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十一章 恋敵?
恋敵?
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それは二週間後のことだった。
「……ルミナ達と引き離されちゃったよね、これは……」
リヴィアスは困惑した顔で、周囲を見渡す。
タイバス学園の使われていない教室の一つだと気付き、眉を寄せる。
教室の扉に近付き、取っ手を回しても開かない。
閉じ込められた。
専門教科担当で、あまり面識がない、家が侯爵位の三男の教師に呼ばれ、不審に思いながらも付いて行くしかなく、一緒に行ったはいいものの、まさか閉じ込められるとは思わなかった。
「……今のところ、誰もいないし、幸い拘束されてないし、僕のマジックバッグも手元にあるから、アイスに連絡出来るね」
溜め息を吐いて、リヴィアスはマジックバッグから便箋を取り出し、タイバス学園内の使われていない教室の一つにいることを手短に書く。
ついでに、ルミナスとオーロラ宛に、閉じ込めた教師の名前も書いておく。
これなら、教師の事情を二人が調べてくれるはずだ。
母が作った魔導具にアイシクル宛と、ルミナスとオーロラ宛の手紙を入れ、送る。
「……あとは、僕が僕の身を守るだけだね……」
不安になり、リヴィアスはつい、ラディウスから贈られた左耳のイヤーカフに触れる。
ラディウスの魔力を感じ、少しだけ気持ちが落ち着く。
何が起こるか分からないため、緊張感はまだ続き、指先が徐々に冷たくなり、少し震える。
冷静に対処出来るように、深呼吸して、気持ちを整える。
父ミストラルから教えられた、周囲の気配を探る魔法を使う。
「……誰も、いない?」
眉を寄せて、リヴィアスは教室内の全ての窓を確認する。
鍵が壊されていて、開けられないようになっている。
ここまで周到に用意されているということは、確実にリヴィアスを狙ったことだと改めて理解する。
「……窓を壊せば逃げられるけど、同じようなことがまた起きるよね。その時はきっと拘束された状態になるだろうし……敢えて、待って、相手の出方を見るべきなのかな……」
リヴィアスは窓から少し離れ、出入り口である扉と窓のちょうど中央辺りに移動する。
窓でも扉でも逃げられるように対応出来るように、壁に背を向ける。
自分の身を守るなら、今のうちに窓を魔法で壊して逃げるのが上策だ。
だが、犯人も動機も分からない。
誰に狙われたのか、何が目的なのか。
逃げたとしても、それが分からないことには、次の対策の取りようがない。
きっと、弟や従兄妹達が動いてくれているはずだ。
ぐるぐると考えていると、発動したままにしていた周囲の気配を探る魔法が反応する。
リヴィアスはもう一度、深呼吸をして、扉を見つめた。
ガチャリと鍵を開ける音がして、取っ手が回る。
扉が開き、入って来たのは、タイバス学園の制服を身に纏い、瑠璃色の長い髪、青紫色の目をしたデルフィーニ……に似た少女だった。
「……サイクロン公爵家のデルフィーニ嬢ではないですね? ご長女のプリズム嬢ですか?」
相手より先にリヴィアスが声を掛けると、少女は一瞬、顔を歪ませ、口元だけ笑みを浮かべた。
「あら。せっかく、デルフィーニの振りをしようと思ってたのに、もう種明かしをしないといけないなんて。初めまして、リヴィアス様。サイクロン公爵家の長女、プリズム・フォグ・サイクロンと申します。以後、お見知りおきを」
手に持っていた扇子を強く畳み、カーテシーをしながらプリズムは尚も口元だけ笑みを浮かべる。目は全く笑っていない。
「美しい上に、頭が良いだなんて、神に愛されていますわね、リヴィアス様。だから、ラディウス様も貴方を選んだのかしらね?」
