リンドブルム王子の婚活冒険記

門音日月

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1話 羊飼いの娘

後編

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 道中は三人のの会話がある以外、静かなものだった。
 イルマにとっては家を出たときよりも、気が軽く、足取りも自然と軽くなっていた。
 日が傾き始めた頃、目的の町へ着いた一行は宿を探しながら町を歩いていた。
「しかしイルマよ、そなたの荷物は随分と少ないが、これ王都まで来るつもりだったのか」
「はい、最低限の着替えと身の回りのものだけです。私も最初はこの町まで来て、宿を取るつもりでした」
「荷物の話をしたら、俺達なんて手ぶらでしょう。外で宿を取るなんて、どれだけ久しぶりやら」
 道を行く人々、すれ違う人々が時折リンドブルムを見ては何か言っているが、当の本人とその騎士は慣れているのか気にすることなく、道を歩いていく。
「あの、何だか王子様、すごく見られてません?」
「どうしても目立つ外見ですからね。イルマさんの住まれてた村で王子の噂があったように、この町でもまだ噂があるのかも知れません」
 腕を組み、不満そうに息を吐く王子。
「もしくは一国の王子がろくに共も連れずにいるんですから、何かあったのかと不安に思われているのかも知れません」
「なんというか王子様って、お城の外に出ても出なくても噂されるんですか?」
「そうなのか? 私が何をしてもしなくても、民を不安にさせてしまうのか?」
「今までろくに表に顔を出さなかったツケですね。俺がお仕えし出した時から、国の行事くらい顔を出してくださいと言っていたのに、出さなかった結果ですよ」
 言われたことに言い返せず、黙ってしまうリンドブルム。
 そんな主を見て、騎士は息を一つ吐く。
「それでも王都では王子の顔姿に見慣れた人が少なくはないんです。今後も、地道にやっていくしかありませんね」
「そ、そうだ、王都では私を見慣れたものも多い。民の前に姿を出し功績を残すことで、私は恐ろしい竜などではないと知られればいいのだ」
 リンドブルムは満面の笑顔で語り、天を仰ぐ。
「でもそれなら王子様、結婚は急がない方がいいんじゃないですか。もっとこう、貴族のお姫様たちからよく思われてからの方がよくありません?」
 イルマの言葉を受け、リンドブルムの視線が一気に地に落ち、バルトロスは遠くを見る。
「そこに至るまで掛かるだろう時間と、今の王子の年齢が、ですね」
「言うな。年のことは言うな、バルトロス」
「そう言えば王子様って、何歳なんですか?」
 リンドブルムの表情が暗いものに変わっていく。
 バルトロスは一度考えた後、言葉を選びながらイルマに伝えていく。
「王子は俺の三歳年上です。陛下と妃殿下は最近白髪が目立つようになられました。と言っておきます」
「すまぬイルマよ、年の話は止めて欲しい。何というか、胸に色々と刺さるものがあるのだ」
「は、はい。わかりました」
 二人の雰囲気に、察しなくてはいけないなにかを感じ、別の話題を探すイルマ。
「それにしても宿、見つかりませんね」
「私とバルトロスの二人ならば、最悪野宿でも構わぬのだが」
「そうですね。冒険者ならともかく、そうでないイルマさんを外で、という訳には行きませんからね」
「そんな気を使っていただかなくても大丈夫ですよ。忙しい時とか、羊小屋で羊と寝ることもあるんですから」
 リンドブルムが首を振り、手でイルマの言葉を制する。
「そうだとしても、雨風を凌げる場所は必要だ。そなたは私のように、雨風にさらされても平気な丈夫な体ではないのだ。寝るにしても、最低限必要な場所は用意させて欲しい。やはり町の者に聞いた方が早そうだ、少し待っていてくれぬか」
 そう言って王子は少し離れた場所にいる、町の住人と思しき者の元へ小走りで向かう。
「あの、王子様って見た目で損をしてる人、ですか?」
「そうなんですよ。あの見た目のせいで、半分以上損してるんです。大声出さないで、落ち着いて話してくれればそこまで悪印象にはならないはずなんですが」
「おーい、二人共っ! 宿の場所がわかったぞっ!」
 巨体から発せられる大声に、周りの人々の視線が一瞬で集まる。
「知らない人間が聞いたら、ドラゴンが吼えてるようにしか聞こえない大声。あの癖だけでも直して欲しいんですけどね」
