転生したらモブ侍女のはずが…どうしてこうなった！？

可愛い男の子だと思ったら

うぅ…遠い……

もう軽く30分くらいはずっと森を歩いてる気がする

そもそもお城の敷地が広すぎて、まるで小さな町にいるみたい


あ……
やっと同じ袋が置いてある所があった


「よいしょっ！！」


ブンッと1番上にのっかるように投げる


ドスッ


やった！
凄く綺麗にのっかった！！


帰ろうと思って身を翻したその時…


ドザザザザザザザザッ


背後で何かが落ちていく凄い物音が聞こえた
　　　

そろりと後ろを振り返ると、山積みになっていたゴミ袋が全て平たくなって落ちていた


うぅ…
最悪だ、歩き疲れたからって横着しなきゃよかった

半泣きになりながらも、元に戻していく


「くっくっくっくっ」

「へ…？」


突然、妙な笑い声がどこからともなく聞こえてきた


なに？
なんだか頭の中に響いてくるような声…

キョロキョロと当たりを見回すと、少し離れた木陰からこちらを見て笑っている男の子がいた


え…
誰だろう…？


近づいてみると、私と同じこの世界では珍しい黒髪に、赤と青のオッドアイが印象的な小学生ぐらいの可愛いらしい男の子がいた


「か、可愛い！」


思わず声に出してしまった


こっちに来て、初めてこんなに年下の子を見たかもしれない！
目もぱっちりでお人形さんみたいに可愛い！


「余は年下じゃないぞ」

「へ…？」


な、なななんで？
もしかして私、今口に出してた！？


「人間の考えている事なんか手にとるようにわかる」

「に、人間って…
貴方も人間でしょ？」

「余は人間じゃない」

「へ…？」


人間じゃないって…
まさか幽霊とか！？


「き、貴様失礼なやつだな！
余を幽霊だと…！？」

「え…幽霊じゃないならなに？」

「知りたいか？」


あ、あれ？
なんだか急に周りの空気が冷たく変わったような…


「こっちに来い」


人差し指を私に向けてクイッと引く真似をする


え…
何してるんだろう？


「な…なぜだ？」


なんだか男の子は焦ったように、何度も手を動かしている


「貴様何者だ！？」


何者って言われても…


「ただの侍女ですけど…」

「嘘をつくな！
侍女にしては風貌も怪しいし、大体余の力が効かぬなどおかしいではないか！？」


力って…？
この子はさっきから何を言ってるんだろ？

しかも子供のくせに何だか凄く偉そうだし、年上の人に対して貴様なんて言葉遣いが酷すぎる
甘やかされた貴族の家のおぼっちゃまとかなのかな？


「おぼっちゃまだと…
しかも余に説教などと、貴様女のくせに本当に生意気だな！！」


勝手に人の心読んでるのはそっちのくせに！

なんでかは分からないけど、この子には私の考えてる事が分かるみたい

でも今からこんな口調じゃ、将来碌な大人にならない気がする


「ふんっ、本当に失礼な奴だな！
余はこれでも100年は生きておるのだぞ？」

「へ…？」


ま、まさか…
そんな事あり得ないし、見た目がどう見ても7歳ぐらいのお子ちゃまにしか見えない


「今は精霊の力のせいでこんな姿になっているだけだ
本来ならこのような屈辱的な見目ではない！！」


せ、精霊の力…？
精霊と言えば、あのモッフモフのわんちゃんも精霊だったな……


「もっふもふ…とはなんだ…？
しかも貴様精霊の1人と会った事があるのか！？」

「いや、会った事と言うか何というか…」


う～ん
いきなり出てきて契約を迫られて、色んな所舐められて、擽られた記憶しかない


「滅多に人と契約などしない精霊に契約を迫られただと！？」


まぁ私じゃなくて、エロ神様のせいみたいなもんだったんですけどね


「え、えろ神様とはなんだ？」


あ、だめだめ！
この子は心が読めちゃうんだから、流石にこれ以上は余計な事を考えないようにしなきゃ…


「おい、教えろ！！」


男の子がこっちに来ようと、一歩足を踏み出そうとした瞬間


バチバチッ


「ぐぁあああっ！！」

「きゃあっ！？」


突然、虹色の光が地面から出て、男の子が後ろに跳ね飛ばされてしまった