ラディウスの名前が突然出て来たことに、リヴィアスは眉を寄せる。
「どういう意味でしょうか」
「……貴方がいなければ、私がラディウス様に選ばれるはずだったのに。婚約者に婚約破棄された傷物の癖に、何で貴方が選ばれるのよ!」
いきなり感情が激しく高ぶった様子で、プリズムは叫んだ。
「……それはラディウス王太子殿下にお聞き下さい。私は理由を殿下からお聞きしましたが、私が答えても、貴女は聞く耳を持たないでしょうから、直接お聞き下さい」
「貴方、私を煽っているの? 公爵令嬢とはいえ、軽々しく、王太子のラディウス様に会える訳がないじゃないっ!」
叫んで、プリズムは怒りの表情のまま、水魔法で小さな鎌を無数に作り、リヴィアスに向けて放った。
リヴィアスは頭を守るように手で庇う。
「……リヴィアス卿!」
プリズムとリヴィアスの間に大きな風の盾が現れ、水で出来た無数の鎌を防いだ。
「大丈夫ですか?! リヴィアス卿!」
プリズムの背後から、少女の声が聞こえ、リヴィアスは手を下ろした。
「え、デルフィーニ嬢……?」
瑠璃色の長い髪、紫色の目をしたプリズムに似た少女が、プリズムを通り過ぎ、リヴィアスの前に立つ。
「プリズム、もうおやめなさい」
「デルフィーニ! あんたもリヴィアス様の味方をするの?!」
「当たり前ですわ。ラディウス王太子殿下に選ばれなかったからとリヴィアス卿を逆恨みする貴女より、リヴィアス卿を味方するに決まってますわ」
扇を広げ、口元に当てて、デルフィーニはプリズムに言い返す。
「姉の私より、そこの泥棒猫の方を味方するの?! デルフィーニ!」
「……プリズム、言葉を慎みなさい。リヴィアス卿を選んだのはラディウス王太子殿下ですわ。リヴィアス卿は泥棒猫ではありませんわ。ブラカーシュ王国の準王族のリヴィアス卿に対して不敬です。謝罪なさい」
冷めた目で、血の繋がらない姉をデルフィーニは見つめる。
「誰が、謝るものですか! 私は悪くないわ! 私からラディウス様を奪ったリヴィアス様が悪いのよ!」
金切り声でプリズムは叫び、もう一度、水魔法と氷魔法で無数の鎌を作り、リヴィアスに向けて放った。
その瞬間、リヴィアスのイヤーカフの真紅色の魔石が強く光り輝く。
強い光にリヴィアスは目を閉じると、ふわりと守るように力強く抱き締められた。
爽やかな柑橘系の香りが、リヴィアスを柔らかく包む。
よく知る温もりと香りに、リヴィアスは目を開け、ゆっくりと顔を上げた。
会いたいと思ったリヴィアスの幻ではないかと、抱き締める人物を呆然と見つめる。
「……アシェル、さま……?」
「やぁ、ヴィア。会いたかった。怪我はないか?」
優しい声音と微笑みで、会いたかった人が囁く。
「あ……はい。アシェル様とデルフィーニ嬢が守って下さったので、僕に怪我はありません。危ないところをありがとうございます」
「良かった」
呆然と見つめながら、リヴィアスは目を何度も瞬かせる。
「あの、本当に、アシェル様ですか?」
「俺が偽者だと、ヴィアは思っているのか?」
「いいえ。いきなり現れたので、驚いてしまって……」
「貴方に何かあった時に守り、俺にも分かるようになっているし、転移されるようにしたと、前にも言っただろう?」
「それは……はい、覚えています」
「だから、来たんだ。それと、状況を聞いてもいいだろうか?」
リヴィアスを守るように抱き締めながら、ラディウスは近くに立つデルフィーニを見た。
「……お久し振りでございます、ラディウス王太子殿下」
ラディウスの冷たい視線に怯むことなく、デルフィーニは微笑んでカーテシーをして挨拶する。
「サイクロン公爵家の次女だな? 何故、サイクロン公爵家の長女が私の婚約者を攻撃する?」
