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12時からのシンデレラ
しおりを挟む「ん……シャンプーの良い匂いがする」
「ふふ、アイザック様も同じ匂いですよ」
「あ。そういえばそうだったね」
金茶でセミロングの髪を一束さらりと摘み、ちゅ、とキスを落とすアイザック様。
ベッドに腰掛けるとシルクのローブが艷やかな肌を滑り、太腿が露わになる。
互いの指が絡み合い、キスを数回重ねただけで奥からじわりと溢れてきた。
火照った身体は期待かそれとも湯上がりのせいか。
「アイザック様、どうしよう。早く欲しいです」
「っ、もう。君ってば何でそんなに嬉しいことを言ってくれるの? 本当に可愛いね」
「ん、」
アイザック様の唇が、おでこに、頬に、耳に、首筋に、鎖骨にと触れていく。
口づけはゆっくりゆっくりと下りていき、ついに胸元までくるとローブがするりと肩から落とされた。
男性従業員の気を散らさないよういつもお固い制服を着ているけど、(本当に本当に自分で言うのもアレなのだが)いい身体をしていると思う。
「あぁ……これをジャン君が独り占めしていたなんて。ズルい男だよ」
「でもアイザック様だってこれから独り占めするじゃないですか」
「ふふ。そうだね。光栄だな」
胸元で上目遣いをするアイザック様。とても貴重である。
谷間に顔を埋めすーっと私の香りを鼻腔に詰め、再び柔らかな唇が胸に触れていく。鼻先が胸を押して擽ったい。
まるで桜の蕾のような先端を、ちゅぱ、と吸われると背中が反って「ひぅっ!」と甘い声が漏れた。
そんな私の反応にアイザック様はニマリと満足そうに口角を上げ、頭を撫でて、可愛いねと言う。
こんなのが可愛いならば世の女性は皆可愛いではないか。さすが悪魔。
乳首を何度か舌で転がされ、快楽から逃げようとする腰はアイザック様の逞しい腕で支えられている。
らしくもなく、口元を隠すように添えられた手と潤む瞳。私の表情にまたニマリ満足そうに笑うと、再び全身への口づけが始まる。
ローブの紐を解かれ、腹に、へそに、骨盤に、そして脚の付け根までくると、悪戯に期待を裏切って右脚をグイと持ち上げた。とろり、と尻に垂れたのが自分でも分かる。
恥ずかしいのに、アイザック様は何も言わない。ただ微笑んでいるだけだ。
爪先にキスをして、始まる全身への愛撫。
足の裏、足首、脹脛、太腿、丁寧に丁寧に愛されて、やっと辿り着いた。
ひくひくと欲している入り口を見つめて、「ふふ、可愛い」と一言。
「やっ、あまり見ないでください……恥ずかしいです……」
「そう言われるとなぁ。ふふふ」
人間の性というやつなのか。より顔を近付けて、ついに、蜜で濡らした其処へキスをした。
アイザック様の舌先が割って入って、快感で身をよじる。またもや鼻先が違う部分に当たって、腰が動いてしまう。
「ふあっ! あん、だめっ! アイザック様っ……! そ、そんなトコっ、貴方様に舐めていただくような場所じゃっ、ないですよぉっ……!」
「何言ってるのアイビー」
「あっ、擽ったいっ」
「逆でしょう? 私しか駄目なんだよ?」
少しばかり落とされる声のトーン。
ぐち、と厭らしい水音を立てて、アイザック様の指が二本、膣壁を撫でながら侵入してきた。
「んああっ!! ゆび、がっ、ああっ……! はっ、んあ、ナカ、ゆびっ! そんな、ふうに、動かさない、で、あああっ!!」
「アイビーがいけないんだよ? 君がおかしなこと言うから。私の方が家格が上だから? それとも宰相だからそう言ってるの?」
「あっ、あっ、あん、やっ……あ、アイザックさまっ! だって、その通りじゃないですかぁっ!」
「……ねぇ。ほら、見て。12時過ぎてるんだよ。日付が変わったから、アイビーはもう私の婚約者だね」
