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第7章 二度目の夏休み、再び帝国へ
第178話 夏だけの街
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女神の湖の畔にある小路をハンナちゃんと手を繋いで歩く、朝早く目が覚めたハンナちゃんが散歩に行きたいといってわたしにせがんだの。
ここは空気が澄んでいて気持ちが良いね。
広大な精霊の森をしょっている王都も空気がきれいだと思っていたけれど、夏場はここの方が気持ちが良いと思う。
ここの空気はひんやりとしていて、しかも適度に乾わいている。
この時期、王都の空気はじめっとしていて暑いんだ、だから息苦しく感じるの。
湖の周りに広がる森は精霊の森にはなっていないけど手付かずの森が広がっているためたくさんの精霊が棲んでいる。
わたしたちが散歩をしていると地元のおチビちゃん達が寄ってくる。ハンナちゃんは一々おはようと声をかけながら歩いているよ。
あんまり愛想を良くしているとおチビちゃん達が付いて来ちゃうよと思っていたら、既に何体かがハンナちゃんの肩に座ったりしていて付いて来る気満々のようだ。
わたしがそんな精霊達の様子に気をとられていると、
「あっ!」
と声を上げたハンナちゃんが、わたしの手を振りほどいた。
ハンナちゃんは数歩早足で歩いてしゃがみこむ。
ハンナちゃんが見ていたのは、傷ついて丸まった縦じま模様のネズミ?だった。
ネズミってあんなに尻尾がふさふさしていたっけ?
「ああ、リスですね。後ろ足を怪我しているようです。猛禽にでもやられましたかね。」
ハンナちゃんの肩越しに覗き込んだフェイさんが教えてくれた。
「りすさん、けがをしているの?まっててね、いまなおしてあげる。」
ハンナちゃんがリスに治癒を施すとリスの怪我が見る間にふさがっていく。
「ハンナちゃんもなかなか手馴れてきましたね。」
フェイさんも感心したようだ。そう、このところハンナちゃんの上達が著しいの。
ハンナちゃんの両手をあわせた手のひらの上に乗っていたリスは傷が治ると頭を左右に振って周囲を確認すると、木の枝を上るようにハンナちゃんの腕を登っていき肩の上に止まった。
「怪我を治してもらったのが分ったのでしょうか?どうも懐かれたようですね。」
ハンナちゃんの肩から下りようとしないリスを見てフェイさんが言う。
「ターニャおねえちゃん、りすさん連れて帰ってもいい?」
ハンナちゃんが上目遣いに聞いてくる。そんな目で見られたら置いていきなさいって言えないよ。
わたしは、フェイさんに助けを求めると、
「動物を飼うのは子供の情操教育に良いと言いますので、許しても良いのではないですか。
わたしも世話をするのを手伝いますし。」
とフェイさんが言った。フェイさん、あなたもですか…。
「ハンナちゃん、ちゃんとお世話できるなら連れて帰ってもいいですよ。」
フェイさんがハンナちゃんに注意をすると、
「うん、ハンナ、ちゃんとおせわするよ。」
とハンナちゃんはいい笑顔で答えた。
縞リスの『りすさん』がハンナちゃんの仲間に加わった…。
**********
りすさんを連れて別荘に戻るともうみんな起きていて、今日の予定を話し合っていた。
今日は一昨日来るときに通った全国各地の名店が並ぶと言う街を見に行くことになったみたい。
お昼時にあわせて行って街の中の食事処で昼食をとってから街をぶらつこうということになった。
ちなみに『りすさん』は人懐っこくてあっという間にみんなの人気モノになっていた。
そして、やってきました夏しか人がいない街、街中をゆっくりと見て歩けるように街の入り口に馬車を止めるところがあるんだよ。
そこから、ゆっくりと街を見ながら歩くの、最初の目的地はエルフリーデちゃんお勧めの地元料理のお店。
個室に通されると大きな鍋にぐつぐつと煮えくり返った粘度のある黄色い液体とパンや野菜それにハムやソーセージが大皿に盛り付けられて出てきた。
「お鍋に入っているのは白ワインで溶かしたチーズです。チーズは北部地域の特産品なのですよ。
大皿の上の食材を手元にある金串にさして、鍋の中のチーズに漬けて食べてください。
熱いから火傷しないように注意してくださいね。」
言われたとおりパンを一欠けら金串の先につけてチーズに浸して食べてみる。
パンにトロリと溶けたチーズが絡み、口に入れると芳醇なチーズの味がいっぱいに広がる。
うん、名物料理というだけあって美味しいね。
パンもあうけど、野菜もいいね、アスパラ、ベビーコーン、茹で芋、どれも溶けたチーズと良くあった。角切りにしたハムや茹でたソーセージもチーズと相性が良かった。
つい、お腹いっぱい食べ過ぎたよ。
お腹が膨れたところで街を見て歩くことにした。
普段は街を歩くことがない貴族達がのんびりと歩けるように、道には馬車が通るスペースの両脇に歩行者専用のスペース有り、馬車と歩行者のスペースの境には鉄柵が設けられている。
これなら、馬車を気にせずに街をみて歩けるね。
エルフリーデちゃんの領地は鉱物資源が豊富だと言っていただけあって、宝飾品の店が多かった。宝飾品の店の中には地元の店と並んでシーマ男爵領の真珠の店もあったのには驚いたよ。
みんな子供といえども貴族の女の子、並んだ宝飾品をうっとり眺めている。
もちろん買わないよ、貴族とはいえ子供にそんなお金持たせる訳ないもん。
宝飾品に縁のないわたし達三人が飽きてきた頃、エルフリーデちゃんがわたし達に気遣って言ってくれた。
「ターニャちゃんが冬に買ってきてくれた貝殻細工、とてもきれいでしたよね。
うちの領地にも貝殻じゃないけどきれいな細工品があるのですよ。
それでしたら、宝飾品ほど高くはないし、子供のわたし達でも普段身に着けれるので見に行きましょうか。
髪飾りなんてとてもきれいですのよ。」
エルフリーデちゃんのお勧めのお店の中に入るとそこで目にしたのは、
「虹色に輝く石?」
とミーナちゃんが不思議がるものだった。
虹色というより玉虫色かな?
