氷の艶やかな青年

はなおくら

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 繋いだ手を引っ張りながらハンナは、友人を紹介できるとはしゃいでいた。

「セドリック様‼︎」

 ハンナが声をかけると、なんだか顔を赤くしながら振り向くセドリックがいた。

「あなたもきてたのね!あのね紹介したい人がいるの!」

 ハンナがセジャにセドリックを紹介すると、セジャはしばらく黙ったままだったが、諦めた様にセドリックを見つめた。

「タメリー子爵令息、ハンナからよく話を聞いているよ。挨拶が遅くなってすまない。」

 さすが公爵家となると違うのがわかる。頭を下げる姿にも威厳を感じて、ハンナは少し誇らしくなった。

 目の前のセドリックの頬が赤いことにハンナは気付いた。

「セドリック様?どうされたのですか?」

 ハンナの問いかけにセジャは方を上げた。

「実は…私も恋をしてしまった様です。」

 照れるセドリックにセジャは眉を寄せて睨みつけた。

「どなたにですか…?」

 低く冷たい声で問いかけるセジャに、全く気づいていないセドリックは嬉しそうに笑って答えた。

「先ほど、あなた方に会う前にいらっしゃったご令嬢です。……初めてあった気がしなかった…。」

 セジャの睨みにハラハラしていたハンナだが、彼が前世の彼女に会えてのだと直感で感じていた。

「それは良かったです。今度ぜひお会いしたく思います。」

 愛し合ってはいなかったが、長年同士の様に生きてきた人がようやく巡り巡って再開できたのだと嬉しくなった。横にいたセジャを見つめて、彼の腕に自分から手を回すと、彼も腕に力を入れて答えてくれる。

 セドリックもその様子に微笑むと、彼女を追いたいと行ってその場を去っていった。

 彼なりに本心ながらも気を遣ったのだろうと思った。

「…彼は無害だった様だ…。」

「そうよ!何を勘違いしていたの?」

 安心するセジャにハンナは信用されてないのかと怒った。

 そんなハンナにセジャはバツが悪そうに謝る。

「すまなかった…。君が彼の前だと見たことないほど笑っていたから…つい…な…。それに彼は君の…。」

「そうだけど、何もなかったのよ。」

 セジャが何か言おうとする前に、ハンナはすぐに言葉を重ねた。

 それにセジャは苦笑いを浮かべながらハンナを抱きしめた。

「疑ってすまなかった。」

「いいの…私もあなたにたくさん不安な思いをさせてしまったもの…。」

「ハンナ…すまない。」

 セジャはもう一度謝ると、ハンナの唇にキスを落とした。

 夜風が冷たく素肌を撫でて肌寒く感じるが、彼の唇と体温の暖かさのせいか少し積極的に彼のキスに応えた。



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