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16.ヒーローは都合よく現れるわけがない

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 ────まぁ…。
 悠が駆けつけてくれる展開なんて、期待するだけ無駄なんだけど。
 てかあのイケメンに、こんなクララをおっ勃ててる姿なんて、見せられるわけがねぇよ。
 さすがにドン引かれるわ。
 俺にも羞恥心ってものがあるんだよ。

 そんなわけで今現在、一人寂しく廊下を歩いている。
 壁に手を付きながら休み休み歩いているせいで、なかなか前に進むことが出来ない。
 そんな俺の横を、食堂帰りの生徒がどんどん通り過ぎていく。
 その度にハッとなって、壁でクララを隠すように立ち止まる俺。

(ほんともう泣きたい……)

 クララの暴走を止められなかったせいで、神経が全部股間にもっていかれている感じだ。
 股間を隠すように俯きながら歩いているけど、いつちんこの勃起に気づかれるかと思うと、生きた心地がしない。
 バレる恐怖と疼く下半身に、今すぐこの場に蹲ってしまいたくなる。
 そんなことをしたら余計に生徒の目を引くだろうし、最悪心配した生徒が先生を呼びに行ってしまうかもしれないから、うっかり蹲ることも出来ねぇ。
 歩きたくないのに歩くことしか出来ないって、何なのこの状況。

(くそっ、詰んだ。こんなクララの状態じゃ、保健室にも行けねぇよ)

 中途半端に刺激される股間のせいで、勃起が治まってくれない。
 歩く度にズボンで中が擦れるんだよ。
 それが震えるほどに気持ちいい。

 シャツが擦れるたびに乳首にも刺激がいくせいで、シャツ越しでもピンと張りつめてきているのが分かる。
 とにかく刺激全部が快感に直結してしまうせいで、これ以上歩くのがマジでしんどい。
 ちんこの根本も痛ぇよ……。

「あぁ、もう……。くそっ」

 こんな場所でさえなかったら、俺のクララを思いっきり泣かすことが出来たのに!
 今ならコイツもぐずらずに、一気に昇天間違いなしだ。

「はぁ…はぁ……も、ここでいいから抜きてぇ…」

 だんだんここが学校だっていうのも、どうでもよくなってきた。
 思考が股間の熱に引っ張られて、ただもうとにかく抜きたい…!
 流れ落ちる汗の刺激にさえ、喘ぎ声が漏れそうなほどに背筋がゾクゾクする。


(どこか……どこでもいい。今すぐ抜ける場所に行きたい…!)


 壁に手を付きながら、朦朧とする思考でどこで抜こうか考える。
 人気がないところってどこだろ…?
 
  屋上…、いや体育倉庫か…?

 駄目だ。どこも遠すぎて、今の俺の状態で行ける気がしねぇ。
 他は……他はどこか───…

 熱で潤む視線の先に、男子トイレが目に入った。


(……トイレか。ここなら今の俺でもなんとか行けそう)




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