その店の商品棚には、光沢のある緑や赤、青などが混じって光る不思議な石を使った、髪飾りやペンダントなどが並べられていた。
「鉱山を掘っていると巻貝の形をした石が出てくるのです。
その巻貝の形の石を割ると稀にこのような美しい色のものがあるのです。
非常に美しいし、あまりたくさん取れるものではないのですが、ダイヤやルビーといった貴石に比べて脆い物ですから価値の保存手段としては向かないと言うことで手頃な値段なのです。
この髪飾りなんて素敵でしょう。」
エルフリーデちゃんが指差した髪飾りは、金で縁取られた蝶のデザインで羽の部分に薄くカットされた虹色の石が嵌め込まれていた。
そこには、銀貨十枚と値段が記されている。
うーん、銀貨十枚、安くはないけど平民でも買えない値段ではないよね。
ここでしか買えないなら、ちょっと無理して記念に買うのも良いかも知れないね。
どうしようかと迷ったけど、結局、わたしもミーナちゃんも気に入った髪飾りを一つずつ買うことにした。
もちろん、ハンナちゃんにも記念に一つ買ってあげたよ。ただ、本人はあまり興味がなかったみたいで、みんなでどれがハンナちゃんに似合うかを話し合って買ったんだ。
ウサギの形にカットされた石が嵌め込まれたペンダントにしたよ。髪飾りだとどこかにぶつけて落としそうだから。
ここは空気が澄んでいて気持ちが良いね。
広大な精霊の森をしょっている王都も空気がきれいだと思っていたけれど、夏場はここの方が気持ちが良いと思う。
ここの空気はひんやりとしていて、しかも適度に乾わいている。
この時期、王都の空気はじめっとしていて暑いんだ、だから息苦しく感じるの。
湖の周りに広がる森は精霊の森にはなっていないけど手付かずの森が広がっているためたくさんの精霊が棲んでいる。
わたしたちが散歩をしていると地元のおチビちゃん達が寄ってくる。ハンナちゃんは一々おはようと声をかけながら歩いているよ。
あんまり愛想を良くしているとおチビちゃん達が付いて来ちゃうよと思っていたら、既に何体かがハンナちゃんの肩に座ったりしていて付いて来る気満々のようだ。
わたしがそんな精霊達の様子に気をとられていると、
「あっ!」
と声を上げたハンナちゃんが、わたしの手を振りほどいた。
ハンナちゃんは数歩早足で歩いてしゃがみこむ。
ハンナちゃんが見ていたのは、傷ついて丸まった縦じま模様のネズミ?だった。
ネズミってあんなに尻尾がふさふさしていたっけ?
