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届かない過去その2

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 「リリアはもう私が死んだ者として扱っているの⁇」
 「ち、違っ......」
 「だったら前を向いて歩こうよ。リリアはリリアでしょ⁇私に言ってくれたように......どんな過去があっても私はリリアを信じるの!」
 「......っ!」
 「どんなに辛い過去があってもリーリエはリーリエなんだよ。たとえ貴方が栗原由梨だとしても!私は私の妹を大切に想う気持ちだけはわからない。だから一緒に帰ろう。お家に帰って今まで離れ離れになっていた時の話をしよう」
 「私は......」
 「そんな戯言に耳を傾ける必要はない」
 「......」
 「ねぇ?貴方はどうしでそんなに代わりたいの?自分が居るって知らしめたいの?」
 「そんなことは......」
 「だったら見守ろうよ。リセット前のリーリエみたいに見守ってほしいよ。私達は双子なの。どっちかが欠けてはいけないの」
 「......」
 「リリアは私に死んだままで居てほしかったの?」
 「そんなことない‼︎私はリーリエに生きててほしくて禁断の魔術にも手を出したの。あの時強く願ったの。リーリエが生きている世界で私も生きたいって......だから!」
 「じゃあなんで諦めているの?まだまだこれからなのに......」
 「それは......」
 「もしかして殺してしまったから側に居る資格がないとか言ったら怒るよ」
 「うぐっ!」
 「......図星か」
 「だって......だって私はリーリエが幸せならそれでいいの」
 「本当に似た者同士ね」
 「え......」
 「私もリリアが幸せならいいって思ったの。でも違う。自分も幸せじゃないと相手を妬んでしまう。嫉妬してしまう」
 「......」
 なにも言い返せない。リーリエの言う通り。ただ生きたかっただけなんだ。自分さえ良ければそれでよかったんだ。
 「ごめんなさい。リーリエ」
 バンッ
 「り、リーリエ⁉︎なにをしているの⁇なんで自分を撃ち抜いて......」
 「私はそこに居ない。いま目の前に居る。どんなに伸ばしても手が届かないって言ったでしょ⁇でも私には届いた。それじゃ駄目なの⁇」
 「駄目じゃない。リーリエが側に居てくれるだけで私は頑張れる。頑張って歩いて行けるの」
 「そうだね。歩こう。今度は二人......ううん。皆んなと一緒に!」
 「......うん。うん!そうだね。皆んなで歩いて行きたい」
 「そう。貴方も結局は過去を忘れて生きて行くのね。なにも知らずに居た方がまだマシだもんね?私を置いたまま居なくなるのね」
 ギュッ
 「貴方も一緒にね」
 「そうだね」
 「......」
 こんなの認めない。認めたくない。  
 「私をそうやって追い詰めてなにが楽しいの?もうほっといてよ」
 「リリアは頑張った。私のためにいろいろとしてくれたんでしょ⁇」
 「だからなに‼︎」
 「ごめんなさい。私のためとは言え辛い思いさせて......今まで気付いてあげられなくてごめんなさい」
 「今更そう言われたって......もう遅いよ。もういいよ。今は入れ替わらない」
 「ありがとう」
 「......」
 「さぁこの扉を開けよう」
 「うん」
 キィー
 ドーン
 「な、なんだ⁉︎」
 「すごい光だ!前が見えない⁉︎」
 「二人は無事なのか?」
 「......」
 シュルルル
 「リーリエ⁉︎リリア⁉︎」
 「まずいぞ。このまま落ちたら二人は......」
 「確実に死ぬ」
 「......はっ⁉︎リーリエ‼︎」
 「......」
 「リーリエ⁉︎リーリエ起きて」
 「......」
 駄目。さっきので力をほとんど使い果たしている。このままじゃリーリエが......。
 「リーリエを守りたい。誰にも負けないぐらい強くなって......この世界で一番大切な妹を守るんだ!」
 「貴様の心からの願い聞き届けたぞ」
 「え?誰?」
 「僕は超上級精霊の炎の精霊ソレイユだ」
 「太陽の女神とも言われたあのソレイユなの?」
 「そうだぞ。僕、ソレイユはリリア.クロムラムを主人として認める」
 「主人?」
 「感謝するが良い。僕の力を思う存分に使いこなせるんだ。妹を守りたくは僕の力を使え。シルクロードにも勝てるぞ」
 「うん!」
 ぼっ!ゴオオオオ
 ソレイユの雇用スキルは炎。エースと同じ力が......ううん。それ以上にら使えるようになったんだ。
 「......リリア⁇」
 「リーリエ大丈夫⁇」
 「り、リリア⁉︎その姿はまさか......精霊と同化.精霊化したの?」
 「うん。リーリエと同じだね」
 「うん......」
 「今度は二人でシルクロードを倒そう!」
 「違うよ」
 「えっ?」
 「二人じゃなくてエース、クリフ、デイモンの五人でしょ⁇」
 「そうだね」
 「貴様ら!」
 「シルクロード!これ以上は好き勝手にさせない!」
 今度は絶対にバッドエンドには進まないんだから!
 そう強く願うのであった。
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