イケメンがご乱心すぎてついていけません!

アキトワ(まなせ)

文字の大きさ
69 / 70

67.悠との夜⑥ ※

しおりを挟む
「は…っ、は…っ、……はぁ…、っはぁ……」
 
 ずっと我慢してた分、頭がハレーションを起こしたままだ。 
 チカチカする視界を堪えるように、きつく瞼を閉じる。
 ぜぇぜぇ荒い息を吐きながら、顔から滴る汗を拭う気力もないままベッドに倒れ伏している。
 
 
 あ──…疲れた。
 めっちゃ疲れた……。
 ちんこ擦り合っただけなのに、何でこんなに疲れてるんだろうなってくらいに、身体がダルい。
 項の熱が消えた途端、一気に脱力感に襲われたみたいだ。
 
 グロッキー状態で動けなくなっていると、嗅ぎなれない匂いが鼻をつく。
 不快感に思わず眉を顰めてしまう。
 
(……甘ぇ……)
 
 悠の匂いとは全く違う、妙に鼻に残るような甘ったるい香り。
 悠に噛まれると、いつもこの甘ったるい匂いがしてくる。
 悠のフェロモンが身体に残った時限定で発する匂いだけど──これが俺のΩの匂いだったら最悪だな。
 甘ったるすぎて苦手だ。
 まぁ無事フェロモンも抜けたし、明日にはβの身体にリセットされるだろ。
 
(悠の匂いが分るのも今だけだな……)
 
 明日には分からなくなっているなら、今のうちに嗅げるだけ嗅いでしまおうと思っていたのに、意思に反してトロトロとした眠気が押し寄せてくる。
 それを邪魔するかのように。
 
 
「アキ…、アキっ! はぁっ、はぁっ、っ、アキ……っ!」
 
 
 悠が俺の項を、執拗なほど舐め回している。
 
 …………何だか悠が、変だ。
 
 しかも舐められるとピリッとした痛みが走る。
 これはもしかしなくても、血が滲むほど噛まれてんじゃねぇのか?
 
 今は舐められると、じんじんと痺れるような痛気持ち良さの方が上回っているけど、この鈍痛……後で絶対痛くなる奴だ。
 はぁとため息が漏れるけど、今は脱力感が上回っているせいで動きたくない。
 舐められるまま放置していたら、悠が後ろから俺の腰をグイッと掴んで持ち上げてきた。
 
(は? 何…?)
 
 そのまま足をしっかり閉じさせると、悠のペニスがぐぬ…っと腿の隙間に入り込んでくる。
 
「え? ゆ…うぅうっ!!」
 
 覆いかぶさってきた悠が脇の下に手を入れてきたかと思うと、そのまま後ろに勢いよく身体を引っ張られた。
 ビックリしすぎて眠気も吹っ飛ぶ。
 目を丸くしている間に、強制的に後ろの悠に背中を預ける形で膝立ちをさせられていた。
 その体制で、悠が勢いよく凶悪ペニスを擦ってくる。
 悠のペニスがしっかり硬度を保っているのを見て、まだイッてなかったんだって事に今更気がついたけど、あ、ちょ…っ、いまコスんなっ。
 
「悠っ、まだ待てって…っ。まだちんこ敏感なまま……んんんっ 」
 
 先にイッちゃったのは申しわけねーけど、俺の都合も頼むから聞いてくれ!
 自分だけスッキリして寝ようとは思わないから、ちょっとだけ待ってくれよ! 
 まだイッた余韻が抜けきれてない状態なんだってっ。
 
 これを伝えたくても俺の喉からは「んんぅ…っ、んんう…っ」という情けない声しか出てこない。
 
 うぅう……。
 ちんこから何か噴き出してきそうで、めっちゃ怖い……!!
 