 バルトロスの耳と尾が、力なく垂れ下がる。王子の大声に対して思うこともそうだが、隣りにいるイルマの表情の変化を見てのものだ。
「イルマさん、王宮に使えていただく以上はあの声には慣れてください。王子の悪い癖、みたいなものなんで」
「どうしたのだ二人共っ! 宿へは行かぬのかっ!」
 バルトロスの表情と耳と尾を見て、目の前の騎士の気苦労を察するイルマ。
 そんな気苦労を察しているのいないのか、その原因がこちらへとやって来る。
 特大のため息がバルトロスの口から零れ出る。
「何をやっているのだ二人共、日が暮れてしまうぞ」
「王子、大声は駄目だっていつも言ってますよね」
「離れていたのだ、仕方ないではないか」
「何事にも限度というものが……いや、今は止めましょう」
 二人がイルマを見る。
「先にイルマが休むための部屋だけでも確保しなくてはな。宿は向こうだそうだ」
 今回はリンドブルムが先頭に立ち、二人を誘導していく。
「王子様の尻尾、本当に長いですね」
「長いだけじゃなくて、振り回すと大人の男に殴られるより痛いんです。王子の後ろを歩くときは、距離に気を付けてください」
「バルトロス、やはりそなた尾で殴り飛ばしたこと、今でも怒っておるのだろう」
「怒ってませんって。大体それ何年前のことだと思ってるんです」
 何か訴える顔でこちらを振り返る王子に、従者は呆れた顔を返す。どう見ても一番気にしているのは、リンドブルム本人であろう。
 だがイルマの目には、そんな二人のやり取りは確かに友人同士のやり取りに見えた。
「本当にお二人って仲がいいんですね。もし騎士様が女性だったら、結婚のこととか考えなくてもよかったのにですね」
 その言葉を聞いて、王子は笑いだし、騎士は渋い顔をする。
「その言葉は回りから散々言われた事であるな」
「国王陛下に妃殿下、執事長にメイド長に騎士長、果ては下働きの下男下女に至るまで、みーんなそれを言うんですよね」
 肩をすくめるバルトロス。
「皆、俺に花嫁衣装でも着ろとでも言いたいんですかね」
「ハッハッハ、なら私は花婿の衣装を着て仮装パーティーでも主催するか」
「じゃあ、その時はイルマさんには司教の衣装を着ていただきましょう」
「ええっ、わたしか司教様ですか?!」
 イルマの驚き顔を見て、二人からは同時に笑いがこぼれた。王子の外見に対してなれたであろう様子を見て、王宮勤めをやっていけるだろうと安堵してである。
 他愛もない話しをしながらしばらく歩き、ひとつの建物の前で王子が足を止める。
「ここだな。下がっている看板が話に聞いた物と同じだ」
「じゃあ俺が宿の主と話しをしてきますから、少し待っていてください」
 バルトロスが一人、宿へと入っていく。
「あの王子様、騎士様お一人で行かれるんですか?」
「私が顔を出すと、部屋がどうの言われるからな。バルトロス一人で話をつけてからの方が色々と楽なのだ」
 息を一つ吐き、言葉を続ける。
「何よりこの町の町長なり何なりに私がいると知られると、面倒が増える。やれることは早く済ませた方が良いのだ」
 話しているうちにバルトロスが宿の入り口から姿を出し、手招きをしている。
 二人が宿に入ると、リンドブルムの姿を見た宿の主人であろう者が慌ててバルトロスに駆け寄る。
「ま、待ってください、お客さん。お連れというのはまさか、その、その方はリンドブルム王子では?!」
「ええ、そうですよ。けど宿代は払いましたし、俺に連れがいることも話しましたよね」
「で、でですがうちは王子のような高貴な方にお泊まりいただけるような宿では」
「そう言うことは気にしなくて平気ですよ。王子はモノの貴賤を気にするような方じゃありませんので」
 リンドブルムはイルマを見て、言った通りだろう、と肩をすくめ目で合図をする。
「バルトロス、明日は王都まで行くのだ。今日は早く休むぞ」
「はい、王子。部屋はこちらだそうです」
 宿の二階へ上がっていく一同の後ろから、どこか悲壮にも感じる宿の主人の声が聞こえていた。
「やれやれ、王都も近いというのにまだこれか」
「流石に王子様が突然来たら、皆あんな感じになると思いますよ」
「そうですよ。もし私の家に突然王子様が来たら、恐れ多くて家はお貸しして家族全員羊小屋ですよ」
「むむむ、それはいかんな。私としては気安く接してくれて構わんのだが」