「……サイクロン公爵家の一員として、大変、恥ずかしく、申し上げにくいことなのですが、長女プリズムは、ラディウス王太子殿下に懸想しているようで、婚約者として選ばれなかったことで、リヴィアス卿に逆恨みをしたようですわ。リヴィアス卿、長女の代わりに謝らせて下さいませ」
扇を広げ、デルフィーニは眉を下げ、ラディウスに伝え、リヴィアスに頭を下げる。
「デルフィーニが何故、謝るのよ! 謝るのはリヴィアス様でしょ!」
「サイクロン公爵家の長女。私を怒らせたいようだな?」
冷ややかにプリズムを睨み、ラディウスは威圧を彼女限定に出す。
「ヒィッ!」
威圧を感じ、プリズムが小さく声を上げ、床にへたり込む。
「私の唯一を傷付けようとしたお前を、私は許す気はない」
「アシェル様!」
慌ててリヴィアスは、更に威圧を放とうとするラディウスの両手を握る。
「ヴィア?」
「落ち着いて下さい。僕は大丈夫です。アシェル様とデルフィーニ嬢が守って下さいましたし、怪我をしていません。ここで、アシェル様がプリズム嬢を怪我をさせるのはよくありません。ちゃんと国同士の法律の下、決めて下さい」
じっと、ラディウスを見上げ、リヴィアスは微笑む。
「――でも、僕のために怒って下さって、嬉しかったです。ありがとうございます、アシェル様」
「サイクロン公爵家の長女。私はお前のような者を選ぶ気は一切ない。私の唯一はリヴィアスだ。相手を案じ、心優しい言葉や態度、行動で癒やしてくれる。惜しげもなく、その時、その時の持てる全てで、傷付いた誰かを助けようとする。お前はそれが出来るか?」
ラディウスの言葉に、へたり込んだまま、プリズムの顔が歪む。
「心優しいリヴィアスだから、私は惹かれた。リヴィアスだから私は選び、彼も私を選んでくれた。サイクロン公爵家の長女も、他の者も今後、私は選ぶことはない」
冷ややかにラディウスは告げると、リヴィアスの腰を抱く。
告げられたプリズムは、静かに項垂れた。
「……ルミナ達と引き離されちゃったよね、これは……」
リヴィアスは困惑した顔で、周囲を見渡す。
タイバス学園の使われていない教室の一つだと気付き、眉を寄せる。
教室の扉に近付き、取っ手を回しても開かない。
閉じ込められた。
専門教科担当で、あまり面識がない、家が侯爵位の三男の教師に呼ばれ、不審に思いながらも付いて行くしかなく、一緒に行ったはいいものの、まさか閉じ込められるとは思わなかった。
「……今のところ、誰もいないし、幸い拘束されてないし、僕のマジックバッグも手元にあるから、アイスに連絡出来るね」
溜め息を吐いて、リヴィアスはマジックバッグから便箋を取り出し、タイバス学園内の使われていない教室の一つにいることを手短に書く。
ついでに、ルミナスとオーロラ宛に、閉じ込めた教師の名前も書いておく。
これなら、教師の事情を二人が調べてくれるはずだ。
母が作った魔導具にアイシクル宛と、ルミナスとオーロラ宛の手紙を入れ、送る。
「……あとは、僕が僕の身を守るだけだね……」
不安になり、リヴィアスはつい、ラディウスから贈られた左耳のイヤーカフに触れる。
ラディウスの魔力を感じ、少しだけ気持ちが落ち着く。
何が起こるか分からないため、緊張感はまだ続き、指先が徐々に冷たくなり、少し震える。
冷静に対処出来るように、深呼吸して、気持ちを整える。
父ミストラルから教えられた、周囲の気配を探る魔法を使う。
「……誰も、いない?」
眉を寄せて、リヴィアスは教室内の全ての窓を確認する。
鍵が壊されていて、開けられないようになっている。
ここまで周到に用意されているということは、確実にリヴィアスを狙ったことだと改めて理解する。