 身体を捩って暴れようにも、肩をガッチリ押さえられているせいで、悠の胸の中から抜け出すことさえままならねぇ。
 
「アキ…、可愛いっ、可愛いっ、…っ! 逃げないで…っ」
 
 顔を無理くり悠の方に向けさせられると、すぐに熱い舌が捩じ込まれる。
 口の中を犯すように、悠の舌が奥まで入り込んできて、唾液を流し込んできた。
 
 ……っふ。甘い……っ
 
 悠の身体からも汗の匂いに混じるように、とろりと甘い濃密な匂いが漂い始めている。
 
 
  甘い、甘い、甘い、甘い………。
 
 
 お互いの身体から立ち昇る、甘ったるい匂いのせいで、酔ったみたいに頭がクラクラしてきた。
 身体が……熱い。
 あぁもう、自分の匂いが甘い。うるさい……。
 
 肩に回っていた悠の手がスルリと胸元に落ちると、尖り始めていた先端部分を摘むように持ち上げてくる。
 
「んんん──~…っ、…っむ、ふぅンンー…っ」
 
(あ、あ、あ、どうしよ、気持ちい──…)
 
 イッたばかりの筈なのに、またクララが兆し始めてきた。
 悠に乳首を弄られる度に、身体がビクビクと跳ねるし、悠のモノでクララを擦られるのも気持ちがいい。
 舌……甘くて蕩けそう。
 
 あっという間に射精感が強まってきて、太腿がどんどんと張ってくる。
 さっきイッたばっかなのに……も、無理っ!
 
「ぷぁ…っ、はぁっ、はぁっ、…あっ、イク! 悠、俺イク…っ!」
 
「はーっ、はーっ、オレも…っ アキ、中に出させて…!」
 
 よく分かんねーけど、とりあえず首を縦に振って頷いといた。
 どうせイクなら、一緒に気持ち良くなりてぇ。
 そしてスッキリしたところで、さっさと寝てしまいたい。
 
 後始末? そんなもんは知らん。
 もう流石に体力的に限界だっての。
 めんどくさいことは明日考えればいい。

 悠もフィニッシュが近いと言っていたし、動きが激しくなるのを覚悟して、ギュッと内腿を締めて準備に入る。
 ──が、俺の親切を無視するように、そこからズルリとペニスを抜かれてしまった。
 
(……えっ!?)
 
 驚いて振り返った所で、悠の凶悪ペニスが俺の尻の間に、ピトリと押し当てられる。
『まさか…!』と思ったけど、マジでそのまさかをするつもりらしい。
 そのままグヌッと中に挿れられてしまう。
 
 
「…………っ!!」 
 
 
 柔らかくなるまでゆっくりと穴の中を解されていたせいか、痛みもなく先端部分を飲み込んでしまったけど……。
 
「あ…、悠。やだっ、無理……!」
「く…っ、大丈夫。これ以上は…、もう進めないから…っ」
 
 泣き出しそうな声を出す俺のこめかみに、悠が何度も何度も安心させるように、キスをしながら宥めてくる。
 その言葉通り、カリまでの半分以上を残しながらも、それ以上先に進ませる様子は感じねぇ。
 
(疑似セックスのつもりなんだろうか?)
 
 挿れるというより、穴の縁にちんこを押し付けるように腰を揺すってくるだけだし、これなら別に大丈夫かも。
 グリグリ穴を刺激されんのも、結構気持ちいいし。
 
 俺の怯えが消えたのに気づいた悠が、プクリと腫れて敏感になった乳首を優しく弾いてくる。
 貞操の危険がないって分かると、途端に安心してまた快感を追うことに必死になる。
 だって悠が追い上げてきたせいで、俺のクララも限界なんだって。
 さっさと気持ちよくなって、さっさと出してしまいたい。
 クララの前には理性だって弾け飛ぶんだ。仕方ねぇだろ。
 
