路地裏生活をしていた私ですが、実は騎士様の実の娘でした

上野佐栁

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第三章

消えゆく魂のカケラ

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 「アリス。あなたとの訓練は今日で終わりよ」

 「えっ......⁇」

 皆さんこんにちは。アリスハート.レイトンです。私は今、悠美に当然、禁断の魔術の訓練は今日で終わりだと言われた。なぜそうなかったって?私が知りたい‼︎

 「ま、待ってよ?どうゆーことなの?」

 私がそう問いかけると、悠美は少し悲しそうな顔で答えた。

 「もうすぐで時間切れなのよ」

 「え、えぇーと?ごめん。意味がわからない」

 時間切れ?なんの話?そもそも悠美にはもう時間という概念はないはず?

 「私の役目ももう終わり。だから最後に本気の禁断の魔術を使うよ。それに耐えることができたのならアリスはケルベロスに勝てる!」

 そう言って、悠美は禁断の魔術をいくつも使った。

 「ちょっ⁉︎」

 いきなりの攻撃だったので避けるので精一杯だ。

 「悠美‼︎」

 私がそう怒鳴りつけるが、悠美は真剣な顔で私を見ている。

 「これが最後だから。だから最後に思いっきり戦って本当の戦友になろうよ」

 「......」

 今にも泣きそうな顔なのに強い意志で私を見つめてくる悠美。まるで、これが本当に最後で、私とはもう二度と会わないと言っているようにも見える。

 「わかったよ。私も本気で、悠美を倒しに行くよ。どっちが倒れても恨みっこなしで!」

 数十分後

 ざわざわ

 「ん?なんの騒ぎ?」

 「おい。クソ。お前なにも知らないのかよ?」

 「えっ?なにが?」

 キョトン顔になるウリエル

 「アリスとあのイタズラ好きの馬鹿が本気の決戦をしているんだよ」

 「まじで⁉︎それは見なきゃじゃん!」

 そうウキウキと二人の決戦を見るウリエルなのであった。

 ガガガッ

 ドーン

 「......っ!」

 強い。今までとは打って変わって強い。初めて戦った時から本気じゃなかったんだ。

 「アリス。私ねぇ、このままずっと戦いたい。この戦いを終わらせたくないよ」

 そう笑顔で言う悠美

 「そうだね?私もこの本気の戦いを終わらせたくないかも。でも終わらない戦いなんてないのよ?高木悠美‼︎」

 私も負けずと笑顔で言う。

 「そうだね。だからこそ私が勝つよ。アリスハート.レイトン‼︎」

 悠美は左に大きくずれて、精神系の魔法を使った。きっと、私にはこれが一番効くのだろう。だって、今でもネスが死んだことやママが死んだことを受け入れられないもの。どこかで責められているようにも感じる。そう思わずにはいられない。だからこそこれを乗り越えるんだ。

 「大好きだよ。悠美」

 私がそう答えると、悠美の目から涙からこぼれ落ちた。

 「私も......私もアリスが大大大だーい好き‼︎」

 そう言って、また禁断の魔術を使った。相手の時間を止めたり魔力を奪ったりする魔法を主に悠美は使う。だけど、私もそれに対応できるようになりここ最近ではあんまり効果はない。でも今は本気だ。本気でかかってきたら私もすぐにやられるだろう。

 でも負けるつもりなんてないから!

 「シールド」

 「アリスってすぐに防御系の魔法を使って距離を置くけど、それってさぁ、単なる逃げだよね?」

 「えっ?」
  
 いきなりのことで戸惑ってしまった。
  
 「防御も大事だけどさぁ、攻撃を積極的になった方がいい。人生の先輩としての最後のアドバイスだよ」

 「......私とそんなに生きている時間変わらないよね?」

 「うっさいなぁ!空気壊すな‼︎」

 攻撃か?そういえば私は攻撃もするけど、危ないと思った攻撃はすぐに防いでしまう。それはきっと正しいことだけど、ケルベロス相手には通じない。攻撃は最大の武器?

 「これで終わりにしよう。アリス!」

 そう言って、何もない空間から黒いドラゴンを召喚した。


 「待って待って待って待って⁉︎これは正気の沙汰じゃないよね⁉︎この世界を終わらせる気?」

 「さぁ、この攻撃をどう防ぐのアリスハート.レイトン!ううん。冬の騎士団長様‼︎」

 「......もちろん。私の魔力と神力で止めるよ」

 私はそう言って、炎系、水系、風系、土系、回復系の五つの力を同時に使い、黒いドラゴンにぶつけた。

 「グエエエエエエエエエエエエエ‼︎」

 耳を切り裂くような高い声で何も聞こえない。左耳の鼓膜が破れた。耳から血が出る。

 まるで最初から何もなかったかのようにこの辺り一体が無くなっていた。でも怪我人も「アリスを除いて」死者も出てない。

 「......」

 驚いてその場に固まるが、悠美が地面で倒れて動かない。

 「ゆ、悠美‼︎しっかりしてよ。悠美‼︎」

 「ね、ねぇ?少しだけお話ししない?」

 そう苦しそうに言う悠美を見ていると涙が溢れてくる。

 「なんで?なんで言ってくれたなかったの?悠美の魂のカケラがもう持たないって......なんで言ってくれなかったの?」

 「そんなこと言ったらアリスが気に病むでしょ?だから何も言わない選択肢を選んだの」

 そう笑いかける悠美

 「馬鹿だ。何も知らないで、呑気に悠美の隣で訓練してたなんて、騎士団長失格だ」

 「......そんな悲しいことを言わないでよ。アリスは頑張ったよ。アリスは最高の騎士団長だよ」

 「悠美......」

 悠美の体が光だし体のあちこちにヒビが入る。

 「初めてね、この世界に来た時は感動したよ。本当に漫画の世界に来たんだって喜んじゃった」

 「私は喜ぶ暇なかったよ」

 私は泣きながらも悠美と話し続ける。

 泣くな。これ以上泣くな。涙を見せるな。そう言い聞かせても涙はポロポロとこぼれ落ちる。

 「絶対にケルベロスに勝ってね?死んだら許さないからね?」

 「......うん」

 「私もこの世界で生きてみたかっなぁ?」

 その言葉を最後に悠美の体は崩壊した。まるで蛍火のように綺麗な光がその場を埋め尽くしすぐに消えた。

 「今は何も言わない。叫ばない。悠美の気持ちもみんなの気持ちも絶対に繋ぐ。繋いで繋いで繋ぎ続けるから見ててね?」

 そう言って、私はその場を後にした。

 コンコン

 「はい」

 私は部屋で落ち込んでいると、ドアをノックする音が聞こえた。

 「私です。ステファニーです」

 ステファニーがそう言った。正直今は誰とも会いたくない。今回のこともかなりショックだったからだ。

 「アリスさん。私たちはアリスのお側にいますよ?だからどうかひとりで抱え込まないで」

 ステファニーはそう言い残しその場を後した。

 「ありがとう。ステファニー」

 私はステファニーにお礼を心の中で言った。

 次の日の早朝

 「何をしている?早く鍛錬しに行け!」

 「あれ?いつもの団長だ?」

 「ほぉーう?お喋りをしている暇があるなら私と戦え?」

 「鍛錬行ってきます」

 慌てて騎士団たちは鍛錬しに行く。

 「アリスハート。私が必ず止めるから。だからそれまでは自我を失わないで」

 「うぅ......ああ、う。アリス?」

 「俺様の供物はどこだ?」

 「後少しだから待ってなさい」

 ケルベロスの決戦まで後、一ヶ月半。
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