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第十八話 神は、純粋な願いを聞き届ける
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私は思い出していた。
昨日飲んだ、冷たくって美味しくって涙が出そうになった水の事を。それから欲しいと思った。もう一度、あの水を飲んでみたいと思った。だから、出てきてほしいと願った。
さっき空に文字を描いたときも、同じように考えたら出てきてくれた。
目をつぶって、深呼吸して、出てきてほしいと真っすぐに願う……手のひらに冷たい何かが現れたのを感じて、目を開ける。
水が、湧き出ていた。
「おお」
「すげぇ」
ウィルとグラント様の驚きの声に嬉しくなったのだけれど、恐らくこの水はただの水であって、グラント様が言っていた燃える水じゃない。この水が燃えるようになるためには、何かを水に混ぜる必要があると思うのだけれど、それを混ぜたら水が水でなくなる気もして、どうしたものかと考えてしまう。
「水の特徴の中から、燃やすのに邪魔な要素だけを取り除いてみたり、燃えるという特徴の中から、水によって消えてしまうという要素だけを取り除いてみるためには、どうすればいいのかを考えてみてはどうだろう」
私が困っているところに、グラント様からの言葉が聞こえてきた。
その言葉に従って、まず私はどうして手から流れるコレを水だと思うのかを考えてみた。冷たいから、透明だから、流れているから……思いつく限りじゃこのくらい。この中で燃やすための邪魔になりそうなのは、冷たいってとこだけど、別に冷たい木にでも火は着くのだから、そのせいで燃えないってわけじゃないのかも。
じゃあ逆に、燃えるモノってどんなのなのだろう。木くず、油、布切れ、紙……ここまで考えて、今考えているものは燃えるモノじゃなくて、よく燃えるモノだって気付いた。よくよく考えてみれば、絶対に燃えないモノってないんじゃないかな……いや、一つあった。
奴隷商人が、火の中に入れて燃やすための木の枝を探している時に、「湿ってるやつは燃えないから、乾いている木の枝を拾え」って言っていた。
だから、乾いた水だったら燃えるんじゃないかと思った。
「すみません、あそこの窓を開けてもいいですか?」
グラント様に許可を取らないといけないと思い、質問をする。
「ん……構わないが、理由を尋ねてもいいかね」
理由を訊かれるとは思わなかったので、考えを整理してから、ゆっくりと話す。
「えーっと、水が燃えるようになるためには、乾かせばいいと思ったんです。なので、この水を太陽の光に当てて乾かしたいんです。洗濯物みたいに」
「そうか、わかった」
納得してもらえたようでよかった。
私は近くにあった窓を開け、水にそこから外に出てもらうように願う。それから、なるべく太陽の光が沢山当たるように、水に薄く広がってもらって、早く乾いて欲しいと願う。
水を乾かしたことがないので、どのくらいで燃えるようになるくらいまで乾くのかは分からなかったのだけれど、あまりグランド様を待たせるのもいけないと思ったので、すぐに水を家の中に戻して窓を閉じる。
「それで、水は燃えるようになったのかね」
私がどう言い出していいか考える前に、グラント様が訊いてきてくれた。
「はい、多分、大丈夫だと思います」
自信はない。けれど、私に能力が無いと思われて捨てられるのは嫌だから、私は強く願う。この水が燃えてくれるように。グラント様に捨てられないように。ウィルと一緒にいられるように。
昨日飲んだ、冷たくって美味しくって涙が出そうになった水の事を。それから欲しいと思った。もう一度、あの水を飲んでみたいと思った。だから、出てきてほしいと願った。
さっき空に文字を描いたときも、同じように考えたら出てきてくれた。
目をつぶって、深呼吸して、出てきてほしいと真っすぐに願う……手のひらに冷たい何かが現れたのを感じて、目を開ける。
水が、湧き出ていた。
「おお」
「すげぇ」
ウィルとグラント様の驚きの声に嬉しくなったのだけれど、恐らくこの水はただの水であって、グラント様が言っていた燃える水じゃない。この水が燃えるようになるためには、何かを水に混ぜる必要があると思うのだけれど、それを混ぜたら水が水でなくなる気もして、どうしたものかと考えてしまう。
「水の特徴の中から、燃やすのに邪魔な要素だけを取り除いてみたり、燃えるという特徴の中から、水によって消えてしまうという要素だけを取り除いてみるためには、どうすればいいのかを考えてみてはどうだろう」
私が困っているところに、グラント様からの言葉が聞こえてきた。
その言葉に従って、まず私はどうして手から流れるコレを水だと思うのかを考えてみた。冷たいから、透明だから、流れているから……思いつく限りじゃこのくらい。この中で燃やすための邪魔になりそうなのは、冷たいってとこだけど、別に冷たい木にでも火は着くのだから、そのせいで燃えないってわけじゃないのかも。
じゃあ逆に、燃えるモノってどんなのなのだろう。木くず、油、布切れ、紙……ここまで考えて、今考えているものは燃えるモノじゃなくて、よく燃えるモノだって気付いた。よくよく考えてみれば、絶対に燃えないモノってないんじゃないかな……いや、一つあった。
奴隷商人が、火の中に入れて燃やすための木の枝を探している時に、「湿ってるやつは燃えないから、乾いている木の枝を拾え」って言っていた。
だから、乾いた水だったら燃えるんじゃないかと思った。
「すみません、あそこの窓を開けてもいいですか?」
グラント様に許可を取らないといけないと思い、質問をする。
「ん……構わないが、理由を尋ねてもいいかね」
理由を訊かれるとは思わなかったので、考えを整理してから、ゆっくりと話す。
「えーっと、水が燃えるようになるためには、乾かせばいいと思ったんです。なので、この水を太陽の光に当てて乾かしたいんです。洗濯物みたいに」
「そうか、わかった」
納得してもらえたようでよかった。
私は近くにあった窓を開け、水にそこから外に出てもらうように願う。それから、なるべく太陽の光が沢山当たるように、水に薄く広がってもらって、早く乾いて欲しいと願う。
水を乾かしたことがないので、どのくらいで燃えるようになるくらいまで乾くのかは分からなかったのだけれど、あまりグランド様を待たせるのもいけないと思ったので、すぐに水を家の中に戻して窓を閉じる。
「それで、水は燃えるようになったのかね」
私がどう言い出していいか考える前に、グラント様が訊いてきてくれた。
「はい、多分、大丈夫だと思います」
自信はない。けれど、私に能力が無いと思われて捨てられるのは嫌だから、私は強く願う。この水が燃えてくれるように。グラント様に捨てられないように。ウィルと一緒にいられるように。
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