「……悠」
 
 名前を呼びながら悠に向かって舌を出すと、悠も舌を出して応えてくれる。
 舌先で遊ぶように触れ合わせるだけでも、下腹部にどんどん甘い痺れが蓄積されていくみたいだ。
 
「んっ、…はぁ、ん、んんぅ…!」
 
 太ももがブルッと震えた。
 大きな波に呑まれるまま、悠の唇に噛み付くように唇を合わせると、そのまま勢いよく吐精した。
 
「───~~…ッッ!! っ…はぁっ、はぁ…っ!!」
「く…っ、は…っ!!」
 
 ビクンッ、ビクンッと身体を痙攣させながら、蜜口から精液を吐き出す俺の乳首をギュッと指で摘まみながら、悠もすぐに精を吐き出す。
 ジワ…と中が濡れる感覚とともに、生温い液体が尻の間を濡らしていく。
 挿れてるとは言っても、ほぼ押し付けているだけの状態で吐精したせいか、ほとんどの精子が外側に溢れてしまっていた。
 足の間が白く汚れていくのを、イッた余韻でぼぉっとしたまま眺める。
 
 
  はぁ、熱い……。
 
 
 背中を預けている悠の身体も、汗でびっしょり濡れている。
 そういえばエアコンつけてねぇな……。
 よくこんな暑い中でシてたよ、俺たち。
 まだ6月とは言え、うっかりにも程がある。
 ちょっと笑えてきた。
 
 賢者タイムなのか、ぼぉっとしていた頭もだいふスッキリしてきて、笑う余裕も生まれてきた。
 
(あー…、とりあえず悠に水分補給させとかなきゃ。ウチで熱中症になられたら大変だ)
 
 ウチは節約のためにエアコンの温度を高めに設定してあるけど、このお坊ちゃんはいつも快適な温度で過ごしてそうな分、暑さに弱いかもしれねぇ。 
 ベッドの上に放ったらかしにしていたペットボトルを手に取ると、後ろに居る悠に手渡す。
 温くなってしまっているけど、熱中症になるよりマシだろ。
 お坊ちゃん相手に、自分の飲みかけを渡すのもどうかと思うけど、まぁあれだけチューした仲だし、多分大丈夫だろ。
 
「悠、ほら水。飲んどけよ、汗すげー……うゎっ!?」
 
 悠にペットボトルを渡す前に、問答無用で身体をひっくり返されてしまう。
 そのまま仰向けにベッドに寝かされた。
 足を抱えられるようにして悠に持ち上げられると、太腿の間にまた悠の凶悪ペニスが入り込んで来る。
 
「……はっ!? えっ?!」
 
 いま出したばっかなのに、何でそんなにバッキバキになってんの? 
 眼を瞠ったまま固まる俺の上に、悠が屈み込んできた。
 
「はぁっ、はぁっ、ごめん。アキの匂いに煽られたみたいだ…。あれだけじゃ、治まらない…っ」
 
 腹の上にぽたりと汗を落としながら苦しげにそう謝ると、悠がまた力強く腰を揺さぶってくる。
 
 
 結局俺が気絶するように眠りにつけたのは、明け方近くだった。
 
 
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

最愛の番になる話

屑籠
BL
 坂牧というアルファの名家に生まれたベータの咲也。  色々あって、坂牧の家から逃げ出そうとしたら、運命の番に捕まった話。 誤字脱字とうとう、あるとは思いますが脳内補完でお願いします。 久しぶりに書いてます。長い。 完結させるぞって意気込んで、書いた所まで。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

番に囲われ逃げられない

ネコフク
BL
高校の入学と同時に入寮した部屋へ一歩踏み出したら目の前に笑顔の綺麗な同室人がいてあれよあれよという間にベッドへ押し倒され即挿入!俺Ωなのに同室人で学校の理事長の息子である颯人と一緒にα寮で生活する事に。「ヒートが来たら噛むから」と宣言され有言実行され番に。そんなヤベェ奴に捕まったΩとヤベェαのちょっとしたお話。 結局現状を受け入れている受けとどこまでも囲い込もうとする攻めです。オメガバース。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

処理中です...