「え、あ……ほんとだ。いつの間に、っん、あっ!」
「だから。恐れ多いとか、結婚させていただくとか、そんな事は思っちゃ駄目。恋人や夫婦に上下関係なんて無いでしょ。私たち平等な立場なんだから」
「ひあっ、は、はい、ひゃうん!」
「だからー、舐めても良いってこと」
「ああ! やああっ!! あ、そんな、や、アイザックさまッ……!!」
ナカで好き勝手掻き回していた二本の指がぐっと折れ曲がると同時に、ぷっくり膨らんだ実をちゅうと吸われた。
大きく腰が跳ねて思わずアイザック様の頭を掴んでしまう。
けれどお構いなしに刺激は続いて、押し寄せる快感にふわふわと腰が浮いてきた。
「あっ、あっ、だめ、イッちゃ……はあっ、ああっ、も、だめ、やあっ! っ、あ……あ……!!」
息を呑み電気が全身を駆け巡る。
ぼんやりする視界をかき分けると、其処には痙攣する私を心底嬉しそうに見下ろすアイザック様が居た。
力無く彼の肩に乗せられた私の右脚。脹脛に頬擦りして、足の裏にキスをする。
「あーもう本当、可愛いんだから」
平等だと口では言いながら優越感に浸っているように見える彼。
だってビクンビクンと未だ快楽の余波に震える私の膣口に、自身のモノをピタリとあてがい愉しんでいるのだから。
暫くして眺めるのにも飽きたのか、それとも我慢の限界なのか、アイザック様は私の腰を掴んで引き寄せ、より強く押し付ける。
「ひ、あ……! っこすら、ないで、っん、ん……!」
「ふふ。好きな娘を虐めたいって気持ちがなんとなく分かった気がするよ」
「もうっ! アイザックさまっ!? あんっ!」
「あはは、ごめんごめん。いま、挿れてあげるから。ね? だからそんな顔しないで。ほら」
気持ちイイことしようねと、先端が入り口を押し広げ、ゆっくりゆっくりと入ってくる。
コツンと一番奥にあたると、体温がしっかり混ざり合うまで抱きしめ合った。
ジャンとは違う感覚。これはなんと言えばいいのだろう。
「ああアイビー……すごく幸せだよ」
そうか。
これは“幸せ”なのか。
私はいま幸せなのか。
「アイザック様……私もすごく幸せです」
「ふふふ、まさかこの歳でこんな気持ちになるなんてね」
「私だって。ジャンとセックスしてこんな気持ちには、あッ!? あっ! あんっ!」
「最中に他の男の名前は呼んじゃいけません。……ッ、はっ、それに、私も、もうっ、そろそろ優しくは出来ないよ……っ!?」
些細な独占的が嬉しくて。奥を突かれるたび電気が走る。
愉しむ余裕のあったピストンは段々と速くなっていき、快感に耐え歪む表情も全て愛おしい。
「すきっ、アイザックさまっ、あっ、あっ! すきっ!」
「んっ、嬉しい。っは、私も大好きだよ、アイビー」
荒くなる息遣いも全部好き。
セットされていない乱れた髪も好き。
今まで沢山の女を抱いてきただろうに私を選んでしまう彼が好き。
アイザック様が好きで好きでどうしようもない。
こんな感情は、初めてだ。
「っ、あ……あ、また、イクっ、アイザックさまっ、アイザック様……!」
「可愛い私のアイビー、っはあ、う、ん……、溺れてしまえばいい。ね?」
「んあっ、はいッ……! 溺れさせて、ひあ! あああッ! やあああっ!! イ、ク、うぁ、ああっ、あぁああ……!!」
「くッ……あぁアイビー気持ちいいよ、ッう、あ……あ!」
チカチカ視界が瞬いて。夜空から星でも降っているのだろうか。
薄暗く部屋を灯している柔らかなランプの明かりさえも、私には瞬く星に見える。
乱れた姿で素肌を重ねて、愛しく落とされるキスを味わいながら、私は深い眠りに就いてしまった──。
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