「イルマさんはこちらの部屋をお使いください。部屋に入ったら、カギをかけるのをお忘れないように」
「荷物を返そう。食事に行くときには声をかけるゆえ、それまでゆっくりと休むがいい」
 バルトロスから鍵を、リンドブルムから荷物を受け取り、二人に頭を一度下げてからイルマは部屋へと入っていく。
 イルマが部屋に入るのを確認すると、二人も割り当てられた部屋に入り、扉を固く閉める。
「バルトロス、私は若いご婦人と普通に会話してしまったぞっ!」
「王子、声が大きいです。イルマさんに聞こえますよ」
 呆れた調子の声で返事をしながら、身に付けた鎧を脱ぎ始めるバルトロス。
「しかし、しかしだぞ。あんなに会話をしてくれたのだ。これは俗に言う、脈あり、と言うやつなのではないか」
 脱いだ鎧を部屋のすみに片付けながら、息を一つ吐く。
「王子がしたのは、普通の会話、と言うやつです。剣術の試合で言うなら、剣を持ったところです。構えてすらいません」
「だが、だがだ。会話をしてくれるということは、こちらを悪く思ってはいないということなのではないか。」
 バルトロスは今までの王子の見合いを思い出す。ああ、確かに彼女との会話時間は今までで最長だ、ということに気付き軽く頭を抱える。
 そして王子の浮かれ具合。少し話をしただけでこれなのだ。本人には申し訳ないが多少の水をささなければ、次にイルマにあった時にどんな行動に出るか予想もつかない。
「脈ありと思うなら、せめて体に触れることを許されてからにしてください。王子も俺と同じくらい鼻が効くんですから、相手が怯えてるかくらいは匂いでわかりますよね」
「勿論だ。イルマと話しをしている時に、あまり恐怖の匂いを感じなかった。つまりは私の顔に慣れてきているということであろう。何よりご婦人の手を取りリードしたことくらい、私にだってある。問題は」
「ダンスの練習は御婦人に触れたうちに入りませんからね。後、妃殿下と乳母代わりだったメイド長も含みませんよ」
「なん、だと」
 リンドブルムの両の眼が大きく見開かれる。
「当然でしょう。身内はこういう場合は数に含みませんし、ダンスの練習は触れなければ出来ないんだから触れて当たり前です。ダンスで言うなら、せめて舞踏会でどこかのご令嬢と踊ってから言ってください」
 無かった。バルトロスの言ったことに該当する記憶は、全く無かった。
「まて、バルトロス。つまり私はご婦人に触れたどころか、まともな会話もしたことがないことにならないか」
「そうですよ。お気づきになられました」
 頭をハンマーで殴られたような衝撃が王子を襲う。
「イルマさんに王宮で勤めていただくのは王子の呪いの件もありますが、ご婦人との会話の練習も兼ねています」
 まさかこの事実に今まで気付いていなかったことに、バルトロスは驚きを隠せなかったが、言葉にすることは止めておいた。
 女性との付き合いの無さが自分の年齢と同じ、と言う事実に襲われている王子の顔は哀れみすら感じる。
「原因は王子にもあるんですよ。自分を怖がる相手を側に仕えさせたくない、何て言うから俺とメイド長しか残ってないんじゃないですか」
「しかし、しかしだ。仕方ないではないか。怯えた匂いを放つ者が側にいる不安や不快は、鼻の効くそなたなら分かるであろう」
「そのお気持ちは分かりますがね、だからって側にいなきゃ慣れるものも慣れないでしょう」
 リンドブルムに長く仕えてはいるが、側仕えが増えない理由がこれだ。
 獣人の様に感覚が敏感ゆえ、感情から漏れる匂いにも敏感になってしまい、恐怖の匂いを不快に思い遠ざけるようになってしまったのだ。
「慣れると言うことは、ダンスの練習をメイド長やそなた以外と出来ると言うことだな!」
「確かにそうではあるんですが、それにはまずイルマさんにダンスを覚えていただく必要がありますね」
「それなら二人で練習して覚えれば良い」
「王子、下心が丸見えですよ」
 口をつぐみ、目をそらすリンドブルムをやや冷めた目で見る。
「まあいいや、飯でも食いに行きましょう。その際の注意ですが、四角いテーブルだったら必ず俺の横に座ってください。いきなりご婦人の横に座らないこと、いいですね」
「では、丸いテーブルだった場合は良いのだな」
「その場合も近づきすぎない、大声を出さない。忘れないでくださいよ」
 もちろんこの後、やらかした。何をどうとは言わないが、やらかした。

