再びあなたに会えて…

はなおくら

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 人前ということもあり、私は王太子の背中に手を回した。

 しかし、どうしてもジョセフ様の顔が忘れられなかった。

 その時、ラッパの音が鳴り響いた。

 これは王様から話がある時に鳴り響くものだ。

 王太子の顔を見ると、彼も何も聞いていない様子だった。

 王様は王妃様を隣に呼ぶと大きな声でいった。

「皆に嬉しい報告がある。我が息子、王太子の婚約者が決まった。」

 そういうと王様は私たちの方を見て、こちらにくる様に施した。

 横にいる王太子は嬉しそうにしているが、私はどういうことなのかわからず狼狽えるしか無かった。

「父上、私達のことを認めてくださったのですね。」

 嬉しそうに王太子が問いかけると王様は首を横に振った。

「お前には隣国の王女様の元へ行ってもらうことになった。王女様は長年其方のことを思っていた様だ。」

「っ!ちょっと待ってくださいっ!私にはジェーンがおりますっ!」

 怒りを募らせた王太子が抗議すると、王様は私の方へと冷たい視線を向けた。

 圧倒的な視線に私は小さくなった。

「其方は一国の王太子だ。国の模範となるべき人間がなげかわしいっ!その女を外に連れ出せっ…!」

 王様の命令により、私は両手を押さえられ、訳もわからず連れ出された。

「ジェーンっ…!」

 涙を流しながら手を伸ばす王太子は騎士に押さえつけられていた。

 そんな姿に少し胸は痛んだが、どこか安堵している自分がいた。

 騎士に連れ出され、外へと投げ出されるかと思いきや長い廊下を抜けて、どこかの空き部屋へと通された。

 少し待つ様に言われて、私は近くの椅子に座った。

 しばらくすると、扉から音が鳴った。

 すると、勢いよくジョセフ様が現れた。

 ジョセフ様は、泣きそうな目で私の体を抱きしめた。

「ジェーン…っ…!」

 ジョセフ様の抱擁に私は涙が溢れた。

「ジョセフ様っ…。」

 彼に抱きしめられてひどく安心していた。

「何故、ジョセフ様がこちらにいらっしゃるのですか?」

 私がそう聞くと、ジョセフ様は笑って答えてくれた。

「王妃様のおかげだ。君が僕に嘘をついていることは初めからわかっていた。君がつらそうにしていることも…。…すまない、私が頼りないばかりに君にこんな決断をさせてしまった。」

 私の顔をまっすぐ見つめるジョセフ様に私も嬉しくなって今まで言えなかった言葉が溢れ出してきた。

「本当にっ…ずっとつらかったですっ!ジョセフ様にこれから会えなくなるんだと…そう考えると何のために生きているのかわからなくてっ……。」

「すまない…。」

「迎えにくるのが遅すぎますっ…!」

 私が泣いて彼の胸を叩くと、彼は笑って私を抱きしめた。


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