路地裏生活をしていた私ですが、実は騎士様の実の娘でした

上野佐栁

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モウとアリス

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 「やだ!待って!行っちゃ駄目‼︎」

 「アリス。僕たちは遠くへ逃げるんだ」

 「パパも兄さんも一緒に......」

 「まだわからないのか‼︎」

 「わかってる。自分の命を犠牲にしてでも私を助けたいでしょ⁇」

 「そうだ。だから‼︎」

 「それでも私はもう誰も犠牲にしたくない‼︎」

 「俺だって同じ気持ちだ」

 「だったら私を高台まで連れて行って」

 「駄目だ。逃げるのが最優先」

 「スペアが連れていってくれないならネスに連れて行ってもらう」

 「わかったよ。でも無茶はさせない」

 「......」

 「俺に捕まって」

 「自分で立てる」

 「支えながら怪我を治す」

 「わかった」

 「グアアアア‼︎」

 「なんなんだよ。あの化け物は⁉︎」

 「くそ!全然攻撃が効かねー‼︎」

 「このままじゃ全滅するぞ」

 「住民の避難させろ!」

 「誰も死なせるな!」

 「了解!」

 ガブッ

 「うわあああ‼︎腕!僕の腕が⁉︎」

 「マジで化け物じゃねぇかよ」

 「ここから先は絶対に行かせるな!」

 「魔法だ!魔法で足止めしろ!」

 「馬鹿ね。魔法なんて、ケルベロスには効かないのにねぇ。あははは。キャアハハ‼︎」

 「はぁはぁ......」

 「高台に着いたぞ」

 「ありがとう」

 「アリス。何をするつもりだ?」

 「ケルベロスには魔法は効かない」

 「それじゃ負け確定じゃないかよ!」

 「だけど、神力なら効くかも」

 「神力?」

 「うん。この剣に私の全神力を込めて切り裂く」

 「待て!今のアリスは戦える状態じゃない!だから行かせるわけにはいかない」

 「ごめんなさい」

 ダッ

 「......っ⁉︎」

 この高台から飛び降りればさらに勢いが増すから攻撃力も少しは上がるはず。

 「もう誰も失いたくない‼︎」

 「魔法弾を放て‼︎」

 シュシュバーン

 「グッグッグッ!」

 「全然効いてねぇよ」

 「勝てるのかよ」

 「ケルベロス‼︎」

 「あ、あれって冬の騎士団長⁉︎」

 「なんで空から‼︎」

 「人間が憎い」

 「......っ」

 ケルベロスの声が聞こえる。

 「この世界の人間をひとり残らず殺してやる」
 
 「人間が憎いからって罪なき人を殺していい理由にはならないんだからああああ‼︎」

 「愚かな人間め。ここで仕留めてやる。そして俺様の食事になれ」

 スッ

 「やあああああ‼︎」

 ザクッパキッ

 「な、なに⁉︎俺様の腕を切り落としただと?」

 剣が折れた‼︎

 「そんなありえない‼︎ケルベロスの腕を切り落とすだなんて......アリスハート。あんたは絶対にケルベロスの供物にしてやるんだから」

 「アリス‼︎」

 パムッ

 「ネス!」

 「来るなって言われてただろ?」

 「それでも失いたくない人たちを守りたい。だから来たの」

 「アリス。僕の神力を使って」

 「モウ」

 ギュッ

 ピカッ

 「えっ?なんの光?」

 「おいおい。うちの団長が変身した⁉︎」

 「憎いやつらめ。人間如きが神と同化するだなんて......」

 「すごい。神力の力が溢れてくる」

 「......」

 「人間が!」

 ヒョイ

 「ケルベロスの動きがわかる」

 「クソ神が!」

 「アリスよ。今お前が着ているものは私だ」

 「えっと?モウを着ているってこと⁇」

 「そうだ」

 「......もう驚きすらない」

 「そうか」

 「死ね!人間!」

 スッ

 「ごめんなさい。剣をお借りします」

 亡くなってしまった他の騎士を報いるためにも今ここで、ケルベロスを仕留める。

 「ケルベロス。あなたは私の逆鱗に触れた。人間が本気を出したら最悪の厄災でも消えてなくなることを思い知らせてやる」

 「グアアアア‼︎」

 グサッ

 「悪いけど、さっきまでの私とは違うの。負けない。みんなを家族を守るためなら私はどんな悪役になっても構わない‼︎」

 「人間共め!」

 「ディヴィニティ」

 ドーン

 「グアアアア‼︎」

 「アリス」

 「僕の妹がケルベロスを?」

 「あなたはもう出てこなくていいよ。だからもう死んで?」

 「そ、そんな!嘘でしょ⁇ケルベロスがやられた⁉︎」

 一番強くて確実だったのに。

 「この気配はまだケルベロスは......」

 「だ、団長が!冬の騎士団長がケルベロスを倒しだぞ!」

 「うおおおおおおおお!」

 「団長万歳‼︎」

 「よかった」

 ふと、糸が切れるみたいにモウと引き剥がされた。

 「わっ!」

 「どうやら時間切れのようだ」

 「モウありがとう。あなたがいてくれたからケルベロスを倒せた」

 「アリスが頑張ったからだろ?」

 「うふふ。そうだね」

 「アリス」

 ギュウウウウ

 「むぎゅー!」

 「全くお前はいきなり空から飛び出す馬鹿がいるか‼︎」

 「ごめんなさい」

 「アリスかっこよかったよ」
  
 「うん」

 「でも犠牲者が多すぎる」

 「今回ので何人死んだ?」

 「いやああ!マルク!マルク⁉︎」

 「......」

 「どうして私を置いていくの!一緒にいるって言ったじゃない!」

 「被害は決して少なくない」

 「死んだ人たちに報いるためにも強くなりたい」

 「ああ、同じだ」

 「あとは他の騎士に任せてお前は怪我を治してこい」

 「あっそうだった。私は怪我してたんだった」

 「忘れてたのかよ」

 「うん。一生懸命にだったから」

 でも死んだ人たちには悪いけど、家族が生きてて本当に良かったよ。

 「ケルベロスが完全に消滅しなくてよかったわ」

 「あの人間!あの人間の名前は!」

 「ああ。アリスハート.レイトンのことね?」

 「そうだ!あの人間のせいで暴れ足りなかった。絶対に殺してやる。この俺様に恥をかかえおって!」

 「そのためにはたくさんの供物をケルベロスに与えなければね」

 「寄越せ。早くお前の言う供物とやらを俺様に寄越せ!」

 「また時が来たのなら今度こそ息の根を止める。アリスハート.レイトン‼︎」

               第一章抗う運命完
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