「ああ、リスですね。後ろ足を怪我しているようです。猛禽にでもやられましたかね。」
ハンナちゃんの肩越しに覗き込んだフェイさんが教えてくれた。
「りすさん、けがをしているの?まっててね、いまなおしてあげる。」
ハンナちゃんがリスに治癒を施すとリスの怪我が見る間にふさがっていく。
「ハンナちゃんもなかなか手馴れてきましたね。」
フェイさんも感心したようだ。そう、このところハンナちゃんの上達が著しいの。
ハンナちゃんの両手をあわせた手のひらの上に乗っていたリスは傷が治ると頭を左右に振って周囲を確認すると、木の枝を上るようにハンナちゃんの腕を登っていき肩の上に止まった。
「怪我を治してもらったのが分ったのでしょうか?どうも懐かれたようですね。」
ハンナちゃんの肩から下りようとしないリスを見てフェイさんが言う。
「ターニャおねえちゃん、りすさん連れて帰ってもいい?」
ハンナちゃんが上目遣いに聞いてくる。そんな目で見られたら置いていきなさいって言えないよ。
わたしは、フェイさんに助けを求めると、
「動物を飼うのは子供の情操教育に良いと言いますので、許しても良いのではないですか。
わたしも世話をするのを手伝いますし。」
とフェイさんが言った。フェイさん、あなたもですか…。
「ハンナちゃん、ちゃんとお世話できるなら連れて帰ってもいいですよ。」
フェイさんがハンナちゃんに注意をすると、
「うん、ハンナ、ちゃんとおせわするよ。」
とハンナちゃんはいい笑顔で答えた。
縞リスの『りすさん』がハンナちゃんの仲間に加わった…。
**********
りすさんを連れて別荘に戻るともうみんな起きていて、今日の予定を話し合っていた。
今日は一昨日来るときに通った全国各地の名店が並ぶと言う街を見に行くことになったみたい。
お昼時にあわせて行って街の中の食事処で昼食をとってから街をぶらつこうということになった。
ちなみに『りすさん』は人懐っこくてあっという間にみんなの人気モノになっていた。
そして、やってきました夏しか人がいない街、街中をゆっくりと見て歩けるように街の入り口に馬車を止めるところがあるんだよ。
そこから、ゆっくりと街を見ながら歩くの、最初の目的地はエルフリーデちゃんお勧めの地元料理のお店。
個室に通されると大きな鍋にぐつぐつと煮えくり返った粘度のある黄色い液体とパンや野菜それにハムやソーセージが大皿に盛り付けられて出てきた。
「お鍋に入っているのは白ワインで溶かしたチーズです。チーズは北部地域の特産品なのですよ。
大皿の上の食材を手元にある金串にさして、鍋の中のチーズに漬けて食べてください。
熱いから火傷しないように注意してくださいね。」
言われたとおりパンを一欠けら金串の先につけてチーズに浸して食べてみる。
パンにトロリと溶けたチーズが絡み、口に入れると芳醇なチーズの味がいっぱいに広がる。
うん、名物料理というだけあって美味しいね。
パンもあうけど、野菜もいいね、アスパラ、ベビーコーン、茹で芋、どれも溶けたチーズと良くあった。角切りにしたハムや茹でたソーセージもチーズと相性が良かった。
つい、お腹いっぱい食べ過ぎたよ。
お腹が膨れたところで街を見て歩くことにした。
普段は街を歩くことがない貴族達がのんびりと歩けるように、道には馬車が通るスペースの両脇に歩行者専用のスペース有り、馬車と歩行者のスペースの境には鉄柵が設けられている。
これなら、馬車を気にせずに街をみて歩けるね。
エルフリーデちゃんの領地は鉱物資源が豊富だと言っていただけあって、宝飾品の店が多かった。宝飾品の店の中には地元の店と並んでシーマ男爵領の真珠の店もあったのには驚いたよ。
みんな子供といえども貴族の女の子、並んだ宝飾品をうっとり眺めている。
もちろん買わないよ、貴族とはいえ子供にそんなお金持たせる訳ないもん。
宝飾品に縁のないわたし達三人が飽きてきた頃、エルフリーデちゃんがわたし達に気遣って言ってくれた。
「ターニャちゃんが冬に買ってきてくれた貝殻細工、とてもきれいでしたよね。
うちの領地にも貝殻じゃないけどきれいな細工品があるのですよ。
それでしたら、宝飾品ほど高くはないし、子供のわたし達でも普段身に着けれるので見に行きましょうか。
髪飾りなんてとてもきれいですのよ。」
エルフリーデちゃんのお勧めのお店の中に入るとそこで目にしたのは、
「虹色に輝く石?」
とミーナちゃんが不思議がるものだった。
虹色というより玉虫色かな?
その店の商品棚には、光沢のある緑や赤、青などが混じって光る不思議な石を使った、髪飾りやペンダントなどが並べられていた。
「鉱山を掘っていると巻貝の形をした石が出てくるのです。
その巻貝の形の石を割ると稀にこのような美しい色のものがあるのです。
非常に美しいし、あまりたくさん取れるものではないのですが、ダイヤやルビーといった貴石に比べて脆い物ですから価値の保存手段としては向かないと言うことで手頃な値段なのです。
この髪飾りなんて素敵でしょう。」
エルフリーデちゃんが指差した髪飾りは、金で縁取られた蝶のデザインで羽の部分に薄くカットされた虹色の石が嵌め込まれていた。
そこには、銀貨十枚と値段が記されている。
うーん、銀貨十枚、安くはないけど平民でも買えない値段ではないよね。
ここでしか買えないなら、ちょっと無理して記念に買うのも良いかも知れないね。
どうしようかと迷ったけど、結局、わたしもミーナちゃんも気に入った髪飾りを一つずつ買うことにした。
もちろん、ハンナちゃんにも記念に一つ買ってあげたよ。ただ、本人はあまり興味がなかったみたいで、みんなでどれがハンナちゃんに似合うかを話し合って買ったんだ。
ウサギの形にカットされた石が嵌め込まれたペンダントにしたよ。髪飾りだとどこかにぶつけて落としそうだから。
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