「……窓を壊せば逃げられるけど、同じようなことがまた起きるよね。その時はきっと拘束された状態になるだろうし……敢えて、待って、相手の出方を見るべきなのかな……」
リヴィアスは窓から少し離れ、出入り口である扉と窓のちょうど中央辺りに移動する。
窓でも扉でも逃げられるように対応出来るように、壁に背を向ける。
自分の身を守るなら、今のうちに窓を魔法で壊して逃げるのが上策だ。
だが、犯人も動機も分からない。
誰に狙われたのか、何が目的なのか。
逃げたとしても、それが分からないことには、次の対策の取りようがない。
きっと、弟や従兄妹達が動いてくれているはずだ。
ぐるぐると考えていると、発動したままにしていた周囲の気配を探る魔法が反応する。
リヴィアスはもう一度、深呼吸をして、扉を見つめた。
ガチャリと鍵を開ける音がして、取っ手が回る。
扉が開き、入って来たのは、タイバス学園の制服を身に纏い、瑠璃色の長い髪、青紫色の目をしたデルフィーニ……に似た少女だった。
「……サイクロン公爵家のデルフィーニ嬢ではないですね? ご長女のプリズム嬢ですか?」
相手より先にリヴィアスが声を掛けると、少女は一瞬、顔を歪ませ、口元だけ笑みを浮かべた。
「あら。せっかく、デルフィーニの振りをしようと思ってたのに、もう種明かしをしないといけないなんて。初めまして、リヴィアス様。サイクロン公爵家の長女、プリズム・フォグ・サイクロンと申します。以後、お見知りおきを」
手に持っていた扇子を強く畳み、カーテシーをしながらプリズムは尚も口元だけ笑みを浮かべる。目は全く笑っていない。
「美しい上に、頭が良いだなんて、神に愛されていますわね、リヴィアス様。だから、ラディウス様も貴方を選んだのかしらね?」
ラディウスの名前が突然出て来たことに、リヴィアスは眉を寄せる。
「どういう意味でしょうか」
「……貴方がいなければ、私がラディウス様に選ばれるはずだったのに。婚約者に婚約破棄された傷物の癖に、何で貴方が選ばれるのよ!」
いきなり感情が激しく高ぶった様子で、プリズムは叫んだ。
「……それはラディウス王太子殿下にお聞き下さい。私は理由を殿下からお聞きしましたが、私が答えても、貴女は聞く耳を持たないでしょうから、直接お聞き下さい」
「貴方、私を煽っているの? 公爵令嬢とはいえ、軽々しく、王太子のラディウス様に会える訳がないじゃないっ!」
叫んで、プリズムは怒りの表情のまま、水魔法で小さな鎌を無数に作り、リヴィアスに向けて放った。
リヴィアスは頭を守るように手で庇う。
「……リヴィアス卿!」
プリズムとリヴィアスの間に大きな風の盾が現れ、水で出来た無数の鎌を防いだ。
「大丈夫ですか?! リヴィアス卿!」
プリズムの背後から、少女の声が聞こえ、リヴィアスは手を下ろした。
「え、デルフィーニ嬢……?」
瑠璃色の長い髪、紫色の目をしたプリズムに似た少女が、プリズムを通り過ぎ、リヴィアスの前に立つ。
「プリズム、もうおやめなさい」
「デルフィーニ! あんたもリヴィアス様の味方をするの?!」
「当たり前ですわ。ラディウス王太子殿下に選ばれなかったからとリヴィアス卿を逆恨みする貴女より、リヴィアス卿を味方するに決まってますわ」
扇を広げ、口元に当てて、デルフィーニはプリズムに言い返す。
「姉の私より、そこの泥棒猫の方を味方するの?! デルフィーニ!」
「……プリズム、言葉を慎みなさい。リヴィアス卿を選んだのはラディウス王太子殿下ですわ。リヴィアス卿は泥棒猫ではありませんわ。ブラカーシュ王国の準王族のリヴィアス卿に対して不敬です。謝罪なさい」
冷めた目で、血の繋がらない姉をデルフィーニは見つめる。
「誰が、謝るものですか! 私は悪くないわ! 私からラディウス様を奪ったリヴィアス様が悪いのよ!」
