無数に生えていて、それがセレネを包み弄ぶ様にまとわりついていた。
「や、やめろぉーーーーー!!」
必死に剣を振り回して副腕を斬り落とすセレネだが、全く数が追い付かない。直ぐに無数の副腕がセレネの服を引っ張り、破り裂こうとうごめき始める。
「い、いやあああああやめてっ! 砂緒助けてっ!!」
「このやろーーーーーーー!!!」
砂緒が拳に力を込めて巨大なドラゴンの足を殴ろうと突っ込む。
「あ、砂緒くん気を付けて!!」
「死ねーーーーーーーー!!」
砂緒が全速力で突っ込んで行ったが、不意にドラゴンの足がふわりと浮いた。
「な?」
砂緒が上を見上げると、巨大なドラゴンは背中の羽でパタパタと、高度こそ低いが確かに空を飛んでいる。
「くっそどうすれば!? セレネッ絶対に助けます!!」
「砂緒これを! 蛇輪で助けて!!」
セレネが叫ぶとキラッと光る物が落ちて来た。砂緒が両手を挙げて受け取ると、それは魔ローダー蛇輪の始動鍵の宝石だった。
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