こっくりさん

上野佐栁

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呪い

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 「こっくりさん。こっくりさん。お入りください」
 
 ガタッ

 「う、動いた⁉︎」

 「すごい......」

 「じゃあまずは私から質問!」

 「優花!まずは先輩たちからって決めてたでしょ⁇」

 「わたしくはいいですよ」

 「僕もいい」

 「私もいいよ」

 「じゃあ行くよ!」

 優花は一体どんな質問をするの?

 「えーとね。心に好きな人はいますか?」

 「はあ⁉︎」

 ズズズ

 「イナイ」

 「えー!つまんない」

 ズゥーン

 「いないのか?」

 「翔?」

 「あーあー。私の知っている二人がくっ付けばおもちゃにできるのに......」

 「腹黒いな」

 「こっくりさんありがとうございました」

 「帆奈先輩⁇」

 「お忘れですか?こっくりさんには敬意を忘れてはいけない。そう言われましたよ?」

 「そうだった‼︎」

 「こっくりさんありがとうございました」

 「では次僕の番」

 「おー!今野先輩の質問はなんだろ?」

 「月島さんの秘密を教えてください」

 「えっ?わたしくですか⁇」

 「うん。君は少しミステリアスなところがあるから知りたいんだ」

 「はあ......⁇」

 ズズズ

 「ヒトトハチガウチカラヲモッテイル」

 「......っ!」

 「人とは違う力を持っている⁇」

 「はい。わたしくには人とは違う力を持っていますが......決してそれを無意味に使う気はありません」

 「へぇー」

 「こっくりさんありがとうございました」

 「次は私。私の恋は実りますか?」

 「あー。浅科先輩って好きな人がいてもすぐに振られて失恋するもんね?」

 がしっ

 「なーにか言った?」

 「すみません‼︎」

 ズズズ

 「コイハドリョクスレバミノル」

 「まだ希望はあるんだ!」

 「曖昧だな?」

 「つまり五分五分と言うことですよ」

 「なるほど!」
 
 「こっくりさんありがとうございました」

 ぼやっ

 「......」

 「心さん?」

 「心⁇次は心の番だよ⁇」

 「......こっくりさん」

 「心さん......何を言おうとしているのですか?」

 「帆奈先輩⁇」

 「今すぐに心さんの口を塞いでください‼︎」

 「え、ええ?」

 「こっくりさんは私たちに聞きたいことがありますか?」

 ゴーンゴーン 

 「鐘の音⁇」

 「一体どこから?」

 ドサッ

 「こ、心⁉︎」

 「おい!どうしたんだよ?」

 「せ、先輩これって一体......」

 「......呪い」
  
 「呪い⁇」

 「はい。真偽は知りませんが......心さんに強い霊が......それも強力で強い念を持った悪霊が一時的に取り憑いたみたいです」

 「嘘でしょ⁇」

 「もういません」

 「なら安心......」

 「ですが‼︎こっくりさんの呪いが発動してしまいました」

 「そういえば私たち全員......十円玉から手を離しちゃってます」

 「......」

 「ど、どうなっちゃうの?」

 「ヤアヤアオマエタチ」

 「なにあのきつね?」

 「気持ち悪っ!」

 「シツレイダナ?オレサマガジキジキニデテキテヤッタノニ?」

 「強い怨念ですね?」

 「ヘェー。オマエニハワカルン?オマエナニモノ?」

 「......二つの世界の繋ぎ目とでも言っておきます」

 「フタツノセカイノツナギメ?アア......カンナギカ」

 「巫?」

 「メズラシイナ?コンナトコロニカンナギサマトデアエルナンテウンガイイ」

 「こっくりさんは通常中級霊しか出てこないですが......あなたは上級霊と言ったところですね?」

 「セイカイ!コノオレサマガオマエタチニシツモンシテウソヲイエバアルイミノシヲアタエル」

 「ある意味の死?」

 「その意味はわたくしにもわかりません」

 「ジャアシツモンスルヨ」

 「一体なんの質問が来るのですか?」

 「マズハコンノクンカラネ!」

 「え?僕?」

 「ウン。オマエハロリコンカ⁇」

 ギクッ

 「ち、違う!」

 「アーアーウソイッチャッタ」

 「コーックリサン。コーックリサン。ワタシノモトニオイデクダサイ。ナンデモヒトツアナタニアゲマスヨ。ソノカワリニヒトツアナタノヒミツヲオシエテクダサイ」
 
 「なにこの歌?」

 「低いような高いようなよくわからない音程」

 「ウソヲイッタラアルイミノシガマッテイル」

 「ガアアアア」

 「え......」

 ガブッ

 「きゃあああ⁉︎」

 「こ、今野先輩のく、首が⁉︎」

 「キョウハココマデ。アシタマタシツモンシニクルヨ。ニガサナイ。ニゲラレナイカラネ?」

 そう言って私が気を失っている間に今野先輩が死んだ。そのことを知らされたのは明日になってからだ。

 ゴーンゴーン

 学校全体に鐘の音が響き渡る。そして私たちは強制的に家を返されていたのであった。

 
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