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波乱の舞踏会2

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遠目だけどアルディス様がいた方を見ると、どうやら私達がさっきいた2階でヒロインちゃんと話してるみたいだ

ついにあのヒロインちゃんと出会ったんだ…

例え性格が違っても、やっぱりアルディス様は物語通り恋に落ちたのかな…?


「マナさん、先に陛下達に挨拶しに行かなければなりません」

「へ…?」


サミュエルさんに声をかけられると、いつの間にか会場の舞台前に来ていた

下には音楽隊の人達と階段上の舞台には、王族専用の豪華な椅子が4つ並んでおり、その椅子に王様達が座っていた


ふと視線を感じて見上げると…

王子様がもの凄い顔をして私達をガン見している

思わず顔を逸らしちゃったけど、怖すぎる
あんな目をした王子様初めて見たかも…
  

「おや、ディーンアデライト殿下は今にも射殺さんばかりの目を私に向けてますね」

「な、何かしたんですか?」

「間違いなくマナさんが原因でしょうね」

「へ…?」


な、なんで私!?


「とりあえず陛下達に挨拶に行きましょう」

「は、はい…」


一先ず王様達に挨拶をする

初めて見た王様は王子様そっくりの金髪碧眼で、神々しいオーラを纏ったイケおじ様だった

王妃様は名乗るまで私の事が分からなかったみたいだけど、こんなに素敵な子だったなんてと抱きつかれてしまった

サミュエルさんとどう言う関係なのかとか2人に色々と聞かれたけど、家の事情でエスコートする事になったと簡単に説明したら、何故か王妃様はサミュエルさんを見てニヤニヤしていた
サミュエルさんは鬱陶しそうな顔してたけど、そのまま王妃様と内緒話をし始めた

仕方ないので、私だけであとの2人に挨拶しに行く

初めて見た王子様のお兄さん!
レイヴァン・トラバルト様
ラブマジではちょっとしか出てこないんだけど…

どうやら第1王子様は王妃様に似たようで、綺麗な顔立ちにローズブラウンのウルフカット、王子様とは反対側に泣き黒子がついていた

挨拶をすると名前呼びを許可され、いきなり手の甲にキスをされたからギョッとしていたら…


「マナさんはデビュタントなんですね
それならファーストダンスは王太子である私か弟と踊る事になります
まだ決まってないのなら是非私と踊り……」

「兄上!!」
 

急に隣で席を立つ王子様


「なんだディーン…?」

「マナのファーストダンスの相手は私です」

「は、はい…?」


そんな事いつ決まったんですか?
って言おうとしたら、突然グッと腰を持たれて…


“私に話を合わせて”


コソッと耳打ちをされたので、訳がわからなかったけど、とりあえず合わせる事にした

レイヴァン様は凄く驚いた顔してたけど、すぐに面白そうなものを見る目に変わって…


「へぇ…
まさかディーンがねぇ…」


なんてニヤニヤしながら、凄く楽しそうな顔をしている


「あ、あの…きゃっ!?」


そろそろ腰から手を離してほしいと言おうとしたら、そのまま周りからは見えない舞台袖に連れていかれて、壁際に追いやられた


「おう…ディ、ディーン様?」
 
「来ないって聞いてたのに、なんでマナは舞踏会に来てるの?
しかもサミュエルと来るなんてどう言うつもり?」

「いや、あの…
それが色々とありまして…」


そういえば色々な事が一気にありすぎて、舞踏会に出る事を伝えてなかったと思い、事の成り行きを全部王子様に話した


「契約書まで用意するなんて、やってくれたな…」


王子様はブツブツ言いながら
壁をドンっと叩いている


「あのでも、サミュエルさんには感謝してるんです
最初は色々あったし、ちょっと苦手だったんですけど、意外と良い人だったと言うか…
こんないいもの着させてもらったし、恥かかないようにって私にダンスまで教えてくれて…きゃっ!?」


いきなり肩を掴まれてびっくりした


「私が贈るはずだったのに…」

「へ…?」

「そのドレスも、ネックレスも、全部サミュエルに似た色だ
それを異性が贈るって、どう言う意味かマナは分かってる?」

「え???」

「まぁマナは分からないよね…
ここが舞踏会じゃなきゃ今すぐそのドレスをビリビリに破いてやるのに…」

「ひっ…」


な、なんか今日の王子様はいつもと違って野蛮だ


「いっそこのまま抜け出して…」

「殿下!
そろそろダンスが始まるってよ!」


こ、この声は…


「シャ、シャルさん」

「え…マナちゃん!?
なんでここに…てか……」


どうしたんだろ?
シャルさんは目を見開いて固まっている

なんだか今日のサミュエルさんみたいな反応だ


「サミュエルに綺麗にしてもらったそうだよ」

「はぁ!?
なんであいつの…
どう言う事なのマナちゃん!?」

「いや…あの…」


シャルさんにまで詰め寄られてあたふたしていると…


「ディーンアデライトさまぁ♡
どちらにいますの?」


こ、この猫撫で声は…
どうやらヴィヴィお嬢様が王子様を探してるみたいだ


「あ、そうだよ!
ヴィヴィアンヌお嬢様がさっきから殿下の事探し回ってるよ
ダンスリストも他のデビュタントの子達を蹴散らして、自分が1番になるようにしちゃうし、その子達のアフターケアも大変なんだって!」

「はぁ…
こんな時に勘弁してくれ…」


王子様は頭を押さえながら溜息をついている


シャルさん曰く、本当はヴィヴィお嬢様よりも身分の高い人がいて、その人達からだったらしいんだけど…

どうやらヴィヴィお嬢様にはそんな事は関係ないらしい
お得意の傲慢さと苛烈な態度でデビュタント勢を黙らせたそうだ

ついでに私は遅れて来た事もあって、最後から2番目になると言われた

そう言えばヒロインちゃんって、ダンス中に遅れて来るはずなんだけど、もう既に来ちゃってるんだよね…
でも順番的には私の次になるみたいだから、一応トリを務めるって意味では間違ってはないし…

う~ん、ちょっと内容は違うけど
王子様もきっと踊れば一目でヒロインちゃんに恋に落ちるんだろうな…


シャルさんから納得するように説明してと言われて、サミュエルさんの事を話しながら私達はダンスフロアへと向かった









  



























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