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 愛情があるかないかで答えるなら、もちろん「ある」。彼が八歳の時から専属騎士と仕えて十年。子供だったレインハルト殿下は、こうやって無事に成人を迎えた。

 そして私も、十八歳から二十八歳。結婚をしたら騎士を辞めよう。そう思っていたのに、結局、結婚できずに今に至る。むしろ、まだどこかに結婚したくないという思いがあったのかもしれない。無事に彼の成人を見届けるまでは。

 だけど、レインハルト殿下も成人を迎え、婚約者を選ぶ時期になった。となれば、私も結婚してもいいだろうと思えてきた。その相手がいるかどうかは別問題として。

「もちろん。ありますよ。あんなに小さかった殿下が、こんな立派な大人になって、成長を見守ってきた者の一人としては、とても誇らしいです」
「くそっ……」

 悔しそうに言葉にしたレインハルト殿下は、上着を脱ぐと乱暴に投げ捨てた。

「いつになったら……。お前は僕を男として見てくれるんだ?」
「いつも男性として見てますよ。私とは、このように体つきも違うじゃないですか。だから、これを外してください」
「お前のそういうところだよ」

 レインハルト殿下の手が伸びてきて、騎士服の鉤をぷつぷつと外しにかかる。

「何をしていらっしゃるのでしょうか?」
「お前の服を脱がせている」
「なぜ? 暑くはないですよ」
「お前が全然わかってくれないからだ。これから僕はお前を抱く」
「ぎゅっと抱きしめるくらいなら、何も服を脱がなくてもいいのでは?」

 彼は小さく「くそっ」と呟く。

「お前は。抱くという意味もわからないのか?」

 全ての鉤を外し終えた彼は、私の上着を押し広げた。だが、上着の下にもシャツを着ている。

「くそっ。なんでこんなに面倒くさいものを着ているんだよ」
「これが正装だからです」

 シャツの釦もつぷつぷと外されていく。

「ちょ、ちょっと。何をしてるんですか。やめてください」

 全て外され、それまで広げられてしまったら、残るは下着だ。
 彼の手は、私の胸当てに伸びている。

「やっ、やめてくださいってば」

 縛られた手首を必死に引っ張るが、やはりタッセルはびくともしない。

「暴れるな。傷になる……」

 ぺろりんと胸当ても外された。となれば、私の乳は丸見えである。手で隠そうにも隠せない。頭の上で縛られている手は、さらにレインハルト殿下の手によって押さえつけられている。

「なぁ……。ここまでやられても、抱くの意味がわからないのか?」

 いくらなんでも、さすがの私でも、これから目の前の男が何をしたいのか、予想はつく。
 だが、目の前の男がレインハルト殿下であり、その相手が私であることがおかしい。
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