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初仕事?
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すーーーーーーー…
はーーーーーーーーーーーーー…
十何度目かの深呼吸を終え、漸く決意を固める。
礼儀作法とかよく分かんないけど、成人したばっかって事も“アルビノ”って事も分かった上での面談だもんね!
大丈夫大丈夫!!
頑張れラザリア!負けるなラザリア!
意を決し、震える拳の背でドアをノックする。
コンコンッ
「誰だ」
誰何する低い声に羽が震える。
「め、面談に参りました!」
「入れ」
「しっ失礼します!」
重い扉を開けて中に入る。
そこは執務室のようだった。玉座みたいな所を想像してたから、少しホッとした。
光が目に入り、光源を探るべく目が吸い寄せられる。
窓から差し込む光をキラキラ跳ね返すそれは、濡れた様に艶やかな、漆黒の羽だった。
うわぁ……すっごく綺麗……
噂は本当だったんだ~
と、呑気に考えられていたのも束の間だった。
パチリと、羽の持ち主と目が合う。
その瞬間、悪い噂が脳内を駆け巡った。
背筋を冷たい何かが走り、ぶるりと羽を震わせる。
咄嗟に目を逸らし俯く。失礼な態度を取ってしまった!そう思っても、再び目を合わせる事は出来なかった。
なななななにこれ!?
ぞくぞくって、なにこれ、怖いよ~っ!
やっぱり怖い人だった……!
挨拶しなきゃと思うが口は一向に開かず、沈黙が流れた。
暫くして、ギース局長から質問が投げかけられた。
ポツリポツリとそれに答えていく。
難しい質問とかはなくて少しホッとした。
相変わらず床を見つめたままだけど。
質疑応答が終わると、今後の仕事の話になった。暫くは本部から近い配達を回って、一個終わったらその都度ギース局長に報告に行くと。
なんていうか、私みたいなポンコツが毎回ギース局長の時間を割いてしまっていいんだろうか……
申し訳なく思う反面、確かにここまで手厚くされると安心もする。
カラス族のはみ出し者だった私が、ようやく一員になれた気がした。
とりあえず今日はお試しという事で、荷物をひとつ、隣町まで配達する事になった。
「今日の夕刻にはまたここで報告してもらう。出来そうか?」
「は、はいっ!頑張ります!」
「では荷物を渡・そ・う・」
初めての配達に、私は完全に浮き足立っていた。
床を見ていたせいもあるけど、ギース局長がすぐそばまで来ている事に気づかなかったのだから。
へ?と思った次の瞬間、私の右手がそっと持ち上げられた。
手の甲を上にして、ギース局長の大きな手にすっぽりと包まれている。
「~っ!?」
手と手が触れ合った部分がビリビリと痺れ、また背筋に何かが走り、ぶるりと羽が震える。
ななななっ、なんでっ!?
て、手っ、荷物渡すって、手渡し!?
先程の恐怖を思い出し小刻みに震える私を気にする様子もなく、手を持っている逆の手で何かを取り出した。
小さなそれは、輪っかの様に見えた。
「これは、相手に渡さなくて良い」
輪っかが私の薬指に近づく。
「見せれば伝わる」
中指と小指を割り開くように、
「返答を貰い次第、すぐに帰還すること」
奥へ奥へと進んでいく。
「分かったか?」
根元まで嵌ったそれを、すり、と撫ぜながら言うものだから
「ひゃいっ」
変な声が出てしまった。
恥ずかしいやら怖いやら楽しみやらで頭の中がごちゃごちゃだ。
とととりあえずギース局長から離れないと!
なんかもうおかしくなりそう!!
「そ、それでは行ってまいりますっ!」
するりと大きな手から抜け出し、脱兎の如く逃げ出した。
前略、お母さん。
局長が怖すぎる件について!
うわーん!!
はーーーーーーーーーーーーー…
十何度目かの深呼吸を終え、漸く決意を固める。
礼儀作法とかよく分かんないけど、成人したばっかって事も“アルビノ”って事も分かった上での面談だもんね!
大丈夫大丈夫!!
頑張れラザリア!負けるなラザリア!
意を決し、震える拳の背でドアをノックする。
コンコンッ
「誰だ」
誰何する低い声に羽が震える。
「め、面談に参りました!」
「入れ」
「しっ失礼します!」
重い扉を開けて中に入る。
そこは執務室のようだった。玉座みたいな所を想像してたから、少しホッとした。
光が目に入り、光源を探るべく目が吸い寄せられる。
窓から差し込む光をキラキラ跳ね返すそれは、濡れた様に艶やかな、漆黒の羽だった。
うわぁ……すっごく綺麗……
噂は本当だったんだ~
と、呑気に考えられていたのも束の間だった。
パチリと、羽の持ち主と目が合う。
その瞬間、悪い噂が脳内を駆け巡った。
背筋を冷たい何かが走り、ぶるりと羽を震わせる。
咄嗟に目を逸らし俯く。失礼な態度を取ってしまった!そう思っても、再び目を合わせる事は出来なかった。
なななななにこれ!?
ぞくぞくって、なにこれ、怖いよ~っ!
やっぱり怖い人だった……!
挨拶しなきゃと思うが口は一向に開かず、沈黙が流れた。
暫くして、ギース局長から質問が投げかけられた。
ポツリポツリとそれに答えていく。
難しい質問とかはなくて少しホッとした。
相変わらず床を見つめたままだけど。
質疑応答が終わると、今後の仕事の話になった。暫くは本部から近い配達を回って、一個終わったらその都度ギース局長に報告に行くと。
なんていうか、私みたいなポンコツが毎回ギース局長の時間を割いてしまっていいんだろうか……
申し訳なく思う反面、確かにここまで手厚くされると安心もする。
カラス族のはみ出し者だった私が、ようやく一員になれた気がした。
とりあえず今日はお試しという事で、荷物をひとつ、隣町まで配達する事になった。
「今日の夕刻にはまたここで報告してもらう。出来そうか?」
「は、はいっ!頑張ります!」
「では荷物を渡・そ・う・」
初めての配達に、私は完全に浮き足立っていた。
床を見ていたせいもあるけど、ギース局長がすぐそばまで来ている事に気づかなかったのだから。
へ?と思った次の瞬間、私の右手がそっと持ち上げられた。
手の甲を上にして、ギース局長の大きな手にすっぽりと包まれている。
「~っ!?」
手と手が触れ合った部分がビリビリと痺れ、また背筋に何かが走り、ぶるりと羽が震える。
ななななっ、なんでっ!?
て、手っ、荷物渡すって、手渡し!?
先程の恐怖を思い出し小刻みに震える私を気にする様子もなく、手を持っている逆の手で何かを取り出した。
小さなそれは、輪っかの様に見えた。
「これは、相手に渡さなくて良い」
輪っかが私の薬指に近づく。
「見せれば伝わる」
中指と小指を割り開くように、
「返答を貰い次第、すぐに帰還すること」
奥へ奥へと進んでいく。
「分かったか?」
根元まで嵌ったそれを、すり、と撫ぜながら言うものだから
「ひゃいっ」
変な声が出てしまった。
恥ずかしいやら怖いやら楽しみやらで頭の中がごちゃごちゃだ。
とととりあえずギース局長から離れないと!
なんかもうおかしくなりそう!!
「そ、それでは行ってまいりますっ!」
するりと大きな手から抜け出し、脱兎の如く逃げ出した。
前略、お母さん。
局長が怖すぎる件について!
うわーん!!
応援ありがとうございます!
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