-それから数日後-

 王都に着くまで、特に変わったことはなかった。魔物や野盗に襲われるということも無かったし、王子と話しをしていて噂に聞くような恐ろしい人ではないと言うことも分かった。
 王宮での仕事はメイド長である、初老の女性が親切に教えてくれるので慣れないこともやっていけている。
 そんなある日の事だ。
 王子の午後のお茶の支度を終え、部屋から出たところでバルトロスに呼び止められた。
「イルマさん、今、お時間よろしいでしょうか?」
「はい、なんですか?」
 鎧姿ではなく執事服に身を包み、腰に装飾の施されたレイピアを帯刀している。
「私とメイド長から、今後の仕事についての話しです」
 バルトロスの後ろにはメイド長が立っていた。
「さて、イルマさんにこれからの仕事について、一番大事なことを説明します」
 バルトロスとメイド長が姿勢を正し、イルマを見る。
「これは国王陛下よりの勅命と思って下さい」
 二人の真剣な表情に思わず唾を飲む。
「私、騎士バルトロス。メイド長アメリア。そしてメイド、イルマは」
 静かな、けれど力強い声。
「ドランベルグ王国が王子、リンドブルム殿下の恋人を見つけるため、己が全てを捧げるのです」
 脱力した。言葉のオチに脱力した。
「バルトロスさ、いえ、バルトロス卿。それは本気で言ってるんですか?」
「本気ですが、何か?」
 バルトロスの姿勢は全く乱れていない。
 むしろ発言内容と姿勢の差に、イルマがその場にへたり込みたいくらいだった。
「イルマ、バルトロス卿の発言は冗談でも何でもありません。殿下のお世継ぎの問題は、国そのものの問題なのですよ」
「メイド長、どう言うことなんですか?」
「ドランベルグ王国の王位継承者は現在、リンドブルム殿下しかおられません。これは殿下に万が一の事があった場合、次の王位を簒奪せんとする不届き者たちの好機となりかねないのです!」
 語気が徐々に荒くなるメイド長を見、バルトロスが軽く咳払いをする。
 自分が興奮していたことに気付き、メイド長は一度深呼吸をする。
「つまりは、王子にお世継ぎが出来ないと、万が一の時に国が分裂しかねないと言うことです」
「あ、あの、だったら冒険者なんて危ないこと、やらせちゃいけないんじゃありません?!」
 イルマの言葉に二人が顔を見合わせ、大きなため息を吐く。
「本来ならイルマさんの言うとおりです。殿下は人並外れてどころか人外地味た強さがありますが、時期王位継承者に許される行いではないです」
「ですが諸侯の令嬢、近隣国の令嬢にいたるまで、お見合いは失敗。後は市井の娘からお相手を探すしかありません」
 何をどうすればそこまで見合いが失敗できるのか、むしろ興味や関心がわく。
「イルマさんのように、王子が興味関心を引いたご婦人を王宮に招くことが無い訳ではないですが、そちらも全て失敗しています。そうやって溜まった殿下の鬱憤晴らし、と言う理由もないわけではないです」
「一人でも多くの方との出会いの場を持つため、でもあります。一人でも多くの方と出会いの場があれば、可能性は高くなります」
 それは既に下手な何とか数打てば、な考えなのではないかとイルマは思ったが、口にすることはやめた。
「何よりこれからはイルマさんがいます」
「わたしに出来ることなんてあるんですか?」
「私もバルトロス卿も決して若いとは言えない歳です。ですがイルマ!あなたはまだ若い。若さからの感性で殿下とお相手の方とが上手く行くよう、支援して差し上げるのです」
「待ってください。わたし、恋すらしたことないんですよ!」
 メイド長の言葉に慌てふためく。
「そんな難しいことをして欲しい訳じゃ無いです。殿下がご婦人に対して失礼なことをしそうな時に、ご婦人の立場として止めていただければいいんです」
 それも十分難しいのでは、と思わずにいられない。
「さあ、殿下に素敵なご婦人を巡り合わせますよ!」
「ええ、将来の妃殿下をお探ししましょう」
 わたしトンデモナイところで働くのでは、イルマはそう思わずにいられなかった。
「けどこんなをこんな場所で話してて、もしご本人に聞かれたらどうするんですか?」
「それは大丈夫でしょう。王宮の壁や扉は、私のような獣人でも向こうの音が聞こえないようになってます。聞き耳でも立てない限り、聞こえることはありません。それより大事なのは次どうするかです。次は」


「聞こえているんだかな、全部」
 自室で誰に言うでもなく茶を飲みながら、一人呟く。耳が良いと言うのも困り者だと思う。
「明日には運命の相手と巡り会えるかもしれんと言うのに、バルトロスもメイド長も心配性なのだな」
 甘い空想に一人浸りながら、甘い茶で喉を潤す。恋人が出来たら二人で茶を飲み、どんな話をするのだろうと。
 結婚を焦ってはいる。焦る理由もある。
 だが、理想を求めて悪いことなど無いはずだ。
 王子リンドブルムが求める理想はただ一つ。
「きっといるはずなのだ、私を愛してくれるご婦人が」
 聞かれたらため息を吐かれかねない言葉を呟き、ひとり何かを誓うのであった。
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