金切り声でプリズムは叫び、もう一度、水魔法と氷魔法で無数の鎌を作り、リヴィアスに向けて放った。
その瞬間、リヴィアスのイヤーカフの真紅色の魔石が強く光り輝く。
強い光にリヴィアスは目を閉じると、ふわりと守るように力強く抱き締められた。
爽やかな柑橘系の香りが、リヴィアスを柔らかく包む。
よく知る温もりと香りに、リヴィアスは目を開け、ゆっくりと顔を上げた。
会いたいと思ったリヴィアスの幻ではないかと、抱き締める人物を呆然と見つめる。
「……アシェル、さま……?」
「やぁ、ヴィア。会いたかった。怪我はないか?」
優しい声音と微笑みで、会いたかった人が囁く。
「あ……はい。アシェル様とデルフィーニ嬢が守って下さったので、僕に怪我はありません。危ないところをありがとうございます」
「良かった」
呆然と見つめながら、リヴィアスは目を何度も瞬かせる。
「あの、本当に、アシェル様ですか?」
「俺が偽者だと、ヴィアは思っているのか?」
「いいえ。いきなり現れたので、驚いてしまって……」
「貴方に何かあった時に守り、俺にも分かるようになっているし、転移されるようにしたと、前にも言っただろう?」
「それは……はい、覚えています」
「だから、来たんだ。それと、状況を聞いてもいいだろうか?」
リヴィアスを守るように抱き締めながら、ラディウスは近くに立つデルフィーニを見た。
「……お久し振りでございます、ラディウス王太子殿下」
ラディウスの冷たい視線に怯むことなく、デルフィーニは微笑んでカーテシーをして挨拶する。
「サイクロン公爵家の次女だな? 何故、サイクロン公爵家の長女が私の婚約者を攻撃する?」
「……サイクロン公爵家の一員として、大変、恥ずかしく、申し上げにくいことなのですが、長女プリズムは、ラディウス王太子殿下に懸想しているようで、婚約者として選ばれなかったことで、リヴィアス卿に逆恨みをしたようですわ。リヴィアス卿、長女の代わりに謝らせて下さいませ」
扇を広げ、デルフィーニは眉を下げ、ラディウスに伝え、リヴィアスに頭を下げる。
「デルフィーニが何故、謝るのよ! 謝るのはリヴィアス様でしょ!」
「サイクロン公爵家の長女。私を怒らせたいようだな?」
冷ややかにプリズムを睨み、ラディウスは威圧を彼女限定に出す。
「ヒィッ!」
威圧を感じ、プリズムが小さく声を上げ、床にへたり込む。
「私の唯一を傷付けようとしたお前を、私は許す気はない」
「アシェル様!」
慌ててリヴィアスは、更に威圧を放とうとするラディウスの両手を握る。
「ヴィア?」
「落ち着いて下さい。僕は大丈夫です。アシェル様とデルフィーニ嬢が守って下さいましたし、怪我をしていません。ここで、アシェル様がプリズム嬢を怪我をさせるのはよくありません。ちゃんと国同士の法律の下、決めて下さい」
じっと、ラディウスを見上げ、リヴィアスは微笑む。
「――でも、僕のために怒って下さって、嬉しかったです。ありがとうございます、アシェル様」
「サイクロン公爵家の長女。私はお前のような者を選ぶ気は一切ない。私の唯一はリヴィアスだ。相手を案じ、心優しい言葉や態度、行動で癒やしてくれる。惜しげもなく、その時、その時の持てる全てで、傷付いた誰かを助けようとする。お前はそれが出来るか?」
ラディウスの言葉に、へたり込んだまま、プリズムの顔が歪む。
「心優しいリヴィアスだから、私は惹かれた。リヴィアスだから私は選び、彼も私を選んでくれた。サイクロン公爵家の長女も、他の者も今後、私は選ぶことはない」
冷ややかにラディウスは告げると、リヴィアスの腰を抱く。
告げられたプリズムは、静かに項垂れた。
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